鳥 (1963) アメリカ

[1003]これは世にいうほど傑作なのか傑作ではないのかそれが問題だ(笑) ★★★★★☆

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1000本レビュー記念作品。
かなり続くのよ、驚いた?(笑)

これは怖いよお。
「反撥」(1964)とこの「鳥」が
私の中では世界最強の恐怖劇なんだよ。

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箱入り娘のメラニー(ティッピ・ヘドレン)は、
サンフランシスコからすこし離れたボデガ・ベイに向かう。

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ミッチ(ロッド・テイラー)の妹の誕生日に
こっそりラブバード(インコ)をプレゼントするためだ。

小鳥屋ではじめて会ったのに、ミッチがからかってきた。
で、こんちきしょう、箱入り娘のイタズラを思い知らせてやる
という気持ちになったのかな?(笑)

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作戦成功と町へ引き返そうとすると、
突然、一羽のカモメに襲撃される。
で、気づいたミッチに救出され、その夜は
町で知り合った小学校の先生アニーの家に泊まることになる。

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左が噂のミッチね…、ロッド・テイラー。
で、右がミッチの母親リディア…、ジェシカ・タンディ。
「フライド・グリーン・トマト」、よかったよね。
でもこの映画では元凶のひとよ。
メラニーを襲撃したカモメ、じつはこの母親だったんだよね。
こいつめ、息子に近づくな!って(笑)。

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こっちは地元小学校の先生アニー…、スザンヌ・プレシェット。
懐かしいだろう!
といっても憶えてるひと少ないかもな。
子供のころ、私、彼女が好きでさ。
ほら、トロイ・ドナヒューとやった「恋愛専科」がよくて。

このアニー、じつはミッチの元恋人。
なんだけど、上の母親が
私の敵め、息子を奪うな、と言って別れさせた訳よ。
ほら、怖いだろう(笑)。
いま日本でもこういう母親めちゃ多いの知ってるカニ?(笑)

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ついでながら、右がミッチの妹、11歳。
え? と驚くよね、
なんぼなんでも歳が離れすぎてねえかい?って。

父親、つまり母親の夫は4年前に亡くなって、
以来、母親は息子に「捨てられるんじゃないか」という
恐怖心を抱くようになるんだけど、

う~ん、怪しいなあ。この妹、もしかして
母親と息子ミッチの間に生まれた子じゃねえのかい?
とも想像しちゃうよねえ(笑)。

そのほうが彼女の抱く「捨てられるんじゃないか」という
恐怖心の根拠がよくわかる?

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ともあれ、
その夜、アニーの家の玄関にカモメが突撃し、息絶える。
と、あとは一直線。
鳥たちがすさまじい勢いでこの町の人間たちを襲撃しはじめる。

最初の恐怖。

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母親の友人が
鳥たちに襲撃されて目玉をくり抜かれてるんだけど、
怖いよねえ!

最初にこの恐怖を見せられるから、
鳥たちが襲撃してくると、
コレを見せられた時の恐怖が否応なく襲ってくるように作られてる。
うまいと言えば最高にうまいんだけどさ、
ヒッチコック、趣味悪いなあ!! とも感動しないカニ?(笑)

これもちなみに言っておくと、
死体の発見者は、母親のリディアなんだよね。

彼女、発見したあと、恐怖でしばらく口もきけないんだけど、
じつはたぶん、その恐怖は、
彼女自身の根っこに巣食っている「捨てられる」ことへの恐怖が
ここに転写されてるんじゃないかと思うよ。

襲撃する鳥たちに関して言うと、
彼女のその恐怖心が鳥たちに転写されて、
恐怖心のあまり鳥たちが人間たちを襲撃している?

どう? すごい私の新説ご披露だろう(爆)。

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ここはメラニーが心配になって
小学校にミッチの妹を迎えに行ったシーン。
授業中だったので外でタバコを吸いながら待ってると、
彼女は気づかないんだけど、校庭にカラスが…。

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1ショット目。

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2ショット目。

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そして3ショット目。

ここもめちゃくちゃ怖いよねえ。気づくと
あっという間にこんなにカラスたちが集結してるんだぜ。

来る、来る、来たあ!
という、恐怖の増幅のリズムをめちゃくちゃうまく利用してる訳。

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で、コレだよ。
ほんと趣味悪いよねえ、ヒッチコック。
子供たちがあんまり怖がってないから助かるけど、
韓国の子供たちがやったら真に迫るだろうから、
即上映中止になったと思うよ、おらは(笑)。

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これは公衆電話ボックスの中にいるメラニーが襲撃されるシーン。
なにが怖いかって、やっぱり鳥のクチバシだよね。
鋭利にとがったクチバシ。
もうナイフの切っ先が目の前に襲ってくるような怖さだよね。
ほんと趣味悪いよ、ヒッコックは。最悪(笑)。

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しかもアニーを…、
おらがスザンヌ・プレシェットを殺すに至っては
もう人間じゃないよね。
悪魔!地獄に堕ちろ!って、つい叫びたくなっちゃうよねえ(笑)。

