グッバイ、マザー (2009)

[644]親を看取り、子に看取られながら死にいく人間の宿命を描いた名作
★★★★★★

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「アスファルト、我が故郷」で
私がメロメロになってしまったキム・ヨンエの
女優復帰第1作…!

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「アスファルト」のキム・ヨンエ

タイトルから想像できるように、
母と娘の物語なんだけどさ、めちゃくちゃ面白かったよ。

久しぶりに韓国映画を堪能したって感じ。
いやあ、嬉しいねえ…!

まだ観てないひとがいるかもしれないので、
あまり詳しく紹介しないほうがいいのかな…?

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キム・ヨンエ…、
役名ヨンヒ、59歳、獣医、息子・娘との三人家族。
59歳の設定は彼女の実年齢と同じかな…?

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娘のエジャ…、高3。
「プサン(釜山)のトルストイ」と呼ばれる、じゃじゃ馬娘(笑)。

釜山に名をとどろかすほどの文才の持ち主なんだけど、
ウソだろう、おまえ、バッタ部だろうって言いたくなるような子…。

え、バッタ部…? 私も知らない。
こいつ、手足どころか体中、
いつもバッタみたいにバタバタさせてるもんだからさ…(笑)。

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息子のミンソク…、大学生。
ヨンヒは、将来のことを考えてミンソクを留学させる。

この子、じつは足が悪いの。
身体的ハンディを背負っているから心配なんだよね。
責任も感じてる…。

観てるうちに回想が入ってきて少しずつわかるんだけど、
この二人の子どもがまだ幼いころ、
家族四人で車で旅行(?)に出かけてのね、ヨンヒが車を運転して…。

で、ちょっとした不注意で事故を起こして、
助手席に乗っていた夫は死亡し、息子も足を…。
その責任を感じてミンソクの将来を人一倍案じてる…?

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ヨンヒ、娘の進学のことで担任に呼び出されるの図…(笑)。

大学に進学するのは無理ですね。
え? 成績は学年でいいほうのはずですが…?
出席日数が足りません。
は? 毎日、お弁当を持って家を出てますが…?
雨の日は休んでいます。
あんた、どこ行っちょるべ?
雨の日は、海辺に詩想を練りに…。

おいおいおい、その顔、詩想を練る顔かよ(笑)。

エジャを演っているのは、
「甘く、殺伐とした恋人」をやったチェ・ガンヒなんだけど、
彼女がまためちゃくちゃいいのよ。

ここまではイントロなんだけど、
彼女、ほんとに女子高生くらいに見えちゃうのよ。
無理がないのよ、スムーズなのよ。

韓国の俳優、高校生を演じること多いけどさ、
こんなに無理なく見える俳優もちょっと珍しいよねえ。
すごい…!

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10年後…、エジャ。どう…?
じゃじゃ馬っぷりは相変わらず全身から漂ってるけど、
いい女になってない? 押し倒したくなるような色気ない?
ごめん、過激しちゃって…(笑)。

初志貫徹、小説家になろうとソウルに出て、
出版社で覆面ライター(?)みたいなバイトしてるの。
おまえ、女・大藪春彦してるのかよ、なんて言いたくならない…?(笑)

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工場をやってる兄ミンソクが結婚する。
式中、突然、エジャの書いたお祝いの垂れ幕が…。
「ミンソクのチンチンは100万ドル!」だって…(笑)。
うん、私ゃここで初めてエジャの文才を認めたね(笑)。

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小説家なんて食えないわよ、
やめて帰ってらっしゃい、結婚しなさい…!

