サラの鍵_1 (2010) フランス

[949]ジュリアは希望としての「サラの鍵」を手に入れた
★★★★★★

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世界的ベストセラーになった
タチアナ・ド・ロネの同名小説の映画化。

ナチのユダヤ人狩に遭ったサラという少女をめぐる物語。
といっても実際にユダヤ人狩を担当したのは
ナチ協力下のフランス政府だった訳だが…。

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物語は、サラ・スタルジンスキという女の子が、
就寝前わが家のベッドで弟ミシェルと戯れているシーンから始まる。

先に言っておくとこの映画の最大の見ものは、
このサラをやっているメリュジーヌ・マヤンスという女の子の
天才としか言いようのない演技である。

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突然、スタルジンスキ家にフランス警察がやってくる。

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警察と母親のやりとりから不穏を察したサラは、
弟ミシェルを納戸におし隠し、外からカギをかける。
「かくれんぼよ。出ちゃだめ。すぐ迎えに来る」と言って。

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サラは、母親、帰宅した父親、そしてほかのユダヤ人とともに
ヴェルディヴ(屋内競輪場)へと送還される。

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1942年7月16~17日にかけ、
ナチに占領されたフランスの政府と警察が
パリ市内のユダヤ人1万3千人を逮捕。

うち8千人をヴェルディヴに収容、
のちにアウシュヴィッツに送り込んだという
すでに名高いあの「ヴェルディヴ事件」である。

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フランス政権がこの事件に関して
はじめて責任を認めたのはなんと1995年である。
それまでは親独ヴィシー政権はフランスではないと言っていたのだ。
ははは…、呆れて笑いにチカラが入らんよねえ(笑)。

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これは途中、フランス女がアパートから身を乗り出して、
「いい気味だ、思い知れ」と連行されるユダヤ人たちを罵るシーン。

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その女を仰ぎ見るサラ…。

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2009年、パリ。

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アメリカ人ジャーナリストのジュリア…、クリスティン・スコット・トーマス。
彼女はフランス人の夫と結婚。
10歳になる娘が1人いて、いまアメリカに留学中である。

夫の両親から、
マレ地区のサントンジュ通りにあるアパート住居を譲られ、
いま引越し中である。

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ある日、ジュリアは妊娠していることがわかり、夫に伝える。
夫のベルトランは、この歳で新しい子の父親には
もうなりたくないと言う。
喜んでくれると思っていたジュリアはショックを受ける。

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一方でジュリアは、以前にも
「ヴェルディヴ事件」についての記事を書いたことがあるのだが、
こんど新たに長い記事を書くことになり、取材をはじめる。

その取材をすすめるうちに
引越しをすすめているアパート住居のことが気になってくる。
ユダヤ人狩が行われた地区だからである。

映画は、この「過去」のサラの物語と、
「現在」のジュリアの物語とが交互に語り継がれ、
やがてひとつの物語になっていく構成をとっている…。

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ヴェルディヴに収容されたサラは、
自分たちがただならぬ事態に巻き込まれていることを感じとり、
弟ミシェルの安否が気になる。

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父親にも、おまえが閉じ込めるからだと言われ、
傷つく。

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ユダヤ人たちはヴェルディヴからボーヌ臨時収容所へ移され、
ここで男と、女・子供は引き離される。

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そしてやがてすぐに年少の子供と、女・12歳以上の子供も…。

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混乱のさなか、母親が「愛している」とサラを抱きしめると、

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放水で二人は引き裂かれ、

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サラはそのまま地面で気を失う、
納戸の「カギ」をしっかり握り締めたまま。
(これはジュリアの胎内にいる胎児をイメージさせている)

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ジュリアはヴェルディヴ事件の資料館を訪れ、事情を話し、
自分たちの引越し先のアパート住居は
連行されたユダヤ人の住まいだったのではないかと
研究者に調べてもらう。

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予想通り、そこには
ユダヤ人・スタルジンスキ一家の住まいだったことがわかる。
そして両親はアウシュヴィッツに送られて虐殺されたが、
子供の姉サラと弟ミシェルの消息がは途絶えていることが…。

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スタルジンスキ一家が連行されたのは42年7月、
夫の祖父母がそこへ入ったのが42年8月。

ジュリアは、もしかしたら夫の祖父母は
政府と警察のユダヤ人狩に協力したのではないかと
かすかな疑いを抱く。

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サラが収容所で目を覚ますと、目の前にひとりの女の子がいた。

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外に出てみると子供のほかには誰もいない。
みんなアウシュヴィッツに移送されてしまったのだ。
ミシェルはあたしを待っている、助けに行かなくてはと、
翌日、女の子と二人して収容所の脱出を企てる。

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鉄条網を潜りぬけようとすると監視員に発見されてしまうが、
サラが事情を話してカギを見せると、
若い監視員は黙したまま鉄条網を持ち上げ二人を脱走させる。

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サラは女の子と草原を森に向かって走る。
必死に逃亡する。

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二人は森の中を走り、小さな沼を見つけると、
からだを沈め、しばしの休息をとる。
(これもジュリアの胎内の羊水に浮かぶ胎児のイメージである)

森を抜けた二人は夜、フランス人たちの家に救助を求めるが、
みんな追い払う。

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疲れて小屋に潜り込んで眠っているところを、
翌朝、デ・ユフォール夫妻に助けられる。

