愛と悲しみのマリア (1997)

[560]海辺の民宿を舞台に繰り広げられる親子三代の性のコピーが哀しい
★★★★☆☆

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惜しいなあ、いい映画なのに…。

兄弟が海沿いで民宿をやっている。
韓国でも民宿なんていうのか知らないが…(笑)。

これがなかなかいい民宿なのよ、木造二階立ての、
風情があって…(笑)。

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兄キテ(キム・サンジュン)は知的障害を抱えているが、
気立てのいい働き者。
弟キウク(シン・ヒョンジュン)は兄想いだが、
無感情で、ひまな時はいつも閉じこもり本ばかり読んでいる。

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宿は夏になるとけっこうひとで賑わっている。
そして解放された男や女たちは、
部屋で、浜辺で、仲睦まじく、激しく抱き合っている。

まだ女を知らない兄キテはつい、
客が睦みあうシーンを覗いてはひとり興奮しまくっている…?(笑)

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夏が過ぎたある日、
その兄弟の民宿に、夫に捨てられた女ミョンジャが
幼い娘のマリアを連れて転がりこんできて、
いつしか家族同然に生活しはじめる。

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兄キテは、マリアが可愛くていつも一緒に遊んでやる。

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ミョンジャは弟キウクに気があり、
なにかと言い寄るのだが、キウクは避ける。
女にたいして警戒心を抱いているからだ…。

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しかし、ある日、ミョンジャの誘惑に負けてしまいそうになる。
が、その時、過去の忌まわしい記憶が蘇る。

幼いころ、母親がお客の男と(?)浮気をして、
それを知った父親が海に入り自殺したのだ。
じつはそのことがキウクのトラウマになっている。

キウクはすんでのところでミョンジャの誘惑から逃れる…。

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母親が客と寝ているところを覗いている弟キウク
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夫に見つかって部屋から裸のまま逃げ出す母親
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その母親を追いかけるキウクの父親

ある日、キウクは物置小屋にミョンジャを呼び出し、
兄と結婚してくれと頼む。
キテがミョンジャに夢中なのを知っているからだ。
二人が一緒になれば、ミョンジャも自分に言い寄ることは
なくなるだろうと思う…?

ミョンジャのほうは
キテと結婚すればキウクといられると思い、結婚する…。

しばらく平穏な生活が続く。
民宿も、美人妻ミョンジャのおかげで以前より繁盛する。

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だが、ミョンジャと兄の結婚はむしろキウクに火をつけてしまった。
ミョンジャの悩ましい肢体が忘れられなくなってしまったのだ…。

そのことに気づいたミョンジャは、ある嵐の夜、
キウクの部屋に忍び込み、ついに二人は寝てしまう。

兄キテは妻の姿がないことに気づき、
外から窓越しにその光景を目撃してしまう。

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キテは物置小屋のツルハシを持ち出し、弟を殺そうと思うが、
できず、代わりにものを打ち砕く。

翌日も、ツルハシを手にキウクを遠くから睨んでいる。
キウクはその姿を見て、兄に気づかれたことを知る。

キウクは深いショックを受ける…。
ツルハシを持った兄は、
母の浮気を知って追いかけるかつての父の姿であり、
ミョンジャと寝た自分は、浮気をした母親そのものだったからだ。

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キウクは、呪われたこの家(民宿)を出ようと思うが、
ミョンジャに止められる。

自分の部屋へ戻ると、部屋がめちゃくちゃになっている。
兄と二人して仲良く写った写真立ても無残な姿に…。
母と父の事件以来、二人して家族を守ろうとしてきたのだが、
その家族も自分のせいで壊れてしまった…。

自分はどこまでも母親に呪われている…!

キウクは、発狂したかのように、
散乱した本のページを引き裂き、口に詰め込み、
窒息死してしまう…。

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その後…。

ミョンジャは民宿の客だった男と一緒になり、
夫のキテを追い出してしまう。
そして民宿は無残にもいまや売春宿に…。

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成長したマリアは母ミョンジャと義父を憎み、
愛してもいない男と寝て、母親と義父がやったように、
娘の自分がその売春宿を奪うことばかり考えている。
キテを追い出した母に復讐するために…?

