やくざの墓場 くちなしの花 (1976)

[697]深作欣二はこの映画で「戦後の墓場」を描いてみせた!
★★★★★☆

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オギちゃん(オギワラ)が、
みんなで観ましょうよと借りてきてくれた作品。
涙が出るほど嬉しかった…(笑)。

でも私のほうにそんな余裕がないときだったので、
みんなで観れなかった。
ごめんな、オギ…。

1976年公開の深作作品…。

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恐ろしいことに「文化庁芸術祭参加」のヤクザ映画(笑)。

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ラスト……。

狂犬デカ(刑事)の渡哲也は、
捜査四課OBで、いまは金融ブローカー「山光総業」社長として
広域暴力団山城組の資金源と化している佐藤慶を

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大阪府警某本部長・われらが大島渚監督(笑)の目の前で射殺し、

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署を出るのだが、

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追ってきた同期の刑事・室田日出男に射殺される。
愛人・われらが梶芽衣子の前で…。

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エンディング・クレジットになり、われらが渡の歌が流れる。
「くちなしの花」…、わたしがカラオケで唯一歌える唄…。
名誉のために言っておくが、「ブルーシャトー」も歌える(笑)。

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なんど観ても涙が流れる。
傑作…、観れば観るほど、大傑作。
公開当時は、全然そう思わなかったのだが…(笑)。

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大阪ミナミで、山城組(=山口組)傘下の組と、
地元暴力団の西田組が対立していた。

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府警は、大島渚本部長のもとに、
管轄外にある山城組には手を出さず、西田組だけ潰そうとした。

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捜査四課の渡刑事(黒岩)はそれに反発を覚え、
西田組にそれとなく手を貸そうとした。

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若者頭代理の梶芽衣子(啓子)は、渡の見張り役についた。

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西田組の突進牛の梅宮辰夫(ダボ牛)は、
近づいてくる渡が気に食わず、会うたびにケンカをふっかけた。

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梅宮は在日朝鮮人だった。

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渡は刑事なのだが、梅宮に好漢を見、義兄弟の杯を交わした。
満州帰りで、少年のころ周囲にいじめられていたので、
在日の梅宮にその自分を重ねてみていたのだろう…。

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梶芽衣子は、ある日、
鳥取の刑務所で服役中の夫・今井健二に会いに行った。
渡が同行した。

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その帰り、梶は海を見たいと言った。

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梶はハーフだった。父は朝鮮人、母は日本人…。
幼いころ、簡易宿を転々とする中で母は死に、
「朝鮮に帰ろう」と沖仲士をはじめた父も死んだ。

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西田組の若者頭・今井と結婚したが、
売春をさせられた日々もあった。

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梶は海に入った。
会いに行った今井に「朝鮮死ね!」とののしられたからだ。
「あたしにだって帰るところはある」と梶は叫んだ。

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渡は死のうとする梶を殴り、止めた。

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暴力団取締り本部は、
渡が梅宮と契りの杯を交わしたことを知り、渡を捜査から外した。

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そして西田組の組長・藤岡琢也を押さえ、解散を命じた。
藤岡は仕方なく了承する。
残るは西田組の組長代理になっていた梅宮だ。

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梅宮は、山城組傘下の組員に襲撃され、隠れていた。

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捜査四課OBで、いまは金融ブローカー「山光総業」社長として
広域暴力団山城組の資金源と化している佐藤慶は、
渡を拉致し、自白剤を打ち、梅宮の居所を吐かせた。

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佐藤と癒着している取締り本部は、
佐藤から情報を得て梅宮を逮捕し、留置。
ワナに嵌め、撲殺、外部に「事故死」と発表した。

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梶は、渡が裏切ったと思い、渡を尋ねて聞いた。
渡は、首をタテに振った。
自白剤を打たれたとはいえ、裏切ったことに変わりはない。

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自分を許せず、すでにヤクに嵌まっていた渡は、
梶を連れて取締り本部へ行った。

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そしてすでに書いた冒頭のシーンになる…。

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公開当時、この作品にあまり感心しなかったのは、
深作・渡初コンビの前作「仁義の墓場」が、
あまりにも素晴らしかったからだ。

われらが笠原和夫の脚本はいま観ても、
「仁義の…」に比べるとやはり粗いし、センチメンタル過ぎる。

だがいま観るとこれは大傑作だったのだと深く反省している。
ごめんなさい、深作さん、至らなくて…!だよね(笑)。

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一言でスバリ言う。
「仁義の墓場」の続編ともいえるこの作品は、
日本の「戦後の終焉」を刻みつけているからだ。

