暖簾 (1958) 日本

[1081]人形浄瑠璃、上方歌舞伎から受け継がれる関西芸人の魂ここにあり(^^♪

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山崎豊子の処女作「暖簾」(1957)の映画化。
ただし菊田一夫が戯曲化したものをもとに脚本化されたみたい。
超有名人・菊田一夫の名前も欲しかったのかなあ(^^♪

監督は川島雄三。
川島は織田作之助と親交があった。
で、大阪商人ものは撮れるだろうってんでお鉢が回ってきたのかなあ。
芸能・映画界情報にはまったく疎いので私は知らない(^^♪

物語は、昆布屋・八田吾平の生涯を描いた一代記。

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八田吾平、15歳。
淡路島から大阪へ飛び出して来てどこかに丁稚奉公しようとする。
で、たまたま出会った昆布屋の主人・浪花屋利兵衛に拾われる。
浪花屋利兵衛を演じてるのは2代目中村鴈治郎だよん(^^♪

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そしてその日最初に教わったのが
「暖簾は大阪商人の命!」という言葉。
何百年と続いてる大阪商人の精神だよね(^^♪

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ほかにも奉公人に子供たち多数。
中にこのお松という女の子がいて仲良しに(^^♪
以後、大阪商人の土性骨とド根性を叩き込まれる。

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はや10年(^^♪ その吾平とお松。
演じているのはわれらが森繁久彌と乙羽信子はんだべ(^^♪

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吾平、この25歳にして主人利兵衛に見込まれ、
先輩番頭をさしおき暖簾を分け与えられる。
左は利兵衛の妻きの…、おらが浪花の母、浪花千栄子はん(^^♪
中央は利兵衛夫婦の息子…、山茶花究はんやねん。

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はい。これがその開店したお店の暖簾だよ。

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大旦那同様、子供たちを奉公人として雇い、徹底的に教育する。
本家からお松がちょくちょく独り身の吾平の世話をやきに現れる。

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そんなある日突然、大旦那の利兵衛に呼ばれ、
姪の千代を嫁に娶るように命じられる。
嫁にしろ、そのためお前に暖簾を分けてやったんやと(^^♪

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吾平は驚く。すでにお松を嫁にと心に決めていたからだ。
それを知ったお松は自分から身を引き故郷に帰る。
千代と結婚したほうが吾平のためにいいと思ったのだ。

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仕方なく千代と結婚。気分は養子。
実際、初日から千代にいびられっ放し(^^♪
お千代さんやってるのは山田五十鈴はんやねん。
そりゃさすがに森繁も怖いかもな(^^♪

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しかし二人して屋台の大阪うどんを食ってから事態が微妙に変化。
昆布の新製品の話になり、昆布屋育ちの心に火がついたのだ。
大阪うどんは偉い!旨い!
私も大阪へ行ったら必ず日の2食は大阪うどんにしてる(^^♪

千代がお松のことで相変わらず妬いてケンカすることもあるが、
二人して懸命に働きはじめ、店は繁盛、大きくなる。

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月日はながれ数年後、淡路にある大旦那な墓参へ行った時、
やはり墓参にきていたお松と再会、喜びあう。
吾平にはすでに兄、弟、娘の三人の子供がいる。
お松は大阪・守口にある鉄工所の旦那と結婚。
あんたがお千代さんと幸せにやってる噂を聞くにつけ、
じゃうちも…、と思うたんやて(^^♪

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が、昭和9年、台風と水害に遭い五平の浪花屋は工場を失う。

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立て直すべく借金に奔走するが、
銀行にも頼みの本家に断られ、窮地に陥る。
見かねたお松が主人に借りてあげますと申し入れると、
千代が言いだす。「これだす。
暖簾は大阪商人の魂だす。これ程確かな抵当はおまへん」
そしてめでたく銀行からの融資が決まり、窮地を脱出。

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だが10年後、また悲劇が襲う。
息子の辰平(兄)、そして孝平(弟)と息子二人が徴兵されたのだ。

