砂時計 1話__後 (1995)

[619]民主化を勝ち取るまでの韓国社会を描いた壮絶な叙事詩
★★★★★★

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じつは父親のせいだったんだよね。

「父親、パク・インスル、54年死亡」

テスのその履歴を見て、
試験官はテスを陸軍学校に入れなかった…。

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その夜、おかあさんは…、
キム・ヨンエは初めて父親の話をテスに聞かせる。

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  私はもう忘れてたのに、人様は覚えてるわね。
  偉いわ。

  父さんはパルチザンだったの。
  戦争が終わっても智異(チリ)山にこもって…、
  父さんはアカだったの。

  父さんは大学生、私は銀行で働いていた。

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  父さんが山に入って二度目の冬が過ぎたころ、
  討伐隊に捕まったと聞いた。

  父さんは刑務所にいたわ。

  翌年、釈放されて、それで終わりと思った。
  これで父さんと二人、幸せに暮らせると思ったのに…。

  妊娠に気づいたころ、
  警官がやってきて、父さんを連れて行った。
  それが最期に…。

  あなたの名前は父さんがつけた、息子と見越したように。

  智異山に遺灰を撒いたわ。
  人目を避けなきゃいけなくて、墓標も建てられず、
  墓参りもできない。

  探しても探しても同じような谷間が
  いくつも広がっているの…。

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智異山(チリさん)とは、
韓国南部の全羅南道・全羅北道・慶尚南道にまたがる、
小白山脈の南端に位置する山並の総称…。

「ウィキペディア」から拾ってきたのでクリックして見てみよう。
すごくきれいな山なみだよ。

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1952年5月25日…、
李承晩大統領は、共産ゲリラの掃討を名目に、
釜山と周辺地域23郡に非常戒厳令を布告。

翌26日、野党系の国会議員多数をスパイ容疑で連行。

俗に「釜山政治波動」と呼ばれる事件だが、
テスの父親も
その一連の波動の中で逮捕されたということだろうね。

私が詳しくなったのは、
イム・グォンテク監督の「太白山脈」を観てからなんだよ…(笑)。

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翌日、こうやって母は
ひとり、夫が眠るその智異山を訪れた…。

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おかあさん、大嘘つきだよね。

おとうさんのことは…、
夫のことは忘れてたなんて言ってたけど、
そんなことは絶対ありえないこと…。

国に処刑されたんだもの。

このおかあさんが遊郭をやっていたのも、
じつは亡き夫の意志を受け継いでのことだったとおもう。

貧しくて売られていく女の子たち。
溢れかえる戦争孤児たち…。
そういう女の子たちを食べさせていくために
遊郭をやっていた…。

まして当時、亡き夫を偲ばせるかのように
自由化、民主化を求める国民の動きが
はげしくなってたわけだし…。

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この物語が始まる1973年にも、
じつは韓国でものすごい事件が起きてる。
そう。あの金大中事件…!

朴軍事政権下で、
民主主義の回復を要求する民主党の金大中が
中央情報局に拉致されたと言われてる…。

あ、最初にざっと韓国の戦後史おさらいしておこうかな。
なんども言ってるように、時代背景がわからないと
この物語の持つ意味がわかりにくいから…。

1974年4月3日、民青学連事件。
1979年10月4日、国会が新民党総裁の金泳三を除名。
1979年10月26日、中央情報部長が朴正熙大統領を射殺。
1979年12月12日、全斗煥が軍事クーデターを起こす。

1980年5月18日、光州事件が起きる。
1988年2月25日、盧泰愚(民主正義党)が大統領に就任。
1993年2月25日、金泳三が第14代大統領に就任(文民政権誕生)。

ちなみにこのドラマは、
光州事件の隠されていた断面を初めて描いたらしいんだけど、
それができたのもじつは、
金泳三大統領が誕生したからだとも言われてる…。

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おかあさんは智異山を降りて、駅へ…。

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告白します、震えます(笑)。
こんなにきれいな女優さん、日本にもいなかったかも…。

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風の強い日で、マフラーが線路に飛ばされる。

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山でしたたかにお酒を飲んで足はフラフラ…。
にもかかわらず線路に降りてマフラーに手を…。

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そこへ列車が入ってくる。

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おかあさんは立ち上がって、その列車をじっと見つめたまま…。
どうして…?

