チェンジリング (2008) アメリカ

[1021]この映画を観てると「集団的自衛権」が狂気の沙汰以外の何ものでもないとよくわかる? ★★★★★★

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「奴らを高く吊るせ!」を観ているときに思い出したので
改めて観たC・イーストウッド監督作品。

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1930年10月、
20人の子供たちを殺害したとして高く吊るされた男、
ゴードン・ノースコット。

兄貴(C・イーストウッド)はゴードンではなく、
腐敗にまみれたロス警察の奴らを高く吊るしたかった
のだろうが(笑)。

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作品は、実話。実際に起きた出来事を描いたもの。
なんだか近年世界中で真似してねえか、
おらが「犯罪フィールドノート」を(笑)。

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1928年、ロサンゼルス。

コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、
ロスの電話局で働きながら、9歳になる息子ウォルターと
二人で暮らしていた。
父親はウォルターが生まれるとすぐに「責任」を回避すべく、
消えたからだ。

が、ある日、
帰宅するとわが子ウォルターの姿が忽然と消えていた。
すぐにロス市警に捜索を依頼するが、
行方は杳としてわからない。

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5ケ月後、コリンズは、ロス市警のジョーンズ警部に
ウォルターがイリノイ州で発見されたと知らされ
駅へ出迎えに向かうだが、

喜びも一瞬、その子はウォルターではなかった。
まったく見知らぬ子だった。

が、かれはなぜだかウォルターだと名乗った。
ジョーンズ警部も、間違いない、あなたが混乱をしているせいです
と意味不明、支離滅裂、狂気の太鼓判を押し(笑)、
その子をコリンズに押し付けた。

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聞いた、みんな? 実話だよ、これ実話。
笑ってられないよ、私が生まれるわずか20年前の話だよ。
アメリカってやっぱりおっとろしい国だよねえ。
ニューヨーク在住のおかのが心配だ(笑)。

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コリンズは、
ウォルターの歯を治療した歯科医と、
小学校の教師の証言をもとに、
ウォルターを名乗る少年は息子ではないと
新聞記者たちに事態を公表しようとする。

と、ジョーンズ警部は先回りしてコリンズを拘束し、
おまえは病気だと
ロサンゼルス病院の精神科に強制入院させる。

扱いは「コード12」の患者。

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おかの、絶対帰ってきたほうがよくないか?
かといって「集団的自衛権」の行使(戦争)しか考えてない日本も
いまや完璧に気が狂ってるしなあ。
どうする?
おれの知人が何人かインドネシアで暮らしてるけど、
インドネシアに行ってみるか?
心が落ちついて住みいいみたいだぞ(笑)。

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食事のとき、キャロル(エイミー・ライアン)
という女が耳元で言う。

「コード12」は、警官に逆らったためここに入れられた者。
みんなクスリと電気ショックで廃人に追いやられている。
彼女も、彼女も、彼女も、そして私も…、
ここにいる大半は「コード12」の患者なのだ、と。

事実コリンズは医師に、
市警には一切逆らわないと約束すれば退院できる、
と誓約書を差し出される。

コリンズははじめて
ロス市警の圧力と腐敗をわが身で知り、
「ノー」と答える。
闘うキャロルの姿を見て、ロス市警と戦うことにしたのだ。

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おい、おかの、大丈夫か!
隅っこでそんなに震えてなくても大丈夫だ。
とりあえずコレは映画だし、昔の話だし、
何かあったら、イーストウッドが絶対守ってくれるぞ。
じつはおまえのことはおれが兄貴に頼んでるからよ(笑)。

え、そうじゃない?
集団的自衛権の成立を目論んでる日本が怖くて?
んだんだ、なんとしても阻止せなあかん!