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最後、ミッチ一家とメラニーは家に閉じ込められる。
ここも怖いよねえ。
この映画では音楽が一切使われてない。
なもんだから、ここに来て、
この四人の無言が表わす「恐怖」がめちゃリアルに
観てるこっち側に伝染してくるんだよね。
うまいなあ、ヒッチコック! 
って感心してる場合じゃないよね、こっちは、怖くてさ(笑)。

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しばらくしてメラニーが二階の屋根裏部屋(?)を覗く。
と、そこには屋根に穴を開けて侵入した鳥たちが巣食っていて、
いっせいにメラニーを襲撃してくる。
メラニーは倒れ、意識を失う。

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ミッチが気づいて救出し、
彼女を病院に連れて行こうと玄関のドアを開けると…、

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ギェ~~~ッ!だよねえ。
鳥だから上だろうと思ってたら下なんだもん。
地面。意表を衝かれる怖さだよね。

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で、ラストショット…。

なんの意味も、なんの解決もないまま
観てる側は放り出されてしまう、
謎の鳥たちを眼前にしたまま…。

怖いのは当たり前だろ、卑怯者め!
と思うようねえ(爆)。

で、腹立つから私が新説ご披露に及んだ訳さね

メラニーが屋根裏部屋が気になって覗いたのも、
もしかして屋根から侵入してるかもしれないと
ふと気になったからじゃないんだよね。

意識上はそうかもしれないけど、
意識下でこの家にはなにか秘密が隠されている
と思ったからなんだよね。
で、禁断の屋根裏部屋に足が動いてしまった。

と、鳥たちが屋根に穴を開けて侵入してたんだけど、
じつを言うと、あれは「侵入」してたんじゃなくて、

屋根裏部屋に長年飼われていた鳥たちが、
屋根を食い破って、ついに外へ飛び出した跡だったの。
そうなのよお(笑)。

もちろん飼っていたのは母親、あるいはこの家族。
もっと言えば、この町。
閉ざされた因習を生きているこの町のひとたち…。

みんな気がついてないだけで、
各家庭がこの家と同じように、
じつは自分ちの屋根裏に鳥を飼ってたんだよね。

そこへはじめて外部の人間が入ってきた。
そう。メラニー。しかも「ラブバード」(幸せな小鳥たち)をぶら下げて。

で、閉ざされた因習で窒息死しそうだった鳥たちが
それを見て立ち上がり、屋根裏を突き破り、
自分たちを飼っていた町の住人たちを襲撃しはじめたんだよね。

おっ、わかってくれた?
そうなのよ、コレ、鳥たちの革命劇な訳よ(爆)。
あ、そうね、病気劇と言ってもいいんだけどさ(笑)。

鳥たちはなぜか、
「襲う-止める-襲う-止める」という一定の時間リズムを持ってるよね。
あれはまさに精神を病んだひとが持っている
「異常-正常-異常-正常」という周期リズムと同じだもんね。
病気の母親リディアが襲われる「恐怖」の周期と同じ。

話を単純化すると、
因習に囚われて生きていながら、
このままだと自分たちは、この町は、外側の町や、
外側の町のひとたちから「捨てられてしまう」かもしれない
という不安が「恐怖」のレベルにまで達していた。

母親リディアはいわばその象徴的な人間で、
その恐怖感が鳥たちに転写されて、
ここに展開される恐怖劇を生み出してしまったんだよね。

ラスト、
ミッチとその家族はメラニーを連れてわが家を、
町を出ていくんだけど、あれは、
文字通り、因習に囚われたわが家とわが町を捨てて、
自分たちから外側の新しい町へ飛びだして行った。

おお、めでたしめでたし
という終幕なんだよね(笑)。

そう考えると、
なんだ、ちゃんと意味あるじゃないか、怖くないじゃないか
と恐怖が和らぐよね(笑)。

え、違う?
違わないと思うけどなあ。
そう考えないと、なんで前半こんなにダラダラと母親の話が続くのか
よくわからないし、

それがわからないと、
コレ、ストーリー的に言うと駄作なんじゃないの?
ということになってしまうと思うよ、おらは(笑)。

ま、実際、怖いけど、
何度も観たいと思わないのはそのせいかもしれないけどさ。

おら、知らね(笑)。


■120分 アメリカ サスペンス/SF
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: アルフレッド・ヒッチコック
原作: ダフネ・デュ・モーリア
脚本: エヴァン・ハンター
撮影: ロバート・バークス
音楽: バーナード・ハーマン
出演
ティッピー・ヘドレン
ロッド・テイラー
スザンヌ・プレシェット
ジェシカ・タンディ
ヴェロニカ・カートライト
ドリーン・ラング
エリザベス・ウィルソン
エセル・グリフィス
チャールズ・マックグロー
ロニー・チャップマン
ジョー・マンテル
マルコム・アターベリイ

ある日、何の理由もなしに、鳥たちが人間を襲い始めた……。
たった一つのシチュエーションをもとにあらゆる恐怖を引き出した、ヒッチコックのサスペンス・ドラマの傑作。
一羽のカモメに額を傷つけられる予兆から、群れをなして襲い来るラストまで、恐怖映画のお手本のような演出が素晴らしい。93年にTVムービーで続編「新・鳥」が製作された。

 

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