イヴの総て (1950) アメリカ

[1007]観るたびに気持ち悪くなる映画。私はきっと変わっているのだろう(笑) ★★★★☆☆

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1000本記念レビュー。
傑作の誉れ高い作品。
観るのは3度目。

が、私はすこしも傑作だと思っていない。
観るといつもただ気持ち悪くて吐きそう(笑)。
オレはやっぱり変わってるなと自分でも思う。

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イヴという新進女優が
栄えある舞台演技賞を受賞するシーンから始まる。

このトップシーから私はもう生理的にだめ。
あ、こいつ、嘘つき。演技下手。気持ち悪い。
なんでこんな女優が賞もらう訳?
と思ってしまう。

べつに物語を知ってるからではない。
初めて観たときからそうだった。

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ハリウッドを想像させる、こういう「いかにも的」な絵(映像)も
気持ち悪いし、ナレーションも気持ち悪い。
噴飯もの。

おまえな、偉そうに説明するなよ、説明を。
おれは説明聞きにきたんじゃないんだよ、
言葉では説明できないものを観にきたんだよ。
みんな、言葉では説明できないから映画を作るんだろ。
表現に憑りつかれるんだろう、と思う(笑)。

案の定、以下の物語も説明ばっかり。
私には面白くもなんともない。

こんな駄作にアカデミー賞なんかやるなよ、
同じ1950年ならダンゼン「幌馬車」のほうが傑作だろ。
いまからでもいいから取り消して「幌馬車」にやれ。
あ、主演女優賞もベティ・デイヴィスにやるんだぞ!
と声を大にして言いたくなる。

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ベティ・デイヴィス…、ベテラン人気女優マーゴ役。

ストーリーは、
イヴがこのマーゴのファンのふりをして近づき、
ベティの恋人の演出家ビルや、
劇評家アディソンに取り入り、マーゴを蹴落とし、
ブロードウェイで成り上がっていくという、
絵に描いたようなペラペラ業界内幕もの。

それを見事な作品と褒め称えるひとが多いので
私はホント気絶してしまいたくなる。

「ウェルメイド」を宗教のように信じてるひとがいかに多いか
ということなんだろうが、
どうなのよ、太宰(治)さん?と私は一度聞いてみたい。
なぜ突然太宰なのかは私にもわからない。

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劇評家アディソンを演じたジョージ・サンダースにも聞いてみたい。
かれのことだからやはり、

「世界よ、退屈だからオサラバするよ。もう十分長生きした。
このステキな糞溜めの中で、
君たちが不安に頭を抱えたままにしておこう。せいぜいお幸せに」
と言うだろうか。

1972年、かれはそう書き残し、
スペインのバルセロナ近郊のホテルで自死したのだが、
私に言われて悔しかったら、
そう言って死んだジョージ・サンダースを描いてみろ、

と、今夜はやけに過激になりたくなる。

少なくとも、こんな映画より
私はサンダースの遺書によほど感動するわな。

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この映画の公開後、まさに映画を地でいく出来事が起きた。
イヴを演じたアン・バクスターの所属会社が、彼女を
アカデミー主演女優賞候補にノミネートされるよう工作したのだ。

誰が観たってベティ・デイヴィスには遠く及ばんだろうと
思うのだが、
結果、評が割れ、ベティ・デイヴィスは受賞を逸する。
まったくヘソが茶を沸かすとはこのことだよね。

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これはこの映画でほとんど唯一感動するシーン。
マーゴはイヴの卑劣な遣り口に落ち、ヒステリーを起こす。
と、彼女と一時ケンカ別れしていた演出家ビルは、駆けつけ、
彼女を抱きしめ、慰める。

ここはいい。うん、ここだけはいい。ホッとする。
人間の汚さを描くのはおおいに結構だが、
汚さだけ見せられて終わられたら、私は死にたくなるよ。

しかも現実はさらに感動的。

映画の中でビルは、
悪女、ヒステリーとみられているマーゴに結婚を申し込み、
二人は結婚するのだが、

なんとビルを演じたゲイリー・メリルは、
この映画が終わったあと、
ほんとにベティ・デイヴィスと結婚したのだ。
10年後には別れてしまったけど、
私はこの映画よりそっちによほど感動するよね。

