わが谷は緑なりき_1 (1941) アメリカ

[895]私は後にも先にも少年ヒューほど素晴らしい人間を知らない
★★★★★★

画像

「私の名前はジョン・フォードです。
西部劇を撮っています。」

画像

そう、その若き日のジョン・フォード。
私が子供の頃、西部劇の洗礼を受けたジョン・フォード。
おらがジョン・フォード。なんたってジョン・フォード。

ビリー・ワイルダー書いたのに、
ジョン・フォードを書かないなんてまずいでしょう。

しかし似てるよねえ。
え? 誰に?
誰にって、あんた、このひとしかいないでしょう。

画像

おらが淀川長治さん。なんたって淀川長治さん。
私さ、二人、時々、双子なんじゃないのと思っちゃうんだよねえ。

この映画、西部劇じゃないんだけど、
私の中で1、2位を争うくらい好きなジョン・フォード作品。

画像

イギリス・ウェールズ地方の炭坑町を舞台に、
坑夫・モーガン家の人々を描いた映画史上最高のミュージカル。

50年前…、炭鉱全盛期のその町。

え? ミュージカルじゃない?
ミュージカルだよお、行く川のこの流れるような物語のリズム。

画像

史上最高のモーガン一家…、父、母、そして7人きょうだい。
私の生まれた家族と同じ。
ただし私ん家はのちにもうひとり増えて、8人(笑)。

画像

左、史上最高の父親ギリル・モーガン…、おらがドナルド・クリスプ。
右、史上最高の母親ベス…、おらがセーラ・オールグッド。

画像

左、史上最高の末っ子ヒュー…、ロディ・マクドウォール。
右、史上最高の姉アンハード…、おらがモーリン・オハラ。

画像

史上最高の兄ども、5人。

画像

物語は、末っ子ヒューが語る50年前の「思い出」である。

にしても…、ああ、炭坑町、50年後…(泣)。

当初は
西ウェールズでオールロケを予定していたが、
第二次大戦が勃発したので、サンフェルナンド・バレーに
オープン・セットを建てて撮影。

画像
画像

素晴らしい谷の村と、緑!
この「緑」は、人間の心…、ジョン・フォードの願い。

おい、こら、アメリカ人ども、ここでポルノ撮ったらぼくが許さないぞ!
あ、サンフェルナンド・バレー、
いまやポルノ産業の聖地と化してるもんだからさ(笑)。

画像

ある日、隣町から若い女性がぼくの家を尋ねてきた。
ぼくは、一瞬にしてこの美しい女性に恋をした。
ム、残念! 彼女ブロンは、兄ちゃんのお嫁さんだった。

画像

兄ちゃんイヴォールとブロンは、
村にやってきたばかりの牧師さんの前で式を挙げた。

画像

ム、ムムッ。ぼくの姉ちゃんは、
一瞬にしてその牧師さん(ウォルター・ピジョン)に恋をした。
オハラ、そっち見なくていい、こっちこっち!
だよねえ、まったく。

画像

炭鉱にも不況の波が押し寄せる…、賃金、カット。

画像

おとうさんを過重労働から守るためにも組合を作るという
息子たちと、それに反対する昔気質の父親。
息子たちは対立し、結局、家を出て行った。

画像

そしてついに22週に及ぶスト突入。
鉱夫たちの心は荒れ、
ストに反対するものを敵とみなし、ギリルも襲われた。

画像

ベスは集会場に乗り込み、
夫はあんたたちの敵じゃない、
夫を傷つけるやつがいたらあたしが見つけて殺してやる、
とアジる。

画像

が、その帰り、ヒューとともに凍った川に嵌まり、
重度の凍傷を負った。

画像

母親の病状は回復、
家を出ていた息子たちもまた帰ってくる。

閉鎖していた炭鉱も
ギリルと牧師の働きかけで再開したが、
しかし人手が多すぎて仕事をもらえず、
谷を離れなければならない者たちも出はじめる。

画像

結局、兄たち二人…、
ギルムとオーエンは、遠く、アメリカへと渡ってしまった。

画像

再び歩けるようになるかどうか危惧されていたヒューも、
グリュフィード牧師の励ましで、
数ヵ月後には歩けるように回復する。

が、やがて牧師の足はモーガン家から遠のく。
姉アンハードに縁談の話が湧いたからだ。
相手はなんと炭鉱主の息子。

画像

アンハードは意を決して牧師に会いに行き、心を確かめる。
牧師は言う…、
私は牧師になるとき、犠牲と献身を誓った。
君にボロを着せて施しを受けさせることはできない、
私にはそんなことをさせる勇気はない、と。

