赤いアモーレ (2004) イタリア

[1026]ペネロペ・クルじゃ美しすぎてもうひとつ「赤いアモーレ」になりきれない? ★★★★☆☆

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セルジオ・カステリットが
妻マルガレート・マッツァンティーニの作品を映画化したもの。

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外科医ティモーテオ(セルジオ・カステリッ)トは、
妻エルサ、娘との三人暮らしである。

ある日、病院に重傷を負った若い女が病院に運ばれてきた。

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彼女は、ティモーテオの娘アンジェラだった。
バイクに乗っていて横転し、頭部を強打したのだ。
同僚医師の手ですぐに手術が始まる。

ティモーテオは、国外へ仕事に出かけている妻に連絡し、
自室で祈るように手術を見守るのだが、
この間、かつて愛し合ったある女のことがしきりに思い出された。

物語は、いわばその回想録…。

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20年近く前…、
ある田舎へ出かけたとき車がエンストを起こし、
通りすがりの女の家の電話を借り、修理工を呼んだ。

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ティモーテオは、修理を待つ間、酒をかっ食らうと、
女の家へ引き換えし、いきなり彼女を強姦する。
こら、イタ公! だよねえ、まったく(笑)。

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後日、かれは彼女に会いに行き、謝罪する。
名前を聞くと、彼女は「イタリア」と名乗った。

演じているのはペネロペ・クルス。
スペイン人なので、あえて「イタリア」と名乗ったのかも(笑)。

阿呆ティモーテオは、彼女の家へ行くとまた強姦し、
こっそり金を置いて帰る。
なに考えとんじゃあ、このイタ公は~!だよねえ(笑)。

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ティモーテオには、
じつはすでに才色兼備 (懐かしい) の女と結婚し、
豪邸に住み、不自由のない暮らしをしていた。

はずなのに、かれはしばしば女を買っていた。
妻エルサとの生活に満たされていなかったからだ。
エルサが子を産むことを拒んでいることも
その理由のひとつだった。

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ティモーテオは、またまたイタリアを訪ね、
じつはぼくには妻がいる、別れに来た
などと手前勝手な訳のわからぬことを言ったかと思うと、
こうやって隙を見て襲いかかる。

こうなるともう病気だよね(笑)。

こうして強姦から始まった関係はいつしか
「赤いアモーレ」へと昇華する。
いや、自ら転落する、と言ったほうがいいのか(笑)。

ティモーテオがイタリアを愛してしまったのには、
いくつかの理由がある。
自分好みの美しい女だったから。これは当たり前(笑)。

自分たちと違い、貧しい暮らしをしていたから。

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これは彼女の住んでいる家。

死んだ祖父の家だが、すでに他人の手に渡っている。
なので彼女はいずれ出ていかなければいけないのだが、
この家と彼女を取り囲んでいる環境は、
じつは自分に馴染み深いものなのである。

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はやい話、子供のころ、かれも似たような環境で育ったので、
いま妻と暮らしているブルジョワ的環境が
どうにも嫌というか、馴染めない訳ね。
彼女の貧しい環境のほうが落ちつく。

一種、人間の悲しい性だよね。

写真は、少年時代のかれの環境。

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もうひとつは彼女が売春婦だから。
いや…、彼女自身は掃除婦だと言うんだけど、
ティモーテオは売春婦じゃないかと疑ってると言うのかな?

強姦した二度目に金を置いていったのは、
売春婦だと思ったからでもある。
また実際、イタリアはどこかその匂いを発してるんだよね。

彼が売春婦にアモーレしてしまうのは、言うまでもなく、
「売春」は家族が外側に追放した「赤い性(危険な性)」だから。

恋愛の段階では多かれ少なかれそういう性を含むんだけど、
結婚して夫婦として制度化されたとたん、
そういう性は夫婦(家族)の外側に追放されてしまう。
結果、ティモーテオはそれを求めて
ときどき売春婦を買っていたんだよね。

これも安定した暮らしに馴染めない
ティモーテオの資質を表わしているとも言える。

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その他。自分が悪いことをしているものだから、
妻エルサとの行為にも若さを取り戻せる(笑)。

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イタリアもティモーテオを愛するようになる。
こんなに強く自分を求められた経験がないから。
絶対に捨てないで。
一月に一度、いや一年に一度もいいから逢いにきて
と、ティモーテオを抱きしめる。

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そんな逢瀬がしばらく続いたあと、イタリアが妊娠する。
ティモーテオは驚く。
阿保、おめえホントに医者か? と、おらも驚く(笑)。

