夫婦善哉 (1955) 日本

[723]日本一の夫婦や、と法善寺の水掛不動さんが声をかけた
★★★★★★

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淡島千景の、私の一番のお気に入り作品。

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原作はかのオダサク(織田作之助)。
監督は豊田四郎。代表作だよね…。

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観たのは20数年ぶり…?
レンタル屋さんの棚でたまたま目に入ったので、
つい手を伸ばしてしまったんだよね。

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相変わらず凄いねえ、森繁と千景さん。
絶妙のやりとりを堪能しちゃったよ。

この会話、いまの俳優には無理だなあ。
相手の呼吸=こころ、読めないもんねえ…(泣)。

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時代は昭和初期…。
柳吉(森繁久彌)と蝶子(淡島千景)が駆け落ちして、
熱海へ行ったシーンから始まる。

柳吉は、化粧問屋「維康商店」の長男。
妻が病気で実家へ帰ったことをいいことに、
曽根崎新地の売れっこ芸者蝶子とできてしまい、
おやじに勘当されてしまった…。

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右がそのおやじさん=大旦那、ただいま病気中。
で、左が妹の筆子…、若かりしころの司葉子さん。

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こっちは蝶子の実家、天麩羅屋さん。
父親の種吉をやってるのは田村楽太さん。
ごっつい大阪弁に私はもう痺れっぱなしだよ。

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熱海から帰ってきても柳吉は住むところもなく、
蝶子の実家へ厄介になる。

食い道楽の柳吉、自ら鍋をつくるの図。
さすが大阪人でんなあ。
食い道楽といっても、湯豆腐とか、
ライスカレー、関東煮といった安料理ばっかりなんだもん…(笑)。

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ヤドカリを背負った蝶子は、
仕方なくヤトナ芸者(臨時雇いの芸者)として働きはじめる。

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おかみさんは、大好きな浪花千栄子さん。
大阪の女言うたら、私が真っ先に思い浮かべる女(ひと)やねん。
男言うたら、アチャコはん(花菱アチャコ)。

で、ホンマのこと言うと、
わいにとっての元祖「夫婦善哉」は、
このアチャコと浪花千栄子はんのコンビのことやねん。
子供のころに観た二人の映画が刷り込まれてもうて…。

アチャコ・千栄子の
「お父さんはお人好し」もラジオに齧りついてたなあ。
あ、子供のころに観たという映画も、
もしかしたら「お父さんはお人好し」だったのかも…?

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しかしホントに惚れ惚れする、千景さんの色香…(笑)。

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柳吉、無心に実家へ帰ってみるの図。
中央は、雇われ人の長助…、これまた私の大好きな田中春男さん。
けっこう二枚目のくせして、どこかいい加減なところが大好きやねん。
この作品でも若旦那の機嫌ばっかりとってる…(笑)。

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妹の筆子が婿養子を迎えることになった。
聞いて、柳吉は、遊び、酒を浴びた。

蝶子は、あまりの甲斐性なしに怒り、
「出て行き」と、酔って帰ってきた柳吉を水樽の中につっ込んだ。

このシーンにはひとりで大笑い。
天下の(?)森繁が、
桶の中のうどんをあたまから被っちゃうんだもんねえ…。

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妹に婿が来るなら未来の大旦那は無理かと、
柳吉は一念発起、妹からせしめた300円をもとに、
蝶子とカントダキ(関東煮屋屋)をはじめた。
大阪で言うカントダキとは「おでん」のこと…。

原作ではたしか
遊郭のある飛田に店を出したように記憶してるが、
飛田新地は出てこない。
残念…(笑)。

ところでやってきた婿養子はこのひと…。

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待ってた、ホイ、オラが山茶花究だあ!(笑)

長助に言わせれば、
「ケチンボで、ブープーの怒りん坊」。
柳吉に言わせれば、
「育ちの悪い、大学出の貧乏インテレ(インテリ)」。
ついでに私に言わせれば、清潔脅迫神経症…(笑)。

しかし、まくしたてる大阪弁の歯切れのよさには
うっとりしまんなあ…!

