天安門 恋人たち (2006)

[695]天安門事件を背景に描かれた恋人たちの美しくも哀しい物語
★★★★★★

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いまなお本国の中国では上映が禁止されている作品。

理由は、「音声と映像が非常に不鮮明」なため。
たしかにめちゃ悪い…(笑)。
が、実はあの64天安門事件(1989)の描写があるのと、
セックス描写が過激すぎるため…?

そのシーンを観るだけでも必見の価値ありってこと…(笑)。

わたしは2度目。
レンタル屋さんの棚を眺めていたら、
たまたま「ノーカット版」って書いてあったんだよね。

で、あれ? オレ観たの、ノーカット版だったのかなあ、
どっちだったのかなあと思って…(笑)。
というのは冗談で、私の大好きな映画だから…。

あ、先に断っておくけど、
そんなに過激なセックスシーンを期待してもだめだよ(笑)。

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右が主人公のユー・ホン。
中国の東北部、北朝鮮との国境近くに住んでいる女子高生。
父との二人暮らし…。

北京の大学(北清大学)を受験し、合格する。
と、恋人のシャオ・チュン(左)と初めて一夜をともにし、
つまり処女を捧げ、北京へ発つ。

なんかわかる、彼女の儀式のすませ方…(笑)。

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北清大学…、北京大学を念頭に置いた架空の大学なのかな?
調べたことがないのでわからない…。

時は1987年…、
想像以上に自由化されているような気がした。

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ちなみにこれは学生たちのパーティーの場面。
わたしの学生時代と雰囲気がよく似てる。
こんなもんだったよ、1960年代後半の日本も…(笑)。

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寮で一緒になったリー・ティ(右)。
といっても部屋は別なのだが、友だちになる。

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ユー・ホンはノートに綴る。

 平凡な日常は私には耐えられない
 楽しいだけでは割り切れない
 刺激的な日常を求める…

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リー・ティにはローグーという恋人がいて、
ユー・ホンは、彼からチョウ・ウェイという彼の友人を紹介され、
一瞬にして恋に落ちる。
チョウ・ウェイこそ、私が待ち望んだ男だと思う…。

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ユー・ホンとチョウ・ウェイは激しく愛しあう。
求めあう…。

ユー・ホンをやっているのはハオ・レイという女優。
姿形を見てもわかるけど、特別きれいというわけではない。
全裸になっても同じ…(ゴメン)。

言いかえると、どこにでもいそうな女の子。
リー・ティ、ローグー、チョウ・ウェイも同じ…。

監督のロウ・イエは、
この恋人たちの青春と青年の時代を
徹底してヌーベルバーグ的な手法で描いていく。
あるいは、徹底的に「極私的」な物語=映画として…。

写真だけではわかりにくいかもしれないが、
8ミリカメラを手に、4人の生きる姿を、
余計な説明など一切しないでただ写し取っていく感じ…?

だから通常の映画みたいにわかりやすくはない。
レビューもしづらい(笑)。

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画質や音声がきわめて不鮮明なのも、たぶんそのせい。
意図的。

不鮮明にすることで、この物語=映画は極私的なものにしよう
としているのだ。
あるいは「反映画」的なものに…。

ちなみに、紹介してる写真がかなり鮮明になっているのは、
私が苦労してスナップショットを加工したり(笑)、
宣伝用のスチール写真だったりしてるからなんだよ。

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天安門事件の1コマ。
自由を渇望する若者たちがデモをやっている。
さすが中国、われわれの時と人数の規模が違う…(笑)。

映画は、基本的には先の4人の若者たちの生と、
中国のこの時の時代の激動とが折り重ねられている。

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若者たちの、政府側からすると、「反国家的」な行動…。

監督ロウ・イエが、この映画を徹底的に極私的な映画として、
あるいは反映画(ヌーベルバーグ)として撮っているのも、
じつはそのせいだ。

極私的であること、反映画的であることによって、
反国家的であろうとしているからだ。

もちろん、中国映画初といわれている、
オールヌードによる過激なセックス描写を盛り込んでいるのも、
そのせいである(笑)。

人間の自由と放恣にたいする欲望を
管理しようとする政治にたいして、
「性」こそが真に逆立するからだ。

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その意味では、監督ロウ・イエも言っているように、
この映画は天安門事件を描こうとしてるわけではない。
ユー・ホンのチョウ・ウェイとの恋愛や、
性遍歴を描こうとしているのである。

彼女の、自分でもコントロールしきれない
愛や性の放恣を描こうとしているのである。

が、政治を牛耳る中国政府の官僚たちもバカではない。
そうすることで、実はこの映画は
あの64天安門事件が何であったかを描いていると見抜き、
作品は上映禁止、
ロウ・イエは5年間の映画製作の禁止と処罰した。

というのが事の真相だろう…(笑)。

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これは私がこの映画の中でもひときわ心を惹かれるシーン。
ユー・ホンら「天安門の恋人たち」は、
デモの興奮がまだ覚めやらない…。

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でも、時間が経つにつれて…。

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夏は過ぎて、秋が来たり…、やがて…。
この感じ、哀しいかな、ものすごくよくわかるんだよね(笑)。

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ところでユー・ホンは、チョウ・ウェイを愛するあまり、
彼と離れる日が来るのを恐れはじめる。
そして恐れのあまり、チョウ・ウェイに別れを持ち出す。

