帰らざる夜明け (1971) フランス

[968]アラン・ドロン、シモーヌ・シニョレ、そして印象派ふう南仏風景に痺れよう! ★★★★★☆

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「燃えつきた納屋」の2年前に撮られた
シモーヌ・シニョレとアラン・ドロンの共演作。

台本的には若干弱いかなあという気がしないでもないが、
私の超お気に入りの作品。

なんたってオラのアラン・ドロンだし、
オラのと言うにはちょっと恐ろしい名女優シモーヌ・シニョレだもんね。

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舞台は、
1934年、「はね橋」のある南フランスの片田舎。

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運河のはね橋がはねられ、舟がゆく。
どうよ、この風景。お~、フレンチカントリー~!って感じしない?(笑)
向こうのお家もいかにもフランスって感じでいいだろう。

いやあ、思い出すなあ。
なにを? もちろんコレやがな。

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おらがゴッホの「アルルのはね橋」。
どうだ、まいったか! と意味もなく吼えたくなる(笑)。

舞台はアルルの田舎だと語られてる訳ではないが、
おらの中ではもうすっかりアルルになってしもうとる(笑)。

ついでながらバック音楽もグッドなんだ。
ま、そんなこんなで私の超お気に入りって訳さ。

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どこからともなくこの田舎へやってきたジャン(A・ドロン)は
バスから降りてきた村のクーデルク夫人(S・シニョレ)と知り合い、
彼女から住み込みの仕事をもらう。

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クーデルクは未亡人で、
いまは亡き夫の父親アンリと二人で暮らしている。

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運河の向かいには、はね橋を管理している夫の妹夫婦と
一人娘フェリシー(O・ピッコロ)が住んでいる。

妹夫婦は、クーデルクを追い出し、
老父アンリの農地を自分たちのものにしたいと企んでいる。

老父アンリはクーデルと関係を持っているので、
妹夫婦の意向を無視している。

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娘フェリシーは16歳で、すこし知的障害を抱えている。
そのせいもあるのか、誰の子かわからない赤ん坊を抱えている。

フェリシーはクーデルの家に住みついたジャンに惹かれ、
ジャンにしきりに接近するようになる。

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そんな彼女にクーデルクは冷たくする。
若い彼女がまぶしくて見えていやなのだ。

ということはつまり、
クーデルがジャンを愛しはじめたつうこと。
ある夜、彼女はさりげなくそう告白して、ジャンをものにする(笑)。

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相変わらずモテまくるおらがアラン・ドロン。
そのことに嫉妬するどころか、
むしろ気持ちよく思ってしまうおらはいったい何なんだべ?

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話が前後するが、
のどかな田舎に警察がしきりに訪れるようになる。
そのことからジャンが脱獄した殺人犯だとわかるのだが、
クーデルはかれを匿う。

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なのにジャンはある夜、とうとうフェリシーとこんなことをしてしまう。
草むらで、しかもクーデルが
新調したネグリジェを着てかれの帰りを待ち焦がれている夜に。

ドロン、いくらなんでもちょっとまずいかもよ、
と、思っていると、案の定、

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クーデルにバレて「家を出ていって」と言われる。
さんざん私を若い気持ちにさせておいて、
フェリシーの若さに惹かれるなんてひどすぎるわよ、と。

んだんだ。言わんこっちゃない。

ジャンはいままでの礼に、
クーデルが買って来た役立たずのふ卵器を
せめて動くように修理してから辞そうと考える。

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ふ卵器が機能し、卵を温めはじめた。
孵化に成功すれば困窮から抜け出せる、農場を買える、
とクーデルは怒りを忘れて喜ぶ。

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仲が戻り、二人は幸福な気分に包まれた。

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と、そこへフェリシーが駆け込んできてジャンに伝えた。
警察が来た、逃げて! と。

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クーデルの家に居座ったジャンが邪魔で、向かいの妹夫婦と、
老父アンリが警察に密告したのだ。

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老父アンリは、
ジャンが自分のことをクーデルに話したとき、
そばで聞こえないふりをして聞いてたのよ。

で、ジャンが来たからクーデルは自分を邪魔者扱いしはじめたんだ
と嫉妬と怒りに狂った訳。

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クーデルは裏口からジャンを逃がす。

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ジャンは銃を手に森の中へ逃げ込むが、
周囲はすっかり警察に包囲されていて、クーデルの家に舞い戻る。

