吹けよ春風 (2003)

[598]何百万年も前に吹いていた朝鮮の春風はいまも吹いている
★★★★☆☆

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キム・スンウ主演の作品。
監督は「ライターをつけろ」のチャン・ハンジュン。

「ライターを…」は感心しなかったけど、
この作品はちょっとした名作かもよ…(笑)。

一見、たわいなくて、稚拙な創りにみえるんだけど、
物語はよく練られており、表現方法もけっこう高度…?

ケチでオクテの小説家ソングク(キム・スンウ)と、
喫茶店従業員ファジョン(キム・ジョンウン)の恋の物語…。

ソンダクはたいして売れない恋愛小説家。
一軒屋でひとり暮らし。
ヒグという青年弟子がいるが、かれも一緒に暮らしてる?
そのあたりいかにも韓国映画らしく、不明…(笑)。

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これがソンダク…、トップシーン…。
「春風よ吹け」?の音楽が流れる中、
早朝マラソンを兼ねて、教会前にゴミの不法投棄へ行く…(笑)。

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ソンダクはラジオ番組に出演し、最近他界した父について語る。
学者で、女性には潔癖だった、と…。
が、真っ赤なウソ…、じつは正反対…。

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ソンダクの母親は、ご近所のみなさんに囲まれながら、
死んだ夫の実像について語る。

夫の実家は売春宿で、勉強なんて全然しないひとだった。
女好きで、よそに子供四人をこしらえる浮気男だった…(笑)。
でも春風が好きで、冬は籠もってるくせに、
春風が吹くと、外に出て走り回ってた、と…。

この「春風」は、じつは「動物の発情期」の喩で、
したくなると女の所を走り回ってたってこと…?(笑)
別名、恋多き男…。

ソンダクはじつは、
母を不幸にした?父親が大嫌いだったので、
間逆の父親像を語ってたってことなの…(笑)。

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書斎で恋愛小説を執筆中のソンダクだが、全然書けない。
父親のせいで、女嫌い、恋愛嫌いだから…(笑)。
ちなみに左は弟子のヒグ…。

このソンダクの家の二階(書斎)に、
ある日、突然、ファジョンという女が引っ越してくる。

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「喫茶店」で働いているこのノー天気そうな女。
なにより動物が好きで、暇があると動物のテレビ番組を観ている。

この喫茶店従業員と、動物好きは、
じつは物語のキーワードになっている。

喫茶店従業員=娼婦という喩である。
韓国では喫茶店で働く女性は
娼婦を兼ねてることが多いからなのだが…。

ファジョンが売春をしているシーンはひとつもないが、
彼女は釜山、大田、光州と流れ歩いてきた
別名「風女」ファジョンなのである…。

動物のほうには「発情」の喩が込められている。
言いかえると、恋多き女、恋の大好きな女、という喩だ。

もうひとつある。
彼女、じつは幼いころ、動物園で母親に捨てられた孤児なのだ…。

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これはお空(天国)から息子にVサインを送ってる父親…(笑)。
そして見上げながら父親を怒ってるソンダク…。

じつはファジョンが引っ越してきたのは、
死ぬ前に父親が
ソンダクの部屋を無断で勝手に貸し出していたから…。

で、この恋愛小説家ソンタグと、
喫茶店従業員ファジョンの間に途中、
パター通りなんだかんだといろいろあるんだけど、
結局、最後は、ソンダクが彼女を好きになって、愛を告白する…。

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これがそのシーン…、いきなりラストでごめんね(笑)。

つうことは結局、女好きの死んだ父親が、
愛のわからないバカ息子に、
ファジョンという愛に溢れた女を家に送り込んで結婚させた、
という物語なわけ…(笑)。

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ソンダク、公園で
なぜか日本人観光客の声援を受けながら愛の告白をするのよ。

これも面白いんだよね。
愛は国境を越える、韓国人も日本人も関係ねえぜ、
みたいなメッセージが込められていて…(笑)。

で、父親がこのファジョンをソンダクに送り込んだのは、
このファジョンはじつは、
ソンダクが大好きな自分のおかあさんの生まれ代わりだからなの…?
おかあさんまだ生きてるから
生まれ変わりというのもちょっと変なんだけどさ。

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これ、最初のほうで紹介したおかあさん。
死んだ夫との思い出を語ってるんだけど、いい顔してるよねえ…(笑)。

じつは…、「じつは」ばっかりだね(笑)。

このおかあさん、家が貧しくて、
13歳のとき、ソンダクの父親の実家に…、
「売春宿」に売られてきたんだよね、働き手として…。

で、その時、ただひとり優しくしてくれたのが、
その売春宿の子供…、ソンダクの父親で、
父親はじつはおかあさんの初恋の相手だったの…。

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左がそのころの父親、
右が売春宿で賄婦をしている少女期のおかあさん…。

おかあさんも、この売春宿を皮切りに、
売春宿から売春宿へと売られて行くんだけど、
のちにお父さんと再会して結婚するんだよね。

ね、風女ファジョンと同じでしょ…?

