うさぎとリザード (2009)__前

[693]韓国映画近年稀に見る傑作! 大切なひとの記憶はモノに結びつく
★★★★★★

画像


2009年製作の作品。
韓国内での観客動員数は、なんとわずか8,000人!
うん、そんなものかもしんない…(笑)。

でも私は断言するが、
ここ2、3年の韓国映画の中では間違いなくベスト3に入る傑作。
珠玉の名作…!

同時代を生きているひとは名作を見逃す、
なぜか評価しない、という典型的なパターンだね(笑)。

画像

ある日、仁川空港にひとりの女の子が降り立った。

画像

通称メイ、27歳、ニューヨーク在住。
彼女は言う。

 ニューヨークから仁川空港までの正確な飛行時間は、
 16時間12分36秒。
 でも私には23年もかかった。

いきなり名セリフだよね(笑)。
物語の大枠がこれでいっぺんにわかるんだもん。

彼女の韓国名は、イ・ウォンソン。
3歳のときにアメリカへ養子にやられ、23年ぶりに帰国したのね。
もちろん(?)両親を探しに…。

画像

メイは、タクシー乗り場でひとりの韓国人青年に出会った。

画像

彼の名はウンソル、30歳前後、タクシー運転手。

じつはウンソル、乗客を待っていると、持病の心臓発作が起きて、
苦痛のあまり、偶然通りかかったメイの手を掴んで
助けを求めたのね…。

心臓の病気は、時どき鼓動が止まるという「奇病」で、
医師から、いつ死んでもおかしくないと宣告されてる。

画像

メイは発作の治まったウンソルのタクシーに乗り、
ソウル市城北洞へ向かう。

画像

紙切れに書いた住所を頼りに、路地と坂道を歩き、家を訪ねた。
ここまでですでに韓国らしい、
すばらしい風景をいっぱい観れちゃうよ(喜)。

画像

見知らぬ女の突然の来訪に、家の女は驚いた。
3歳のとき、アメリカへ養子に出した「弟の娘」だったのだ。

メイが両親の所在を訪ねると、女は言った。
「おまえが3歳のとき事故で死んだ。
高速道路で起きた大きな事故だった」。

そして謝った、
「おまえを養子に出して後悔した。
捜すべきかどうか迷った。すまない」と…。

画像

「私の傷のことは…」と言いかけて、メイは止めた。

はっきり語っているわけじゃないんだけど、
彼女の背中には傷があるみたいなのね、
それもリザード(とかげ)の形をした、大きな…?

帰国したのは
その原因を知りたかったからでもあるんだけど、
すでに両親がこの世にいないことがわかって、
はや道は閉ざされた…?

画像

ウンソルは同級生の葬儀に行った。

画像

会ったダチ公が言った。
あいつ、会社のカネ使いこんで、首になって、自殺しやがった。
おまえもあの大バカヤローみたいな真似すんなよ…。

「真似するな」は私の作り事=言(笑)。
ダチ公役は私の大好きなキム・テヒョン。
2シーンだけの特別出演(?)みたいなんだけど、さすがだね、
心も体もふくよかなやつはものが違うわ…(笑)。

画像

メイは叔母の家にいても落ち着かず、家を出た。
雪の夜をベンチで明かし、翌日、ウンソルのタクシーを呼んだ。
夕べ、偶然、ウンソルの財布を拾ったからだ。

画像

ウンソルはメイを自分の知っているホテルへ案内した。
子供のころから押入れを住処にしてきたメイは
押入れで寝てみた。
それでも眠れない…。

画像

ウンソルは、夜、自分の部屋の窓から、
向かいのホテルの明かりのついた部屋を一生懸命覗き見した。
なんのことはない、メイを案内したホテルは、
きゃつのアパートの向かいにあるホテルだったわけね…(笑)。

画像

それから自分の部屋を片付けて、要らないものは火にくべた。
いつ死んでもいいようにと…。

画像

翌日は、例のダチ公と一緒に、
漢江の橋の欄干に座ってメシを食った。

画像

へんなヤロウだとテヒョンはばかにしたが、
思い残すことがないようにと、オレは、
これだけはこいつと早目にやっておきたかったのだ…(笑)。

ここに書いていることはほとんど私の勝手な解釈(笑)。
そう間違ってないと思うけど、
実際は、この作品、余計なことは一切説明していない。
見事…。

画像

それからメイをホテルへ迎えに行き、
強引にタクシーに乗せ、勝手にソウル案内をはじめる。

メイは思った。
お節介なヤロウだ、もしかしてストーカー…?(笑)
で、降ろして、ホテルに帰って、と言う。

そこへ介護センター(?)からウンソルに電話が。
おばあちゃんが施設を抜け出したというのだ。

画像

おばあちゃんは案の定バス停にいた…。

かれはずっとこのおばあちゃんと二人で暮らしてきた。
でもボケてもうウンソルのこともわからない。

ウンソルがどこへ行くのかと聞くと、
急いで家に戻って、「息子と嫁を止めなくちゃ…」と言う。
ウンソルはいい加減にしてくれとすこし怒った、
「二人とも死んだんだ」と…。