猛煙を吐いて近づいてくる鋼鉄の塊は、
あの愛する夫を処刑した国家だから…。

そしてこんどまたも
息子テスの将来を跳ね飛ばしてしまった国家だから…。

だから今度はもう絶対に逃げない…。

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おかあさんが…、
私のキム・ヨンエが空に消えた…!

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母の遺体に縋りついて泣き叫ぶテス…。

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そしてこんどはテスが、
母の遺灰を父の眠る智異山に撒くことに…。

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付き添っているのはウソク…。

こうやってスチール貼るの大変だわ、
涙で霞んで見えないぜい…(笑)。

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母の葬儀をすませたあとテスは、
母が残してくれた進学用の積立金を家の貧しいウソクにあげ、
ヤクザの、あのソンボムのところへ…。

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で、3年後、すでに言ったように、
ソウルに行った際、こうやってウソクに再会する。

ここはウソクの下宿なんだけど、その最中、
同じ下宿人の女子学生ヘリン(コ・ヒョンジョン)が
ウソクの部屋を訪ねてくる…。

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この時、じつはお互い一目惚れするんだけど、
このヘリンとの出会いが、
テスやウソクの運命をまた大きく変えていくのよ。

はい、1話、終わり…(笑)。

全編見終えたあとにこうやって書いてると、
この1話にじつは、
このあとの話が全部埋め込まれてるのがよくわかる…。

そう言ってよければ、おかあさんの話で全部なんだよね。
うん、私のキム・ヨンエでもう全部…(笑)。

おかあさんと故おとうさんが辿った道を、
残された子どもたちが…、
テス、ウソク、そしてヘリンが新しく辿りなおしていく、
というお話なんだよね。

その意味でも、このおかあさんは物語の核になってる。
ヨンエぞっこんの私としてはくれぐれもそこを強調したい。
主張しておきたい…!(笑)

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しかし、いいねえ、ヨンエ…。
これはテスにおとうさんの話をしてあげるところなんだけど、
私は陶然としちゃう…。

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これはラスト、
駅のホームで入ってくる列車に目をやるところ…。

彼女、じつはほとんどこの1話にしか出てないんだけど、
最期までこの物語を…、私のたましいを支配してたなあ。

ああ…、会いたい…(笑)。

(註)このドラマは、ブログをお読みいただいているという方から
贈っていただいたものです。
じつは私もこっそり持っていたのですが…(笑)。
すいません。ほんとにありがとうございました!

■全24話 韓国ドラマ 
演出:キム・ジョンハク 
脚本:ソン・ジナ
キャスト
チェ・ミンス(パク・テス)
パク・サンウォン(カン・ウソク)
コ・ヒョンジョン(ユン・ヘリン)
イ・ジョンジェ(ペク・チェヒ)
パク・クニョン(ユン・ジェピル:ヘリン父)
チョン・ソンモ(イ・ジョンド:テスの仲間)
イ・スンヨン(シン・ヨンジン:記者)
キム・ヨンエ(テス母)
イ・ヒド(パク・ソンボム:テスの親分)
イム・デホ(チャン・イルト:テスの仲間)
イム・ヒョンシク(オ係長)
メン・サンフン(ウソクの同僚検事)
チョ・ミンス(チョン・ソニョン:下宿先の娘)
キム・ビョンギ(カン・ドンファン:ジェピルの部下)
ナム・ソンフン(チャン・ドシク:ジェピルの部下)
ソン・グムシク(チョン・インジェ:テスと敵対するやくざ)
ソン・ヒョンジュ(チョン・イニョン:インジェ弟)
キム・インムン(カン・マンソク:ウソク父)
キム・ウンソク(ユン・ヨンジェ:ヘリン兄)
ホン・ギョンイン(ウソク 高校時代)

