赤い航路 (1992) ヨーロッパ

[905]やばい、これは阿部定事件になるぞと観ててだんだん怖くなるよ
★★★★★☆

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えっ、コレ、1992年だった? 
もっと前~かと思ってたよ。
この頃から私の年代の記憶、ボケてくなあ。
なんでだろう?(笑)

おらがロマン・ポランスキーの「密室」劇。

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舞台は、イスタンブール行きの豪華船。
イギリス人のナイジェルとフィオナは、
結婚7年目の夫婦の愛を確認すべく旅に出る。
7年目、確認すべく、という時点ですでにやばいよなあ(笑)。

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右、ナイジェル…、ヒュー・グラント。
左、フィオナ…、おらのクリスティン・スコット・トーマス。
「イングリッシュ・ペイシェント」、
作品自体はあまり面白くなかったけど、彼女はいかった!

出発後ほどなくして、
二人は船酔いをしてトイレで吐いている女に出会う。

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女の名はミミ…、エマニュエル・セニエ。
二人がどこへ行くのかと聞くと、女は「遠いところへ」と答える。
さすがポランスキー、すぐに謎めきたがるよねえ(笑)。

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夜、船内のバーで再び彼女に出会ったナイジェルは、
イロを振り撒く彼女に思い切り下心を抱く(笑)。

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ナイジェルのその下心を読み取った男がいる。
ミミの夫、パリ在住の売れない作家オスカーだ。
演じてるのはわれらがヒッピーの味方、ピーター・コヨーテ。

下半身不随で車椅子生活を続けているかれは、
妻と寝たかったら私の話を聞きなさい、
とナイジェルを捕まえ、

妻ミミとの出会いから現在に至るまでの
自分たち夫婦の話を滔々と語りはじめる。
それも三日三晩、セックスの話ばっかり。

なんなんじゃお前は~!
オスカー、おまえじゃない、おらがポランスキーだあ!
だよねえ、まったく…(笑)。

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バスの中で出会い、
青年のように心を時めかし、

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パリ中を探しまわってようやく発見し、

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デートを申し込み、

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部屋の暖炉の前で結ばれると、あまりの素晴らしさに、

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彼女こそ運命の女だと、
三日三晩、部屋にこもりきりで互いを貪りあい、

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遊園地で愛を囁きあい…、していたが、
月日が経つと、恋の炎はそれだけでは飽き足らず、

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彼女がダンスを習っていたこともあって、
濃厚かつ淫らになり、

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それにも飽きてしまうとSMまで始めた…(笑)。

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あんた、それ、なに?
あ、いや、なんなんだろうね、いったい…?

なんでそんな話聞くに行くわけ、毎日。
あ、いや、ぼくだって行きたくないんだけど、
かれがどうしても聞いてくれって言うもんだから…。

彼女が目当てなんでしょう、奥さんが。
な、なに言ってんだよ、ぼくはこれでもイギリス紳士なんだぜ。
イギリス紳士ともあろうものがそんな淫らな…。

とぼけないでよ。彼女、女のあたしから見ても魅力的だもの。
と、とぼけるだなんてなに言ってるんだ。
僕が愛してるのは君だけだよ。
あ、時間だ、そろそろ行かなくちゃ…(笑)。

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やがて夜が恐ろしくなった。
彼女を抱く気にもならない。
熱を帯びた彼女に求められてもただ惰性的なセックスだけ。

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ワナにかかったネズミの気分だ。
窓の外には、踊り、愛し合う人々の群れ。狂乱のパリ。
私は元の生活が無性に恋しくなった。

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二人で殴り合いを演じた次の日、私は彼女に言った。
私たちはもう終わりだ。
このままではお互いに傷つけあうことになる。
別れよう。美しい思い出を残そう。

彼女は言った。
私がいったいあなたに何をしたの?傷つけた?
私はあなたを愛してるの、結婚したいの、
あなたの子供を産みたいのよ、と。

だから私は言ってやったよ。
もう君の存在自体が耐えられないんだよ、と。

彼女は私の元を去った。
ようやく解放されたと思ったら…、

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性懲りもなく舞い戻ってきて…、
あなたなしには生きられない、なにをされても構わない、
愛してくれなくてもいい、あなたのそばに置いて、と。

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人間にはサディスト願望がある。
私は彼女を部屋に置いて、彼女の望みを叶えてやった。
いたぶっていたぶっていたぶり続けることにした。
部屋で、人前で、思い切り…。

彼女は衰弱し、しまいには病気で入院した。

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さすがに私の心は痛んだ。
なので退院すると、二人で旅行しようと誘い、
飛行機が離陸する寸前、私はこっそり降りて、
ひとりで行かせてやったよ。

なぜかって?
彼女のお腹に私の子供がいたからさ…。

なんなんじゃ手前は~!
ポランスキーじゃない、おまえだ、コヨーテ!

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おまえはそれでもヒッピーのために無料の家を作り、
無料の病院、無料の銀行を作ったあのコヨーテなのかあ~!
だよねえ、まったく…(笑)。

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そして私はまたパリの狂乱の日々に戻った。
女たちに声をかけまくり、セックスしまくった。
小説を書くことも諦めた。

そして2年後のある未明…、

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通りで女を追っかけているところを車に撥ねられた。

そりゃ天罰つうもんだべ。
なにか言ったか?
おらの声じゃねえべ。ほら、続けんちゃい(笑)。

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入院して軽い脳震とうと骨折と診断されたが、
ある日、突然、ミミが見舞いに現われ、
ベッドから私を床に引きずり落とし、
それがもとで私の脚は麻痺してしまった。

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以来、私は彼女の介護なしには生きられなくなった。
ある日、どうしてあなことをしたのだと聞くと彼女は言った。
「わからないの、あなたなしには生きられないからよ」と。

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彼女は誕生日に、私に銃をプレゼントしてくれた。
私の自由はこれだけだと言うことだろうか?