悔しかったらゲイリー・メリルを撮ってみろ。

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授賞式が終わったあと、マーゴはイヴに近づいて言う。
「おめでとう。
だけど自分の心は正しいところに置きなさい」

この映画の中で唯一いいセリフである。

で、私は初めて観たとき、
イヴは「恐るべき子供たち」のエリザベートのように
自殺するに違いないと期待してたんだけど、
「疲れた」と言って部屋に帰り、休むだけ。

ありゃまあ~~、だよね(笑)。

観る側は、観てるときなにを観てるかというと、
その人間の中で起きているドラマを見てる訳だよね。
言葉にならないドラマを。

でもイヴの中では最後までそのドラマが起こらない。
起こったフリをしてることもあるけど、
観ていられないほどあざとい。わざとらしい(笑)。

ライターさん、
どんなにひどい人間だってもっと人知れぬドラマが起こってるよ。
人間はこんなにばかじゃないよ、単純じゃないよ。
と言いたくなる。

いや、単純な人もいるかもしれないけど、
そんな人間を見せられてはいおしまいじゃひどすぎるぜ。

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脚本が薄っぺらいからだと言えばそうだが、
それでもベティ・デイヴィスはいささか強引ながら
台本を超えてドラマを作り出してみせてる。
やっぱり凄いなあと思う。

まあ、それが言いたくてまた観た訳だが。

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ラストシーン。
誰だかわかるかな?

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駆け出しのころのマリリン・モンロー。

ラスト、
こんどは彼女がイヴに取り入ってブロードウェイの、
ハリウッドのスターダムにのし上がろうと現れる。

え~、もういいよ、そんなことイヴだけでわかるよ。
止めてくれ~、こんな恥ずかしい映像~!
と、ヒステリー起こしたくなる私なのであった。

はい、おしまい。


追記)
蟹江敬三さんが亡くなりました。
心からご冥福をお祈りいたします。


■138分 アメリカ ドラマ
監督: ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作: ダリル・F・ザナック
脚本: ジョセフ・L・マンキウィッツ
撮影: ミルトン・クラスナー
音楽: アルフレッド・ニューマン
出演
ベティ・デイヴィス
アン・バクスター
ジョージ・サンダース
ゲイリー・メリル
マリリン・モンロー
ヒュー・マーロウ
グレゴリー・ラトフ
ランディ・スチュアート
セレステ・ホルム
セルマ・リッター
バーバラ・ベイツ
クレイグ・ヒル

ある日、新進女優イヴ・ハリントンはアメリカ演劇界の栄えある賞に輝いた。だが、彼女がここまで上り詰めるには、一部の関係者たちしか知り得ない紆余曲折の経緯があった。8ヶ月前、田舎からニューヨークへ出てきたイヴは、ひょんなことから憧れの舞台女優マーゴの住み込み秘書となった。するとイヴはこれを皮切りに、劇作家や有名批評家に巧く取り入り、マーゴまでも踏み台にしてスター女優へのし上がっていく…。
監督マンキウィッツ自身による見事な脚本と、名優たちの火花散らす熱演とが融合し、その年のアカデミー賞をほぼ独占する形となった、バックステージものの最高作。田舎からニューヨークへ出、大女優(B・デイヴィス)の付き人となったのを皮切りに、有名批評家に取り入って大女優の代役から一躍、ブロードウェイの寵児にのし上がるヒロインを、A・バクスターがまさに一世一代の体当たり芝居で演じきる。批評家のG・サンダースも、いつになく繊細な役柄を的確に表現し、オスカー助演賞を得た。まだ無名の頃のモンローが顔を出している。

  


この記事へのコメント

ラストシーンについて
2015年12月19日 06:47
ラストシーンで出てきた女優はマリリン・モンローじゃありません。彼女は物語の中盤で既に登場しています。

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