袋小路 (1966) イギリス

[999]人間を信頼できないポランスキーから見た人間どもの紡ぎ出す不条理劇 ★★★★★☆

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お、「袋小路」だ!
凄い、観てないんだよな、ツ◎ヤはほんと偉い!
と借りて観はじめたら、観てたわ(笑)。

ま、私にはよくあることだわな。
大昔のことだし、いちいちタイトルなんか憶えてられるかあ~(泣)。

ポランスキーの1996年の作品。

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主演は「反撥」に続いて、カトリーヌ・ドヌーヴ。
と言いたいほどよく似てるよね(笑)。

「柔らかい肌」の、あのフランソワーズ・ドルレアック。
似てて当然。そ。ドヌーヴの実のお姉さん。
でも自動車事故で25歳の若さで死んじゃったんだよね。

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演劇風に言えば、ナンセンス不条理劇(笑)。

こいつら、間抜けなギャング2人組。
銀行を襲ってめでたく失敗(?)。
小男のメガネおっさん(アルバート)は腹に弾を喰らい、
大男のクマ(リチャード)は腕を負傷して、ただいま逃走中。
が、途中でボロ車が故障。

クマは、死にそうなメガネを助けなきゃ、助けるぞお、
と付近に家を探す。

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と、海辺に古城が。

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こそっと忍び込んだはいいが、ああ、疲れたと
メガネのことなんかすっかり忘れて、ニワトリ小屋の天井で一眠り。
おいこら、クマ、寝るな寝るな。
見ろ、車に乗ってるメガネガが大変なことになってるぞ。

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次第に潮が満ちて道路はいつしか海と化していた。
メガネ、「クマ~、大変なことになったぞお」だって(笑)。
よかったあ。ふざけるのが好きなの、私だけじゃなくて。
え? だって天下のポランスキーもふざけてるじゃん(笑)。

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うわっ、古城の夫婦もふざけてバカ騒ぎしてるよ(笑)。
が、階下に誰かいる気がして降りてみると、

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見知らぬ侵入者クマがわが家みたいな顔して、
「メガネがやられた、迎えに来て~」と、
どこぞのホテルに隠れてるらしい親分に電話してるの(笑)。

で、旦那が何者だと詰め寄ると、
クマちゃん、アホ旦那の顔を見てニタラニタラ笑うの。
なぜでしょう?

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おめえの女房、美人だけど、浮気しとるぞ。
知らんのだろう。おれは昼間、しっかり目撃したぞお、
と言いたくて言いたくてしようがないから(笑)。

でもクマ、ギャングのくせにけっこう穏健派なの。
家庭に風波立てちゃ悪いと思うタイプ?
だから我慢して言わない(笑)。

その代わり、オレのダチが怪我してる、
救出を手伝え~と脅して車に行ってみると、

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あら~、潮がさらに満ちて車は海の中。
なんとかメガネを救出して古城に連れて帰るが、

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結局、「酒飲ませろ~」とダダをこねつつ、死亡。
とクマは、死者メガネが生き返るのが急に怖くなり、
ハゲ亭主に墓を掘らせて手厚く埋葬したのだった(笑)。

離れ島と化した古城を出て行く訳もいかず、
すまねえ、親分が迎えに来るまでハイジャクだ
と、一眠りしてると…、

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窓辺にニワトリ君がやってきて、「朝~~!」

お~、谷岡ヤスジのニワトリ君の起源はこの映画だったのかあ!
と、誰もが気づかされるシーンがやってくる(爆)。
あ、例によって信じないでね、私の言う戯言を(笑)。

そしてハゲ亭主に髭を剃らせ、遅い朝食をすませ、
庭で親分が救出に来るのを待ってると…、

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「来たあ~、信ずべきものは家族じゃない、組だあ、
マフィアだあ~、親分だあ~」
とハゲ亭主に雄叫びを浴びせる。

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が、車から現れたのは、ハゲ亭主の友人たち。
遅まきながらと、ハゲおふざけ新婚夫婦へのお祝いにやって
きたのだった(笑)。

さあ大変。
クマは事態を誤魔化すべく、自ら「下男役」を志願。

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と、それをいいことに、
下男に命じ、下男を走らせ、下男を使いまくる
われらが美女新妻(笑)。

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ばかりか、
一緒にやってきた中年色男に色目を使って誘うわ、

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浮気相手の青年はまた浮気しようとやってくるわ、

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餓鬼は餓鬼であることをいいことにイタズラしまくり、
鉄砲ばぶっ放して古城の無形文化財をぶっ壊すわで(笑)、

これまでひたすら、
触らぬ神に祟りなしの精神で平和を保とうとしてきた
平和主義者ハゲ亭主もついに爆発して、

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「ゲラップ、ゲラップ、おまえら全員ゲラップ、絶交だあ!」
と連中を全員追放する(笑)。

じつはこのハゲ亭主、
新妻がウラで浮気しまくってることも知ってて、
それで爆発しちゃった訳。

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神経をすり減らしてぐったりしてしまうクマ男とハゲ亭主。
仲良きことは美しき哉…(笑)。