施設に連れ戻すと、看護士が言った。
おばあちゃんは最近、家に帰らなきゃとよく言うようになった、
「1985年5月」がどうだとかも…、
「1985年5月」になにが意味があるのか、と。

ウンソルは「別に…」とコトバを濁した。

これらは伏線、最後にわかるよ。

画像

そのあと、メイをホテルへ送った。
途中、ウンソルは心の中で「ばあちゃん…」と別れを告げる。
「おれは病気だ。まだ生きていたい。奇跡ってあるかなあ」と…。

ウンソルをやってるのは、お馴染みのチャン・ヒョク。
かれ、傑作「トイレ、どこですか?」にも出てたけど、
このあたり、微妙に「トイレ…」を思い出せるんだよね。

画像

ホテルへ着くと、メイを微妙に酒に誘う(笑)。
で、のたまう。
「焼酎はストローで飲むに限る。
酔いがはやくまわって安上がりだ」と…(笑)。

画像

ウンソルはこの席で初めて知る、
メイはアメリカへ養子に出され、両親を捜しにソウルへきたのだ、と。

だったら…、と言う。
捜すのを手伝ってやる。その代わり、おまえも手伝ってくれ。
オレは「赤いうさぎ」を捜してるんだ。
以前、見たことがある、どこだか憶えてないが…、と。

メイがどうして捜してるのかと聞くと、
「見つけたらいのちが延びるような気がするんだ」と答える。
メイはボソッと英語で言う、「こいつ、アホかと」…(笑)。

画像

うさぎの話をしたときウンソルの脳裏をよぎった映像(回想)。
スナップショットがブレてるんだけど、
コレ、「赤いうさぎ」じゃなくて、「リザード」(おもちゃ)だね?

仕掛けてくるのよ~、この監督、ちょっとずつなんだけど(笑)。

さりげない、些細なコトバ、映像…、
全部パズルみたいにムダなく、ソツなく、
そしてなんの嫌味なく、ピタッと嵌めて物語を作ってるの。

この作品が処女作みたいなんだけどさ、
すごいよ、この監督、天才だよ…(笑)。

画像

焼酎ストロー飲みして、安上がりで酔って、
千鳥足でホテルのほうへ帰っていく二人…。

この一連のシーン、なんでもない、たわいないシーンなんだけどさ、
めちゃくちゃいいんだよねえ!

二人とも、ホントはめちゃくちゃ大変な人生。
でも、そんなものは見せない、弱音もはかない。
フツウに飲んで、フツウに酔って、フツウに千鳥足…(笑)。
観てるだけでなんか涙零れちゃったぜ…(笑)。

画像

紹介が遅れたけど、ルイをやっている女優はソン・ユリ。
わたし、初めて。
と思ったら、「私の男のロマンス」にちょっと出てたんだね。
憶えてないよ…。

解散した女性ボーカルグループ<ピンクル(Fin.K.L)>のメンバー。
テレビドラマが多くて、映画はこれが3本目。
初主演かもね。

わたし、ベタ惚れ! 
まあ、すぐ惚れる性質であることは否定せんが…(笑)。

全編、ほとんど表情変えない。
そう言ってよければ、ほとんど能面。
いいかえると、「モノ」って感じ…。

「モノ」の状態だから、もうめちゃくちゃ存在感があるのよ。
すごい! 天才…!(笑)
テヒョン、頼むから大事にしてあげてね(笑)。

あ、ちなみにこの写真、ボケてるのは私のせいじゃないよ。
監督とカメラマンの意図。
望遠レンズを生かして、時々、意図的にこうやって
映像のボケを作ってみせてるの。生かしてる…?

構図、色彩、光量、そして望遠の生かし方と、
とにかくカメラ(映像)がこれまためちゃくちゃ素晴らしいのよ!

