モンガに散る (2010) 台湾

[724]これは風に靡く草のように生きたものたちへの哀切の歌だ
★★★★☆☆

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台湾映画はなぜか青春ものが多い。
事情はよく知らない。もしかしたら、
輸入されるものがたまたまそうなだけなのかもしれないが…。

この映画も青春ものだ、ヤクザもの絡みの…。

舞台は、1980年代の台湾、台北。
繁華街モンガに高校生のモスキートが引っ越してくる。

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どこの国でも似たり寄ったりなのか、
モスキートも地元のワルたちから転校生としての洗礼を受ける。

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そのモスキートに愛の手を差し伸べたものたちがいる。
モンガ一の極道親分ゲタの息子であるドラゴンと、
モンク、アペイ、白ザルのグループだ。

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ドラゴンをリーダーとするこの4人グループは、
幼いころから極道として校内勢力を仕切ってきた(笑)。

父親と友だちを知らず、
いつもいじめられながら生きてきたモスキートに
はじめて友だちが…、義兄弟ができた。

モスキートの参入でグループは5人となり、
指はようやく拳になった(笑)。

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5人はひたすら毎日、
モンガの路地で、通りで、ケンカに明け暮れた。
もちろん拳で…、素手で!

そして面白いことに、
かれらがケンカを始めると、
なぜかまたたくまにモンガ中の高校生たちが集まって
殴り合いを始めるのだった。

うん、これはもうお祭りだね…(笑)。

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5人の拳は、ケンカの明け暮れで固まっていき、
ついに義兄弟の契りを交わした。

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これはモンガの路地。
どこか日本の文化が漂ってるような…。
日本の統治時代の名残りなのかなあ。

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モスキートに恋人ができた。
顔に大きな痣のある女の子…、彼女は娼婦だ。
でも、だからこそ抱かない、好きだから…。
部屋に上がってもこうやって二人して音楽を聴くだけ…。

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5人はある日、
敵対グループのリーダー・ドッグにヤキを入れた。
ドッグがドラゴンの彼女を姦ったからだ。

ヤキが度を過ぎ、ドッグは死んだ…。

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ドラゴンの父・ゲタ親分はこれを知り、モンクにヤキを入れた。
ドッグが「やったのは俺で、ほかの4人は関係ない」と言い、
それを信じこんだからだ。

モンクは傷を負い寝込むが、
ひょんなことから意外な事実を知った。

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モンクの父親はゲタ親分とは兄弟分なのだが、片腕がない。
それは昔、ゲタ親分に切り落とされたせいだったのだ…!

この中盤あたりから物語のトーンが急激に変わっていく。
5人が高校を中退し、極道の世界に、
おとなの世界に足を踏み入れていくからである。

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ゲタは5人を山へ連れていき、武闘訓練をやらせた。
ケンカに絶対、銃は使うな、卑怯者のやることだから、
竹槍で戦え! と達した(笑)。
いいなあ、西欧嫌いの古典的な極道だよね(笑)。

ちなみに「ゲタ」は
日本語の「下駄」から来てるんじゃないかと思うんだけど…?

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ある夜、ブンケアンという極道の出所祝いが開かれ、
5人も席についていった。

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右がそのブンケアン。
こいつは、マサ親分筋の狂犬極道で、
死んだドッグはじつはこいつの子分だったのよ。

左は、ブンケアンの客人?
ブンケアンとムショで一緒だった間柄で、
大陸からやってきた極道のウルフ。

このウルフ、じつはモスキートの母親の元恋人。
ということはモスキートの父親…。
ちなみにこのウルフをやっているのは監督のニウ・チェンザー。

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こっちは左がマサ親分、右がゲタ親分。

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ウルフは、
大陸(中国)のボスから送り込まれてモンガにやってきた、
モンガを支配下に置くために。

ゲタとマサに自分たちと組まないかと話を持ちかけるが、
二人は断った。

そこでブンケアンを脅した?
これからのヤクザ世界は銃社会だ、
大陸から大量の銃がドンドン送られてくるぞ、
時代は変わるのだ、と…。

日本の古き良きヤクザ精神を生きるゲタ親分とは全然違ゃう(笑)。

ちなみにウルフがモンガにやってきたのは、
このころ、大陸と台湾の行き来ができるようになったからなんだよね。
その時代背景を念頭においておかないと、
この映画はちょっとわかりにくいかも…。

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ブンケアンは秘かにモンクに会った。
4年前、モンクは彼に助けられたことがあったのだ。
今回のドッグの件でも…。

ブンケアンは言った。
おれは大陸の連中と組む、
だがそれはモンガを守るためだ、と。

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マサ親分は路地で銃で撃たれて死んだ。
大好きな女遊びの帰りだった…(笑)。

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誰が殺ったか、ゲタにはおよそ察しがついていた。

ある夜、
マサの座を狙っていた極道が水門にいることがわかり、
ゲタは組の者をみな水門へ行かせた。

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ひとり残ったゲタは刃物を持った男たちに襲撃された。

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近くの夜店にいたモスキートは、
組のある寺のほうで銃声がするのを聞いた。

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寺へ駆けつけると、ゲタが銃で撃たれて倒れていた。
モスキートは「救急車!」と叫び、ゲタを抱いた。
初めてできた父親代わりのゲタを…。