画像

アンハードは、
炭鉱主の息子と結婚し、谷を離れた。

画像

ヒューは、隣町の国立学校へ通いはじめる。
当初、子供たちにはいじめられた。
先生野郎が、炭鉱夫の息子かとばかにしたからだ。

画像

それを知ったギリルの友人二人は、学校へ行き、
ワタシ、元ボクサーあるね、と
ボイーンと先生野郎をKOする。

画像

モーガン一家を突然の不幸が襲う。
長男イヴォールが落盤事故で下敷きになり死んだのだ。

義姉ブロンは、生まれ代わりであるかのように、
イヴォールの子を産む。

画像

数年後、ヒューは学校を主席で卒業する。

画像

ヒューが、
お祝いにブロン義姉さんのケーキが食べたいと言うと、
ブロンは、
ごめんね、食べるひとがいなから作らないのと謝る。

画像

そしてベスに言う…、
おかあさん、イヴォールなしでは寂しい。
毎晩、服と靴を用意してしまう。
誰も着るひとがいないの、と…。

ブロンが帰ったあと、ギリルはヒューに尋ねる、
今後はどうする、弁護士になるか、それとも医者か、と。
ヒューは答える…、
「炭鉱で一緒に働きます」

ギリルは、
おまえの働く場所じゃないと、とたんに不機嫌になる。
ベスが怒る、
炭鉱のなにがだめなのよ、立派に育てばそれで十分よ!

画像

ヒューはブロンの家へ走っていき、伝える。

 ぼくは炭鉱で働く。
 この家に住み、ここから炭鉱に通う。
 ぼくのために服と靴を用意して。
 おかあさんもそうしていいと言った、と。

画像

ここが私のいちばん好きなシーン。
そしてここがこの映画のほとんどすべてだと言っていい。

ヒューはこうやって彼の初恋を実現するんだけど、
ほんと、史上最高の末っ子だよね。
いや、史上最高の人間。

画像

私は後にも先にもヒューほど素晴らしい人間を知らない。
死ぬまで私のお手本。
いや、死んでも私のお手本だね!

画像

わが谷は緑なりき…、
いや、わが谷の緑は枯らさない…、だよね。

「わが谷は緑なりき2」に続く

■118分 アメリカ ドラマ/ロマンス
製作:ダリル・F・ザナック
監督:ジョン・フォード
脚本:フィリップ・ダン
原作:リチャード・レウェリン
撮影:アーサー・C・ミラー
美術:リチャード・デイ、ネイザン・ジュラン、トーマス・リトル
音楽:アルフレッド・ニューマン
編集:ジェームズ・B・クラーク
出演
ウォルター・ピジョン グリュフィード牧師
モーリン・オハラ アンハラド・モーガン
アンナ・リー ブローウィン
ドナルド・クリスプ ギリル・モーガン
ロディ・マクドウォール ヒュー・モーガン
ジョン・ローダー イアント・モーガン
サラ・オールグッド ベス・モーガン
パトリック・ノウルズ イヴォール・モーガン
バリー・フィッツジェラルド

幼いR・マクドウォールが父を呼ぶ、冒頭の爽やかなヨーデルのような掛け声が耳について離れない。J・フォードの美しい人間讃歌である。
19世紀のウェールズの炭鉱町。
ヒューはモーガン家の末っ子で、家の男達はみな炭鉱で働く。学校ではいじめられっ子でも、皆の励ましで悪童に立ち向かい認められる芯のしっかりした少年だ。石炭産業は不況で、賃金カットに抵抗し、組合結成の動きが高まり、長兄イヴォーを始め、一家の若者たちはその先鋒に立つが、父(D・クリスプ)はこれに反対。息子たちは家を出、姉のアンハードとヒューだけが残される。
新任の牧師グリフィド(W・ピジョン)と姉は秘かに魅かれあっているが、禁欲的な彼を前に、姉は不本意な結婚を承諾、南米へ渡る。川に落ちた母を助けて凍傷になったヒューを親身に励まして以来、グリフィドとは固い絆で結ばれ、彼の奨めでヒューは文学の世界に目覚める。が、長兄が事故死し、ヒューは止むなく学校を中途で辞め、兄に代わって働く。
姉が実家に戻った時、グリフィドとの心ない噂が立つが、牧師は卑俗な村人の心を責め、教会を去っていく。ちょうどその日、落盤で父までが犠牲になるのだった…。
不幸なことばかりの少年時代だが、成長した彼にはあくまでその月日は麗しく尊いもの--と語るフォード節に泣かされること必定の名作。
オスカーには、作品、監督、美術、撮影(A・ミラー)、助演(クリスプ)、装置の6部門で輝いた。当初は西ウェールズでのオールロケが予定されていたが、大戦勃発のため、サン・フェルナンド・ヴァレーに広大なオープン・セットが建てられた。

 

クリックしていただけると助かります。
登録商品数が無制限(ディスク容量内)のショッピングカートです! 感動の臨場感!☆話題のマシェリ☆

ブログランキングに参加しています。ぜひポチっと(喜)
 にほんブログ村 映画ブログへ  



この記事へのコメント

この記事へのトラックバック