幸福の黄色いハンカチ (1977)

[600]これは当時の時代を刻印した大いなる失敗作なのだろうか?
★★★★★☆

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祝、600本レビュー…(笑)。

3年弱で600本は多いのか少ないのか?
うん、ようわからんばい…(笑)。

よく憶えている。
公開時、この映画を観たあと、
私はショックでしばらく館内の席を立てなかった…。

感動のあまり…、ではない。

「君よ噴怒の河を渉れ」(1976)はまだいい。
「八甲田山」(1977)も許そう。

でもここまで来ると…。
われらがヒーローだった健さんが、ここまで来ると……。
と、ショックで立ち上がれないほど落ち込んだのである(笑)。

で、いま改めて観直すと…、うん、やっぱりまだショック大だぜ(爆)。

倍賞千恵子とのシーンはいい。
もうめちゃくちゃいい。
当時、本人が望んでいた新高倉健の誕生だ…。

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渥美清とのシーンもいい。
1シーンだが、随喜の涙で私は震えてしまう。

これも1シーンだが、
太宰久雄やたこ八郎とのシーンも胸を掻き毟られてしまう。

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でも…、でも、そこへ武田鉄矢と桃井かおりが現れると、
私の心の波はサーッと冷めてしまうのだ…(ごめん)。

桃井かおりはまだいいかな、と思う(笑)。
がんばってる…。

でも、演技が統一されていない。
演じている人物の人格、性格、心の状態が分裂してる。
なので、あ、お芝居だ、とバレバレになってしまうのだ…。

そ、それを健さんの前で見せられると、私は…(泣)。

た、武田鉄矢になると…、ただのテレビの人なので…(鬱)。

山田洋次は、な、なんで武田鉄也を使ったんだろう?
人物の設定が、健さんも鉄也も九州人だから…?

健さんを九州人に設定したかった…。
うん、それはよくわかる。
いきなり「東映」の健さんを消してしまうのもまずいよね。

なので、相手の欽也という人物を九州人にした。
武田鉄也は九州人なので、欽也に武田鉄也を配した…?

私からすると、そうとしか考えられん。
ほかに理由ある? ないでしょ…?

でも、でも…、健さんはたしかに九州なんだけど、
現実の九州じゃないでしょう。
観る側からすると、もうとっくに
「東映」映画の中の九州人なわけでしょう…?

で、武田鉄也は生の…、現実の中の九州人なわけでしょう?

とさ、その時点でもうズレちゃうでしょう、健さんと武田鉄也では。
分裂しちゃうでしょう、この作品…。

実際、分裂して見えるよね、この映画。
健さんはフィクションのひと、武田鉄也は生なひと=現実のひと。

健さんは映画俳優、われらが大スター。
武田鉄也はタレント、テレビのひと、お茶の間のひと…。

お、お茶の間のひとが、
遠い遠い世界で、金星のように輝いてる健さんに
触れちゃいけないよ。
軽々しく、慣れ慣れしく口をきいちゃだめだよ。

そういう映画を撮ると、映画が壊れちゃうよ…(泣)。

倍賞千恵子や渥美清が出てくると、
それがもうモロにわかっちゃうよね、あ、この映画、壊れてるって…。

健さんと倍賞千恵子、健さんと渥美清のシーンは、
ああ、映画だなあ、映画はいいよなあって思うけど、
健さんと、桃井かおり、武田鉄也のシーンになると、
映画じゃなくなるでしょう…?