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そして敗戦。
店も工場も空襲に遭い、残された五平一家三人はお寺に厄介に。

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そこへ学生時代ラクビーにうつつを抜かしていた
オホ弟・孝平が帰って来る。
この孝平、森繁の二役でんねん(^^♪

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おやじの五平はガックシ。
帰って来るならなんで跡取りの辰平(兄)が帰ってこんのやと(^^♪

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しかもその後、妻・千代に
辰平は戦死したと知らせがあったと聞かされ、絶望。
それはともかく向こうの煙突、
北千住のお化け煙突のような気するんやけど、違うのかなあ(^^♪

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毎日外へ遊びに行ってるとばかり思っていたアホ孝平が、
ある日、昆布を抱えてきておやじとおふくろを驚かす。
「昆布屋やるで。昆布屋の倅なんやしな」と(^^♪
中央は妹の年子…、環三千世はんや。懐かしなあ。

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うちの昆布屋、株式会社にしたでえ。
おれが社長や、おやじは会長。バーン!(^^♪

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おやじとおふくろがぶっ魂消て店で昆布を加工してると、
さらにぶっ魂消るような人物が昆布を買いに来た。

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なんとお松の娘、静子である。
演じるはわれらが扇千景!若いでっしゃろ。美しおますやろ~(^^♪
老夫婦はウヒヒヒ、アホ孝平の嫁にと相談するのだが。

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統制経済解除。
いい昆布を安く売れ、という親父の経済哲学とは真逆に、
経済の中心は東京に移ってもうた、
いいものを高く東京で売りまくれ~とばかりに、

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はい。昆布・浪花屋吾平、新築大オープン(^^♪

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お祝いに駆けつけてくれた今は仲良しのお松に
お千代があの美しき娘静子のことを訪ねると、
航空会社の外人さんと結婚するんやと。残念(^^♪

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と、そこへアホ社長の孝平が現れて、
ほれ、かあちゃん、こいつがわしの嫁やと
一時期、吾平が働いていたところの事務員のぶ子を紹介する。
健康優良児だったそうやから子供バンバンできるでえ~だと(^^♪
のぶ子をやってるのはご存じ中村メイコ。これまた懐かしなあ。

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と、この時間、おやじ吾平は昆布倉庫へ行って、
昆布袋を整理してるうちに棚から落ちてそのまま他界してしまう。

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泣きくれる母親を前に孝平は言う。
「おかあはん、もう泣きなはんな。
おとっつぁんはな、心を込めて一生商いをしてきた。
コブに取り囲まれて息を引き取りはった。
満足して死なはったんや」と…。

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戦前から戦後という日本の激動期を背景に、
大阪商人・八田吾平の生涯がほんとにうまく構成されている。
場面の作りも丁寧で確か。
さすが川島雄三と言いたくなるよねえ。

ただ大阪を知る者からすると、
大阪が少しソフィスティケートされて見えるかもしれないけどね。
吉本の芸人が東京では大阪での芸をちょいと薄めてやるようなもの?(^^♪
全国票を集めようと思うとそれも致し方ない?
私は寛美ややっさん(横山やすし)みたく生でそのまま
行ってほしいクチだけどさ(笑)。

しかし何と言っても俳優がいいよなあ。
存在感があって観てるだけで嬉しくなる。楽しくなる。
ちなみに中村メイコを除くとメインのほとんが大阪・関西出身。

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森繁久彌、大阪府枚方市出身。
山田五十鈴、大阪市南区出身。
中村鴈治郎(2代目)、大阪出身。
浪花千栄子、大阪府南河内郡出身。
山茶花究 大阪市出身。
扇千景、神戸市須磨区出身。
乙羽信子、米子市生まれの大阪育ち、のち神戸市へ。

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もちろん大阪・関西出身の俳優はほかにも仰山、
数えきれないほどいる訳だが、改めて考えると、
なんや大阪は芸人の街か、商人の街やないのか!
近代映画を支えてきたのも大阪・関西出身の俳優かあ!
なんて怒鳴りたくなるよな(^^♪