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ドラゴンは自分も殺されると怯えて隠れた。
モンクは探し出し、ドラゴンを抱いた。

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モスキートはドラゴンの代わりにゲタの位牌を抱いた。

モスキートは、
「きょう殺さなければ殺される」と言い、
ゲタ親分の仇をとろうと言いはじめる。

モンクが
「犯人もわかってないんだ、みんなをけしかけるな!」と怒ると、
モンキートが「みんな知ってる、ブンケアンだ!」と言い、
二人はケンカになる。

白ザルはひとりでブンケアンを衝撃しようとする。
が、意識不明の重態にされ、入院。
所持していた銃はゲタを撃ったものだ、
と警察に嫌疑をかけられる。

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モンクが言う。
ゲタ親分の命令で白ザルがマサ親分を殺し、
ゲタ親分はその仕返しで殺されたのだろう、と。
モスキートは驚く、「何じゃ、それ?」と。

この時たぶんモンキートの中にモンクへの
疑念が生まれたんだろうけど、
あとはまあ観てのお楽しみということで…。

中盤までは、
5人のいわば青春が生き生きとしたタッチで描かれていき、
かれらが極道のおとなの世界に入ったとたん、
トーンは一転して重く、暗いものに変わっていく。

おとな社会に入ることで、
かれらのイノセンスがメチャクチャに壊されはじめるからだ。

最後は、義兄弟を誓い、信じあってあってきた仲なのに、
裏切り、殺し合うことになってしまう。

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「あのころ、
なぜ闘うのか意味がわからなかったが、
いまはもっとわからない」
とモスキートがモンクに言う。

観ていても、痛切に悲しくなる。

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モスキートが父ウルフに別れを告げに行くと、
ウルフが言う。

風が吹くと草はなびく。
若い頃、オレは自分は風だと思っていたが、
じつは草に過ぎなかったのだ、と…。

「風」とは、時代の流れ、社会の流れの喩だと言ってもいい。
草は風に逆らえず、風になびく。
と同じように、自分も
時代の流れに逆らえず、流れになびいて生きてきた…。

あるいは、草とは
親たちからの「負債」と言っていいかもしれない。

ドラゴンの父親も、モンクの父親も、
モスキートの父親のウルフも極道である。
かれらは互いに騙しあい、裏切りあい、殺し合い、
そうやって生きてきた。

モスキートらも結局、
その父親たちが生きた極道の道を歩むしかなかった。
負の遺産を返すことはできなかった、
父親たちを乗りこえることはできなかった。

ウルフが草だったように、
モスキートたちもまた風になびく草にすぎなかったのだ…。

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ここに救いがあるとすれば、
かれらが、自分たちが死ぬことで負債を断ち切ったことだけかも
しれない…。

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モスキートの彼女の顔にあるこの大きな蒼い痣は、
かれらの「負債」を表しているのかもね。

ただ言っておかなくちゃいけないのは、
彼女がひどく美しく見えるのはこの痣のせいであり、
モンクら5人の命がまぶしく輝いてみえるのも、
かれらが内に抱えた痣(負債)のせいだってことだよね。

物語がすこし冗漫にすぎる嫌いはあるけど、
台湾と台湾人のこころをよく描いたオススメの作品だよ。


■141分 台湾 青春/ドラマ/犯罪
監督:ニウ・チェンザー
製作:リー・リエ
脚本:ニウ・チェンザー ツォン・リーティン
撮影:ジェイク・ポロック
音楽:サンディ・チェン
出演
イーサン・ルアン モンク
マーク・チャオ モスキート
マー・ルーロン ゲタ親分
リディアン・ヴォーン ドラゴン
クー・ジャーヤン シャオニン

本国台湾で2010年の興行成績第1位を記録する大ヒットとなった青春ドラマ。台北一の歓楽街“モンガ”を舞台に、裏社会へと足を踏み入れた少年グループが過酷な荒波の中で見せる熱き友情とその後の運命をほろ苦くも瑞々しいタッチで描き出していく。監督はデビュー作「ビバ!監督人生!!」に次いでこれが2作目となるニウ・チェンザー。主演は共に台湾期待の若手イーサン・ルアンとマーク・チャオ。
 1986年、台北。歓楽街のモンガに越してきた高校生のモスキートは、転校早々に不良グループから因縁をつけられてしまう。そんな時、モンガを牛耳る廟口組の親分を父に持つドラゴンとその幼なじみモンクに気に入られ、彼らのグループに5人目のメンバーとして迎え入れられる。極道の世界に戸惑いつつも、友が出来たことに喜びを感じ、ケンカに明け暮れる日々を送るモスキート。やがて5人は義兄弟の契りを交わし、固い絆で結ばれていく。そんな中、街では新興勢力の台頭による激しい抗争が勃発し、彼らもその大きな波に巻き込まれていくのだが…。

 

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    Excerpt: 「モンガに散る」★★★★☆かなり好き イーサン・ルアン、マーク・チャオ、 リディアン・ヴォーン 、クー・ジャーヤン 出演 ニウ・チェンザー監督、 141分、 2010年12月18日公開 2010,台.. Weblog: soramove racked: 2011-12-26 20:39