友人医師に堕胎手術を依頼するのだが、
突然中止し、イタリアに告げる。
すべてを妻に告白し、君と結婚する、と。
かれはもともと子供が欲しかった訳だよね。

ところが自宅に戻ると、先に妻に告白されてしまう。
妊娠した、と。
ティモーテオは驚く。これはしようがないかな(笑)。

彼女、子供は産みたくないってずっと避妊リングをしてた。
でもティモーテオがあんまり子供を欲しがるので
内緒でリングを外してたんだよね。

ん? ティモーテオの行為が激しくて外れた可能性もある?
どっちなのかおら知らん(笑)。

ティモーテオは妻に告白することも、
イタリアに事情を話すこともできず、彼女の家から
足が遠のいてしまう。

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イタリアがティモーテオのところへ押しかけてきて、
なんで来ないのか、私を捨てるのかと問い詰める。
かれは事情を話さざるをえなくなる。

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数日後、かれが学会をさぼり、彼女を訪ねると、
彼女は言う。

子供は、友人に頼んで堕した。
いい母親になる自信がない。
子供のころ、洋服屋の男に犯された話をしたことがあったけど、
あの男はじつは私の父親だったのだ、と。

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数か月後のある雨の日、
ティモーテオは臨月を迎えた妻と
生まれてくる娘のために買い物に行き、
通りの向かいに立っているイタリアを見つける。

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彼女は、ティモーテオへの想いと憎しみが募り
かれを追ってきたのだ。

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かれは口実を作り、妻をひとり先に帰すと
人混みに消えたイタリアを探しだす。

イタリアはティモーテオを激しく非難するのだが、
悲しげな眼で彼女を求めてくるかれを見て
ついにはかき抱く。

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子供が生まれる。
その子はアンジェラと名付けられた。
そう、バイク事故を起こし、いま手術を受けている娘である。

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ティモーテオはイタリアに娘が生まれたことを報告する。
イタリアが幸せかと尋ねると、
かれは「幸せなもんか。行かないでくれ」と頼む。
イタリアに、この家を出てカナダへ行くと聞かされたからだ。

「ぼくは君がいないと生きていけない」

これを観ると、身勝手な男ね、と
ティモーテオを怒る女性がいるかもしれない。
私もひでえ男だと思うが、許してやってください。
イタリアがいないと生きていけないというのは
ともあれ真実なので(笑)。

あれ、カナダだっけ?
彼女の兄弟、みんなカナダに移住してるのね。
だからカナダだったと思うんだけど、
観て1月経つんでどこ行くんだか忘れちゃったよ(笑)。

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ティモーテオは君の生まれ故郷が見たいと
イタリアと一緒に彼女の故郷を訪ねる。

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そこは古代遺跡のある、

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そしていまだ神の住む村だった。

イタリアはその夜、高熱を発し、倒れる。
不倫をし、子を孕み、あげくその子を殺したと
この村の、古き良き「イタリア」の、神に処罰されたのだ。

ほんとだよ(笑)。
彼女が「イタリア」を名乗ったのも、彼女が
「イタリア」を生きていたからなんだよ。
古き良きイタリアを、「赤いアモーレ」を、
と同時にイエスの教えを。

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ティモーテオは救急病院に彼女を運びこむと、
おれは外科医だと、自ら彼女の腹にメスを入れる。
「神様」と、いままで一度も祈ったことのない神に祈り…。

イタリアは粗悪な堕胎手術をやってしまったので
お腹に血が溜まってしまったんだよね。

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術後、イタリアは一時意識を取り戻したものの、

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結局は、帰らぬ人となり、
ティモーテオは彼女を故郷の墓地に埋葬してしまうことになった。


かれはイタリアに娘が生まれて幸せかと聞かれたとき、
「幸せなもんか」と答えた。
それは生まれた子アンジェラを自分の子として
獲得する自信がないという意味を含んでいたんだけど、

愛するイタリアが死んでしまったので、
娘アンジェラは、イタリアの生まれ変わり、
あるいは、イタリアとの間に生まれるはずだった子の
命をも宿した子のように感じられた訳だよね。

イタリアが死ぬことによってはじめて
わが娘として獲得できたと言ってもいいし、

あるいは、イタリアの死によって
はじめて自分の罪を意識し、
罪の意識をもつことで娘アンジェラをはじめてわが子として
獲得できた、と言ってもいい…?