ガクガクッと、からだ中が折れて、
地面にベタッと倒れちゃうでしょう、観てると…(泣)。
倒れないひともいるかもしんないけどさ、
わ、私ゃ倒れちゃうのよ…(鬱)。

いや、いいよ、100歩譲って、
相手が武田鉄也でもいいんだけどさ。
いいから、ちゃんと演技してくれないと…、
演技の真似でもいいから、してくれないと、
私ゃ…、私ゃ、われらが健さんが可愛そう可愛そうで…(鬱)。

あれ、演技じゃないのよ?
本人は演技してるつもりかもしれないけど、
あれは生…、ただの生…、武田鉄也そのまんま…。

だからといって武田鉄也が悪いんじゃないの。
監督が悪いの。山田洋次が悪いのよ。
人物設定を九州人にしちゃったから…。

武田鉄也は九州人だから、
役が九州人だとまんまでやっちゃうんだよね。
やれちゃう…、ような気がしてしまうわけよ。
山田洋次もそれでいいって言っちゃったのかもしれないけどさ…。

でも、それがだめなのよ。どうしようもなく浅はか…!

ためしに欽也の設定を、
ズーズー弁を喋る青森県人にしたと思ってごらんなさいな。
と、いやが上でも演技しなくちゃならなくなるじゃない?
言葉を意識して喋らなくちゃならなくなるじゃない…。

とさ、その時はじめて素人は、
「あ、演技するってこういうことか」ってわかるんだよね。

桃井かおり、それやってるわけね、頭いいから…。
言ったように、統一感、取り損なってるんだけど、
でも、まだいい…、許せる…。

でも武田鉄也になると、映画にならない。
映画が分裂しちゃってる…(鬱)。

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山田洋次…、
観てください、高倉健、倍賞千恵子、渥美清、
太宰久雄、たこ八郎…。

映画俳優って凄いでしょう。
武田鉄也を観てると、
映画俳優がいかにすごいかよくわかるでしょう…、

って言いたくて武田鉄也を起用したのかなあ?

そうだとしたら武田鉄也も可愛そうだし、
観るわれわれも可愛そうだよねえ…(鬱)。

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それになに、あれ?
健さんが武田鉄也と桃井かおりに、
妻との過去を自ら告白するなんて…(笑)。

いやあ、ほんと笑っちゃうよねえ。
無理々々がモロに見えちゃうよねえ。
桃井かおりが強引に聞き出そうとして、
健さんがしょうがなくて喋るんならまだわかるけどさ…(笑)。

健さんのセリフで一個だけ大笑いのがあった。
桃井かおりにいろいろ手を出そうとする武田鉄也に言うのよ。

 おまえみたいなのを何て言うか知ってるか。
 草野球のキャッチャーって言うんだよ。
 ミット(グローブ)もない…、みっともない…(笑)。

セリフも面白いんだけど、
おい、武田、おまえの演技みっともねえんだぞ、
と聞こえてきて私ゃ大笑いだったよ…。

玉石混合で★5つはあげるけど、
名作にはほど遠いかな…?

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ただ、よく考えると、
このころから日本映画、次第に斃れていくんだよね。
時代が、ものすごく大きなところで変わっていくからなんだけど…。

一言でいうと、生産社会から、未知の消費社会へと…。

で、この作品の試みや混乱には、
当時のそうした時代状況が深く刻印されてたんだなあと思った。

そういう意味では
記念碑的な作品だと言っていいのかも…。

■108分 松竹 ドラマ/ロマンス
監督: 山田洋次
製作: 名島徹
原作: ピート・ハミル
脚本: 山田洋次 朝間義隆
撮影: 高羽哲夫
美術: 出川光男
音楽: 佐藤勝
出演
高倉健 島勇作
倍賞千恵子 島光枝
武田鉄矢 花田欽也
桃井かおり 小川朱実
たこ八郎 帯広のヤクザ
太宰久雄 旅館の親父
小野泰次郎 牧場の主人
岡本茉利 ラーメン屋の女の子
笠井一彦 検問の警官
渥美清 渡辺課長

刑期を終えた中年男が、行きずりの若いカップルとともに妻のもとへ向かう姿を描いた“健さん”主演のロード・ムービー。北海道網走。夢だった新車を買って北海道をドライブする欽也は、途中女の子をナンパし、ふたりで旅を続ける。ある時、ひょんなことから出所したばかりの中年男・勇作と出会い、旅をともにすることに。やがて、ふたりは優作から“自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを下げておいてくれ”と妻と約束したことを打ち明けられる……。あまりにも有名なラストは“あざとい”と感じながらも涙せずにはいられない感動作。

