カエル少年失踪殺人事件 (2011) 韓国

[841]未解決の少年事件を正面から真摯に描いた傑作
★★★★★★

画像


性懲りもなく我慢できずに借りてきた韓国映画第3弾。
理由、タイトルが気に入ったから…(笑)。

なんて笑っている場合ではなかった。
実際に韓国で起きた少年たちの失踪事件を描いていたのだ。
しかも未解決の…。

画像

1991年3月26日、大邱(テグ)市達西区(タルソく)。

画像

その日は基礎議員選挙で学校は臨時公休日だった。
朝8時頃、城西(ソンソ)国民学校に通っていた小学生5人が
近くの「臥竜山にカエルを捕まえに行く」と出かけたまま
行方がわからなくなった。

画像

直後から警察や軍による懸命の捜索活動が行われた。

画像

が、5人の少年を発見することはできなかった。

画像

事件から4年後…、
大邱のMBS放送支局へ
ソウル本局からひとりのディレクターが赴任してきた。
カン・ジスン(パク・ヨンウ)…、
ヤラセのドキュメンタリー番組を創ったので左遷されたのだ。

ちなみに支局のアン部長はおらがチュ・ジンモだった(笑)。

画像

地元では当然ながらまだ捜索活動が続いていた。

ジスンは、
支局に山積みになっている同事件のビデオの中から、
気になるインタビューを見つけ出した。

当日は選挙投票日だった。
事件が起きた地区は1票が左右するほどの激戦区である。
そのため何者かが子供たちを山へ誘い出して
失踪騒ぎを起こし、親が投票に行けないようにした。

少年たちは帰すつもりだったが、
なんらかの事情が発生して帰せなくなったのではないか、
というのである。

喋っている人物は、国立科学大学の
心理学教授ファン・ウヒョク(リュ・スンニョン)だった。

画像

ジスンは食いついた。
スクープを撮れば本局はおれを呼び戻すと考えたのだ。

教授の取材へ出向くと、
教授はすでにある人物を疑っていた。
失踪した少年のひとりであるチョンホ君の母親と父親である。

画像

理由は単純だった。

あの年齢の子供だったら1日中外で遊んでいてもおかしくない。
なのにあの母親は、午前中のうちに
子供がいなくなったと探しはじめ、警察に届けている。

失踪から2ケ月後、チョンホ君から母親に電話があった。
その電話に対応した母親の様子も妙だ。
異様に冷静だし、逆探知ボタンも押した様子がない…、
というものだった。

ジスンは事件担当のパク・キョンシク刑事に会い、
教授の話をし、すぐに警察を動かそうとした。

画像

そのパク刑事…、オラがソン・ドンイル。
最近、しょっちゅう会ってる感じだべ。

パク刑事は動かなかった。
あれだけ隈なく捜索したんだ、
発見されないのは子供たちが生きてるからだ、と信じていた。

というより、
どこかで生きているはずだと信じている親たちを信じていた、
というべきかな? な、ドンイル?

画像

ジスンは教授と一緒に
チョンホ君の父親と母親へ会いに行った。

チョンホ君の父…、おらがキム・グテク。

「花嫁はギャングスター」の頃からするとえらく老けたなあ
という感じがするが(ごめん)、いやあ、
この役がいままで観た中ではもう抜群によかったぜ!

画像

この日の父親の行動に疑惑を抱いた教授は、
二人が自宅に子供たちを埋めていると確信し、
ついに警察を動かす。

画像
画像

パク刑事指揮のもと、捜索隊は
教授が指示する場所を片っ端から掘り返したが、
少年たちの遺体は発見されなかった。

画像

被害者少年の親を疑った教授は、
集まった村人や、
ほかの被害者両親たちから激しい非難を浴びた。
そしてその後、かれは教授の座をはじめすべてを失う。

パク刑事が教授の要請で捜索に動いたのは、
じつは教授の暴走を止めるためだったのだ…。

画像

外での騒ぎをよそにチョンホ君の母親は言った。
「これでよかったわ。もう疑われなくてすむから」と。

「そんなことはどうでもいい。
みんなうちの子が死んだと思っている」
父親はそう言って泣いた…。


事件から11年後の2002年9月…。

画像

臥竜山の山林で白骨化した5つの遺体が発見された。

遺体は明らかに少年のものだったが、
警察は他殺ではなく凍死とした。

画像

少年たちの親は激しく反発した。
現場は少年たちが遊びなれた場所だったし、
親たちがなんども捜索した場所だったからである。

画像

ジスンも発掘現場に立ち、作業を見守っていた。
かれはあのあと本局に呼び戻された。
妻との間に子供も生まれた。

画像

被害者少年の母親のひとりはジスンを発見し、激しくなじった。
あのあとチョンホの父親は死んだ。
あんたたちが殺したんだ、と。

画像
画像

ジスンには返す言葉などなかった。
心の中で深く恥じ、謝罪していた。
謝罪しても謝罪しきれないのだと知っていた。

画像

ジスンは検死をしている法医官に会った。
医官はジスンの気持ちを察し、話した。
遺体は少なくとも白骨化したあとに運ばれたものではないこと。
自然死ではなく他殺であること。