私もおやじに同じこと言われたなあ。
おやじの言う通りだったぜ、エジャ。
おふくろさんの言うこと聞きなよ…(笑)。

しかしエジャは、
「兄貴ばっかりいい思いをさせて」と
母親ヨンヒに言いたいことを言い、
さっさとひとりソウルへ帰ってしまうの図…(笑)。

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ところがある夜、突然、ヨンヒから電話が…。
エジャが出ると、電話の向こうからヨンヒの呻き声が…。

ここから物語は急展開…。

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ヨンヒ、ガンが再発して入院しちゃうんだよね。

が、ヨンヒは抗がん剤を拒否、
手術を受けられるほどの体力もない…。

エジャは、ヨンヒの面倒は
一番恩恵をこうむってきた兄貴が看るべきだと思うが、
工場が大変なんだと頭を抱えてる。

あたしだって、
やっと応募した作品が賞をもらえるかと思ったら、
過去に発表したことのある作品だからダメだって言われて
もうヤケクソなんだから…。

ああっ、考えても、クダグダ言ってもしょうがないわ。
病院置いといても打つ手がないんなら、
退院させてあたしが世話するわよ!

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と、ほとんど発狂寸前になりながらも、
結局、退院させてめでたくエジャが介護することになった…(笑)。

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ちなみに主治医の役をやっているのは、
「イ・ジェスの乱」でデビューしたチェ・イルファ。

相変わらずいい味だしてるよね。
そこにいるだけで様になるんだよね…。

だもんだから、この映画観てる途中、私ゃふと思ったのよ。
80年代から90年代にかけて、
日本は「ポスト・モダン」で大騒ぎだったけど、
あれはいったい何だったのよって…。

え、意味わかんない?
ごめん、私も説明するの面倒臭くて…(笑)。

たださ、「ポスト・モダン」騒動は空騒ぎだったよなあ。
バブルだったよなあ。

経済だけじゃなくて、文化もバブル化して、
あれで日本は
経済はおろか文化も訳わかんなくなったんだなあって、
韓国映画を観てるとつくづく思っちゃうってことなのよ…(泣)。

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退院したヨンヒが娘エジャと向かったのは、まず祖母の家。
といっても、お寺…。
ヨンヒは幼くして母親を亡くし、このおばあちゃん=住職に育てられたの。
私の言う「孤児社会」がここでも背景に…。

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ここはおばさんち(家)…。
ヨンエの気がかりはただひとつ、
このロクデナシのじゃじゃ馬娘エジャが果たして無事に
嫁にいけるかどうかってこと。

それを見届けるまでは死ぬに死ねない…?
そこで叔母さんといろいろ相談しながら探してきた見合い相手が…。

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ジャン…! 
お金はあるらしいんだけど、この亀さん。
いいなあ、おいら、好き、この顔。
おいらが結婚するわけじゃないしよ…(笑)。

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ところが見て、お見合い最中のエジャのこの顔…(笑)。
で、自称歌人の亀さんに返歌を迫られてエジャが返した歌は…、
「もしもし 亀よ 亀さんよ」…、じゃなかった。

「カメよ カメよ 頭を出せ
引っ込めてると 焼いて食うぞ」…、似たようなもんだわ(笑)。

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この男…?
じつはエジャが以前から付き合ってるテレビ局のプロデューサー。
亀さんよりこっちの方がいいかなあと、
ヨンヒに紹介するんだよね。

なんでビビッてるのか?
ヨンヒにギュッてオチンチン握られたから…(笑)。
そう、この娘にしてこの母ありなんだよね、じつは(笑)。

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おかあさんおかあさん、鼻の下長くしないで。
おかあさんが結婚するわけじゃないんだからさ…(笑)。

でも、こいつ、浮気性なものだから、
結局別れて、上の亀さんと結婚しちゃうんだけどね(笑)。

…みたいに、
ヨンヒ、小康状態を保ってるかのように見えたんだけど、

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獣医会に出席した会場で突然倒れた…!

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そして再び病院に担ぎ込まれ…。

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主治医に、
手術をしないと余命幾ばくもないと知らされる。

このあたりがちょうど物語の真ん中あたりで、
ネタバレになるけど、
死ぬまでの母と娘の同行が描かれていくんだよね。

それがいいのよ、めちゃくちゃいいの。
ゆっくりと死に向かう母親と、それを介護し、看取っていく娘…。

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かたちはそれこそひと様々だけど、
人間はいずれにしろ親を看取り、
そして子に看取られ死んでいくわけだよね。

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そのひとつのかたちを
キム・ヨンエとチェ・ガンヒがじつに見事に演じてみせてるのよ。

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人間が永遠に繰り返してきた場面…。

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これからも繰り返していく場面…。

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人間にとって不可避の場面…。

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不可避であるが故に、
人間という存在がもっとも鋭く表れる場面…。

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そしてそういう場面を…、
物語を演じるのにより適しているのは、
残念ながら男じゃなくて女性なんだよね。

女性…、女性たち…。
言うまでもなく、産む性だから…、生死を司る性だから…。

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そのことをこの映画はみごとに証明してる…?

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母と息子ではここまで哀切にはならないとおもう。

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父と娘でも…。

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母と娘だからなんだよね。
生と死を司ることがどういうことなのか、
からだそのものが深く知っている性だから…。

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ここで描かれてる「母-息子」「母-娘」の関係を見てると、
ほんと、よくわかるよね。

この「母-娘」の関係には、
どうあがいても息子は…、男は入っていけない。

そう言ってよければ、
ヨンヒとエジャはほとんど一体化してるから。
共生してるから。
産む性を持つもの同士として繋がっているから…。

この映画、本国韓国で200万人動員したらしいのね。
えっ? って思うよね。
だってチェ・ガンヒとキム・ヨンエの映画と言っていいくらいなのよ。
女優二人だけの映画…。

しかもヨンエは60歳近いのだし、
チェ・ガンヒだって別に若い世代に人気ある俳優じゃないでしょう。
内容だって地味だし…。

それで200万人も動員したってのは
やっぱり作品そのものを面白いと思ったんだと思うのよ、みんな。

で、その面白さって言うのは、いま言ってきたようなことを、
キム・ヨンエとチェ・ガンヒがみごとに演じてみせたからだと思うよ。
うん、それ以外に考えられん…!(喜)

見終わったあと、もしかして監督、女性かなと思って調べたら、
意外や意外、男だったわ。
偉い…! 偉い偉い偉い偉い偉いっ…!

ここまで女性たちを描いてみせた男の監督、いたかなあ、
韓国の監督の中で…。
男と女を描ける監督はけっこういると思うけど…。

しかもこの監督、この作品が初メガホン…?

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物語の作り方は韓国映画の中では珍しくしっかりしてるし、
映像も奇をてらわず、基本に忠実だし、
いやあ、1本にして、私の最注目株です…!

しかし、いいねえ、キム・ヨンエ、ほんと痺れる。
チェ・ガンヒも最高…。

これを観ないと人生損します。
いますぐレンタル屋へ走ろう…!(笑)

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■110分 韓国 ドラマ
監督: チョン・ギフン
脚本: チョン・ギフン
撮影: パク・ヨンス
音楽: キム・ジュンソク チョン・セリン
出演
チェ・ガンヒ
キム・ヨンエ
ペ・スビン
チェ・イルファ
チャン・ヨンナム

世の中に怖いものなどない大韓民国代表の青春末期29歳パク・エジャと、海兵隊でも捕えられないエジャを捕えることができる唯一の人物、人生の季節はずれ物59歳チェ・ヨンヒの二人が主人公。
高校時代に「プサン(釜山)のトルストイ」として名を馳せたパク・エジャは、小説家の夢を抱いてソウルへ上京したが、地方新聞の当選経歴と、浮気者の恋人、山のような借金だらけの29歳として一日一日を送っている。
息詰まる状況でも負けん気だけは失くさない彼女の唯一無二の敵手は、まさに母のヨンヒ。目があえば、「小説書いてパンツ一枚でも買ったのか」といびる母に会心の一撃を準備していたエジャは、兄の結婚式で想像超越のイベントを繰り広げ、結婚式は血なまぐさい場所になる。
痛快な復讐を終えて鼻歌を歌いながら帰宅した彼女に、ヨンヒが倒れたという連絡がくる。そして病院に走って行った彼女に、さらに驚く便りが待っていた。
想像もできない母との離別通知。いる時は煩わしく、いない時は恋しい。果たして、彼女が母なしで生きられるのか。

 

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