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で、ある日、偶然、そのキテに再会し、
こうやっていまや売春宿になり果てた宿を
二人して見下ろすところで物語は終わる…。

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この話、じつは光州事件が起きた時代の話である。
軍事政権下で息苦しい人々が、
セックスを謳歌することでその息苦しさから逃れようとしている…。

しかしその性の放恣が家族を壊していく。
それもマリアまで含めると親子三代にわたり…。

すこし言いかえると、この民宿を舞台に、
親子三代にわたり
兄弟の母親の性と事件がコピーされていくお話…。

実際、幼いマリアもこの民宿で繰り広げられる男と女の饗宴を、
幼いキウク同様、覗いて育ってしまう…。
結果、母親への復讐は、
母親がやったことと同じことをやることで果たそうという
とても悲しい事態になってしまう…?

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物語自体はほんと抜群に面白い。徹底してわたし好み…!(笑)
映像もすごくいい。

でもねえ、狙いはいいのにそんなにうまく行ってないのよ。
例によって韓国映画らしく、
は…? となってしまうところが多いのよ(笑)。

じつはこのお話、
成長したマリアが過去を語りながら現在に…、
母親が乗っ取った宿をこんどは自分が乗っ取ってやるという
現在に至って終わるのね。

主語は私=マリアなの。
なのにさあ、
途中で物語の視点が弟キウクに変わっちゃうもんだから、
一貫性を欠くというか、都合が良すぎるというかさ…。

つまり観る側からすると、
いったい誰を通して観ればいいのよってことになっちゃうわけ。

こんなことをされるとさ、
小説作法の講義で、途中で主語を変えちゃだめだよ、
と学生に教えてる私はどうすればいいのだあ~、
と困っちゃうよねえ…?(笑)

もう一点はミョンジャの描き方。これも分裂のしまくり…(笑)。

キウクが自殺すると、客の男と一緒になって宿を乗っ取り、
さっさと夫のキテを追い出してしまう。
話としてはそうでないと面白くないんだけど、

でも、その前までは、
たしかに性的には放恣な女には思えるけど、
誰がどうみたってそんなに性悪な女には見えない…?
だから、おいおい、そんなに都合よく物語を展開するなよ
ってなっちゃうんだよねえ…。

でも、幼いマリアの「愛と悲しみ」を描きたいという
物語の狙いはすごく面白いんだよねえ。
金があればわたしがリメイクしたいくらいだよ…!

キテをやってるキム・サンジュンが好演。
シム・ヘジンもすごく魅力的。
シン・ヒョンジュンも例によって気持ち悪くていい…?(笑)

1990年代の韓国映画、
アングラぽいけど、うん、これもけっこうお奨めだよ。

■95分 韓国 ロマンス/ドラマ
監督: ソヌ・ワン
脚本: イ・クムジュ
撮影: シン・オクヒョン
出演
シン・ヒョンジュン
キム・サンジュン
シム・ヘジン
イ・ジョンヒョン
イ・ギョンヨン

幼い頃に両親のある出来事でトラウマを持つ弟キウク(シン・ヒョンジュン)と幼い頃に頭の怪我で知的障害を持つ兄キテ(キム・サンジュン)の二人は、一緒に海岸沿いの旅宿を経営している。その旅宿に、夫から捨てられて酒浸りになり自殺未遂までしたミョンジャ(シム・ヘジン)が娘マリア(少女時:ソ・ジヒ、成長時:イ・ジョンヒョン)と一緒にやってきて、住み込みで旅宿に置いてもらうことになった。ミョンジャは、弟キウクが気になり誘惑するが過去のトラウマが原因でミョンジャと距離をおくようになる。マリアに気に入られた兄キテは、ミョンジャのことが好きでいる。その気持ちを知った弟キウクは、ミョンジャに兄キテと結婚してあげてほしいと頼み、兄キテとミョンジャは結婚して、四人で旅宿を経営するようになる。しかし、拒み続けていた弟キウクは次第にミョンジャが気になるようになっていき、ついに関係を持ってしまった。その関係を見てしまった兄キテ、ミョンジャと関係を持ってしまったことを悔いる弟キウク。その後、彼ら兄弟に悲劇が起こり、ミョンジャやマリアの人生は大きく変わっていったお話。

 
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