チョウ・ウェイは、彼女の気持ちが理解できなくて殴ったりする。
正確には彼女にそうさせられるのだろうが…。

一方、政府は、天安門で自由を求めるデモ隊の鎮圧に乗り出す。
そして一説には双方で1万人ともいわれる死者を出し、
デモも終焉する。

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ユー・ホンも、彼女を心配して北京にやって来た
高校時代の恋人シャオ・チュンと一緒に、大学を中退し、
故郷へ帰る。

そして中国各都市を転々としながら、働き、性の遍歴を重ねる。
平凡な日常に耐えられず…、刺激的な日常を求めて…。
と彼女は言うかもしれないが、
不確かな自分の「生」をセックスで確かめようとしてるんだろうね…。

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チョウ・ウェイも、天安門事件のあと一時、軍事訓練に参加するが、
自由を求めてリー・ティ、ローグーと一緒にベルリンへ移住する。
が…。

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ある日、目の前で、リー・ティがビルの屋上から空へと身を投げる。

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「愛は心に残る傷で 傷が癒えれば愛は消える
だから愛は存在しない」という言葉を残して…。

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「違う…」とチョウ・ウェイは言い、
ローグーに別れを告げ、中国に戻る…。

リー・ティの投身場面には限りなく美しさと哀しさを憶えるが、
ユー・ホンもあのままチョウ・ウェイと付き合っていたら、
たぶんリー・ティと同じように、やがて空に身を投げたかも…。

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チョウ・ウェイはある日、偶然、学生時代の友人に出くわし、
ユー・ホンが結婚したことを知り、会いに行く。
ユー・ホンがチョウ・ウェイの心を去る日などなかったからだ…。

再会した二人はホテルに入るが、
チョウ・ウェイが買物に出ると、ユー・ホンはひとりホテルを出る。

チョウ・ウェイもユー・ホンの心を去ることはない。

かれと別れたのは、離れる日を恐れたからだ。
離れる日が来ることのないようにするために別れた。
「中断」しただけだから、かれは私の心を去らない。
でも、ここでかれと寝てしまったら…。

ユー・ホンはそう思ったのだろうか?
確とはわからない。たぶん彼女にも…。
それが女であり、男ってやつだよね(哀)。

事細かにわかるという訳にはいかないけど、
誰でも身に覚えのあるような、
青春・青年時代の彷徨を描いた傑作…。

撮りかた、描きかたをひっくるめて、わたしの大好きな映画です。


■140分 中国フランス 青春/ロマンス/ドラマ
監督:ロウ・イエ
脚本:ロウ・イエ メイ・フォン
撮影:ホァ・チン
音楽:ペイマン・ヤザニアン
出演
ハオ・レイ ユー・ホン
グオ・シャオドン チョウ・ウェイ
フー・リン リー・ティ
チャン・シェンミン ローグー
ツアン・メイホイツ トントン
ツイ・リン シャオ・ジュン
パイ・シューヨン ワン・ボー

1987年、中国と北朝鮮国境の町図們(トゥーメン)。父とふたりで暮らす娘ユー・ホンは大学の合格通知を手にする。故郷を離れ、北京の大学に進学する彼女は、恋人シャオ・チュンと過ごす最後の夜に彼と初めて結ばれる。
大学で寮生活を始めたユー・ホンにリー・ティという大人びた親友ができる。そして、リー・ティの年上の恋人ローグーに、魅力的な青年チョウ・ウェイを紹介される。出会った瞬間、彼こそが探し求めていた人だと感じるユー・ホン。夜を徹して語り合い、ふたりは恋に落ちる。おりしも学生たちの間では、自由と民主化を求める嵐が吹き荒れ始める。改革を激しく求める熱気のなかで、ふたりは狂おしく愛し合う。
しかし、幸せは長く続かない。チョウ・ウェイにあまりに強く魅かれるあまり、いつか離れる日を恐れたユー・ホンは自分から別れを口にしてしまう。彼女の気持ちを理解できないチョウ・ウェイ。お互いに求め合いながらも、ふたりの心はすれ違ってしまう。そして、学生たちによる激しい抵抗活動の続くある夜、彼女を心配して北京にやって来た故郷の恋人シャオ・チュンと共に、ユー・ホンは大学から姿を消してしまう。 一方、天安門事件のあとチョウ・ウェイは軍事訓練に参加する。その後自由を求めてリー・ティ、ローグーと一緒にベルリンへと移り住む。
10年に渡る月日が流れる。ユー・ホンは図們からシンセンへ、さらに武漢、重慶へと中国各地を転々としながら仕事や恋人を変えて生活している。既婚の男性と不倫をしたり、年下の恋人に求婚されても、胸の奥底ではチョウ・ウェイを忘れることができない。チョウ・ウェイもまた、外国での暮らしの孤独と不安のなかで、思い続けるのはユー・ホンのことだった。
帰国したチョウ・ウェイは偶然大学時代の友人に遭遇してユー・ホンの居所を知り、彼女に会いに行く。思い続けた相手との再会に、言葉少なに海辺に立ち尽くすふたり。自由への幻想と共に心にしまった青春時代の恋は、再び燃え上がるのだろうか。

 

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