TSUNAMI -ツナミ- (2009)

[643]津波まで人間の喜怒哀楽の道具に変えてしまう韓国映画の逞しさ
★★★★★☆

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いつも貸出し中でなかなか観れなかった作品。
やっとこさレンタル…。

私の大好きなソル・ギョングが出てるから、
東日本大震災の前だったらもう喜び勇んで観たと思うんだけど、
今回ばかりはさすがにちょっと…、複雑な気分…。

原題は「海雲台(ヘウンデ)」。
地名…。
釜山中心街から見ると、
東のほうのリゾート海岸といっていいのかな?

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ここ、ハワイかよ、マイアミかよって感じだよね。

行ったこともないくせに釜山を偏愛してる私としては、
こら、釜山にこんなビーチ作っちゃいかん!
って言いたい感じもすっけど…(笑)。

日本の対馬沖で大地震が起きて、
津波が発生して、この海雲台(ヘウンデ)が…、
釜山の街と人々が飲み込まれるというパニック映画。

釜山を偏愛する私としては、
こら、釜山をそんなロクデナシ映画に巻き込んじゃいかん!
って言いたい気もすっけど…(笑)。

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国内では大ヒットしたらしくて、
その年(2009)の観客動員数第4位だったとか。

津波映画で思い出すのは、インドネシア津波を題材にした
ティム・ロス主演のドラマ「TSUNAMI 津波」(2006)

この映画も、
もし韓国を、あのインドネシア津波規模の津波が襲ったら…、
という想定で作られてるんだけどね。

ただ作り方は正反対かな?
ティム・ロスの「TSUNAMI」が、
津波に襲われたあとの海岸や街や、
被災者たち、救援者たちの様子をリアルに描こうとしてるとすれば、

こっちは、津波に襲われるまでの街の様子や、
登場人物たちの生活を描くことに大半を費やしてて、
で、最後にドカーンと津波がやってくる…。

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人間って、哀しいけど、
長く生きれば生きるほど「しがらみ」が生まれるよね。

過去のしがらみ、人とのしがらみ。
そう言ってよければ、「利害関係」。
心的な利害関係…、物的な利害関係…。

その利害関係を生きてる。生きざるをえない。
それが人間っていう、浅ましい、
そして浅ましいがゆえに可愛い動物って言うの?
それが人間ってやつだわさ…(笑)。

で、そのしがらみから逃れられることがあるとすれば、
人間のチカラではもう
どうすることもできない出来事に出会ったとき…、
事態に陥ったとき…。

言いかえると、生存の危機に、
存続の危機に晒されたときってことになるんだろうけど、
そうしたとき初めてそのしがらみから解放される。

人間がもともと持っている(?)イノセンス(無垢)が一挙に噴出してきて、
人間は互いに改めて出会う? 和解する?
あるいは、はじめて出会ったときの感動を取り戻す…?

この韓国版「TUNAMI」は、言ってみればそういう映画。
そういう意味で言えば、
パニック映画というより人間ドラマって言ったほうがいいかもね。

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そんなまわりくどい言い方をしなくて、
笑かして笑かして、最後はドンと泣かせる映画。
韓国映画の王道をいく映画…、と言えばいいんだけどさ。

もう少し言っとくと…、

しがらみに縛られている人間は、
多かれ少なかれ喜怒哀楽を味わざるをえないわけだけど、
その喜怒哀楽を徹底してドラマの骨格に据えてるのが韓国映画…、
韓国映画の主流ってことね…。

実際、この映画、観てると、
おかしくておかしくてもう笑い転げてしまうのね。
それも人間だけじゃなくて、もう津波まで笑えちゃう…?

特撮(古いなあ)が下手と言うことじゃなくて…、
まあ、うまいと言えないのも確かだけどさ(笑)、
すごく人間臭いんだよね、津波まで…。

で、笑って笑って笑ってるうちに、
ズルズルと哀楽に打ちのめされて鼻水ズルズルになっちゃう…?

幕の下ろし方がいくらなんでもノー天気過ぎないかい?
と思わなくもないけど、
ホント、満点をあげたくなっちゃうくらい面白い映画…。

例によって俳優たちがめちゃいいんだよね。

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いつも叫び、怒鳴りまくってる韓国の男、ソル・ギョング。
私のソル・ギョング、大好きソル・ギョング…!(笑)
うん。喜怒哀楽をやらせたら、かれの右に出るものはいない…。

今回は物語の事情があってややおとなしめだけど、
ホントは、ソル・ギョングが叫んで怒鳴りまくったら、
津波も「すいません」って絶対おとなしく引返したと私ゃ思う…(笑)。

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相手役のハ・ジウォン…。
いままで観た彼女の作品の中では文句なしに一番。
いいものを持ってたけど、やっと声が腹に落ちたね…。

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ソン・ジェホ…、「美しい彼女」のチョさん!

相変わらず抜群。ちょっとした敵役なんだけど、
仏心は自ずと全身に滲み出て、まあ、隠しようがないわな。

こういうおじいちゃんになりたいけど、なれそうもない私…。
ジェホさん、私の分まで任せた、頼むよ。

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例によってアホばっかりやってるキム・イングォン。
おい、ちょっと太りすぎだぞ、糖尿に気をつけろよ(笑)。

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パク・チュンフン。
存在自体がマジメなのか不真面目なのか、測りがたい男。
なあにが地震科学者だよ(笑)。いいなあ、大好き…!

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キム・ジヨン…、韓国映画を支える大ベテラン。
ソル・ギョングのおかあさん役でこのとき72、3歳?
ウソって言いたくなるくらい元気…。
出てくるだけで映画が厚くなるから、私ゃいつも万歳してるのよ…。

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オム・ジョンファ。
「今、愛する人と暮らしていますか?」でコケたけど、
この映画で生き返ったね(笑)。

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イ・ミンギ…、ソル・ギョングの弟役。
「おいしいマン」、めちゃよかったけど、
うん、こういうちょっとしたアホ役もほんといいわ。チカラあるよね。

話はちょっと遡り…、
3月3日、「悪魔を見た」を観て、
大久保の韓国料理屋さんに行ったとき、
ビョンホン・ファンのある方がこう仰ったんだよね。

「TUNAMI」を観たんだけど、
ビョンホンさん、ソル・ギョングのやった役できるかなあと、
ちょっと考えちゃったって…。

私はまだ未見だったんだけど、
できます、ビョンホンにできないことはない!
なんて言っちゃったんだけど、

ごめんなさい、できないかもしれないすね、こういう漁師役は(笑)。
やったとしても似合わない…?

そう言ってよければ、
ソル・ギョングやチェ・ミンシクは「労働者」はできるけど、
ビョンホンにはできない。
ビョンホンにできるのは「市民」(消費者)だけ、というのか…。

でも、それはしょうがないと思いますね、
人間には育った環境があるわけだから…。
むかしの言葉で言えば、餅は餅屋? 分相応…?

それでいいんだと思うんですけどね。

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で…、ソル・ギョング。
かれの魅力は文句なしに出てると思うんだけど、
でもよく考えると困っちゃうよね、いつまでもこんな役じゃ…。

漁師役はいいんだけど、
いつまでも未婚の青年役やってる場合じゃないと思うのよ(笑)。

実際、アップになると無理でちゃってるよね、
トシは隠せないというか…。

そういう意味で言うと、
「力道山」や「熱血男児」のほうが全然いいよね。

まあ、はやい話、
ソル・ギョングも、ビョンホンやミンシク同様、
けっこうきつい場所に立たされてるのかなってこと…?

韓国映画のドラマの骨格は喜怒哀楽を描くことにある
って言ったんだけど、
となると、どうしても若者や青年が主役になっちゃうよね。
喜怒哀楽の激しさは若者の特権みたいなところがあるから…。

トシをとるに従って
喜怒哀楽の波は少しずつゆるくなっていく。
しょうがないよね。
いろんな経験を積んでいくから、
多少ことには動じなくなってしまうものなんだよ。

と、どうしても待たれるのは、
イム・グォンテクやキム・ギドクみたいな監督の登場だよね。
ドラマの骨格に喜怒哀楽を置かないひと、
それではない、もっと違ったなにかで撮ろうとする監督…?

そういう監督が出てこないと、
ビョンホンやミンシク、ソル・ギョングらの世代を主役にした
いい映画はなかなか撮れないかもって思うんだよね。

まあ、いないことはないと思うけどさ。

「詩」を撮ってるイ・チャンドン。
「チャーミングガール」のイ・ユンギ。
「春が来れば」のリュ・ジャンハ。
「母の証明」のポン・ジュノら…。

でも少ないよね。
期待のホ・ジノやホン・サンスが近年はいまいちだし…。

私ゃさ、
いまの韓国の中年俳優…、
ビョンホン世代をちゃんと撮れたとき、
韓国映画ははじめて、

黄金時代のヨーロッパ映画や日本映画に比肩する
真の映画王国と言えるのだあ~!
なんて勝手に思ってるんだけどねえ…(哀願)。

■107分 韓国 パニック/ドラマ
監督: ユン・ジェギュン
製作: ユン・ジェギュン
製作総指揮: キャサリン・キム
脚本: ユン・ジェギュン
撮影: キム・ヨンホ
音楽: イ・ビョンウ
出演
ソル・ギョング マンシク
ハ・ジウォン ヨニ
パク・チュンフン キム・フィ
オム・ジョンファ ユジン
イ・ミンギ ヒョンシク
カン・イェウォン ヒミ
キム・イングォン