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ある夜、彼女は、酒場で知り合ったダンサーの男を呼ぶと
私の前で踊り、私の前で寝た。

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屈辱のどん底に突き落とされた私は、
これほど烈しく憎みあえる相手は二度と現われまい、
と覚悟し、彼女と結婚した…。

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ようやくオスカーの話が終わると、
ナイジェルは立ち上がり言った。
あなたのことも、彼女のこともよくわかった、と。

おらは感心する。
ほうか~、偉いなあ、書いてるおらは全然わからんのに、と(笑)。

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その夜、船内は新年のカウントダウンを目前に狂乱していた。

ナイジェルは、船酔いした妻フィオナをベッドに寝かせると、
会場へ行き、ミミに近づいた。
「話を聞き終えたら」と彼女に耳打ちされていたからだ。
フフフ、今夜は乱れてやると内心ほくそ笑んでいると…、

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ん?船酔いが治ったのかな、妻が現われたぞ?

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そしてミミに近づくと…、ん?
なにやら二人して酔ったように隠微な踊りを始めたぞ、
と思ったら、

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ん?二人して抱き合い部屋に消えたぞ?

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と、口を開けて呆然としているイギリスの若紳士ナイジェルを、
「君の気持ちはわかる。私もずっと敗者だった」と
作家になれなかった作家オスカーが慰める、
というお話…。

え? それだけじゃないだろ、ポランスキーだぞ?
やっぱりわかる?
なんだよねえ。でも言っていいのかなあ(笑)。

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二人がミミの部屋へ行くと、
ミミとフィオナは交わり疲れて眠っていた。

オスカーはナイジェルを嗤う、
君は自分の妻のことをなにもわかっていなかったんだ、と。

ナイジェルが怒り、掴みかかると、
オスカーは銃を取り出し、

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私の話はまだ終わっていないと、
ベッドに横たわるミミを射殺し、

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「私たちは愛に餓えてた。ただそれだけだ」
と言い残し、ミミの後を追う…。

なんだか切なくなるよねえ。
愛しあう人間の心は他人にはなかなか計り知れないよねえ。

オスカーとミミの物語は「性」に閉じられてしまってるよね。

性は本質的に閉じるものだけれど、
二人の世界がこうも閉じられていなかったら、
「密室化」していなかったら、
二人の人生はもうすこし違った展開をしたかもしれない。

たとえば、オスカーに原稿の依頼が来て、
執筆に時間を割かなければいけなかった、とか。

そうした「性」以外の時間が入りこんできたら、
二人の性行為は
ズルズルと深みに入り込まなかったような気がする。

見ててだんだん怖くなるのはそこだよね。
ああ、これじゃ「阿部定」事件になっちゃうよ~って思う?

もうひとつ、
豪華なクルーザーにしてしまったのもまずいよねえ。
もし飛行機で旅行してたんだったら、
やっぱり展開はすこし違ったと思うよ。
だってそこはまさに海の上の「密室」なんだもん(笑)。

こういうクルーザーに閉じ込められてしまうと、
もう男と女しか…、性の世界しかないよね。
男も女もそのことしか考えない。

夫ナイジェルも妻フィオナも、
7年目の浮気相手としてミミを狙っていた!
という怖~い、皮肉っぽ~い話なんだけど、

浮気を考えちゃったのは、そこがクルーザーだったから…、
「性」が表れやすい「密室」だったからだよね。

オスカーがナイジェル相手に、
夫婦の性的物語を話すことができたのもそこが「密室」だったから
ということになるんだけどさ。

まあ、人間は
個人的な時間、性の時間、社会的な時間を
それなりにバランスを保ちながら生きていかないと…、
何事も「密室」化すると、怖いよねえということかな…?

ひとによっては好き嫌いが生じるかもしれないけど、
そこがまあ私はポランスキーの映画らしくていいなあ
と思っているんだけど、

これも時間があったらひとついかがでしょうか。


■140分 フランス/イギリス ドラマ/エロティック
監督:ロマン・ポランスキー
製作:ロマン・ポランスキー
製作総指揮:ロベール・ベンムッサ
原作:パスカル・ブルックナー
脚本:ロマン・ポランスキー
ジェラール・ブラッシュ
ジョン・ブラウンジョン
撮影:トニーノ・デリ・コリ
音楽:ヴァンゲリス
出演
ピーター・コヨーテ
エマニュエル・セニエ
ヒュー・グラント
クリスティン・スコット・トーマス
ヴィクター・バナルジー

男と女の極限下のエロティシズムを描いた文芸大作を、ロマン・ポランスキーが映画化。
ナイジェルとフィオナは、夫婦の愛を確認する為にイスタンブール行きの豪華なクルーザーによる旅に出掛ける。そこでナイジェルは車椅子のオスカーと知り合う。パリに住む作家オスカーはナイジェルに、自分の妻であるミミとの関係を聞かれるともなく語り出す。彼は、背徳の香りがする二人の性生活に嫌悪感を抱きながらも好奇心にかられ、毎夜彼の部屋でオスカーとミミの過激なセックスライフの秘密を聞かされて行くのだが……。
ポランスキー監督は、飽くことのない激しい欲望に身を委ねる恋人たちの官能的な姿や、激情の末の残酷な結末を赤裸々に描きだす事で、愛というものは性的な欲望の虜へと堕落しうるものであり、さらに精神的、肉体的な残酷性へと変貌するものだという事を、一種恐怖症的な緊迫感を持って見事に映像化させている。

 

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