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働くのがいやになったのか、ゲテモノ食道楽の祟りか、
柳吉、賢臓結核が発覚し、腎臓を1個切り取ることに…。
手術代に店を売った。

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蝶子、病院に見舞いにやってきた妹・筆子と初対面。
中央は、柳吉の一人娘のみつ子。
この時はもう病気で実家に帰っていた妻も他界している。

柳吉が「維康商店」に未練を残してるのも、
跡を継ぎたいということもあるが、
この娘のみつ子が可愛いからだ。
甲斐性はないが、優しさだけは人一倍なんだよね。

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蝶子、柳吉が退院すると、
芸者仲間だった友人から金を借り、
カントダキから一転してモダン・バーをはじめた。

すでに紹介してきたスチール写真でわかるように、
セットは昭和初期の大阪の匂いがいっぱい!
美術は、演劇界でも私らの大先輩にあたる伊藤憙朔。
ほんと、セットだけでも堪能できちゃうよねえ…(喜)。

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突然、父危篤の報を受け、柳吉は実家へ。
そして蝶子に電話で父の死を知らせた。

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蝶子も駆けつけたかったが、柳吉は来るなと言い、
京一も、「あんたはうちには関係ない人や」と電話を切った。

柳吉の父親の死を見送ることもできない。
それを知って蝶子は呆然とし、「うちはアホや」と呟いた…。

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柳吉がいったん店へ戻ると、
蝶子が二階でガス管を加え、倒れていた。
柳吉は慌てふためき「蝶子、蝶子」と抱き起こした。

柳吉の言によれば、
家に来るなと言ったのは、蝶子と切れたことにして
財産を分けてもらう算段だったらしい。
当てにはならないが…(笑)。

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翌日、新聞に蝶子の自殺未遂事件がデカデカと載った。
あんな事件を起こしてと、柳吉は結局、
父の位牌を持つことさえ許されなかった。

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蝶子は一命をとりとめ、
柳吉もまたいつものように甲斐性のない顔をぶら下げて
蝶子のもとへ戻った。

そうして蝶子に、
「なんぞ旨いものでも食いにいくか」と言い、
法善寺を抜けて「めおとぜんざい」(夫婦善哉)の暖簾をくぐった。

柳吉はぜんざいを前に蝶子に聞いた。
「ここのぜんざいはなんで2杯ずつ持ってくるか知ってるか」
蝶子は言った。
「夫婦で食べに来るから?」
柳吉は答えた。
「独り者かて食いに来る。
1杯山盛りにするよりもな、ちょっとずつ2杯に分けたほうが、
仰山入ってるように見えるからや」

大阪人やなあ…!(爆)

なにが?
夫婦で食べに来るからという説も、
2杯に分けたほうが仰山入ってるように見えるという説も!

わい、ほんま好きやで、大阪人!(笑)

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外へ出ると雪が降っていた。

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「結局、、みんなわてが悪いんやな」
と、泣く蝶子に柳吉は言った。

「ええやないの、二人で濡れて行こうやないの」

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肩を寄せ合いながら帰る蝶子と柳吉に、
法善寺の水掛不動さんが声をかけた。

ごちそうさん、日本一の夫婦やなあ…!

その声が二人に聞こえたかどうか
私は知らない…。


●sinoさん
二人の苦労には他人事になってしまいますが、
傍から見てると、ホンマええ夫婦やなあ、と
しみじみ思いますねえ(笑)。
私の人生のモットーは、程よくいい加減に、
なんですが、いやあ、難しいです、
なかなかうまくいかんです(笑)。

●月見草さん
この頃の日本の俳優はホントいいですよね。
私の勝手な解釈ですが、ひとえに、戦後、一世を風靡した
あの木下恵介と高峰秀子コンビに負けてなるものかあ!
と、みんな頑張ってたんじゃないかなあという気がします(笑)。
学生のころ、私は「戦後文学」を専攻してたんですが、
当時、太宰とオダサクをともに語るひとがけっこういました。
どこが同じなんじゃあ!と私は頭を抱えてましたねえ(笑)。
市井を描く点では似てますが、太宰は京の貴族の末裔、
オダサクは大阪町人の末裔。しかも下降と上昇。
全然反対じゃん、と、いまも思ってます。
ちなみに私、オダサクも大好きなので、
自分で自分がどうなってるのかよくわかりません(笑)。
津軽は寒いですか?
どうぞ風邪を召さないよう、よいお年をお迎えください。
あ、ブログのおかあさんの着物、ホントにステキでしたね!

●月見草さん
な、なるほど、「津軽の三振り」ですか!
いやあ、太宰はそのまんまですねえ。
でも、そこが太宰のめちゃ可愛いところと言いますか…(爆)。
月見草さんは津軽で、太宰のお近くだからアレなんでしょうが、
今でも若いひとは漱石より太宰をたくさん読んでます。
太宰文学は永遠の「青春イニシエーション文学」なんです。
そこのところはひとつお忘れなく…(笑)。
「風の息子」、たしかにその後のビョンホンの原石に
なっていますよね。
う~ん、青春や青年期の主題を超えて面白い作品を
つくるのは、ホント至難の技ですよねえ。
他人事じゃないです。な、なんとか、した~いっ…!(笑)

ありがとうございました。


■121分 日本ロ マンス/ドラマ
監督:豊田四郎
製作:佐藤一郎
原作:織田作之助「夫婦善哉」
脚本:八住利雄
撮影:三浦光雄
美術:伊藤憙朔
編集:岩下広一
音楽:團伊玖磨
特殊技術:東宝技術部

出演
森繁久彌(維康柳吉)
小堀誠(維康伊兵衛)
司葉子(維康筆子)
森川佳子(維康みつ子)
淡島千景(蝶子)
田村楽太(種吉)
三好栄子(お辰)
浪花千栄子(おきん)
万代峰子(金八)
山茶花究(京一)
志賀廼家弁慶(駒七)
田中春男(長助)
春江ふかみ(鳩子)
二条雅子(里枝)
梶川武利(新聞記者)
丘寵児(新聞記者)
大村千吉(客A)
三條利喜江(薬屋のお内儀さん)
上田吉二郎(客一)
吉田新(客二)
広瀬正一(客A)
谷晃(巳之吉)
本間文子(おふさ)
出雲八重子(ヤトナA)
江幡秀子(ヤトナB)
登山晴子(料亭の女中)
宮田芳子(熱海の宿の女中)
沢村宗之助(儀平)
若宮忠三郎(おきんの亭主)
河崎堅男(通りのコック)

曽根崎新地では売れっ妓の芸者蝶子は、安化粧問屋の息子維康柳吉と駈落ちした。
柳吉の女房は十三になるみつ子を残したまま病気で二年越しに実家に戻ったままであった。
中風で寝ついた柳吉の父親は、蝶子と彼との仲を知って勘当してしまったので、二人は早速生活に困った。
蝶子は臨時雇であるヤトナ芸者で苦労する決心をした。
そして生活を切り詰め、ヤトナの儲けを半分ぐらい貯金したが、ボンボン気質の抜けない柳吉は蝶子から小遣いをせびっては安カフェで遊び呆けていた。
夏になる頃、妹の筆子が婿養子を迎えるという噂を聞いて、柳吉は家を飛び出して幾日も帰って来なかった。
地蔵盆の夜、蝶子は柳吉を見つけ身を投げかけてなじった。
柳吉は親父の家に入りびたっていたのは、廃嫡になる前に蝶子と別れるという一芝居打って、金だけ貰って後二人末永く暮すためだと云った。
それは失敗に終ったが、妹から無心して来た三百円と蝶子の貯金とで飛田遊廓の中に「蝶柳」という関東煮屋を出した。
ところが暫くして柳吉は賢臓結核となり、蝶子は病院代の要るままに店を売りに出した。
柳吉はやがて退院して有馬温泉へ出養生したが、その費用も蝶子がヤトナで稼いだのであった。
柳吉は父からもその養子京一からも相手にされず、再び金を借りて蝶子とカフェを経営することになった。
やがて柳吉の父は死んだ。
蝶子との仲も遂に許して貰えず、葬儀には参列したが柳吉も位牌も持たせてもらえなかった。
二十日余り経って、柳吉と蝶子は法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。
とも角、仲の良い二人なのであった。

