愛の風景 (1992) ヨーロッパ

[893]私がベルイマンの描く母と娘の愛憎劇に惹かれるのはなぜだろ?
★★★★★☆

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敬愛する
イングマール・ベルイマンが書いた自伝的な脚本を
ビレ・アウグスト監督が撮ったもの。

もともとテレビドラマらしく、
それを劇場映画用に再編集したらしい。

180分という長尺だが、
テレビドラマはもっと長かったのかどうか。
途中、若干、流れの悪さを感じるところがあるので…。

一言で言えば、
ベルイマンの両親の愛と確執の物語。

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神学生のヘンリク・ベルイマン(左)は、
ある日、友人エルンスト(右)の家庭へ食事に招かれ、
エルンストの妹アンナに心を奪われる。

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中央がそのアンナで、右は兄妹の父親。
兄エルンストは、妹アンナに紹介しようと思い、
ヘンリクを連れてきたのである。

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エルンストの思惑通り、
看護士学校に通うアンナもヘンリクに恋をし、
いつしか結婚したいと思いはじめる。

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そのことを知ったアンナの母親カリンは、強固に反対する。
あまりも身分が違いすぎるからであり、
ヘンリクの宗教にたいする考えかたに強い違和を感じるからである。

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アンナの家庭…、大富豪。

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一方、ヘンリクは、家族は母親だけで、
学校に通うためにいまは安アパートで暮らす身分。

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しかもウェイトレスの年上の女性フリーダと、半同棲状態。

母親にそのことを告げられたアンナは、
ヘンリクを諦め、交際を絶つ。

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ヘンリクの想いは烈しく、
学校前で彼女を待ち伏せたりするようになる。

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ヘンリクの恋人フリーダは、
ボロボロになってしまったかれを見ていられなくなり、アンナに会う。
そして彼女にヘンリクを託し、わが身を引く。

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アンナは思い悩むうちに肺結核が発覚し、
スイスで療養することになる。

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病が癒え、母親と地中海旅行をしている最中に
父親が他界した知らせを受ける。
と、母親の心も折れ、療養を機にまた
ヘンリクとの結婚を望むようになったアンナを受け入れる。

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アンナは帰国するとすぐにヘンリクに心を伝え、
かれの母親に会いに行く。

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そして盛大な式を挙げると、すぐに、

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すでに決まっていた僻地の教区へ赴き、
二人の、牧師とその妻という暮らしが始まった。

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1年後、子供も生まれ、

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努力の甲斐あって村びとも教会へ押し寄せるようになる。

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やがて二人の功績は女王陛下の耳にも届き、
招かれて、女王直属の
病院付き教会に来ないかと誘われるが、
ヘンリクは女王の宗教観に反発し、誘いを断る。

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このあたりからまた雲行きが怪しくなる。

ひとつは、アンナが将来の生活のことを考え
環境の豊かな街へ戻りたがっているからである。

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もうひとつは、村びとの大半が働いている工場主との、
ずっと続いている対立のせいだ。

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かれが村びとを脅し、
村びとたちが次第に教会に寄りつかなくなったのである。

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そんな時、事件が起きる。
親戚に行くのはいやだという孤児の男の子をひとり
教会で預かっていたのだが、
かれがヘンリクとアンナの子を殺そうとしたのだ。

ヘンリクとアンナが街の教会へ赴任し、
自分は捨てられると思ったからである。

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アンナは、ここでは子を育てられないと決意し、
ついに子を連れて実家へ戻る。

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人気のない教会にひとり残されたヘンリクを見かね、
うちに来ないかと、
他区の教会のものが声をかけるが、かれは断る。

私はもともと一匹狼なんだ。
僻地が好きなんだ。
苦労してこそいい牧師になれると思うから、と。

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だが、アンナとやり直したいと思い、
やがて病院付きの牧師になることを選択、
アンナを尋ねる。

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アンナも答える、私もやり直したい、と…。

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ちなみにこの時、アンナのお腹には子供がいる。
ベルイマンは、兄ダーグ(外交官)、
姉マルガレータ(小説家)の三人きょうだいだったので、
お腹にいるのは姉のマルガレータということになる。

