偕老~最も美しい同行~ (2011) 韓国

[906]死にゆくものが死を受容するまでの過程を描きだした佳作
★★★★★☆

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老後を暮らす一組の夫婦がいる。

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元国語教師の夫ミノ(チュ・ヒョン)と、
妻ヒジョン(イェ・スジョン)である。

とうちゃん、太りすぎでねえかい。気をつけんとな。
と、おらが心配していると、

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案の定、夫ミノが港で倒れた。

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幸い大事には至らなかったが、
タバコは厳禁、クスリは常時携帯、
無理は一切しないようにとお医者さんに言い渡され、退院。

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これではいつ何時どうなることやら、と妻への態度も反省。
妻の好きなお花を買ってやったり、
クリスマスにムード下着をプレゼントしたりと
愛と感謝を尽くすようになったが、

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ある日、今度は妻が倒れた。

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末期ガンですでに全身に転移、余命2カ月と
医者に言われた。

奥さんに病名を告げて抗がん剤を投与しましょう
と言われたが、病名を告げることができないまま、
抗がん剤の投与がはじまった。

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副作用による苦しみが妻を襲いはじめた。

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妻の苦しみを前に夫はひたすら無力だった。

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海外留学をしている息子に、
おかあさんが病気だ、帰って来いと電話をしたが、
病名を告げることはできなかった。

息子が帰ってくる気配はなかった。

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やがて心臓に爆弾を抱えている夫と、
末期がんに犯されている妻は、
自分たちの死について話すようになった。

相手の死を看取ってやりたい気もするし、
看取るのは哀しいから先に死にたい気もするし、
二人とも少しも気持ちが定まらなかった…。

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突然、夫に名案が浮かんだ。
同じ日に、同じ時刻に死ねばよいのだ。
これ以上幸せな死に方はない、と。

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それを聞いた妻は烈しく怒り、泣いた。

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が、夫の気持ちはすでに揺ぎなく、
大量に飲むとショック死するという薬を病院で盗み、
ひそかに用意した。

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妻は一時、危篤に陥った。
すでにからだが抗がん剤に耐えられなくなっていた。

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そのベッドで妻は、自分が死んだあとに
通りで心臓麻痺を起こしひとり野垂れ死ぬ夫の夢を見、
夫の計画を受け入れることにした。

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妻は病院の庭に出ると、
幸せな人生だったわ、お家に帰りたい、と言った。

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夫が医者に、
妻は家で臨終を迎えたがっているので退院させてくれと頼むと、
医者はむろん願いを却下した。

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が、夫は息子に遺書を書くと、家での死の準備を始めた。

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妻も息子に電話でひそかに別れを告げた。

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翌日、夫は妻を病院から連れ出し、家に連れ帰った。

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妻は、夫の家の中の身支度に感心し、微笑んだ。
からだの痛みもうそのように消えた。

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二人とも怖くなかった。
幸せだった。

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新婚の初夜を思い出した。
二人は眠りについた。

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窓の外は雪だった…。

エリザベス・キューブラー・ロスは、
「死ぬ瞬間」という著書で死の過程について述べている。

1、第一段階 否認と孤立
2、第二段階 怒り
3、第三段階 取り引き
4、第四段階 抑鬱
5、第五段階 受容

かれの語るこの5段階は
強く「神=キリスト」が刻印されているので
微妙に感じ方が違うところもあるかもしれないが、
作品はその過程を見事に描きだしているとおもう。

ただこれが「最も美しい同行」かとなると、
そうだなあとも思うし、「?」と違和を感じるところもある。

違和を感じる最大の問題は、
自分たちの死が自分たち「夫婦」だけのものとして
捕らえられているからだとおもう。

二人の死はたしかに個人の死であり、夫婦の死である。
その意味では二人がこうした死を選ぶのは自由だし、
二人にとっては幸福な死かもしれないが、

でも、二人の死は「家族の死」でもあるんじゃないかなあ、
と思ってしまうのである。

平たく言うと、
二人の死は、残される家族=息子に看取られてはじめて
幸福な死になるんじゃないかなあ
という気持ちが私はどうしても拭いきれないのだ。

自分の死がたんに自分個人の死であり、
夫婦の死が夫婦だけの死だとしたら、
みんなそんなに悩まないんじゃないかなあ。
とくにアジアの文化を呼吸している民族はそうなんじゃないかなあ。

アジア人はどっちかって言うと、
死ぬ自分のことより、残される家族のことを…、
特に子供のことを第一に考えるんじゃないのかなあ。
残される者のことを考えて悩むんじゃないかなあ、
と思うのである。

私がキューブラー・ロスの考えに多少違和を感じるのも、
そこが抜け落ちている気がするからだ。
ま、私がアジア人であり、日本人だからだとおもうが。

と思っていたら、なんだ、
この映画の原作、フィンランド作家の小説だったよ(笑)。
はやくそう言えよ。
と、少しは納得するからと思ってしまったのでした。

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まあ、そのあたりのことは各自みなさんで考えていただくことにして(笑)、
チュ・ヒョンさんと、イェ・スジョンさんがほんとに素晴らしいなあ!

こと二人に関しては「最も美しい同行」、必見だね!


■117分 韓国 ドラマ/ロマンス
監督:チェ・ジョンテ
出演
チュ・ヒョン
イェ・スジョン

死という最後の別れを前にした老夫婦の感動的な生涯最後の奇跡のような愛を描く。
40年を超えて一緒に暮らしてきた夫婦ミノとヒジョン。一日一日を習慣のように無味乾燥な日常を送っていたある日,夫ミノが心臓麻痺で倒れる。
幸い危機を脱したが,いつまた危険になるかも知れない状態だ。
ミノは,いつか自分が先立つことになれば,一人で残される妻が心配になって,自分の状態を隠したまま,彼女のために小さなプレゼントを一つ二つ準備しながら,永い歳月忘れて過ごした愛のときめきを感じることになる。
人生の最後の瞬間にまた訪れた奇跡のような愛。しかし,止めることができない別れの瞬間が,一日一日近づいている。

 

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