 

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この記事へのコメント

sino
2011年12月14日 08:14
ふ~ん、なんかしみじみと、ええな~と思いますね~。ええ加減なようで、ええ加減でないこの繋がりこそ夫婦でんな~。(それにしても超いい加減な私の大阪弁)
淡島さんと森繁さん、淡路さんと森繁さん
ええ加減な亭主をやらせたら、ほんと森繁さんって素晴らしいですわ~。ずるさ、いやらしさ、かわいらしさ、うさんくささの
集合体ですね。まあでも、結局はやさしさですかね~。また観てみたいって思いました。
月見草
2011年12月26日 20:19
山崎さん こんばんは!

織田作に反応して、久しぶりにお邪魔します。
ほんと森繁さんと淡島千景さん、どうしてこうも昔の役者さんは大人の演技が出来て、奥が深いんでしょうね。今では、宮崎あおいさんがNHKで「蝶々夫人」・・・なんか違うような・・・・・
太宰と織田作、似て非なるもののような気がしますが、てつさんはどう思われますか?
いかにも大阪だなあと、遠い昔、井原西鶴の「世間胸算用」のモチーフを織田作之助流にアレンジした小説読んだことありますが、西鶴の写実的で客観的な描写が、織田作之助は同じあらすじでも市井の人々に対する目線がやさしくていかにも私小説的で、いいなあと思った記憶があります。
最近全然韓国映画も日本映画も観てませんが、山崎さんのブログを観ていっぱい今年も良質の映画を堪能した気分になっています。
山崎さんおススメの韓国のコメディ映画は、絶対レンタルで観ようって気にさせてくれます
来年もいっぱい素敵な映画紹介して下さい。
楽しみにしてまーす。
月見草
2012年01月11日 17:10
山崎さん  
 寒中お見舞い申し上げます。
津軽はほんとに、しばれる日々です。
太宰と織田作、下降と上昇・・・なんかそんな感じですね。
ないものねだりなのか織田作のやさしさにちょっと憧れます。
てつさん 「津軽の三振り」ってご存知?
えふり(見栄っ張り) あるふり(ある振り)おんべたふり(知ったか振り)ずばり津軽人の気質を言いえて妙です。
月見草は太宰はもつけのほかにこのさんふりを兼ね備えてるんじゃないかと密かに思ってるんですけど・・・・
なんか月見草のブログにもこの津軽気質がちらっと見え隠れしてるんじゃないかと、内心忸怩たるものがあります。
山崎さん、そんな月見草ですが、今年もよろしくお願いします。
お正月早々、イ・ビョンホンまつり とても嬉しいです。
7,8年前に観たドラマですが、ほんとに韓国ドラマの勢いがピークと思えるくらい荒け削りながらぐいぐい引っ張られてワクワクしながら見た記憶があります。特に「風の息子」はオールインや甘い人生、グット、バット・・など後の作品の原石のような気がしています。
なんかビョンホンさん40歳にしてあらゆる作品に出合ってしまって、愛と青春の日々のあのハリウッドスター(名前でてこないよー)の「プリティウーマン」のような作品しか残ってないのかなあー
中年紳士と20代そこそこの女性との恋愛ものか、
「ユーガットメール」のようなトムハンクスとメグライアンのようなラブコメディ・・・・
長くなってしまいましたm(_ _)m

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