またベルイマン家は、先祖代々「牧師」だったから、
ベイルマンの代で牧師がいったん途絶えたということになるのかな?
といってもベルイマン自身、牧師みたいな監督だが(笑)。

本人が撮ったら、
もっと、「秋のソナタ」のような剥きだしの愛憎劇や、
「沈黙」のような難解な宗教劇にしたような気もするが、

ビレ・アウグスト監督はそこをうま~く避けて(笑)、
ベルイマンが主題にしてきた宗教と家族の問題を
ひじょうにソフィスティケイトされた形で描いてみせている。

とくに、その静かでゆっくりとした撮り方は
ベルイマンをとても大事にしている感じがして、
ベルイマン偏愛者の私はとても嬉しい。

みなさん、これは最高のベルイマン入門映画ですよ~、
と、声をつよくしてお薦めしたい。

しかしそれでもよくわからんよねえ。
なにが?
この母と娘の関係(笑)。

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アンナは、ヘンリクのことで強く母親に反発する。
でも根っこはこの母親と共生してるよね。
それがどうにも私はわからんのだ(笑)。

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ヘンリクの母親も同じだよね。
会いに来たアンナには、
不幸せな子だったので息子をよろしくお願いします
と言っておきながら、

ウラでは、
神様、あの娘をどうか息子からお引き離しください
なんて祈ってるんだもん。凄いよねえ(笑)。
彼女もわが子と「共生」してるよねえ。

早い話、この「共生」がよくわかんないんだよね。
父親がわが子と共生してる、
なんていう例はあまり見かけないんだけど、

母親が…、産む性が、
わが子と共生する例はさほど珍しくないよね。

その「子」の場合も、
相手が男の子の場合だとなんとなくわかるんだけど、
女の子(娘)の場合になると、とたんにわかりにくくなる?
同性同士だからじゃないかなあという気がしてるんだけど…。

その強烈な作品が「秋のソナタ」だと思うんだけど、

イングマール・ベルイマンももしかしたら、
母親と娘の愛憎劇が…、あるいは共生劇が
よくわらなかったから母と娘の劇を好んで書いてたのかもなあ、
なんて思うこともある。

私も残念ながら
その「共生」についてうまく説明してくれるひとに
まだ出会ったことがない。

どなたか、知りませんかね?
知ってたらぜひ教えてくださいな。


■180分 スウェーデン/デンマーク/フランス/イギリス/ドイツ/イタリア/ノルウェー/フィンランド/アイスランド ドラマ
監督:ビレ・アウグスト
製作:ラーシュ・ビィエルケスクーグ
製作総指揮:イングリード・ダールベリ
脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:イェリエン・ペルション
音楽:ステファン・ニルソン
出演
サミュエル・フレイレル
ペルニラ・アウグスト
マックス・フォン・シドー
ギタ・ナービュ
M・マルム

「ペレ」でカンヌのパルム・ドールをとったアウグストがわずか4年後に再び同賞をブーイングを浴びながらも受けた、ベルイマンの自伝的脚本の映画化。元々はTV作品で、オリジナルは「ベスト・インテンション/善意ある人々」のタイトル(再放送時に「ベスト・インテンション/愛の風景」と改題)でJSBにて放映された。これはその劇場用再編集版である。
彼の両親の間の愛・確執・和解がその出会いから描かれる波乱万丈の物語。これを自伝執筆中にやむにやまれず書き上げたベルイマン自身の推挙によって、アウグストが、当時既にオファーの来ていたハリウッドでの仕事を蹴って、監督の任についた。
神学校に学ぶ貧しい青年ヘンリクは、上流階級の美しい娘アンナと周囲の反対を押し切って結婚。育った生活環境の違いや信仰の問題でたびたび別居を繰り返す二人だが、妻の妊娠(身篭もった赤子がベルイマン)を契機に、若々しい恋情を失っても落ち着いた夫婦の絆を獲得する。時に苦々しい冷めた愛憎の洞察がさすがベルイマン。しかし、アウグストの演出に取り立てて傑出したところはなかった。夫婦の各々の母を演じた女優(M・マルム--ヘンリク、G・ナーウ--アンナ)の親のエゴの表出に凄みがある。それは、M・V・シドー扮するアンナの父役など飾り物めいて見えるほどである。

 

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