画像

犯人は子供たちの頭部を衣服で隠していたこと。
衣服の結び方は船乗りがよく使う「本結び」であること。

死因は頭部に残っている傷跡であること。
しかし凶器がなんであるか、まったくわからないこと。
傷跡が多いことから快楽殺人の可能性があることなどを…。

画像

ジスンはさらにパク刑事を尋ねる。
かれもジスンの気持ちを察し、自分の推理を話した。

犯人は地元の人間ではない。
よそ者で、しかも土地勘のあるやつだ。
犯人は以前から少年たちと顔見知りで、
お金などをあげて手なづけていた形跡がある。

画像

ある夜、チョンホの家の前で不審車をみかけた。
警察だというと車は逃走した。
おそらくあいつが犯人だろう。顔つきでわかる。
以前、つり場で見かけたこともある男だ、と。

画像

そして後日、パク刑事はジスンに
男の似顔絵、住所、車両ナンバーをファクスした。

この時点でパク刑事はまだ証拠を掴んでいないので、
民間人ジスンにも協力を求めたと解することができる。

画像

ジスンはひとり、その男のアパートを尋ねるのだが…。

おすすめの作品なのであとは観てくださいな。

画像

実際の事件を、しかも未解決の事件を扱っているので、
スタッフや俳優たちが細心の神経を配りながら、
真摯に事件に向き合っている。

それに感動するし、同時に
エンターテイメントとしても楽しめるような作品に仕上がっている。

若干難を言えば、脇がみんな良すぎて、
主役のジスンとファン教授が弱いかな?
と思わないでもないが、まあ、それもご愛嬌ということで…。

しかしジスンとファン教授も実在の人物なのかなあ。
だとするとあの少年の親を疑うところはちょっとひどすぎるよ、
と思うよね。
思い込み以外の何者でもないもん。怖いよ。

事件の結果は冒頭で言ったように、
犯人は逮捕されず、2006年3月25日に時効が成立している。

画像

ところで「なに?」と思ったことがある。
この事件は
韓国三大未解決事件のひとつと言われているらしいのだが、
あとの二つもなんとこの事件の年と重なってるのよ。

「華城連続殺人事件」
86~91年に華城市近辺の小さな村で起こった連続強姦殺人事件。
ちなみにこれは「殺人の追憶」として映画化。

「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」
91年にソウル江南区で起こった9歳の少年の誘拐事件。
これも観てないが「あいつの声」として映画化。

画像

このころは韓国全土が
民主化に向かってしのぎを削ってる真っ最中なんだけど、
その波に隠れるかのように
こういう未解決事件が起きてたのかと思うと怖いよね。

ちなみにファン教授は
この地区の選挙は1票で左右される、
それが事件の動機ではないかと考えたわけだけど、
その1票はたぶん
保守派と革新派の攻防の激しさを表しているのかなあと思う。

だとすると、そのあたりの時代背景を入れたほうが、
見てる側にもう少しわかりやすかったかもしれないね。

しかし久しぶりに面白い韓国映画だった。

事件からずいぶん時間が経つけど、
少年たちの冥福を心から祈りたい…。


■132分 韓国 サスペンス
監督:イ・ギュマン
脚本:イ・ヒョンジン イ・ギュマン
撮影:キ・セフン
音楽:チェ・スンヒョン
出演
パク・ヨンウ カン・ジスン
リュ・スンリョン ファン・ウヒョク
ソン・ドンイル パク・キョンシク
ソン・ジル ジョンホの父
キム・ヨジン ジョンホの母

“韓国三大未解決事件”の一つといわれる実在の迷宮入り事件を映画化したサスペンス・ミステリー。2006年に時効を迎えた事件の真相にリアルかつ大胆に迫っていく。出演は「シュリ」のパク・ヨンウ、「ベストセラー」のリュ・スンリョン。監督は「リターン」のイ・ギュマン。1991年3月26日。のどかな田舎町で、カエルを捕まえると言って出かけた5人の小学生が行方不明になる事件が発生する。警察や軍による必死の捜索も、少年たちの行方は杳として知れず、犯人の逮捕も実現しない。そんな中、スクープを狙うテレビ記者、犯人像の分析を進める大学教授、そして事件を担当する刑事、それぞれが真相を突き止めようと奔走するが…。

 
山の手形成クリニック
マイティーサーバーの専用サーバー

ブログランキング・にほんブログ村へ 



この記事へのコメント

この記事へのトラックバック