ロゼッタ (1999) ヨーロッパ

[795]手持ちカメラでひたすら少女を追うダルデンヌ兄弟の狙いはなにか
★★★★★★

画像


「息子のまなざし」や「ある子供」で知られる
ベルギーのダルデンヌ兄弟の作品。

私の好きな映画、2度目。
たまたま新人のyoshidaさんが持ってきてくれたので…(笑)。

ロゼッタは、母親と二人で
キャンプ場のトレーラーハウスで母親と二人で暮らしている。

画像

母親はアル中で、毎日、酒浸り。
ハウスの家賃も大家にからだで払う始末…?

物語は、そのロゼッタが
ある日、職場を首になってしまうシーンから始まる。
といって、いわゆる物語らしい物語がある訳ではない。

まっとうな生活がしたいと思い、
仕事を求める彼女の日々が…、刻一刻が
ダルデンヌ兄弟らしく、
ただドキュメント・タッチで描かれていく…、
ひたすら手持ちカメラで追われていくだけである。

画像

トレーラーハウスの窓の隙間から風が入ってくるので、
ティッシュで塞ぐロゼッタ…。

画像

ロゼッタの唯一の宝物である長靴。
彼女はお腹が空くと、
森の土管の中に隠しているこの長靴を履き、
池へ行って魚を釣り、食う…。

この手法がすごい。

カメラはしつこくロゼッタを追い、離れない。
彼女が走ればカメラも走る。
彼女が誰かと話をしていても、相手を映さない。
ひたすら彼女の表情を追うだけである。

そのため観る側は、物語や
彼女の置かれている背景を俯瞰して知ることはできない…。

ダルデンヌ兄弟は、
どうしてそんな撮り方をするのか?

ひとつはたぶん、
劇映画的な物語を可能な限り排したいからである。

そしもうひとつはたぶん、
俳優に通常の「役作り」なんてさせたくないからである。

実際、ここまで近距離でカメラに執拗に追われると、
俳優は通常の「役作り」なんてやってる暇など、ない(笑)。

そんなもん、やったって、
映されると「うそ」だってバレバレになってしまうからだ。

ダルデンヌ兄弟も
なにかの折に発言していたような記憶があるが、
役作りなんていらん! くだらん!
そんなものは暇人のやってることだ!
ということなのだと思う…(笑)。

画像

じゃあ、物語を排し、俳優の役作りを排し、
ダルデンヌ兄弟はなにを映したいのか?

たぶん、
人間が…、ロゼッタという少女が実存する姿である。
ロゼッタという女の子が発している生命と、
その躍動感=輝きである。

それは、
役作りなんて悠長なことをやっている俳優からは
けして発せられるものではない。

ロゼッタが生活的に悲惨であるという、
いわば極限的な物語設定も、
おそらく極限に置かれたとき、ひとは実存する姿を…、
初源的な生命をさらけだす、
と、ダルデンヌ兄弟が考えているからだろう…。

兄弟の期待に応えたエミリー・ドゥケンヌもすごい。
大拍手ものだ…!

画像

彼女は、たったひとりの友人であるボーイフレンドを裏切り、
かれの仕事を奪う…。

と、書きながら、ふと思う。
コレ、じつはこの映画の中に私の劇を見ようとしてるからなのかも、
と…(笑)。

うん、歳をとるに従って、
作家の書く物語はくだらん、取るに足りん!
役者も役者だ、くだらん役作りなどするな!
って、なってきてるもんね、私…(笑)。

その意味で言っても、うち(劇団)の杉祐三はすごい。
いま日本で一番すごい俳優かも…、
なんて思っちゃったよ、「ロゼッタ」観ながら…(笑)。

「ロゼッタ」が大好きだというyoshidaさん。
なのにくだらない役作りに励もうとするyoshidaさん。
君を見てると私は悩みが絶えないよ~…(笑)。


93分 ベルギー/フランス ドラマ
監督:リュック=ピエール・ダルデンヌ
ジャン=ピエール・ダルデンヌ
撮影:アラン・マルクーン
美術:イゴール・ガブリエル
出演
エミリー・ドゥケンヌ
アンヌ・イェルノー
ファブリッツィオ・ロンギーヌ
オリヴィエ・グルメ

逆境の中にあってもたくましく生きていく女性の姿を、「イゴールの約束」のダルデンヌ兄弟が描いた作品。キャンプ場のトレーラーハウスで酒浸りの母と暮らす少女ロゼッタ。ある日、彼女は理由もなく職場をクビになってしまう。ロゼッタは厳しい社会の現実にぶつかりながらも必死で新しい仕事を探しつづけるのだが……。99年のカンヌ映画祭でパルムドールと主演女優賞を受賞。

 

山の手形成クリニック
マイティーサーバーの専用サーバー

ブログランキング・にほんブログ村へ 

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック