新約聖書 ~イエスと二人のマリア~ (2012)

[1061]聖母マリア、イエス、「悔悛した罪の女」マグダラのマリアを知る格好の手引書 ★★★★☆☆


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二部構成の新約聖書物語。

一部は、少女期のマリア、成人しての大工ヨセフとの出会い、
マリアの処女懐胎、イエスの誕生、エジプト避難までを描き、
二部は、成人したイエスが説教、伝道したのち、捕えられて
ゴルゴダの丘で処刑、そして3日後に復活するまでを描いている。

204分の長編だったので、さすがに私も2日がかりで観たアル(笑)。

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少女時代のマリアと両親(ヨアキムとアンナ)。
マリアは神殿で暮らす。可愛い。

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あっという間に成人してすでに適齢期。美女。当然(笑)。

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ユダからナザレの町へやってきた大工の棟梁ヨセフが
マリアに一目惚れして結婚を申し込む。
「僕がなぜ大工になったか今わかった。君の家を建てたかったのだ」
と殺し文句を言い、はい、婚約。

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もうひとりのマリア。福音書に登場するマグダラのマリア。
彼女はマリア(右)の友人だったという設定。

彼女が抱いているのは彼女の母親。
夫がありながら男と通じた、姦淫したといって
町の人たちから「石打ち」(石投げ)の刑に遭い死んでしまう。

で、ナザレが嫌になる。
ヘロデ大王の息子の一人であるピリポの妻ヘロデヤに誘われ、
エルサレムの宮殿へ上がり、大王に仕える。

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左がそのヘロデヤ。美女。でも権力欲に憑かれた悪い女。
いかにもそんな感じするよねえ(笑)。

ヘロデ大王が長男を後継者に指名する。
と彼女、マグダラのマリアを利用して長男を反逆者に仕立てあげ、
夫の次男を後継者にしようと陰謀する。
ほんま悪い女。でも魅力的(笑)。

ま、この魅力的な三人の女のお話で、イエス様を含め
男の影はかなり薄いかな。私はそれで別に文句はない(笑)。

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誰かなあ。わかるひとはけっこう聖書通だよね。
違った、この映画通(笑)。
そ。天使ガブリエル。マリアの前に現れて受胎告知をする。

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マリアは両親の許しを得てエインカレムへと旅をする。
天使ガブリエルに、親戚のエリサベツにも高齢出産させる、
と言われたので確かめに行く訳。別に疑ってんじゃないのよ(笑)。

エリサベツが奇跡の高齢出産をし、ヨハネと名付ける。
そ。この子がのちにイエスを洗礼することになるヨハネ。

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旅から帰ってきたマリアを見てヨセフは驚く。私も驚く。
マリア、はや臨月間近なんだもん(笑)。
ヨセフの頭から湯気が出る。彼女の話なんか信じない。
「男がいたのか!くそ、石打ちの刑だあ!」
マリアの父親もびっくり。娘を責める。
古今東西、男はなにも変わらん(笑)。

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が、「ヨセフよ、なにも恐れるな」と
ヨセフの前にも天使が現れて一件落着。

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ヨセフはマリアの処女懐胎を信じて結婚する。偉い!
と私が誉めてもしょうがないか(笑)。

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ヨセフとマリアは、ヨセフの故郷ユダへ向かう。
人口調査を行うという命を受け、登記するためだ。

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途中、ベツレヘムで宿を求めるが、どこも満室。
マリアが急に産気づく。
近くに牛小屋があると聞き、二人は急いでそこへ。

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ヨセフが産湯のための水を汲みに行っている間に、
マリアは出産。素早い(笑)。イエスの誕生。

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天文学者たちが生まれたばかりの新たな王(救世主イエス)を訪問。
そのことを知ったヘロデ大王は恐れて、ベツレヘムの幼児たちを虐殺、
町に火を放つ。(ヘロデ大王の幼児虐殺)

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間一髪、難を逃れたマリアとヨセフはイエスを連れ、
エジプトへと避難する。

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3年後。
ヘロデ大王はヘロデヤの謀略に気づき、遺言を書き変える。
結果、息子のアルケラオス、ピリポ(ピリッポス)、アンティパスの
三人の兄弟たちが後を継ぐことになる。
ヘロデヤはピリポと別れ、アンティパスと結婚する。やり放題(笑)。
マグダラのマリアはヨアザルと結婚。

ヘロデ大王が没し、イエス、マリア、ヨセフの聖家族はナザレへと
帰郷した。




第二部…、20数年後。

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アンティパス王(右)が妻ヘロデヤを伴い、
人々を洗礼しているヨハネ(左)のもとを訪れ、奇跡を見せろと迫る。
と、ヨハネはヘロデヤを指し、あの女を遠ざけなさい、
彼女はあなたの兄弟の元妻だ、神を冒涜してると戒める。

妃ヘロデヤは頭にきて、またもやマグダラのマリアを利用し
洗礼者ヨハネを拘束、投獄。

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さらに元夫ピリポとの間にもうけた実娘サロメを使い、
アンティパス王にヨハネを斬首させる。

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王にヨハネの首を所望するサロメ。
後世のアーティストたちを魅了した割にはちょっと可愛いすぎ?(笑)

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マグダラのマリアは洗礼者ヨハネの斬首にショックを受け、
ひとり宮殿を逃亡、売春宿へ駆け込む。
手を貸してしまった自分を処罰するために。

一方…、

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成人した神の子イエスは神の教えを説いてまわる。

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かの「山上の垂訓」のシーン。

「自らを裁かずに人を裁くな」
「善行を見せびらかすな。施し、祈り(主への祈り)、断食は隠れてせよ。
物のことで悩むな」
「野の花を見よ。何を食べようか、何を飲もうか思いわずらうな」
(マタイによる福音書)

さすが。意義な~し、って言いたくなるよね(笑)。

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最初の奇跡と言われる「カナの婚宴」での奇跡。
水をぶどう酒に変える。

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ヨセフが病に倒れ、亡くなる。

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集会所で自分はキリストの子であると述べたイエスは、
「おまえはヨセフの子だ」と、ついに故郷のナザレから追放され、
弟子とともにエルサレムへと向かう。

このあたりはちょっとザックリすぎるかな?

おまえはマリアの子だ。
マリアが誰ともわからぬ男と寝て生まれた「不義の子」だ、
とナザレのユダヤ教徒たちに追放された。
と言ったほうが私なんかには通りがいいような気がする。

処女懐胎すなわち不義の子。
キリストの子を名乗るイエスをかれらはそう言って追放した…。

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売春宿にいたマグダラのマリアは夫ヨアザルに発見され、
町の人たちに「石打ち」の刑に遭いそうになる。

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たまたまそこを通りかかったイエスは人々に言う。
「罪のない者が最初に石を投げなさい」
人々はみな手にしていた石を投げずに捨てる。
マグダラのマリア(罪の女)はイエスに「二度と罪を犯さないように」と言われ、
「悔悛」。以後、イエスの追っかけ女(使徒)になる。

イエスの教えがもっともわかりやすいシーンで、
若い頃から私のお気に入りのシーンだ。

当時のユダヤ教は「石打ち」の刑によく表れているように
戒律にとても厳しい宗教だった(律法主義)。
それに対してイエスは「蔑まれ、虐げられていた人びと」、たとえば
この姦通を犯した、そして売春婦に転落したマグダラのマリアの
側に立った。

罰することではなく「悔い改める」ことが大切なのだ、と。

そのためにもイエスはマリアが犯した不義密通の子(処女懐胎)である
必要があったと言ってもいいが、
結果、ユダヤ教徒と鋭く対立することになった。
で、旧約聖書から新約聖書へ、となったんだなと考えた訳。