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この間、事件は予想外の展開をみせる。

ロス市警のヤバラ刑事(マイケル・ケリー)は、
不法滞在している少年を拘留し、送還しろと指示され、
ある農場へ向かい、少年を拘留する。

と、その少年が衝撃的な告白をしたのだ。
農場は叔父ゴードン・ノースコットのものだが、
その叔父は子供たちを誘拐し、殺害しつづけた。
手伝えと脅迫され、仕方なく自分も手伝った、と。

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ヤバラ刑事が
半信半疑で行方不明の少年たちの写真を見せると、
殺害したという少年の中にウォルターがいた。

ヤバラは独自の判断で少年と農場へ生き、
埋められた子供たちの遺体を発見する。
その数、およそ20体。

その驚くべきニュースがまたたく間にロスに流れる。

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一方、以前からコリンズに救援の手を差し伸べていた
グスタヴ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)は、
彼女の事態を知り、不法処置だとロス病院へ抗議する。

ウォルター少年の殺害ニュースが流れたこともあり、
ロス市警と、癒着する病院はコリンズを解放する。

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キャロルら「コード12」指定の女性たちも、
コリンズ、牧師、協力を申し出た弁護士らのチカラで
ようやく解放される。

危険を感じてカナダへ帰国したゴードン・ノースコットも
すぐに逮捕され、裁判がはじまる。

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ジョーンズ警部は、辣腕弁護士に
捜査ミスと「コード12」の不法を暴かれ、結局、
市警から追放される。市警本部長も首。

え~、二人とも監獄送りじゃねえのかよ、
と、おらはちょっと驚いたよな。
あ、ニューヨーク在住のおかのも怒ってたよ(笑)。

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内幕に触れておくと、
本部長の指揮下のもと、ロス市警は、
ウラ社会を牛耳るギャングどもをぶち殺して一掃、
代わりに自分たちがウラで社会を牛耳り、
賄賂三昧に明け暮れていた訳ね。

で、市民の批判が高まったものだから、
ウォルター少年発見の美談をデッチ上げて
市民の批判を交わそうとした。

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そ。ウォルターを自ら名乗った少年は、
浮浪者と一緒に放浪していた少年で、保護したあと
美談デッチ上げのためウォルター少年を名乗らせた訳よ。

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一方、被告のゴードン・ノースコットは、
3人の少年事件で死刑宣告を受ける。
ウォルター少年については、
「あの子は天使だ、おれは殺してない」と言うのだが、

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結局、真相がわからないまま、2年後、
冒頭で言ったように、高く吊るされてしまう。

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周囲は殺害されたと思っているのだが、
コリンズ夫人は生きている可能性を捨てきれず、
ひとり探し続けている。

と、数年後、彼女に1本の電話が入る…、
というのがストーリー。


これが実話か、と言いたくなるほど、
そのストーリー展開に思わず引き込まれ、
あっという間に142分が過ぎる。

これがアメリカ映画か!うそだろ?
と疑いたいくなるほどの傑作(笑)。

でも間違いなくアメリカ映画。
いまやおらが兄貴C・イーストウッドしか作れない
アメリカの「自由」精神に満ちた素晴らしきアメリカ映画。

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なんで兄貴にしか作れないのかって?
だって、古き良きアメリカ映画の時代を知っているのは、
もう兄貴しかいないんだもん(笑)。

下手な映画作ったら先輩たちに怒られる、
師のセルジオ・レオーネや、ドン・シーゲルに、
そして恩人の黒沢明に合わせる顔がないって思ってるから
なんだよね。

言うてみればC・イーストウッドは
ひとりで自分の映画を作っているんじゃなくて、
そういう師や恩人たちと一緒に作っている訳さね。

そりゃあんた、
いつも素晴らしい映画になっちまうに決まってますがな。

師や恩人黒沢の跡を受け継ごうとしたのは、
アメリカに帰ったあと
自分の映画制作会社(ルパソプロダクション)を作って、
いまで言うミニシアター系の映画作りに徹したことでもわかるよね。