●shidarezakuraさん
お祝い、ありがとうございます。
想像を絶する世界ですか…(笑)。
私は年間300本くらい観てたんですけど、
ブログを始めてから200本くらいに減っちゃったんです、
書くほうにけっこう時間取られるようになっちゃって…。
ちなみに友人でもある柄本明(俳優)は、
年間500本くらい観てるんじゃないかと思います。
私らはヒマなのか、異常と言うべきなのか…(笑)。
この映画、けっこうたくさんのひとが観てるんじゃないでしょうか。
ラストシーンのハンカチ、
ああ、こんな愛情の表現の仕方があったんだって、
ほんと、むちゃくちゃ嬉しくなりますよね…。
そうですか、ご友人を…。お気持ちお察しします。
私も3ケ月ほど前、以前劇団にいて、
やめたあとも交遊の続いていた友人を亡くしました。
まだ50歳でした。
この歳になると、いつも覚悟はしてるものの、
実際に友人を亡くしたりするとやはり腹に堪えます…。
舞台、がんばります(笑)。
深夜稽古が続いていて疲れもピークって感じです。
いつものことですが…(笑)。
おからだ、どうぞお大事になさってください…。

●shidarezakuraさん
石川力夫のお墓にピンクの風船とお花を…!
ほんとうにありがとうございます。
なんだか嬉しくて涙が零れてしまいます…。
タバコを吸っている私の横顔は、佐野史郎の冬彦でしたか!
佐野史郎によると、あの「冬彦」は、
私のやった芝居「ぼくは17才」のパクリらしいのですが、
そうですか、私は「冬彦」してましたか…、フェ~ッ…?(爆笑)
神々しいなんてとんでもないです。
たんに疲労困憊して、ボーッとしていただけだと思いますが…(笑)。
東映をやめたあとの健さん、どうなんでしょうね。
健さんファンなのでずっと観てますが、
作品的にはもうひとつ恵まれなかったような気がしています。
映画は集団創作なので、やはり関わっているひとたちの気持ちが
ひとつにならないと、健さんはよくても、作品的には…、
ということになりがちですよね。
そのあたりが難しいところのような気がします。
ビョンホンの場合も、いつもそのあたりで気を揉んでしまいますよね。
石原裕次郎や渡哲也も心境複雑だったんじゃないでしょうか。
凋落する映画を捨ててテレビの世界へ入ったのでしょうが、
健さんと違って、石原組を作っていたので、
テレビの世界ではそれなりに良質のドラマを作れたのかな、
という気もしますが…。
私がそれなりに自分の信念を貫けているとしたら、
やはり師の唐十郎がそうしているからだと感謝しています…。

●shidarezakuraさん
「墓石に水をかけ線香の煙と香りに包まれている時
不思議な感覚でとても静かな気持ちになれました」…。
とてもよくわかるような気がします。
shidarezakuraさんと力石さんの邂逅が
あたりの気を変えてしまったのではないでしょうか。
いつか、shidarezakuraさんと力石さんの邂逅の場面から
始まる舞台を作りたくなりました…(笑)。
shidarezakuraさんの秋田行も、ビョンホンに導かれてでした。
ビョンホンも、その作品も、ある意味フィクションですが、
フィクションに導かれて自分の生活や現実がすこし
新しい方向へと開かれていく…。
なんだか凄いよなあと、いまひとりで感動しています…(笑)。
あ、私、全然カッコよくないです…(笑)。

●下等醜呆さん
私もどうも武田鉄矢はだめですねえ。
この映画に関して言うとあまりにも無神経というか傲慢というか、
なにかひどく勘違いをしているように思います。
山田監督、キャスティングはうまいと思うのですが、
なんで武田鉄矢を使ったのか私にはいまだにわかりません。
かれの役が面白かったら相当な傑作になっていたよなあ
と、残念無念です。
しかし「下等醜呆」さんとはおシャレですねえ。

