再会の食卓 (2010) 中国

[726]食卓は戦争で引き裂かれた夫婦たちの涙で濡れた
★★★★★☆

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「モンガに散る」は、
中国と台湾が行き来できるようになって、
台湾に中国のヤクザが入り込んだお話だったけど、
この作品は言ってみればその逆パターン。

元国民党の兵士だった男が、
台湾から中国・上海に一時帰郷するお話…。


上海に住む女性ユィアーに
台湾のイェンションという男性から1通の手紙が届いた。
帰郷団の一員として40年ぶりに帰国するので
会いたいというのだった。

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1949年、国民党軍だったイェンションは、
共産党軍に追われて台湾に渡った。
妻のユィアーも一緒に渡るはずだったが、
約束の場所で落ち合えず、生き別れてしまった。

この時、ユィアーのお腹には子供がいたが、
のちに共産党軍のシャンミンと一緒になり、暮らしはじめた。
子供を抱えてひとり苦労しているユィアーを見て、
シャンミンが同情したのだ。

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帰郷団員を迎える町内の子供楽団の音楽が鳴ったので、
ユィアーとその家族は玄関前で出迎えた。

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イェンションが車から降り立った。
いきなりこの絵だったので私は思わずゲラゲラと大笑いした。
だってさ、この顔、なんか可笑しくない?(笑)

老いた男はゆっくり言った、
「ユィアーか。リゥ・イェンションだ」…。

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元夫と40年ぶりの再会…、これもねえ(笑)。

すでにこの4枚の写真でわかるけど、
この監督、それこそ写真を撮るときみたいに、
人物を全部、正面向かせて撮ってるんだよね。

私流に言えば、紙芝居的映像…(笑)。
映像だけじゃなくて、演技も紙芝居的にさせてる。
それが懐かしさ、可笑しさを誘う?
うん、私、大好き…(笑)。

ちなみに監督は、
あの傑作「トゥヤーの結婚」を撮ったワン・チュアンアン。
このひと、中国の監督の中でも一風変わってて、
私、好きだわ…(笑)。

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これは歓迎楽団…、ね、いいでしょ!(笑)

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一同、再会の食卓に着き、ユィアーが家族を紹介する。

ユィアーには、いまの夫シャンミンとの間に生まれた娘二人と、
元夫イェンションとの間に生まれた息子一人がいる。

娘たちは、
「台湾の妻が死んだからお母さんを思い出して帰ってきたんでしょ。
今更なによ」と思い、
息子は、「あの人と自分は何の関係もない」と黙殺している。
ちなみに娘婿は、「償いとしてお金を」という立場…(笑)。

元夫は、現夫の優しい心遣いで、
上海滞在中はこの家で寝泊りすることになった。

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元妻と元夫は、孫娘を連れ、バスで上海を見学。
そのあと、引っ越すことになっている建設中の高層マンションに上り、
この40年の間のことを話した。

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元夫は言った。
二人とも先は長くない。
おまえを台湾に連れて帰り、一緒に暮らしたい…。

元妻は言った。
文革の時は川に飛び込んで死のうと思った。
わたしが本当に生きていたのは、あなたとの日々だけ。
でも、優しい現夫にはどうやって話せばいいの…?

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孫娘はトイレに行くと席を離れ、
二人の話を隣の部屋で聞いていた…。

この孫娘にはじつは結婚相手がいる。
なんとなく二人が生きてきた歴史に耳を傾けながら、
カレとの将来のことを考えている。
物語は抜かりなくそうした構造になっている(笑)。

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そのころ、無限に優しい現夫は、元夫を心から歓待するため、
高いのでふだんはけして買わないカニを…、
それも1匹100元もするカニを4匹も買っていた!

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元妻は、現夫に自分から話をするつもりだったが、
カニ4匹の夫の心づくしのせいで、
その日は結局、話を切り出せなかった(笑)。

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翌日、妻、夫、元夫は食卓についた。

家族の、そして人間関係の基本は「食卓」だもんね。
食卓が壊れると、家族も、人間関係も壊れるものなのよ。
あ、笑ってる場合じゃないよね、日本人の食卓は…!(笑)

元夫と元妻は、二人で話すことにし、
元夫は、現夫に元妻を台湾に連れて帰りたいと言った。
現夫は、妻の気持ちを確かめると、
「それなら構わないさ」と一点の曇りもみせず快諾した。

なんちゅう夫やねん、すこしは曇ってみせんかい!(笑)

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家族会議が開かれた。
「かあさんを連れて帰るなんてありえない!」
と娘は当然反発した。

母は言った。
私は長い間、家族のために、子供たちのために生きてきた。
私はもう長くない、これからは自分のために生きたい…。

御仏の現夫も口添えした。
母さんの好きにさせてやれ、
母さんは苦労してきたから幸せになってほしい、と…。

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話は決まった。
現夫は元夫のために離婚すべく役所へ行った。

役所は言った。
お二人は結婚届を出していない、つまり事実婚です、
事実婚なんだから離婚届もいらないんじゃないすか、と(笑)。

二人は戸籍的にもちゃんとしたかったので、
まず結婚式の写真を撮って結婚届を出し、
それから改めて離婚届を出すことにした。

うん、わかる、いいなあ…(笑)。

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元夫は、孫娘と上海を見学しながら、
離婚届に行った二人を待っていた。

孫娘が上海はどうかと聞くと、
元夫は「もう見知らぬ街だよ」と答えた。

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離婚届を出した元妻と現夫は、街の食堂で元夫らと合流した。
現夫は浴びるほど飲み、酔っ払い、言った。
わしはこれまで家族のためにと節約してきた。
しかしもう節約はやめた、人間、生きる以上楽しまんと!
おい、ナナ(孫娘)、タバコをくれ。タバコも吸うぞお~…。

おっ、現夫が離婚を機に御仏をやめ、人間になったみたいだぞ(笑)。

「元国民党員のかあちゃんと結婚したので出世からも外された。
とうちゃんの人生は、貧乏クジの人生だった!」
おいおい、とうちゃん、飲みすぎだっぺ(笑)。

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ほかのお客が「うるさい、静かにしろ」と文句を言うと、
現とうちゃんは
「なにを!相手してやる。わしは死をも恐れんぞ」と
ついにケンカまでおっ始めた。

そしてついに軽い脳梗塞を起こし、倒れてしまった…。

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病の床についた現夫は、
大好きな「食べること」もやめてしまった。

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元夫は、
現夫に少しでも食べて元気になってもらおうと、
こんどは自分が市場へ買い物に行き、料理した。

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元夫の心に現夫はまた元気を取り戻し、
酒を飲み、料理を食べた。

御仏から人間に降りた現夫は、
共産党兵士として戦ったころの話をした。
毎日死に直面し、
戦友の死を忘れるために飲まずにはいられなかったあの頃…。

あの頃の話をしてわかってくれるものはもう
元夫しかいなかった。
カレは敵兵士だったとは言え、間違いなく戦友だった。

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元夫も、追われて台湾に向かった日の話をし、
台湾に着いて毎日歌っていた望郷の歌をうたった…。

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珍しく酔った妻も当時の流行歌を歌った。
現夫の前ではじめて歌った。
その歌なら私も知っていると現夫も一緒に歌った…。

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帰国前日、元夫は息子と話した。
頑なだった息子が初めて口を開いた。
「今更あんたを父親と思う気持ちはない」

そして母親に言った。
「母さん、あしたはオレも一緒に見送りに行くよ」と…。

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空の下で別れの食卓が囲まれた。

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元夫は世話になったお礼にと、
70年代台湾で流行った「小ぬか雨」を歌い始めた。

♪窓の外は そぼ降る小雨
 こころはふさぐばかり…

私も知ってる!(喜)

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と、とたんに小雨が降り始め、元夫と家族は軒下に避難した。

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食卓は小雨に濡れた。
戦争で引き裂かれた家族たちの涙の雨で…。

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翌日、元夫は結局、単身で帰国した。
現夫の心に触れ、連れて帰るわけにはいかないと思ったのだろう。

元夫は「また会えるよ」と言ったが、
元妻はこれが永久の別れだろうと思い、声をあげて泣いた。

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ユィアーとシャンミンは、件の高層マンションへ引っ越した。
息子、娘たちは寄りつかず、
孫娘ナナだけが夫婦と新しい食卓を囲んでいた。

ナナの結婚相手はアメリカへ留学した。
帰ってきたら、結婚し、
祖父・祖母とここで一緒に暮らすつもりだった…。


ワン・チュアンアン監督の狙いは
思ったほどうまく行っているとは思えないが、
とても味わい深い、いい作品だよ。

ぜひ一度ごらんあれ!


■96分 中国 ドラマ
監督:ワン・チュアンアン
製作総指揮:リサ・ルー ピーター・ドナー
脚本:ワン・チュアンアン ナ・ジン
撮影:ルッツ・ライテマイヤー
音楽:マー・ペン
出演
リサ・ルー ユィアー(玉娥)
リン・フォン リゥ・イェンション(劉燕生)
シュー・ツァイゲン ルー・シャンミン(陸善民)
モニカ・モー ナナ(娜娜)

「トゥヤーの結婚」のワン・チュアンアン監督が、中台分断で離れ離れとなった元夫婦の40年ぶりの再会を綴った感動ドラマ。歴史に翻弄された元夫と元妻、さらには2人の再会を複雑な思いで受け止める妻側の現在の夫と子どもたち、それぞれの心情を繊細かつ優しい眼差しで描き出していく。ベルリン国際映画祭でみごと銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞。出演はリサ・ルー、リン・フォン、シュー・ツァイゲン。
上海で暮らす玉娥(ユィアー)のもとに、ある日一通の手紙が届く。それは、戦争によって生き別れ、逃れた台湾でその後の人生を送ってきた元国民党軍兵士の夫・燕生(イェンション)からのものだった。彼は、40年ぶりに中国に戻り、ユィアーと再会することを願っていた。当のユィアーは、ひとり残され過酷な日々を送っていたときに出会った心優しい男性・善民(シャンミン)と再婚し、今では子どもたち、孫たちに囲まれ平穏な日々を送っていた。そんなユィアーの家族たちにとって、イェンションの突然の来訪は少なからぬ戸惑いをもたらす。それでも優しいシャンミンは、イェンションを精一杯のもてなしで迎えるが…。

 

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  • 再会の食卓 (2011/4/29)

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