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警察が戸外から呼びかける。
1分以内に出てこい。
出てこないと、家の中にいるもの(クーデル)も同罪として逮捕する、
と。

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ジャンは小窓から見える空を見て、「こんなにいい天気なのに」と言い、
空に向かって銃を放つ。

このあたり、「太陽がいっぱい」をちょっと思い出すよね。

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ジャンの放った銃声を合図に、
包囲していた警察隊がいっせいに中にいるジャンを狙って
引き金を引きはじめる。

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弾丸がふ化機の灯油に当たり、室内に火がつく。

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このままではクーデルを巻き添えにしてしまうと思い、
ジャンは戸外へ飛び出そうとする。
行かないで、とクーデルが引き止めようとする。

さすがシモーヌ・シニョレとアラン・ドロン、いい顔するよねえ。

ジャンは抱擁して愛を告げ、ひとり戸外に飛び出す。

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待ち受ける警察隊のいっせい射撃を浴び、地面にもんどりうつ。

誰だよ、そこでオーバーな死に方だなあって笑ってるの?
違うの。
ジャンはね、戸外に走り出た瞬間、
小窓から眺めた青い空に向かって駆け上がろうとしたの。
そこを撃たれたからこんなド派手なアクションになってしまったの。
理解してたもれ。

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残されたクーデルも、結局…。

悲運というか、出来すぎというか、彼女、
出ていくジャンに突き飛ばされて、
ほいで壁の鉄杭に背中を殺られてしまったんだよね。

ホエ~!と思うかもしれないが、
警察隊の銃弾を浴びるより、こっちのほうが二人の悲劇性が高まる
感じ、する、よね。
しない? お願いだからさ、しなよ!

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最後こうやって警察隊の銃弾を浴びて死ぬドロンを見てると、
やっぱりホッとするよね、ドロンらしくて(笑)。

ドロンがハッピーエンドで終わったら、
観てるほうは、
どうすりゃいいんだあ、おれらは!て気持ちになっちゃうよねえ(笑)。

一言つけ加えておくと、
ジャンがクーデルとフェリシーを愛したのは、
田舎の古い因習や家族関係の中で、窒息しそうになっていたから
だと私は思う。

そう言ってよければ、クーデルとフェリシーに
牢獄に閉じ込められて自由を失った「自分」を見たんだよね。

クーデルとフェリシーのほうからすると、
ジャンは息苦しい田舎暮らしに他国の風を運んできてくれた
風又(風の又三郎)に思えた訳だ。

背景には時代の息苦しさもある、
ファシズムの嵐がフランスを覆いはじめたという…。

そのあたりをもちょっとうまく折り重ねて描いてほしかった
という気がしないでもないけど、
初めに言ったようにおらは大満足だべ。

30年代ぽい、南仏の田舎の風景もたっぷり見れちゃうしね。

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どう? 印象派の絵画たっぷりって感じだろう。
嬉しくなっちゃうよねえ。

アラン・ドロンについて一言いっておくと、
青年からみごとに中年に入っていったなあと思う。
若さと美貌を誇った俳優は、概して年をとるのが難しいもんね。
ドロンは偉い!

あ、この映画、
たしか実話に基づいて作られたんじゃなかったかと思う。
うろ覚えなので適当に聞いといてね。
いまはちょっと調べる労力がなくて…(泣)。


■89分 フランス ロマンス/ドラマ
監督: ピエール・グラニエ=ドフェール
原作: ジョルジュ・シムノン
脚本: ピエール・グラニエ=ドフェール パスカル・ジャルダン
撮影: ワルター・ウォティッツ
音楽: フィリップ・サルド
出演
アラン・ドロン
シモーヌ・シニョレ
オッタヴィア・ピッコロ

「メグレ」シリーズで名高いジョルジュ・シムノンの小説を映画化。仏の片田舎に流れて来た犯罪者ジャン。彼はとある農家の未亡人の所に身を寄せ、彼女と次第に深い関係に陥っていくが……。田舎の美しい田園風景をバックに、孤独な男と二人の女のやるせない愛が描かれる。髪を短く刈り込んだドロンが抑制されたいい芝居を見せる。

 

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