プンサンケ (2011) 韓国

[912]ギドクはいま自分の死に場所を探してるだけなのかも
★★★☆☆☆

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次はキム・ギドクのレビューですと言ったら
誰だって「お、アリランか」って期待するよねえ。
オラだって期待したもんねえ。

でもその「アリラン」がいつ行っても貸出し中になっててさ。
おら、泣くよねえ。

だいたい何だよ、●●ツタヤ、おまえが悪い!
ギドクの「アリラン」を1枚しか置かないなんて、
プライドちゅうもんがないのか!って言いたいよねえ。

そんなもんありません、要りません!
借り手が圧倒的に少ないのにそんなことしたら儲かりまへん!
って堂々と言われたら、おら、返す言葉探す自信ないよねえ。

という訳でこっちを観ることになったんだよねえ。
いちおう…、じゃなくて正真正銘キム・ギドク脚本、製作で、
弟子のチョン・ジェホンに撮らせたやつだし…。

え~~~っ!? どうしたの~~~、ギドク~~~!?
何があったの~~~!?
と思ったよねえ。

おらの知ってる天才ギドクからすると
信じられないほどひどい脚本だもんねえ。

マジ心配になって、
ギドクに一体なにがあったんだろうって一生懸命探した記事が、
じつはこの記事の直前に紹介した記事だったんだよねえ(泣)。

考えると「ビューティフル」(脚本のみ)、「悲夢」あたりから
すこし「?」という感じがしないでもなかったよなあ。

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プンサンケ(ユン・ゲサン)と呼ばれる男がいる。
ピョンヤンとソウルを自在に行き来し、
離散家族のビデオメッセージや遺品など、
どんな荷物でも3時間以内に運ぶという謎の運び屋だ。

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離散したものが願掛けしている38度線上の祠(?)。
かれはこの無数の願掛けの中からお客を選んでいる。
運び屋が生業なんだけど、
離散家族の願いを叶えてやるわけだから、お地蔵様でもある(笑)。

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ちなみにこの女性はそこに座り、
離散して北にいる家族を思いながら「アリラン」を歌っている。
お、38度線はギドクにとって「アリラン峠」なのか!
と思えるようなシーンで、ここだけはすごくいい(笑)。

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ある日、韓国に亡命した北朝鮮の元高官が
プンサンケのうわさを聞きつけ、
北に残してきた愛人イノク(キム・ギュリ)をソウルに連れてきてくれ
と依頼する。

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で、連れてきたのはいいが、
その元高官が約束の金を払わない。

金は韓国情報局員が払うことになっていたのだが、
プンサンケは使える!ということになり、
かれを利用しようと考えはじめる。

で、南の情報局員が動いているものだから
そこへ北の情報局員が入り込んできてすったもんだしていく。

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一方でプンサンケとイノクは惹かれあっていくのだが、
イノクも南北情報院の抗争に巻き込まれて
結局殺される、というか、死んでまう。

で、北か南かの抗争に明け暮れる情報局員たちに、
そんなもん知るか! と言って復讐を開始する…、
つうお話。

話書いてるだけで面白くないよねえ(笑)。
だってそんな話、別にいまさらあんたが書かなくたっていいじゃん!
ほかのひとがいっぱい書いてるじゃん!
って思わないかい?(笑)

ま、弟子に書いたんだろうからストーリーはいいとしても、
構成がめちゃくちゃ粗いし、都合がいいし、
セリフになるともう無残としか言いようがないよねえ。

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とくにこの北の元高官のセリフ。
イノクに愛の告白をしたり、プンサンケとの関係に嫉妬したり
するんだけど、そのセリフがまあただ直情的で、
ガキンチョそのものなんだよねえ(笑)。

今時の子供だってもっと屈折してるぞ~と思うよねえ(笑)。

ギドクはこいつらを笑いものにするために
わざとそういうふうにセリフを書いたのかなあという
深読みもできなくはないけど、
観てても笑えるどころかひたすら目を覆うしかないよねえ(笑)。

イノクの像もひどいよねえ。
ほとんど元高官と同じで、
なんでプンサンケがこんな女に惚れなきゃならんのよ~
って考えこんじゃうよねえ(笑)。

女の複雑怪奇な性のこころを描かせたら
ギドクの右に出るものはいなかったはずなのに、
こんなに魅力のない女像はじめてだよねえ。

ほんと、どうしちゃったんだろう、ギドクって
おら、マジ心配しちゃったんだよねえ。
もしかして「悲夢」でイ・ナヨンを殺すところだったと反省して、

オレは病気なんだ、
病気なんだからもっと普通に書かんといかん、
普通の女を書かんといかん、
でないといずれほんとに女優を殺しちゃうぞ!