第1話 「テスとイソク」
1976年春。
パク・テスとイ・ジョンドはイ・ソンボム率いる組の一員である。
イ・ソンボムはチャン・ドシクの仲介である政治家に会う。野党である新韓民主党の全党大会をつぶすため、イ・ソンボムの手を借りたいというのだ。政治の世界には関わらないという主義のイ・ソンボムだったが、仕方なくテスをはじめ手下たちを手配、暴力で全党大会をつぶすことに成功する。ジョンドはテスやソンボムと違い、秘かに政治に野心を抱いていた…。
1973年。
テスはカン・ウソクやイ・ジョンドのいる高校に転校してきた。テスの母は女手一つ、遊郭を経営しながら生活を支えていた。ケンカに強いテスだが、母を助けるためにも勉強して身を立てることを決意、学年トップのウソクに勉強を教えてくれるよう頼む。ウソクはテスの真剣な態度に心を動かされ、ふたりは親友同士になっていく。

1995年に韓国SBSにて放送された全24回のドラマ。
1970年代から1990年代までの激動の韓国現代史を、3人の主人公を通して描写している。特に1980年の光州民主化運動(=光州事件)を韓国のテレビドラマとして初めて扱った。プロデューサーはキム・ジョンハク、脚本はソン・ジナが担当した。この両名はそれ以前に『黎明の瞳』というドラマを作った社会派コンビとしても知られている。視聴率は、平均で45.3%を記録し、放映期間中は大変な話題を呼んだ。当時『砂時計』の放映時間になると人々がこれを見るために早く帰宅し、通りが閑散となるという現象を起こし、そのため砂時計をもじって「帰宅時計」と呼ばれることもあった。ドラマ中、光州事件の実際の映像が使用されている部分もある。これは金泳三政権下でしかできなかった韓国初公開であった映像である。日本国内では、2006年の4月から9月にかけて、地上デジタル放送局のBS朝日で放映された。

1980年代の韓国で実際に起きた民主化運動を背景に、政治界・経済界・裏社会が結びついた巨大な権力に対抗する凛々しい若き青年検事ウソク(パク・サンウォン)の挫折と勝利、時代に翻弄されながらも自分の生き方を貫こうとする暗黒街の青年テス(チェ・ミンス)とカジノ界の大物を父に持つヘリン(コ・ヒョンジョン)の禁断の愛、そしてヘリンのボディガードとして自分の命と代えても彼女を最後まで守り抜くジェヒ(イ・ジョンジェ)の純愛を描く。韓国ドラマの金字塔、「砂時計」を見る為に視聴者が帰宅を早めたことから別名「帰宅時計」と呼ばれ社会現象になったドラマ。別名は、「モレシゲ」。

●かずかずさん
「白夜」を観たあと、チェ・ミンスを観たくなって「砂時計」を…!
私もビョンホンからすっかり韓国映画に嵌まり、
韓国のこともずいぶん勉強させてもらいました。
といっても、まあ、映画で勉強って感じなのですが…(笑)。
しかし映画もドラマも観れば観るほど凄いなあと感心しきりです。
まさに「韓国ルネサンス」ここにありって感じですよね…。

ありがとうございました。

 

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この記事へのコメント

かずかず
2011年01月08日 20:48
わあっ 砂時計 ありがとうございます!
ビョンホンシの白夜を見てから チェミンスさんも見たくなり このDVD買いました。
地方在住の為ツタヤさんに 観たいDVDがないもので・・・
ぐいぐいひきつけられてみました。ビョンホンシから 
韓国という国にはいったもので、知らないことや悲しい事だらけで・・・これから山崎さんのお話が楽しみです。勉強させてもらいます。
ありがとうございました!

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