アバンチュールはパリで (2008)

[547]ホン・サンス、もっと馬鹿々々しくしてよとどうしても思っちゃう?
★★★★☆☆

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これまた久しぶりにホン・サンスの作品を観た…。

マリファナを吸ったことが警察にバレて、
パリに逃げた中年画家が、
パリに留学中の画学生ユジョンと出会い、
恋をしてしまうというお話…。

その中年画家にはじつはソウルに妻がいるんだけどね。

例によって、面白いといえば面白いし、
面白くないといえばほんと面白くない…(笑)。
ホン・サンスが相変わらずホン・サンスしてるね、
と言うしかないかな…?

人間は日常の生活の中で、
ある意味、瑣末なことを生きている。
でも、その瑣末なことを生きてるのが人間だし、
いっけん瑣末なように思えることのほうが、
ほんとうは重要なことかもしれない。
大事なことなのかもしれない…。

というのがホン・サンスの基本的な姿勢だよね。

だからパリが舞台だといっても、
いかにもパリを思わせるような街並みは撮らない。
人物たちが生活してる場所しか撮らない。

本ストーリーとはさほど関係がないと思われる、
その日の出来事をも…、私の言葉で言えば、
「雑音」をも組み込みながら作品を構成していく…。

その姿勢に私は多いに共感するんだけれども、
でも出来上がった作品は残念ながら、
それ以上でもなければそれ以下でもない…?(笑)

そこがいつも私のどうしても不満なところなわけ。
ねえ、すこし乱れてみたら? バカになってみたら?
と思っちゃうんだよねえ…(笑)。

まあ、バカになれないところが、
ホン・サンスと言えばホン・サンスなんだろうけどさ(笑)。

すこし言いかえると、
ホン・サンスの作品には、ホン・サンスの「無意識」が
どうしても表れてこないんだよね。
そこがキム・ギドクなんかと全然違うところ…。

ギドクも徹底して理知的に、計算をして作品を創ろうとする。
ところが出来上がった作品を観ると、
本人が予測しなかったもの、計算してなかったものが、
映像の中にものすごくたくさん表れてしまう。
結果、失敗としか言えないような作品になったりすることもある。

つまり、無意識がかれを裏切ってるわけだけど、
でも、本人も予測できなかったその破綻や失敗が、
観る側からするとものすごく面白かったりするんだよね…。

でも、ホン・サンスの作品にはそれがないわけ。
破綻や失敗がない…。

これって俳優もきついだろうなあと思う。
無意識が入り込む余地のない作りかたされるわけだから…。

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実際、主人公の画家やってるキム・ヨンホ観てるとそう思う。
かれの出演した作品、
「太陽はない」「ユリョン」「新装開店」の
三本しか観てないんだけど、この作品がひちばんひどかった…?
やることがもうお芝居臭くて、イチイチわかっちゃうんだもの(笑)。

私の好きなキ・ジュボンも最悪(笑)。
かれのいいところが…、
かれの生理が押さえつけられちゃってんだよね。
徹底してホン・サンスの方法に合わせて演技しちゃってる?
バカになれない…?

その意味でよかったのはイ・ユジョン(パク・ウネ)。
若いから恐いもの知らずでやってるというか、
ホン・サンス好き!という感じだけでやってるというか…(笑)。
で、かえって彼女のよさが…、無意識が十分出る結果になってる?

じつはだいぶ前のことだけど、あちこちネット見てて、
ホン・サンスはこんなことを言ってます、
みたいな記事に出会ったことがあるのね。

これ書く前にちょっと探してみたんだけど、
見つからなかったのでウロ覚えを書くしかないんだけど…、

人間の感じ方、考え方みたいなものは
思春期に決まってしまって、変えようがない。
自分は、その思春期を振り返りながら、
自分の感じ方、考え方を映画で検証してる…、

みたいなことを言ってたね、正確じゃないかも知れないけど…。

そのとき「ああ、やっぱり」と思ったのね。
「女は男の未来だ」をはじめ、だいたいそういう作品だから…。

私もその人間の資質みたいなものは
決まってしまってて変えようがないと思ってる。
でも、それは思春期の段階で決まるんじゃなくて、もっと前だよ。
フロイトの言う「無意識」の段階だよ、と思ってるの。

吉本隆明さんなんか、
もう胎児段階で決まるなんて
恐ろしいことをおっしゃってるんだけどさ…(笑)。

思春期というのは、
その無意識の段階で決定された資質が表に表れるだけ…?
本人が意識しはじめるだけでさ。

意識しはじめるから、ホン・サンスのように、
思春期に決定されたなんて誤解してしまうこともある…?

まあ、誤解はべつに構わないんだけど、
思春期に決定されたと考えるということは、
それ以前にまで…、無意識の段階にまで自分を戻して考えなくなる
恐れも生じるわけでさ…。

う~ん、ホン・サンス、どうもそれじゃないかなあ、
と思ったんだよね、それ読んだとき…。
無意識が入り込む余地がない作り方を、
バカになれない作り方をしてしまう理由は…。

まあ、なんて言うか、
ホン・サンスのやろうとしてることは
私なりにすごくよくわかって共感もするんだけど、

でも人間やこの世界って、
ホン・サンスが思ってるほど狭くはないんだよっていうか、
アホで、バカで、どうしようもないひとのほうが
案外すごかったりすることもあるんだよっていうかさ…(笑)。

例によってまた
そんなつまんないことばかり考えながら観てましたあ…(笑)。


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■144分 韓国 ロマンス/コメディ

監督: ホン・サンス
脚本: ホン・サンス
撮影: キム・フングァン
音楽: チョン・ヨンジン

出演
キム・ヨンホ キム・ソンナム
パク・ウネ イ・ユジョン
ファン・スジョン ハン・ソンイン
イ・ソンギュン ユン・ギョンス
キ・ジュボン 宿主

「気まぐれな唇」「女は男の未来だ」の鬼才ホン・サンス監督が、パリを舞台に軽妙な会話劇で綴るロマンティック・コメディ。妻をソウルに残してパリへと旅立った冴えない中年男が、現地で出会った若い留学生に恋心を募らせ、相手の本心を掴めぬまま翻弄される姿を辛辣かつコミカルに描く。主演は「SSU」のキム・ヨンホ、共演に「宮廷女官 チャングムの誓い」のパク・ウネ。
マリファナを軽はずみに吸ってしまった画家のソンナムは、結局警察の摘発を恐れてパリへと逃亡するハメに。憧れのパリのはずが、安宿に泊まり、これといってすることもなく、ソウルに残してきた妻を相手に毎夜電話で泣き言の日々。そんなある日、パリに留学中の画学生ユジョンと出会ったソンナムは、一目で恋に落ちてしまう。さっそくストレートにアタックするソンナムに対し、“奥さんのいる人なんて”とつれないユジョンだったが…。



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