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ああ、若くて美女のワタシが、
こんなド島外れに、こんなクマ・ハゲといたら気が狂いそう。
なにか面白いことないかしら…、
と、クマの足で火遊びをしてしまうオラが天使妻(笑)。

彼女、結局、子供なんだよね。
鉄砲ばぶっ放して喜んでるイタズラ餓鬼と同じ。
罪意識、罪悪感なんてまったく知らない天使さん(笑)。

物語はそんな天使女に不条理にも
人生をズタズタにされてしまうアホ男たちの顛末記。

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親分の迎えが遅いのでクマが電話をしてみると、
「知るか。勝手にしろ」と伝言を残し、親分はすでにドロン
と雲隠れ。

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「なんで?わしら親分を一度も裏切ったことないのに
なんでこうなるの? ちくしょう、ぶっ殺してやる」
と、ハゲ亭主の車を借り、ピストル片手に古城を出ようとするが、
ない、ピストルがない。

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あ、おまえらか。返せ。それはわしのピストルだぞ。
ホラ、ホラ。

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わっ、こっち来るな、頼む、来るな、ズドーン。
え…? おれを撃ったの?(笑)
おれじゃない、おれの手が勝手に、ズドーン。
なんで?なんでこうなるの?(笑)
おれ、一度もおまえらを撃とうとしなかったんだよ、なんで?

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とチカラを振り絞ってメガネの車へ行き、
機関銃を取り出すと、
「これでおまえらを蜂の巣にしてやる~!」

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「と思ってるけど、わしはそれでもおまえらを殺さないよ、最後まで。
おまえらの車は蜂の巣にはするけど…」と、
どこの者とも知れない人権派クマ男は息絶えた。
不条理の謎も解けぬまま…(笑)。

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じつは一番信頼すべき犯罪者クマ男を殺してしまい、
呆然とするハゲ男(笑)。

美人妻は、
「やっと終わった。正当防衛よ。逃げよう、あんた」
と言うが、
亭主は「……」。

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そこへ、昼間来たあの中年色男が、
銃を忘れたと言ってたまたま戻ってくると、
ハゲ亭主は思い出したように、
女房の荷物をカバンに詰め、
さっさとこの男と出て行きやがれと妻を追い出した。

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そしてひとり海に入り、岩の上に蹲り、
去った妻の名を呼びながら、さめざめと泣くのだった。
はい、おしまい。

…と言われても、
いったい何なんだあ、おまえもクマ男も~、だよねえ(笑)。

クマ男のピストルを盗んだのはじつは美人妻。
で、それをハゲ亭主に渡して、
あんた男なんでしょ、ホラ戦いなさい、撃っちゃいなさい、
と、唆したんだよね。

だから、
おまえが悪い、全部、浮気するおまえが悪いんだあ!
と言えばいいのに、それも言えない?

そりゃ言えないわな、人間なら。
全財産はたいてひとも羨む古城を買って、
若い美人妻もらって、ほいで末永く
幸せに暮らすことしか夢みてなかったおまえが悪い!
と言われたら、言い返せないもんね、人間なら(笑)。

まあ、
いちばん人間らしく生きようとしたハゲ亭主とクマ男が
いちばん損をした、ということかな。

そんなもんよ、人生は。世界は。
泣くな、ハゲ。泣くな、クマ。
おれがついてるじゃないか、と言いたくなる映画(爆)。

ポランスキーからすると、
人間なんて誰も信じてないよ、おれは
ということになるのかな?

そういう怖~いポランスキーの目が
冷徹に見つめた世界が展開されてて、
やっぱりちょっと怖いとこあるよね。


■112分 イギリス サスペンス
監督: ロマン・ポランスキー
脚本: ロマン・ポランスキー ジェラール・ブラッシュ
撮影: ギル・テイラー
音楽: クリストファー・コメダ
出演
ドナルド・プレザンス
フランソワーズ・ドルレアック
ライオネル・スタンダー
ジャクリーン・ビセット
ジャック・マッゴーラン

ポランスキーの長篇三作目はいよいよ神経病めいて、この作家は本性を露にしている。
満潮時には外界と遮断される孤島の古城に若く美しい妻(ドルレアック)と住む初老男(プレザンス。不気味に好演)。この閉ざされた世界で理想の暮らしを営もうというわけだが、そこへ見るからに凶悪そうな面相の何やらしでかして逃亡中の男(スタンダー)が瀕死の相棒を連れて闖入。
この浪藉者にしたい放題されてただ黙っている主人に女房の方はとっくに愛想を尽かしており、島に遊びに来た一家の青年と密かに通じている。
悪漢は意外と素朴な所もあって、妻と泥酔したりするクセに手を出しはしない。
けれども、彼女は夫に彼を殺させ、半狂乱の夫を置いて島を出て行ってしまうのだ。
現代人のナントカと説明をするのも空しい。
この歪んだ人間把握は全くポランスキー独自のものだ。モノクロの映像美が秀逸。

 

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