この映画をして、日本の戦後は終わったのであり、
日本の映画も終わったのだ。

われらが戦後は終わった、日本の映画も終わった…、
という受け止め方はわれらが深作さんにもあったのだろう。

キャスティングをみても如実だ(笑)。
元日活の渡哲也、梶芽衣子。
元松竹のわれらが大島渚監督、大島組の佐藤慶。
そしてわれらが東映の面々なんだもん…(笑)。

おい、とうとう戦後の終わりがきたぞ。
記念に一発やっとこうじゃないか、と、
深作、笠原の音頭のもとにみんな集まったんだと思うよ(爆)。

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たぶん間違いない。
この年、大島さんも「愛のコリーダ」を撮ったあと、
創造社を解散するんだよね。

渡哲也は映画をやめ、テレビの世界へ転身する…。

「愛のコリーダ」は本番映画として騒がれ、
当時、わたしもなぜそこまでやる必要があるんだろうと、
ちょっと「?」だったのだが、

あとにして思うと、
戦後の終わりにたいする抵抗だったのだと思う。
このころ、日本が戦後を捨てはじめたことにたいする抵抗…。
だからあれほど過激にならざるをえなかったんだよね。

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この「やくざの墓場」もそうだよね。
「やくざの墓場」は、同時に「戦後の墓場」なんだよね。

「仁義の墓場」で戦後を描いた深作サンは、
この作品でこんどは「戦後の墓場」を描いた…、描いてみせた…!

物語に登場する渡は、満州からの引き揚げ者。
梅宮は、在日朝鮮人。
梶芽衣子は、朝鮮人と日本人のハーフ…。

設定自体がすでに戦争と戦後を引きずっている。
でも府警(日本)はかれらをすでに省みず、殺す…。
戦争と、戦後を殺すんだよね。
この、1976年に…、
戦後生まれのわたしがちょうど30歳になったこの年に…!

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戦後、日本は復興のために経済成長を目指した。
恐いもの知らずで成長を続けてきた。
が、1973年のオイル・ショックでついに挫折する。

と、それを契機にこんどは、
マルクスも予想できなかった
生産社会から高度消費社会への転身を図り、
見事に(?)80年代の、あのバブル景気に至った。

そしてそのしっぺ返しを受けるかのように
長い長い深刻な不況に陥り、現在に至っているわけだけど、

1976年という年は、
どうやら日本は戦争責任と戦後を捨てたようだと、
心あるひとたちが気づきはじめた年なんだと思うのよ。

自分の経験からもそう思う。
この映画、観客動員が惨敗なんだよね。
わたしが映画館で観たとき30人観てたかなあ…(笑)。

ヤクザ映画はまったく客が入らなくなり、
このあと深作さん(東映)も時代劇で凌いでいこうとしはじめる(笑)。
もちろん凌げるわけはないんだけど、
つまりは観客がウラ社会から、負的なイメージのものから
離れはじめたってことだよね。

なぜならみんな消費社会を目指しはじめたから。
「市民」を目指しはじめたから…。
消費=清潔だもんね。クロいものを誰が買うのよ(笑)。

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実際、暴力団も徹底的に押さえこまれた。
一切の暴力が封じ込まれたために、
普通の子が…、普通の少年たちが暴力を振るわざるをえなくなった。
というのが来るべき80年代…。

わたし、このあたりのことは詳しいのよ。
30年間も勉強し、本もけっこう書いてきたんだから…(笑)。

この作品、出来としては大傑作だとは思わないけど、
そういうふうに
日本の戦後の終わりを刻みつけてみせたという意味では、
やっぱり大傑作だと言わざるを得ないとおもう…。

すごいねえ、深作さんも、大島さんも。
わたしゃ泣けてきちゃうよ…。

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しかしどうよ、紹介してきたこの素晴らしき俳優の面々…!
世界的に見ても、もう二度とありえないよ。

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わたしの梶芽衣子…、絶品…(喜)。

ラスト、渡が室田に撃たれた瞬間、
「あんた…!」と悲鳴をあげて駆け寄るんだけど、
わたしはあれ以上に美しい
「あんた」という声の響きを先にも後にも聞いたことがない。

みんな、あの「あんた」の響きを聞いたほうがいい。
戦後の声を…。
そしてあの「あんた」に応えるかのように流れてくる
渡の最後の声、「くちなしの花」も…!(笑)