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一時危篤状態にあった娘アンジェラの手術は成功し、
命をとりとめる。

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ティモーテオは知っていた。
イタリアが現れ、

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手術の間、こうやってずっと
雨降る中で神に祈ってくれたからだ、と。
ティモーテオはたしかに見たのだ、彼女の姿を…。

というお話。

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こいつは誰か?
アンジェラの事故を知って病院にかけつけ、
一晩中受付に立って心配してたボーイフレンド。

ティモーテオは彼を見て安心する。
学もない、頼りない、いい加減そうな男でよかった。
女房は反対するかもしれないが、と…(笑)。


「ある愛へと続く旅」に比べると、
多少物語のきめ細かさに欠けてしまうが、いい本だよね。
おお、私のイタリア~ノよ!と言いたくなるような(笑)。

ただ、ペネロペ・クルスを使うのはどうなのよ。
おらの好きな俳優だからそりゃ嬉しいけど、
さすがに物語に反して美人すぎねえかい、セルジオさん。

監督も本人も努力してると思うんだけど、
M・アントニオーニやF・フェリーニが愛した女優さんには
やっぱりちょっと負けるよなあ。

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本人の責任じゃないんだけど、美人すぎて負ける(泣)。
ジュリエッタ・マシーナなんかにはどうあがいても勝てない。
美女は損。

物語のイタリアは、
成育史からしても生き難いものを抱えている女性なんだけど、
ペネロペ・クルスの顔と肢体は
どうあがいてもそんなもの抱えてないんだよね。
のびやかで。

で、演技でカバーしようとするんだけど、
これまたどうあがいてもお芝居にしか見えないから
困っちゃうんだよね。

結局、これはもうハリウッド真似して
美男美女ばっかり使ってきたツケとしか言いようがない!(笑)

そこで、どうなのよ、セルジオさん。
偉大なるフェリーニに倣って
巨乳、巨尻、巨体、醜男、不美人…、
つうか、普通の顔をした女優男優をつかうぞお~!
と、ここいらで宣言したら。

でないと、イタリア・ルネサンスは起こせないんじゃないかなあ。

え? 美男美女を使うなあ~、いい加減飽きたぞお~!
わしらを使え~!って、みんなでデモした方が早い?(笑)

しかし、そう考えると、
韓国ルネサンス期は凄かったな、と改めて感動するよね。

とかなんとか言いながらも、私みたいに
戦後のイタリア映画で育ってきた映画ファンには
危険な香りがすこしして、嬉しい映画だよ。
観てね。

あ、後で「ある愛へと続く旅」のキャスティング見直してたら、
ピエトロ少年の役、ピエトロ・カステリットってなってたんだけど、
もしかして彼、
監督(セルジオ・カステリット)の息子なのかなあ…?


■121分 イタリア ドラマ/ロマンス
監督: セルジオ・カステリット
製作: マルコ・キメンツ ジョヴァンニ・スタビリーニ リカルド・トッツィ
原作: マルガレート・マッツァンティーニ 『動かないで』(草思社)
脚本: セルジオ・カステリット マルガレート・マッツァンティーニ
撮影: ジャンフィリッポ・コルティチェッリ
音楽: ルシオ・ゴドイ
出演
ペネロペ・クルス イタリア
セルジオ・カステリット ティモーテオ
クラウディア・ジェリーニ エルサ
アンジェラ・フィノチアーノ
マルコ・ジャリーニ
ピエトロ・デ・シルヴァ
エレナ・ペリーノ

妻を持つ孤独な男と貧しいひとりの女の激しくも切ない愛の軌跡を綴ったラブ・ストーリー。イタリアのベストセラー小説『動かないで』を著者マルガレート・マッツァンティーニの夫であるセルジオ・カステリット監督が主演も兼ねて映画化。共演はペネロペ・クルス。2004年イタリア・アカデミー賞(ドナテッロ賞)で最優秀主演女優賞と男優賞をW受賞した。
外科医ティモーテオはある日、愛する娘が交通事故に見舞われて危篤状態に陥り、茫然と立ち尽くしていた。その時、彼はかつて心から愛した女性で今は亡きイタリアの幻影を目にする――。15年前、ティモーテオは才色兼備の妻エルサと裕福な家庭を築き上げていた。だが、彼はそこに自分の居場所を見出せず、孤独を感じていた。そんなある日、ふと立ち寄った貧しい町でイタリアという女性と出会う。そして衝動的に関係を結ぶ2人。ところが、それ以来イタリアを忘れられないティモーテオは彼女と逢瀬を重ね、互いに深い愛に溺れていく…。
 

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