ありがとうございました。

  

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    この記事へのコメント

    shidarezakura
    2010年11月21日 19:48
    鑑賞600本のお祝い申し上げます。
    3年弱で600本って、多いのではないのでしょうか?
    私には想像を絶する世界ですが…。

    この映画は誰でも観た、といってもいいほどのものでしたでしょう?私がスクリーンで観ているほどですから…(笑)。黄色いハンカチが棚引いているだろうとは想像できましたが、あんなに沢山のハンカチが棚引いているとは…ハンカチが見えたとき「わぁ~!」っておもったのを思い出しました。倍償千恵子さんとのシーン、凄く良かったです。

    11月に入ってから小学校から高校まで同じ学校の同窓生を亡くし、その後酷い風邪を引いたりして冴えない毎日です。

    後10日ほどで公演が始まりますね。
    稽古は順調に進んでいますか?
    どうぞ皆さんお元気で初日を迎えられますように!
    shidarezakura
    2010年12月08日 22:43
    公演お疲れさまでした。
    心身ともに優れない状態でしたが、公演を拝見して元気をいただいたような気がしています。日頃お世話になっているのにご挨拶もせず申し訳ありませんでした。はためくを棚引くなんてまたまたやってしまっている草野球のキャッチャーのような、緊張感のない顔をしているshidsarezakuraにはとてもとても…。

    舞台を拝見してから、ずっと考えていました。健さんはやくざ映画に休みなく出演し続けることに嫌気がさして独立したのですよね?山崎さんの評によると「まだいい」「許そう」この作品に至っては…ですよね?独立してから納得できる作品は撮れたのでしょうか?世間に広く認められ様々な賞を獲っていても…山崎さんの評価は違います。裕次郎さんや渡さんはどうなのでしょう?TVでは広く愛されていたようですが。裕次郎さんも映画へのこだわりがあったみたいな記憶があります。
    山崎さんの舞台を知る人は本当に限られています。とてももったいない気がします。でも素晴らしい舞台です。
    信念を貫くのは凄いエネルギーが必要ですね!

    今日やっと常円寺の石川力夫さんのお墓参りが出来ました。ピンクの風船しか調達出来なかったのでお花も供えました(笑)。墓守りに案内していただいたところ「映画で渡哲也が演じたらしい…」とご存知でした。
    実は公演前にタバコを吸っていらっしゃる山崎さんの横顔を、佐野史郎さんが演じた冬彦さんのように(笑)拝見していました。神々しく近寄りがたい雰囲気がおありで、石川さんと深作さんの狂気の世界をそこに感じました(映画も観ていないのに・笑)。
    shidarezakura
    2010年12月09日 08:35
    私のほうこそお墓参りさせて頂き感謝しています。墓地に「いい気」が流れていると言っていいのか分かりませんが、都心にあるのにあそこだけ特別な空間でした。墓石に水をかけ線香の煙と香りに包まれている時不思議な感覚でとても静かな気持ちになれました。
    ビョンホンさんにより自分が想像もしなかった行動を起こしているように山崎さんによっても、です(笑)。

    それと、すみません…私の文章の拙さからですが、ひとつ訂正させていただいても宜しいですか?誤用だと思いますが、私の中で冬彦さんのあの場面は「物陰からじっと見ている」という極めて単純な理解でした(笑)。私の文の流れだと山崎さんのように取られて当然です。
    私が人陰から「カッコイイなぁ~!」と思って山崎さんを拝見していたということなのです(笑)。
    下等醜呆
    2014年07月30日 12:02
    僕は昔から武田鉄矢が大嫌いです。だからこの映画を長い間、見ませんでした。しかし先日思い切って見ました。
    健さんがすごくいいです。桃井かおりもいい。もちろん倍賞千恵子もいい。
    しかし、武田鉄矢が出てくると全て台無しです。他の役者を使うべきでした。

    岡本茉利さんが出てるのは嬉しかったです。有名な声優さん。可愛らしかったです。

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