いいかえると
大作主義、商業主義のハリウッドに近づくと危ない!
好きなことをやれなくなる、消耗品にされる、銭の奴隷にされる!
と思ったんだよね。

もうそこがいまのアメリカ映画人たちとは、全然違う訳さ。

この映画、アンジェリーナ・ジョリーをはじめ、
今どきのハリウッド・スターを使っているのは間違いないけど、

そしてその分だけ残念ながら、
地味で小規模きまわりない「人生の特等席」より
ちょっと劣るのは間違いないけど(笑)、

でも自分の思想的立場である「リバタリアニズム」に
徹してるもんねえ。
だからこれだけハードな作品を作れる訳だよね。

え? リバタリアニズムってなにか?
だから、ほら、「奴らを高く吊るせ」って信念(笑)。

簡単に言うと、
「個人的な自由」と「経済的な自由」を徹底して尊重し、
従って他人の、そして他国の自由をけして侵害してはいかん!
朝鮮戦争も、ヴェトナム戦争も、テロとの戦いも、イラク戦争もいかん。
絶対いかん、だめ、許さん~! 
そういうことをやるやつは「高く吊るせ!」という考え(笑)。

それがおらの兄貴C・イーストウッドなんだよね。
だからおらも「兄貴~」と懐いてる訳さね、
子供のころから知ってるってこともあるんだけどさ。

この映画、
そういう兄貴の姿がほんとによく表れてるよね。
自分の自由を大事にするために、
他人の自由も徹底して尊重したいという姿勢が。

師や恩師たちを忘れずにいまなお一緒に作っている。
自分の思想「リバタリアニズム」に徹している。

ま、その二つが、老いてもなお
信じられないほどのエネルギーで傑作を作りつづけている理由
だと思うよ。

わかった?
兄貴も海の向こうで「集団的自衛権」を成立させようとする勢力に
怒りまくってることが(笑)。
負けちゃいられないんだよ、わしらも。


■142分 アメリカ ミステリー/ドラマ
監督: クリント・イーストウッド
製作: クリント・イーストウッド
ブライアン・グレイザー ロン・ハワード ロバート・ロレンツ
製作総指揮: ティム・ムーア ジム・ウィテカー
脚本: J・マイケル・ストラジンスキー
撮影: トム・スターン
音楽: クリント・イーストウッド
出演
アンジェリーナ・ジョリー クリスティン・コリンズ
ジョン・マルコヴィッチ グスタヴ・ブリーグレブ牧師
ジェフリー・ドノヴァン J・J・ジョーンズ警部
コルム・フィオール ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長
ジェイソン・バトラー・ハーナー ゴードン・ノースコット
エイミー・ライアン キャロル・デクスター
マイケル・ケリー レスター・ヤバラ刑事
ピーター・ゲレッティ
デニス・オヘア
コルビー・フレンチ
ジェフ・ピアソン
リリー・ナイト
ガトリン・グリフィス
フランク・ウッド

クリント・イーストウッド監督がアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎えた感動のミステリー・ドラマ。
1920年代のロサンゼルスで実際に起きた事件を映画化。5ヶ月の失踪ののち保護され帰ってきた幼い息子が別人だったことから、本物の我が子を取り戻すため、捜査ミスを犯した警察の非道な圧力に屈することなく真実を追及していくシングルマザーの長きに渡る孤独な闘いを綴る。
1928年、ロサンゼルス。シングルマザーのクリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターを女手一つで育てる傍ら電話会社に勤め、せわしない日々を送っていた。そんな彼女はある日、休暇を返上してウォルターをひとり家に残したまま出勤する羽目に。やがて夕方、彼女が急いで帰宅すると、ウォルターは忽然と姿を消していた。警察に通報し、翌日から捜査が始まる一方、自らも懸命に息子の消息を探るクリスティン。しかし、有力な手掛かりが何一つ掴めず、非情で虚しい時間がただ過ぎていくばかり。それから5ヶ月後、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報が入る。そして、ロス市警の大仰な演出によって報道陣も集まる中、再会の喜びを噛みしめながら列車で帰ってくる我が子を駅に出迎えるクリスティン。だが、列車から降りてきたのは、ウォルターとは別人の全く見知らぬ少年だった…。

 

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