バービー (2012) 韓国

[989]もっとも得意にしてきた題材でも韓国映画はこの程度にしか描けなくなったのかなあ(泣) ★★★☆☆☆

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「冬の小鳥」「アジョン」で天才的な演技をみせつけた
あのキム・セロンちゃん主演の映画。

物語はいかにも韓国的。
どころか韓国で実際に起きた出来事を描いたんだとか。

「犯罪フィールド」を舞台化し続けてきた私としては
おおいに応援したいとこなんだけど、
どういう応援の仕方をすればいいのか、観ると悩むよねえ(笑)。

幼いスニョンは、妹のスンジャ、
父親、叔父(父の弟)マンテクの4人で暮らしている。

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父親は障害者で、母親は1年前(?)に亡くなっている。
稼業は「民宿」らしいんだけど、らしき気配は見られない(笑)。

その4人の前に、ある日突然、二人のアメリカ人が現れる。
スティーブと、13歳になるかれの娘バービーである。
じつは叔父マンテクが父親(兄)に無断で、
スニョンを養女としてスティーブに売ったのだ。

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かれは父親(兄)に書類の捺印を迫る一方で、
家を離れたくないというスニョンには
アメリカ行きの準備をさせる。

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バービーはスニョンとすぐに仲良くなる。
自分たちがそのスニョンを養女にもらいにきたのだと知り、喜ぶ。

が、一方で父はなんで養女がほしいのか不思議に思う。
帰国すれば、実の妹もいるからだ。
病気ではあるが…。

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一方、妹スンジャは、
姉スニョンがアメリカへ養女に行くのだと知ると、
スニョンではなく自分をやってくれ、
夢のアメリカでいい生活がしたいと言い始める。

叔父マンテクは、
おまえはからだが弱いからだめだと突っぱねるが、
それを知ったスティーブはスンジャでもいいと、
彼女を病院に連れて行き、健康状態を診察してもらう。

じつはかれは、
娘バービーがあまりにもスニョンと仲良くなりすぎて、
困っていたのだ。

なぜ困っちゃうのか。
そこにはじつは恐るべき陰謀が隠されていた!(笑)

スティーブは、米国に連れ帰ったら、
養女の心臓を病気の次女に移植しようと考えていたのだ。
そのために韓国へ養女をもらいに来たのだ。

バービーはふとしたことから父のその魂胆を知り、
妹スンジャのパスポートを盗んで捨てようとするのだが、
結局、父に戻す。

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長年、病で伏せている妹のことを思ったのか、
一緒に帰国するのが嫌いなスンジャだったので仕方ないか、
と思ったのかどうか、観ててもあんましよくわからん。(泣)

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で、結局、スンジャはそのままアメリカへ渡り、死んで帰ってきた…、
というお話。

面白くない理由はこれも、
ストーリーはあるが、心がないということに尽きるかな?(笑)
そういうのはストーリーと言わんのじゃあ!

だいたいなによ。
このスティーブなる人物が「内科医」だったなんて、
わしゃ「照国山人」さんのホームページを覗くまで知らんかったで。
描き方が杜撰すぎるで(笑)。

この出来では、
事件の当事者たちにちょっと申し訳ないかなと思う。

私はいつも俳優たちに、
事件の当事者たちが観に来て殺されてもしょうがない、
それくらいの覚悟で舞台に上がれ、と言う。

当然、私も、
殺されてもしょうがない覚悟で作品を描く。

言いかえると、
当事者たちと同じ苦労、悲しみを味あわないと
現実に起きた出来事を芝居にできないし、
また、しちゃいけないよ、と思ってるからである。

事件ではなくて、漱石の小説を舞台にする場合なんかでも
同じだよね。
でなきゃとてもひとに観せられるものなんかできないよ…。

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この映画は、たとえば「冬の小鳥」なんかと違って
それが全然感じられないんだよね。

ひたすら出来事におんぶに抱っこされてるだけで、
当事者たちが生きていた場所に全然届いてない。
そこに触手を伸ばそうとしていない。

と、キム・セロンちゃんら、
がんばってる子供たちまで可愛そうになってくる。

もっとも得意としてきたはずの題材を
韓国映画はもうこの程度にしか描けなくなったのかなあ、
と思うと、淋しくなるよね…。


■99分 韓国 ドラマ
監督: イ・サンウ
脚本: イ・サンウ
出演
キム・セロン
イ・チョニ
キム・アロン

「アジョシ」「冬の小鳥」で話題となった子役のキム・セロンが主演。監督・脚本はイ・サンウが担当。キム・アロン、イ・チョニが共演している。実話を基に、韓国から海外への養子縁組をテーマに社会の暗部を描いた社会派ドラマ。
浦項の海岸で民宿を切り盛りする少女イ・スニョンは、手製の携帯ストラップを売って家計を支えながら、知的障害のある父、バービー人形に憧れる妹スンジャ、そして叔父のマンテクと暮らしていた。ある時、アメリカ人の父スティーブと、娘のバービーがやって来る。彼らはスニョンを養女にしたいというのだ。マンテクは姪の養子話をまとめて金をせしめようとしていた。アメリカに憧れていた妹のスンジャは、自分が養女になりたいと言うが、体の弱さを理由にマンテクは許さない。心優しいスニョンを気に入ったバービーだが、父スティーブの隠された計画を知り衝撃を受ける。

 

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