なんて考えちゃったのかなあ…。

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この際だからおらの考えを言っとくと、
ギドクは画家で詩人なんだよね。
そういうひとが普通の劇なんか書けるわけがないんだよね。

だってここでギドクが書こうとしてるような
ごく普通のシナリオってのは「散文」なんだもん。
詩人や画家に散文なんか書けるわけないんだもん。

会話はその極…、散文なのよ。
だからギドクに会話なんか書けないの。
他人とまっとうに会話なんかできるはずないの(笑)。

その苦しみがかれを詩に、絵画に駆り立てたはずなんだよ。
で、その詩や絵を映像化するっていうやりかたでもって、
散文に冒されたものには絶対不可能な作品を作ってきたんだよ。

それがキム・ギドクなんだよ。

なのに
「ビューティフル」とかこの「プンサンケ」ではそれを捨ててる。
弟子に書いた、ということもあるかもしれないけど、間違いだよ。

シュールレアリズムを捨てたら、
あんたはなにも表現できないんだよ。
捨てる必要もないじゃないか…!

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この粗雑な物語を見てると、
あんたはいま、ただもう、自分の死に場所を探して、
強引に死んでしまおうとしてるようにしかおらには思えないよ。

ああ、おらの勘違い、錯覚であることを祈るよ。


●sanaeさん
はい、キム・ミンソン改めキム・ギュリになっています。
韓国の俳優さん、けっこう途中で改名したりしますよね。
画数がよくないとか韓国でもあるのかなあ(笑)。
自分によりしっくりした名前に変えたりとか、
心機一転の気分でなんてのもあるんでしょうね。
プンサンケが喋らないのは、喋ってしまうと自分が北か南かの
素性がわかってしまうからかな?と思ったのですが、
「喋らない」ことが以前の作品のようには生きてないですね。
この作品は「受取人不明」や「コーストガード」の延長上線上にある
のだと思います。
それはよくわかるんですが、そこに南北の情報員をからませると
とたんに薄っぺらになってしまうし、
ギドク自身、政治的なことに詳しいひとではないと思うので
どっちみち上手くは書けないだろうと言うか…(笑)。
子供とのシーンいいですよね。
なのでああいう離散した家族にこだわって書けばいいのにと思うのですが、
ギドクはいまちょっと混乱していてその判断ができないのかなあ
という気がしています。
この作品、途中で監督が変わっていることからも
それが窺えるような気が…。

ありがとうございました。


■121分 韓国 サスペンス/アクション/ドラマ
監督: チョン・ジェホン
製作総指揮: キム・ギドク
脚本: キム・ギドク
撮影: イ・ジョンイン
音楽: パク・イニョン
出演
ユン・ゲサン プンサンケ
キム・ギュリ イノク
キム・ジョンス

韓国と北朝鮮を分断する危険な軍事境界線を股に掛ける正体不明の運び屋を主人公に描く異色のサスペンス・ドラマ。本作で製作総指揮を務める鬼才キム・ギドクのオリジナル脚本を、彼の作品で助監督を務めた新鋭チョン・ジェホンがメガフォンをとり映画化。主演は「6年目も恋愛中」のユン・ゲサン、共演に「美人図」のキム・ギュリ。
38度線を飛び越えてピョンヤンとソウルを行き来する謎の運び屋“プンサンケ”。離散家族のビデオメッセージや遺品など、どんな荷物でも3時間以内に運んでしまう。ある日、韓国に亡命した北朝鮮の元高官が北に残してきた愛人イノクをソウルに連れてくるという依頼が舞い込む。いくつもの危険をかいくぐり、無事イノクを引き渡したプンサンケだったが、罠にはめられ韓国情報部に拘束されてしまう。やがて激しい拷問にも決して正体を明かさないプンサンケに、韓国情報部はある提案を持ちかけるが…。

 

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この記事へのコメント

2013年03月05日 12:51
これ映画館へ観に行きました。
キム・ミンソンからキム・ギュリ
に改名してますよね。
「美人図」ではキム・ナムギル相手に
普通ノーメイク、ノーギャラで
あの泥シーンは引き受けないかと
キャストにどれだけ感情移入できるか
により見方も違ってきましょうか
元々キュートな笑顔の持ち主ユン・ゲサン、
「悪い男」みたく、喋れないのか‥
子供に向けた笑顔は

凄く印象に残ったセリフがあります・
≪アメリカの腐った資本主義≫
今の映画の在り方にも憤りを感じてる
ギドク、それらのうっ憤を晴らすが如く
撮ることもあるのでしょうか‥

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