重度の病にかかっている女の子のために医者を呼ぶと、
警察も一緒にやってくるが、匿まわれたサラは難を免れる。
女の子はジフテリヤで結局、死亡。

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サラの話を聞いたデ・ユフォール夫妻は、
サラを列車に乗せてパリへ向かう。
孫の服を着せ、帽子を被らせ、男の子に変装をさせて。

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身分証の提出を求める巡察員には金を握らせて。

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ジュリアが病床のおばあちゃんの見舞いに行くと、義父がいた。

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義父は話がしたいとジュリアを自分の車に誘う。
息子から彼女がヴェルディヴ事件について記事を書くと聞き、
譲ったアパート住居についても調べているのではないかと
思ったのである。

義父は釘を刺す。
私たちの家族はヤダヤ人逮捕とはなんの関係もないと。

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ジュリアが
スタルジンスキ家についてなにか知ってるのかと尋ねると、
義父はおばあちゃん(義父の母親)にはなにも言わないでくれ、
父と私しか知らないことだからと、
自分の知っていることを話しはじめる。

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ようやくパリのアパートに戻ったサラは、部屋へと階段を駆け上がる。

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ドアが閉まっている。
はげしく叩くと少年(ジュリアの義父)がドアを開けた。
サラは委細構わず寝室へ走り、納戸を「カギ」で開け、ドアを開く。

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そしてそこに
変わり果てた弟ミシェルの姿を見て、悲鳴を上げた。

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左、義父の父。

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義父もミシェルの姿を目撃した…。

あとのことはよく憶えていない。
その少女(サラ)も、
納戸の遺体もあの老夫婦が連れて帰ったんだと思う。

少女のことはその日以来、父は死ぬまで話さなかった。
聞くと「黙れ」と怒られた。
父が死んだあと公証人の話では、
かれらの手紙や書類が銀行の貸金庫にあるとか。
私は見たことはないが…。

義父はジュリアにそう話した。

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ジュリアは義父の承諾を得て、
その書類や手紙をアパートに持ち帰り、調べる。

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そしてデ・ユフォール夫妻から義祖父にあてた手紙から、

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その後、サラはデ・ユフォール夫妻に育てられたこと、
義祖父はせめてサラの養育費にと、
毎月、デ・ユフォール夫妻にお金を送り続けたことなどがわかる。

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同夫妻の孫二人と一緒に写ったサラの写真も添えられていた。

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デ・ユフォール夫妻は、
サラを連れてノルマンディ海岸に行ったことも知らせていたが、
そのイメージ・ショット。

あえて挿入してあるのはこれもたぶん、
ジュリアの胎内にいる胎児のイメージだと思われる。

海に入る…、子宮に還る=死のイメージ。
海から陸に上陸する…、胎児が生まれる=出産、生のイメージ。

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これは少し戻って、サラが「カギ」で納戸を開けた瞬間だが、
先に言っておくと、
この「納戸」は一方で間違いなくジュリアの「胎内」の喩である。

サラは収容所を脱走して、
自分が閉じ込めてしまった弟ミシェルを助けに戻った。
結果的には死んでしまっていたが、

ジュリアは、夫に反対されたけれども、
自分はこのお腹の子を産むべきか堕胎すべきか迷っている。

たんにジャーナリストとしてではなく、
彼女はすでに自分のその迷いの中で少女サラの姿を
追い求めているのである。

決断すべく…、自分の「カギ」を求めて…。


■111分 フランス ドラマ
監督: ジル・パケ=ブランネール
製作: ステファーヌ・マルシル
製作総指揮: ガエタン・ルソー
原作: タチアナ・ド・ロネ
脚本: ジル・パケ=ブランネール セルジュ・ジョンクール
撮影: パスカル・リダオ
美術: フランソワーズ・デュペルテュイ
衣装: エリック・ペロン
編集: エルヴェ・シュネイ
音楽: マックス・リヒター
出演
クリスティン・スコット・トーマス ジュリア・ジャーモンド
メリュジーヌ・マヤンス サラ・スタルジンスキ
ニエル・アレストリュプ ジュール・デ・ユフォール
エイダン・クイン ウィリアム・レインズファード
フレデリック・ピエロ ベルトラン・テザック
ミシェル・デュショーソワ
ドミニク・フロ
ナターシャ・マスケヴィッチ
ジゼル・カサデサス

タチアナ・ド・ロネによる世界的ベストセラーを「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマス主演で映画化した衝撃と感動のヒューマン・ドラマ。ナチス占領下のフランスで起きたユダヤ人迫害事件を背景に、一人の少女が辿る過酷な運命を、事件の真相を追う現代のアメリカ人女性ジャーナリストの取材の過程を通して描き出していく。共演にメリュジーヌ・マヤンス。監督は「マルセイユ・ヴァイス」のジル・パケ=ブランネール。
夫と娘とともにパリに暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリア。ある日、自分たちのアパートのかつての住人が、1942年にフランス当局によるユダヤ人迫害事件によってアウシュビッツに送られたユダヤ人家族だったことを知る。フランス警察による一斉検挙の朝、10歳の長女サラは、弟を守るため納戸にかくまい鍵をかける。すぐに戻れると思っていたサラだったが、他の多数のユダヤ人たちとともにすし詰めの競輪場に隔離された末、収容所へと送られてしまう。弟のことが心配でならないサラは、ついに収容所からの脱走を決意するが…。

  

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