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zoom RSS 道頓堀川_2 (1982) 日本

<<   作成日時 : 2015/03/20 22:25   >>

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[1082]バブル最盛期、深作はなぜこの作品で「戦後」を描いたのか

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さち子は店を田村へ返し、アパートを片づけ終わると、
工事現場で働いている邦彦を訪ねる。
そして150万は武内に返してもらったからとアパートへ誘う。

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そして事情を話したあと言う。
卒業するまでの二年間だけでいいから一緒に暮らしたい、と。
邦彦は頷く。

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邦彦はビリヤード「紅白」に武内を訪ね、事の成り行きを報告する。
武内は卒業だけはしろと理解する。

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そこへ東京から帰ってきた政夫が顔を出し、負けたが収穫はあった
とユキに報告する。
武内が政夫の前に立ち塞がり言う。
わしと博打(勝負)しろ、わしに負けたら一生キューを捨てろ、と。
政夫が受ける。

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その頃さち子は部屋を片付けていた。
その時たまたまスケッチブックを覗き、自分の姿で埋まっているのを見、
嬉しさのあまり涙が溢れる。
そこへ邦彦から電話がかかってくる。

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邦彦は伝える。
武内さんと政夫が何だか妙な具合になってしまい、
気になるのでもう少し様子を見てから帰る、と。

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勝負が始まり、一進一退の攻防が続く。

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突然、武内が喋り始める。
おまえの母ちゃんが死んだのは俺の玉狂いのせいではない。

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俺が博打に負けて金に詰まり、あいつに体を売らせたせいだ。

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そう。体を売らせたせいだ、と。

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ホテルを出てきた妻は武内を見ると、
「ほら、この野郎」と金を武内に投げつけ、

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車の走る大通りへと走り去る。

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武内は慌てて風に飛ぶ金を拾う。

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彼女は突然現れた目の前の車に悲鳴を上げる。

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そうして…。

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妻が夫・武内に金を投げて走り去ったのは、
体を売る自分を幼い息子に見せたせいだろうが、
政夫は悲鳴を上げる。

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武内は冷淡に息子に言う。
どうした。ほら、付け。玉を突かんかい、と。

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邦彦は堪らず「紅白」を飛び出す。

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その頃、食事の用意をして邦彦の帰りを待っていたさち子は、

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アパートの下にあのコタローの姿を発見して驚き、

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すぐに下りて抱きしめる、よう帰ってきたね、と。

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大詰めで父と息子の勝負は決着がつく。
政夫が最後の玉を外したのだ。

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武内は言う、これが博打や、と。
そうしてその玉を指で穴に落とすと、

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「おまえの勝ちや」と言い、店を出る。
そして政夫も項垂れて…。

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武内とまたおじいちゃんとのように
生きていくことを夢見て道頓堀へ帰ってきたユキは明日を…、
すべてを失う。

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邦彦はさち子の待っているアパートへと急ぐ。

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と、途中、ヒモ・石塚の仕打ちに耐えかねたかおるが、
包丁で石塚を追い廻している騒ぎを目撃する。

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そしてその騒ぎに巻き込まれ、かおるに腹を刺される。

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邦彦は生まれ育った道頓堀の夜に斃れる。

邦彦は腹の包丁を抜き取ると空を何度も切りつけるが、
はたして何を切りつけたかったのか。

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ちえ子が邦彦の帰りを待ちわびて橋まで迎えにでると、

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緊急を告げるパトカーが事件現場へと走り去る。

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「ほんまに悪い子やねえ。
帰ってきたらうんと叱ってやろうね」
さち子は抱いたコタローへそう言い、

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道頓堀の夜の街を眺める…。


深作欣二にしては珍しく物語がステレオタイプ化してるし、
感傷に流れ過ぎている感は正直否めない。
原作に気を使い過ぎたのかなとも思うが(^^♪
それでも深作欣二らしさは十分に堪能できる。

日本経済は73年の第一次オイルショックを契機に、
生産主義社会から高度消費主義社会へと転換し、
80年後半から一気にバブル経済へと突入する。

物語の現在はその消費社会の契機に浮かれはじめた1981年である。
作品的にはその風景が印象的に描かれているシーンはない。
人々が浮かれているシーンがないではないが、
繁華街・道頓堀が舞台のため、消費経済景気の浮かれとは取りにくい
せいもあるかもしれない。

が、歳月が流れた現在から見ると、
この物語は明らかに当時の経済景気からはぐれた者たちの、
言いかえるといまなお「戦後的」な世界で生きている者たちの
物語であることがよくわかる。

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邦彦とまち子の印象的なシーンがある。
物語紹介の中でも紹介したが、
「自分は何をしたらいいかわからない」と話すシーンである。

消費社会に突入するとサービス産業が中心となり、
いまはほとんどがサービス業に従事している。
いわゆる生産産業は海外で現地のひとたちを中心に行われ、
国内からは次第に姿を消していった訳だが、
そうするとサービス業に従事したくない者たち、
生産的な仕事に携わりたいと思っている者たちは
当然これから自分は何をしたらいいかわからなくなってくる。

実際、若い世代と付き合っていると
いまそう悩む人間がたくさんいることに気づかされるが、
邦彦とまち子の将来への不安、自分への不安は
当時の一部の若者の不安をよく映し出していることがわかる。