吉本隆明はよくキリスト教と親鸞の教えはよく似てるんだよ
と言ってたが、ほんとそうだよなあと思う。
「善人尚もて往生をとぐいわんや悪人をや」ってやつ。

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母マリアは心配し、イエスの後を追う。
こうして友人であった二人のマリア、
マリアとマグダラのマリアはようやく再会することになる。

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イエスは12使徒のひとり、ユダ(右)の裏切りに遭い、オリーブ山で
捕縛される。(キリストの捕縛)
大祭司の官邸へ連行されたイエスは「神の子」を名乗り、
神の冒涜だと死刑を言い渡される。

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刑の決定権を持っていたローマ帝国の
第5代ユダヤ属州総督ポンティウス・ピラトゥスは民衆に問う。
私はこの男(イエス)には何の罪も見いだせなかった。
恩赦に際し、ユダヤの王を名乗る男を選ぶか、
民衆を扇動したバラバを選ぶか、と。

マリアと使徒たちは一縷の望みを託するが、
民衆はバラバを選び、イエスは磔の刑に処されることになる。

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磔の場にいたとされる三人。
左から使徒ヨハネ、イエスの母マリア、マグダラのマリア。

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イエスの死の瞬間、妃ヘロデヤは神の使い・蛇に包囲される。

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3日後、マグダラのマリアがイエスの墓を訪れると死体はなく、
約束通り、「復活」。
彼女はイエスに再会し、急いでマリアと使徒たちにそのことを告げる。

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そして母も…。

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映画の出来としては物足りないが、
聖母マリアとイエスの生涯を知るには、
また新約聖書の入門書としてはけっこうおすすめかも。



おまけ…。

イエスの母マリアは、イエスの磔後、
使徒ヨハネとともにエフェソス(トルコ西部の小アジアの古代都市)で
余生を送ったと伝えられている。

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聖母マリアが余生を送ったと言われるエフェソスの建物
「聖母マリアの家」

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アルテミス神殿(エフェソス近郊)

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クラウディオ・コエリョ画「聖家族」(1650年)

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ブロッホ画「山上の垂訓」(19世紀)

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「ゴルゴファ(ゴルゴタの丘)の夕べ」
ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン画(1869年)
ハリストス(キリスト)の埋葬準備の光景


■204分 ドイツ/イタリア ドラマ/伝記/歴史劇
監督: ジャコモ・カンピオッティ
製作: ルカ・ベルナベイ
脚本: フランチェスコ・アルランチ
撮影: エンリコ・ルチディ
音楽: ガイ・ファーレイ
出演
アンドレーアス・ピーチュマン
アリッサ・ユング
パス・ベガ
アントニア・リスコヴァ
ニコライ・キンスキー
ルカ・マリネッリ

イエスの母となるマリアとマグダラのマリアは友人であったが、そこにヘロデ大王の義理の娘であるヘロデヤが現れ、二人のマリアを誘惑していく。
マグダラのマリアはヘロデヤの陰謀に巻き込まれ、一歩一歩足を踏み外していくのだが、母となるマリアは神に従う人生を選び、聖霊によって神の子イエスを身ごもる。
やがて成長したイエス・キリストは、母マリアと離れ、神のことばを伝えていく。
ある時、マグダラのマリアは姦淫の女としてイエスの前に差し出されるが、「罪のない者が最初に石を投げなさい」とのイエスのことばで助けられ、 イエスにつき従うようになる。
エルサレムでは人々に歓迎されたイエスだが、策略により捕らえられ、さばかれることになり、裁判の結果、 十字架刑に処せられることに…。
十字架にかけられたイエスを見つめる母なるマリア。恐怖にとらわれる弟子たち。 そんな折、母マリアは子供の頃に迷子になったイエスのエピソードを静かに語り出す。 「父の家にいる…。あの時はわからなかったの」。
そこへ飛び込んで来たマグダラのマリアから、一同は驚くべきことを耳にするのだった。

 
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