蛇足だが、
この作品がなぜ「文化庁芸術祭参加」作品として作られたか、
みんなもうわかるよね(笑)。


■96分日本ドラマ/任侠・ヤクザ
監督:深作欣二
企画:松平乗道 杉本直幸 奈村協
脚本:笠原和夫
撮影:中島徹
美術:富田治郎
編集:市田勇
音楽:津島利章
助監督:鈴木秀雄
出演
渡哲也
梶芽衣子
矢吹二朗
室田日出男
川谷拓三
菅井きん
八木孝子
志賀勝
小林稔侍
ロッキー藤丸
今井健二
曾根将之
成田三樹夫
藤岡重慶
織本順吉
八名信夫
片桐竜次
佐藤慶
金子信雄
藤岡琢也
梅宮辰夫

特別出演
大島渚

関西某警察本部の管轄内で最近、近県に本拠を置く巨大組織・山城組傘下の在阪団体が、資金源の拡張を計って大阪南部地区へ進出を企てていた。このため、ミナミを地盤とする西田組と衝突を起こし、両者の間は一触即発の状態が続いていた。
折しも同地警察捜査四課に舞戻った腕利き刑事黒岩竜は、西田組の情報収集担当として復起したが、捜査本部の上層部は黒岩の性格と過去を案じて、意識的に捜査担当から外した。というのは、黒岩が二年前やくざの幹部を逮捕した時、早まって射殺事件を起こしたことと、四課十年のキャリアを利用して、個人プレーに走る傾向を恐れていたからだ。
黒岩のやり口は最初から凄じかった。些細な事で西田組のチンピラ若本をパクリ、暴力で徹底的に責め立てた。余りの惨さにあわてた西田組二代目組長・杉政明と若者頭代理の松永啓子が、地元警察署長・赤間を伴って詫びを入れる程だった。
この一件で、黒岩は規律を重んじる本部上層部の本部長、副本部長等に睨まれたばかりか、西田組顧問でキック・ボクシングジム拳義会館長・岩田五郎の怒りも買った。通称ダボ牛と呼ばれる岩田は、黒岩に会うなり、横っ面に猛烈な一撃を浴せて罵った。その威勢の良さに、黒岩自身も頼もしさを感じたぐらいだった。
ある日、黒岩は山城組傘下の組員を追跡し、金融ブローカー「山光総業」の事務所内に逃げ込んだ男と格闘になった。そこの事務員の鬼頭等はすべて捜査四課のOBだった。そこへ現われたのは元捜査副本部長で、現在山光総業社長の寺光伝之助で、一万円札をチラつかせて事をウヤムヤに処理しようとした。黒岩は今だに本部の上層部に絶大な圧力を持つ寺光に、何かキナ臭さを感じてその場を去った。
山城組対西田組の抗争は日増しに激化した。黒岩は、いつしか戦いに不利な西田組に荷担し、しかも若者頭の夫の留守を預かる啓子に何かと手を貸すようになった。警察本部は管轄外の山城組には手をつけず、一方的に西田組解散の方針を打ち出して、新たに西田組担当班室長に日高警部補が新任して来た。
日高と黒岩は警察学校の同期生で、二年前の射殺も彼が仲の良い日高をかばったための発砲が原因だった。日高は新任早々上司として黒岩の身辺の整頓と、スタンド・プレーを慎しむように忠告した。
追いつめられた西田組は、岩田の計らいで山陽、九州一帯を総轄する連合組織・雄心会に加盟して、山城組に対抗しようとした。その結縁式には啓子の招きで黒岩も出席した。席上、組長代行に就いた岩田と口論から、激突した二人は、大格闘の末に逆に親交を深めるようになり、やがて五分の兄弟盃を結ぶに至った。
だがその事が、直ちに警察本部に筒抜けになり、黒岩は過去二、三の規律違反と合せて処分され、四課担当から外されたばかりか、自宅謹慎を命じられた。警察本部に「暴力団対立抗争事件特別対策本部」が設置されて取締りが強化された。これが黒岩と啓子、岩田の関係をより親密にした。
山城組は組の財源を握る寺光から警察上層部への鼻薬が効いて難を逃れたが、西田組の杉が逮捕され、警察の思うがままに説き伏せられたため、西田組解散の標的は岩田一人に絞られた。
一方、警察本部と「山光総業」の癒着を曝こうと、秘かに行動していた黒岩が、寺光の一味に捕えられて、惨いリンチを受けて岩田の穏れ家を吐かされた。岩田は逮捕され、寺光の仕掛けた罠にはめられて、留置場で事故死として処分された。「叔父貴さんを売ったのは、あんた?」挙銃を向けて真相を正そうとする啓子に、黒岩は突然獣のごとくのしかかり、犯しながらそれを肯定した。身の置き場のない黒岩は、啓子への愛と寺光や警察上層部への怒りを同時に燃えあがらせていった。

 

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ノエル

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