邦彦にしろまち子にしろ、
「戦後的」なものを「生まれながらに」刻印されている者にとっては
なおさらそうだったろう。

ちなみに足を引きずる見捨てられた犬コタローが
ここに登場する者たちの喩だと言うのは、
コタローが「生まれつき」脚が悪いのと同様に、
登場人物たちが生まれつき戦後的なもの(生産社会的な価値観)を
刻印されており、消費社会の中ではコタロー同様に、
何をしてよいかわからず放浪を強いられているからである。

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少し角度を変えてみよう。
まち子、かおる、さとみ、石塚、ユキ、武内、渡辺らの仕事は
間違いなくサービス業なので一見当時の消費経済によく合っている
かのように思える。

だが武内も言うように、彼らの心の中には「寒い風」が吹いている。
なぜか。消費社会でのサービス業とは異質なサービス業だからである。

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どう違うのか。一言で言えば、
彼らのサーヒース業は明らかに「プロ」のサービス業なのだが、
73年以降に形作られてきたサービス業では「プロ」は不要なのだ。
先の文脈で言えば「戦後的なもの」を引きずらない、
戦後的なものを完全に切り捨てたところで成立するサービス業なのだ。

なので従業員にいわゆる「マニュアル」が手渡されたのだ。
ほんとなんだよ、たまには私を信じてね(笑)。

そう考えると、
ここに登場する人物たちの不安、悩み、そして破滅が何を意味するか、
また、自ら戦後を主題に映画を撮り続けてきた深作欣二が
この映画で何を表現したかったのかよく理解できる。

当時、日本社会の構造をここまで突っ込んで描いたのは深作だけだったし、
また戦後を描きつづけてきた深作にしか作りえない映画だったと
いまははっきり言える。

われらが深作、恐るべし(^^♪

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■130分 松竹 ドラマ
監督 深作欣二
脚本 野上龍雄 、 深作欣二
原作 宮本輝
製作 織田明 、 斎藤守恒
撮影 川又昂
美術 森田郷平
音楽 若草恵
出演
まち子 松坂慶子
邦彦 真田広之
武内 山崎努
ユキ 加賀まりこ
政夫 佐藤浩市
さとみ 古館ゆき
かおる カルーセル麻紀
石塚 柄本明
勝さん 名古屋章
玉田 大滝秀治
渡辺 渡瀬恒彦
野口 片桐竜次
鈴子 岡本麗
リカ 横山リエ
ゲイボーイ アミー
ゲイボーイ 花井優
ゲイボーイ 美露
ドヤの中年男 浜村純
田村 安部徹

邦彦がまち子に会ったのは、母の納骨の日の早朝だった。彼が大黒橋の上で道頓堀の絵を書いている時に、足の悪い犬を追ってきた彼女と会ったのだ。邦彦は道頓堀川に面した喫茶店「リバー」の二階に住み込み昼は美術学校に通い、夕方からは店で働いていた。「リバー」のマスター武内の一人息子・政夫は邦彦の高校時代の同級生であり、日本一の玉突きの名人になるといい武内と衝突、家を出ていた。武内は納骨を済ませたその日、精進おとしだといって、邦彦を行きつけの小料理屋「梅の木」に連れていった。邦彦はそこでまち子に再会した。彼女は店のママで、もとは芸者だが今は不動産業を営む田村がパトロンだった。その日から邦彦はカンバスにまち子と足の悪い犬の絵を書くようになった。しばらくして犬がいなくなり、邦彦とまち子は道頓堀川筋を探したが見つからなかった。そのお礼にとまち子は邦彦を夕食に誘い、その夜「梅の木」の二階で二人は結ばれた。ビリヤードで次々と勝っていた政夫は試合に必要な金を作るために、まち子にたのんだ。邦彦が学資を払うために高利の金を借り、返済に困っているとまち子をだましたのだった。政夫の裏切りを知った邦彦は「リバー」に置き手紙を残して店を出た。息子の不始末を知った武内は政夫を探して、千日前のビリヤード「紅白」を訪れ、そこの女王人ユキから政夫が東京まで勝負に出かけたこと、そして、ユキがかつてビリヤードしていた武内にどうしても勝てなかった玉田という老人の孫娘であることを知らされる。武内は息子と未来を賭けて勝負しようと思い「紅白」で特訓を始めた。その頃まち子はパトロンと別れアパートを借り、邦彦と生活しようと邦彦を探し、口説いた。邦彦が学校を卒業するまでの二年間だけでいいから一緒にいたいというまち子に、邦彦は大きくうなずいた。「紅白」では東京から勝負に負けて帰った政夫と武内の試合が始まった。試合中に武内は政夫が幼ない頃、ビリヤードのために妻の体を他の男に売り、金を作ったことを告白した。父と子の争いを見ていられなくなった邦彦は外へ出ると、「リバー」の常連のかおるが、幇間の石塚に包丁を振りかざしているのを見る。それを止めようと二人の間に入るが一つきに刺されてしまう。帰りの遅い邦彦を待ちながらまち子は窓の外を見ると、いなくなったあの犬がエサを漁っていた。犬を抱き上げ頬ずりするまち子の後を、赤く点滅させたパトカーが、道頓堀の方向へ消えていった。

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