2004年,歴史上類例がない最大の死傷者を出して全世界に途方もない衝撃を抱かせたインドネシア津波。
当時,遠洋漁船に乗ってインド洋に出ていた海雲台(ヘウンデ)生え抜きのマンシクは,予期できない津波に巻き込まれ,たった一瞬の失敗で,彼が信じて頼っていたヨニの父を失ってしまう。この事故のために,彼は,ヨニが好きなのに自分の心を隠さなければならない。
そんなある日,マンシクは,永らく胸中に閉じ込めていた自分の心を伝える決心をして,ヨニのために素敵なプロポーズを準備する。
一方,国際海洋研究所の地質学者キム・フィ博士は,対馬と海雲台を囲んだ東海(日本海)の状況が,5年前に発生したインドネシア津波と似ているという途方もない事実を発見する。
博士は,大韓民国も津波に安全でないと数回強調するが,災難防災庁は,博士の警告にもかかわらず,地質学的,統計的に津波が韓半島を襲う確率はないと断言する。
その瞬間にも海の状況は時々刻々変わっていき,ついにキム・フィ博士の主張どおり,日本の対馬が沈下して超大型津波が生成される。
夏の暑さを冷ましている数百万の休暇シーズンの人波と,平和な日常を送っているプサン(釜山)市民たち。そして今まさにお互いの心を確認したマンシクとヨニに向かって,超大型津波が時速800キロの速さで押し出されてくる。
最も幸せな瞬間に差しせまってきた途方もない試練。残された時間は,たった10分間。彼らは,最も大切なものを守らなければならない。


●スクリーンさん
いやあ、ホント面白かったです。ハ・ジウォンいいですねえ。
私は地震が起きてから観たのですが、地震の前に観ていたひとは、
みなさん、この映画の津波のシーンをすぐに思い出したんじゃ
ないですかねえ…。
映画の中の津波は100mになっていますが、
今回津波に見舞われた方には、まさにこの映画の津波の感じ
だったんじゃないかと思いますよね。
ビョンホンの漁師役、こだわってますねえ、スクリーンさん(笑)。
できないことないけど、無理してやんなくても…(笑)。
ソル・ギョングはビョンホンの領分やれないんだし…。
しかし「IRIS」のサウ役、ギョングにやらせたかったです。
ボョンホンVSギョング!
もしかするとソヨンもすこし霞んでしまったかもしれませんね。
私を韓国映画に巻き込んだひとりはスクリーンさんなのに、
そのスクリーンさんがいまはドラマのほうへ…?
私を置いてかないでくださいな(笑)。

ありがとうございました。

  

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この記事へのコメント

スクリーン
2011年04月28日 00:42
哲さん 
ソル・ギョング (マンシク)
ハ・ジウォン (ヨニ) いいでしょう。
ドラマ・ファンジニなど鮮やかな衣装も着こなし、芸達者(踊りに、楽器)や時代劇ドラマの あのアクションを見事にこなす、彼女。本作品はそんな派手さはないけど、いいんだな。早速 ご覧頂き、コメントありがとうございます。

昨年劇場で見たときは、大勢の日本人があの釜山映画祭に訪れる 釜山の町並みが、一瞬にして飲み込まれるシーンをみて、驚きと恐怖を感じました。

ご紹介した8日後に日本も。。
想像もしませんでした。自然の脅威。。
映画をみるという娯楽までにはまだ程遠いかも知れませんが、一日も早い復興と映画を楽しめる環境になるといいなと思います。

ビョンホンさん 漁師役 無理ですか^^
アイリスでは 少しそんなシーンも有りましたが、仮の姿ですものね。

【ドラマ 風の息子】 労働者役に少し近い物があるかな。もうご覧になりましたっけ?

イ・ミンギ…、ソル・ギョングの弟役。
彼も良いですよね。上手い。ドラマにも結構出てます。主役は無いけど、みんな インパクトあります。

最近ドラマ中心にみてて、映画DVDあまり観てません。哲さんの紹介 見直し、何か探して観よう。
(^^)

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