おかあさんは、
たしかに女好きの夫にいろいろ苦労させられたんだけど、
でも優しい優しい夫が大好きで、

天国で夫が別の女と結婚していたとしても、
私はメカケでもいいから夫と一緒に暮らしたいと思ってるの。
わかった、ソンダク…?(笑)

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これはエンディングなんだけどさ、
天国の、春風が吹くお花畑で、
とても楽しそうに踊っているおかあさんとおとうさん…!

いかにもといった韓国のお話ではあるけど、
すごくよく構成されたいい物語だと思わない…?(笑)

最後、日本人観光客の、
「何百万年も前に朝鮮に吹いていた春風はいまも吹いている」
というナレーションで終わるんだけど、

朝鮮で愛がどんなふうに語り継がれてきたのか、
その一端を語っているようで
わたしにはけっこう面白かったんだよね…。

中のメイン・ストーリーは、
ソンダクが恋愛大好きのジョファンの話を聞きながら、
書けなかった恋愛小説を書きあげる話なんだけど、
表現が学芸会ぽくてなかなかいいのよ。

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ファジョンの誕生パーティ…。

ソンダクの小説仲間のノさんが「ベサメ・ムーチョ」を歌う。
ノさんをやってるのは私のこれまた好きなピョン・ヒボンなんだけど、
と、突然、ソンダクとファジョンもこうやって歌いはじめる…。

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どう? 
この学芸会的ミュージカルへの荒唐無稽な飛躍。
わたし、大好きなんだけど…(笑)。

もう一発…。

ある晩、ファジョンは、助手ヒグの悩みの相談に乗る。
なんと、ヒグはソンダクが好きで夜も眠れないのだという。
ソンダクに、ヒグとの仲を疑われたファジョンは堪らず、
ヒグの好きな人はじつはあなたなのだとソンダクにバラす。

と、ソンダクはあまりにも意外な真実に目を回し…、

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つい、こんな悪夢のシーンを見てしまうのだった…(笑)。

ソンダクとケンカみたいになって、
ファジョンは無断同然でどこかへ引っ越してしまう。

ソンダクは、彼女を愛していたことに気づいて、
日々ぼんやりしてしまう…。

ファジョンの大好きな動物たちを借りて、
チャン・ハンジュン監督はこんな名シーンも作り出している…。

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「動物たちは暖かい春風が吹き始めると、
つがい相手を探します。
大きな体の雄のカバもメスを探します(笑)。」

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「オランウタータンも相手を見つけたようです(笑)。
しかし例外もあります。
ヒョウはつがい探しの季節がありません。」

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「この寂しそうな動物は、アフリカに多いアムールヒョウです。
ほかの動物と違って群れずに孤独を好みます。
ほんとうはつがいを望んでいますが、
準備がまだのようです」
だって…(笑)。

レビューを書いたばかりの「ディア・ハンター」は
たしかにいい映画だよね。

でも、「ディア・ハンター」みたいな写実風リアリズムよりも、
一見稚拙におもえるこの作品の手法…、

前近代的学芸会手法(笑)のほうが、
じつはより広く、より深くなにかを表現できたりすることは
あたまの隅に置いてたほうがいいかもね…。

■111分 韓国 コメディ/ロマンス
監督: チャン・ハンジュン
製作: イ・グァンス キム・サンジン
脚本: チャン・ハンジュン
撮影: ムン・ヨンシク
音楽: ユン・ジョンシン
出演
キム・スンウ
キム・ジョンウン
ソン・ジル
ピョン・ヒボン
チャン・ヒョソン
キム・ギョンボム

トレーニング服姿でリュックサックをかついだ青年が、明け方の路地を走っている。聖堂の前まで来た彼は、リュックサックにぎっしり詰まったゴミを捨てるところを見つかり、ランニングシャツ風の神父に追われ急いで逃げる。ゴミ無断投棄常習犯は、小説家ソングク(キム・スンウ)。
ラジオに出演し、丁寧で博識な語調で家族の来歴と作品世界を話すが、中身はつまらない男。
そんなある日。パーマ頭にミニスカートをはいた喫茶店従業員ファジョン(キム・ジョンウン)が、彼の家の2階に借家人として引っ越してきて、戦争が始まる。友だちを呼んでぐうたらな酒の席を繰り広げるかと思えば、ボイラーを随時つけまくったせいで、彼の執筆活動は中断される他ない。門下生ヒグさえ、ファジョンの勢力伸張にまきこまれてしまう。
ファジョンのきらびやかな話しぶりに自分でも気づかないうちに耳を傾けたソングクは、小説のネタに使うため、友人のシム作家を言い訳にして関係を維持する。しかし、いくらもしないうちにソングクの嘘はバレ、ファジョンは家を出てしまう。

 

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