ま、これも考えてみれば当たり前なんやけどな。
人形浄瑠璃の始まりも、歌舞伎の始まりも上方、
つまりは大阪・関西なんやから(^^♪

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ところで最近知って驚いたことがある。
大阪出身の友人、高取英(劇作家・マンガ評論家)の話によれば、
森繁、大阪ではあまり人気がないらしいのだ。
理由はインテリだから? アホ度が足りないから(笑)

驚くと同時に「あ」とも思ったよ。
大阪出身と知ってはいたが、ほかの大阪出身の俳優みたく、
私自身が森繁をあまり大阪出身と思わずに観つづけてきたからだ。

とすると、あれ? おれの目は自分で自覚する以上に大阪的、
あるいは西日本的なのかもと思ってさ(^^♪

ま、たしかに頭のシャープさで演技するところは
ほかの大阪出身の肉体派俳優と少し違うかもしれないが、
それは別にして森繁って凄い俳優だよなと改めて思う(^^♪

ついでながらこの映画を観たら、中村鴈治郎(2代目)や
森繁、浪花千栄子らの声をよく聞くといいと思うよ。
も少し言うと、声の「出どころ」を。
声が肚に落ちて、肚からしっかり出てるから。
いまの俳優にはこれができないんだよね。
この映画を観た後、いまの俳優のドラマや映画を観たらすぐわかるよ(^^♪

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■123分 東宝 ドラマ
監督 川島雄三
劇化 菊田一夫
脚色 八住利雄 川島雄三
原作 山崎豊子
製作 滝村和男
撮影 岡崎宏三
美術 小島基司
音楽 真鍋理一郎
出演
森繁久彌 八田吾平
頭師孝雄 八田吾平(十五歳)
山田五十鈴 八田千代
小原新二 八田辰平
森繁久彌 八田孝平
頭師正明 八田孝平(十七歳)
環三千世 年子
渡辺昇子 年子(十二歳)
中村鴈治郎(2代目) 浪花屋利兵衛
浪花千栄子 浪花屋きの
山茶花究 浪花屋信之助
汐風享子 浪花屋ゆき
乙羽信子 お松
竹野マリ お松(少女時代)
中村メイコ のぶ子

八田吾平が、たった三十五銭をにぎって淡路島から大阪へ飛び出して来たのは十五歳の時のこと。ふとしたことから昆布屋の主人、浪花屋利兵衛に拾われてから十年、吾平は大阪商人の土性骨とド根性をいやというほどたたき込まれた。
吾平が二十五歳の時、主人利兵衛から暖簾を分けられた。先輩の番頭をさしおいて。吾平の夢はふくらんだ。丁稚の昔から何くれとなく心をつかってくれるお松と一緒になれると思って。ところが、利兵衛は、吾平を見込んで姪の千代を押しつけて来た。これには吾平も驚いたが、ついに千代と結ばれた。しかし利兵衛が見込んだだけあって千代は立派な嫁であり、吾平も頑張った。
昭和九年、すでに吾平も一人前の昆布商人になっていた。ところが、ようやく飛躍しようとする矢先、台風と水害が襲った。しかしこれも千代の助けで、「暖簾は大阪商人の魂だす、これ程確かな抵当はおまへん」という吾平の捨て身の交渉で銀行からの融資がつき、切り抜けた。
それから十年、わいの女房が自由にならへんのと同じやとぼやく吾平を尻り目に、戦争はすべてを奪い去った。
敗戦--今は荷受組合の役員としてわずかに昔をしのぶ吾平の前に、もっとも頼みにしていた長男の辰平は再び現われなかった。しかし、思いもかけぬ呑気坊主の次男、孝平の活躍で株式会社浪花屋は再建された。商売のやり方が当世風に華美なのが吾平には気に入らなかった。
しかし華々しく浪華屋の店開きがあった日、突然の病魔に倒れた吾平の頬には微笑がただよっていた。あたかも、客を迎えるかのように--。波瀾に富んだ吾平の一生は終った。しかし、暖簾の伝統は強く受けつがれるだろう。

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