私ゃ早くも大拍手…!(笑)

画像

翌日、ウンソルが起きてホテルのメイに声をかけると、
彼女はもうホテルを引き払っていた。

ウンソルはタクシーの仕事へ…。

ウンソルがソウルの街中を
タクシー流して仕事をするシーンなんだけど、
この一連のシーンがまた痺れるなあ。

画像

ウンソル目線のソウル…、街…、人々…。
ここは「タクシードライバー」を思い出したなあ。
いや、監督、相当入れ込んで観たんだと思うよ、
「タクシードライバー」。

こうやって、ほかの映画と繋がると、めちゃ嬉しいよね。
だめよ、オリジナルティーなんて言ってるひとは(笑)。
そんなもん、ありゃしねえよ。
あったって、そんなもん、鼻くそだぜ…(笑)。

いちばん大事なことは「ほか」と繋がることなんだって…。

画像

見てよ、この表情!
おまえ、チャン・ヒョク? ほんと、チャン・ヒョク!?
って、なんども私ゃ瞼を拭ったよ、濡れてる自分の瞼を…(笑)。

こんなに重心の低い、カッコいいヒョク、初めてだったもん。
ヒョク、おまえ、ツメ隠してたんだなあ。
天才だよ、おまえも…!

子供のころに両親と死別、以来おばあちゃんと二人暮らし。
そのおばあちゃんはもう自分の顔さえ忘れてる。
自分の命も長くない…。

そういうウンソルの心を…、誰も知らないその心を、
この絵(写真)1個で見事に表現してみせてるんだよね。

画像

そのころメイは食堂で働いている叔母を尋ねて聞いた、
あたしの両親はどんなひとだったか、と…。

叔母は言った。
お父さんはイェソ駅で働いていた、おまえも(あの駅に)住んでたんだ、
兄さんたちはあの町が好きだった、だから遺灰もあそこに、と…。

メイは立ち去ろうとして、振り返り、聞いた。

画像

叔母さん…、
なぜアメリカに(養子に出したの)…? 
この国でもよかったでしょ?
どうして思ったの、そのほう(アメリカのほう)が幸せだって…。
なんで決めたのよ…、勝手に…、と。

画像

ひとは誰もがそうなのだが、
自分の出生と育ちに、自分の意志を関与させることができない。

自分の性も、名も、親も、民族も、時代も、
自分の意志で選んだわけではない。
自分の意志で生まれてきたわけではない。

親が勝手に自分を生んだのだ、
この時代に、この国に、この姿形に…。

しかし、そのままではひとは生きていけない。
自分が望んだから自分は生まれたのだ、
この時代に、この国に、この姿形に、この親のもとに…、
と思えるようにならない限り、生きてはいけないのだ。

自分で、自分の出生や育ちを…、
つまりは自分の人生の物語を造り、書いていかなければ
生きていけない…。

それを自立というなら、
27歳のメイはいま、その自立の獲得の最中にあるのだ。

言いかえると…、
自分は、いまの自分を、自分として引き受けていけるのかどうか。

その怨み言をメイは叔母にぶつけたのだ、
死んだ両親の代わりに、両親代わりの叔母に。
叔母のせいではないとわかってはいるのだが、
叔母にぶつけるほかはない…。

<中>に続く


■102分 韓国 ドラマ/ロマンス
監督:チュ・ジホン
製作:イム・ジムン
脚本:チュ・ジホン
撮影:キム・ヒョンソン
出演
チャン・ヒョク ウンソル
ソン・ユリ メイ
カン・サン
チャ・テヒョン

実母を探して韓国に来た入養児の女と,いつ死ぬかも知れない珍しい心臓病で日々この世の最後を準備する男が偶然に出会い,一緒に同行して繰り広げる胸が痛む傷と愛を描いたヒューマンメロードラマ。
幼い時に自分を捨てた実の母を探すために,そして,自分の過去を探すために単独でソウルにやって来た入養児のメイは,空港のタクシー停留場で,珍しい心臓病ミンヒジェスティン症候群で苦しむタクシー運転手ウンソルに会う。
ウンソルのタクシーに乗って,養子縁組記録に書かれている住所を訪ねて行くメイ。しかし,叔母が彼女を迎え,両親は,幼いときに事故で亡くなったという事実を知る。
虚しく寂しい心で,ホテルに行くためのバス停留場を探したメイは,偶然にごみ箱のそばでウンソルの財布を発見する。
治療薬がない不治の病で,心臓が2,3秒停止する珍しい心臓病を抱えているウンソルは,毎日タクシーを走らせながら,便りが絶えた同窓生たちに電話して安否を尋ね,自分の物を整理して写真を焼きながら,この世の最後を準備している。
メイの呼び出しでバス停留場を訪ねたウンソルは,財布を返してもらい,近いホテルへ連れてってという彼女の言葉に,自分の家の前のモーテルで彼女を降ろしてあげる。
ウンソルは,その日から向いの彼女の部屋を自分も気づかないうちに度々ながめている自分を発見する。

 

TVショッピング大人気商品!立花みどり開発!姿勢ウォーカー
ぽっこりお腹解消を目指すなら

ブログランキング・にほんブログ村へ  ブログん家

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック