用心棒 (1961) 日本

[1088]ミフネとクロサワが「世界の」と呼ばれる訳は何か

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マカロニウェスタン「荒野の用心棒」を観たあと、
すぐに取りだして観たのが黒澤のこの「用心棒」。
兄貴C・イーストウッドが命の恩人と評してる映画なので、
私も改めて敬意を表しようと思ったのだ。
それに一度、この2作品を間を置かずして観てみたかった
てのもある(^^♪

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ドヒャー!大スクリーンで観たい!
と、やっぱり冒頭からそうなる、黒澤映画は💛
一体何なのよ、他を圧するこの骨太は。
ほとんど暴力じゃないかあ~!(^^♪

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荒野の用心棒、桑畑三十郎。おらが世界のミフネ。動く仏像♪
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
おらはあなた様に帰依いたしまする帰依いたしまする(^^♪

物語は単純明快…。

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仏像が上州の宿場、馬目へやってくる。

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荒野の宿場は静まり返っている。

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野良犬が人間の手首を咥えて通る。

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仏像の顔が歪む。仏像は思う。
この宿場は腐ってる、死の匂いがする、蘇生させねば、と。
仏像は人間に化身し、桑畑三十郎と名乗り、
早速再生作業にとりかかる(^^♪

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「生」を司る居酒屋の権爺(東野英治郎)が宿場の事情を語る。
背後に「死」を司る棺桶屋(渡辺篤)を従えて(^^♪

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縄張りの跡目相続をめぐり二人の親分が抗争し、
斬った張ったを繰り返しているのだと。

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その親分のひとり、馬目の清兵衛は河津清三郎。
隣は女房おりんで、山田五十鈴さん(^^♪
山田五十鈴さんのこういう汚れ役もちと珍しいかもね。

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もう一方の親分、新田の丑寅は山茶花究。
新田の亥之吉、加東大介。

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そこで三十郎は一計を案じる。
新田の丑寅が金で掻き集めた兇状持ち三人を
ブシュブシュブシュッとぶった切り、
めちゃくちゃ強いぞあの浪人という印象を与え、
清兵衛に用心棒としてを売り込む腹だ。
ちなみに「ブシュッ」と斬殺音が入るのはこの作品が最初。

清兵衛は50両で三十郎を雇い、まず25両払う。
残りの25両は事が決着したら三十郎を斬る計画。

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それを知った三十郎は丑寅との決斗直前、
金を返して、俺、用心棒やめた(笑)。

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そして高見の見物を洒落込む。
早い話、互いに争い、互いに早く消えてほしい訳だ(^^♪
が、関東の役人が来たといって両派、決斗を中止。
手打ちの話まで出る。

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そこへ丑寅の弟、新田の卯之助(仲代達矢)が帰って来る。
こやつはマカロニでウェスタンの修行を積んできた
拳銃の名手なものだから、事は更に面倒に(笑)。
おめえ、なんだ、そのスコットランド製のスカーフは~!(^^♪

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三十郎は悪知恵を働かせる。いや、仏知恵だった(^^♪
丑寅側の兇状持ち二人をとっ捕まえて清兵衛に売り、
丑寅に、清兵衛がおめえの助っ人二人捕まえたぞと密告する。
捕まった兇状持ちの一人はおらが西村晃♪

丑寅、頭に来て清兵衛の息子を捕まえ、

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真夜中の交換会を開くのだが、新田の卯之助が
捕まるような助っ人は不要と助っ人二人を
バギューンバギューンと射殺する。

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と、清兵衛は、造酒屋の徳右衛門の妾ぬい(司葉子)を捕縛し、
息子と交換させようとする。

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おぬいはもともと小平の女房なのだが、小平が博打に負け、
丑寅の資金源になってる造酒屋の徳右衛門の妾として
取られちゃったのだ。

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交換の途中、ぬいは居酒屋にいた小平とわが子に
束の間再会し、子とともに泣き濡れる。

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三十郎はついに腹を決める。
丑寅に会い、おまえの用心棒になると前金30両を貰い、

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おぬいが監禁されている小屋へ行って
バッタバタと丑寅の子分どもを切り倒しておぬいを救出し、

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30両渡して家族と一緒に宿場を去らせる。

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で、知らぬ存ぜぬと惚けていたが、
ひょんなことから卯之助に見抜かれ、

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マカロニウェスタン並みに痛めつけられる。
右は、おぬいの居所を聞きだそうとする、造酒屋の徳右衛門…、
われらが志村喬(^^♪

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が、ようやく監禁小屋を脱出し、
居酒屋の親爺と棺桶屋のチカラで村外れの小屋へ。

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その途中、丑寅一家が清兵衛一家を焼き討ちし、
一家を皆殺しにするのを目撃する。

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村外れで療養していた数日後、棺桶屋が飛び込んでくる。
居酒屋の親爺が丑寅一家に拷問を受けている、と。
三十郎は宿場へ走る。

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待ってました、用心棒!(^^♪

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いやあ、ほんと黒澤の絵(映像)、痺れるよなあ💛

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後はいいよね。定番、丑寅一家をせん滅するだけ(^^♪

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黒澤映像の特徴はまずセットだよね。
巨大なセット造形。金のことなんか知らんって感じだよね(^^♪
そしてそれを映像美造形にしていく。
観てるとその緊張感に持ってかれちゃう。
別に物語に持ってかれちゃう訳じゃないよね(笑)。

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その時黒澤は…、
黒澤に限らず優れた監督はと言ってもいいんだけど、
俳優をも「ブツ(物)」にする。

前列左から、
山茶花究、仲代達矢、加東大介、羅生門綱五郎。
この四人を見てるとそれがよくわかる。
セットの一部だよね。大道具。人間じゃなくて(^^♪

ちなみに仲代達にピストルを持たせ、
首にスカーフを任せているのは、
身体的な特権化(ブツ化)がこの中では一番貧弱だからなんだよ、
私の黒澤推理に間違いがなければ(笑)。
実際、お芝居臭い俳優さんだもんね。

羅生門綱五郎は、台湾出身の花籠部屋の元力士。
後に日本プロレス所属の元プロレスラーになったひとなんだけど、
いわばフリークスの彼を出演させたのは、
左の三人だけでは負けるから。
私の黒澤推理に間違いがなければ(笑)。
誰に? もちろんこのひとに。

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われらが世界のミフネ。動く仏像に(^^♪

「大根」と言われたように演技はけしてうまい訳じゃない。
演技のうまさで言えば圧倒的に東野英治郎のほうがうまい。
東野さん天才だよなと思う。

でもそんな東野英治郎もミフネの前では小さく見える。
「ブツ(物)」としての、被写体としての三船敏郎には
どうあがいたって勝てないんだよね。
だけじゃない。ミフネに勝ったひとを私は観たことがない。
そう言っていいくらい凄いと思う(^^♪

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こういう大車輪でも前に持ってこないと、
セットも負けちゃう、世界にミフネには(^^♪

こういう肉体を唐十郎は「特権的肉体」と呼んだ訳だけど、
一体何なんだろうね。
考えたくないな、私は(笑)。

ま、黒澤さんがオーディションに現れた三船を発見し、
ずっと三船を離そうとしなかったのも、
間違いなくその特権的な肉体に惚れたからだと思うよ。
この肉体の前にいると自分の映像を撮れる、と(^^♪


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■110分 日本 時代劇/アクション/サスペンス
監督: 黒澤明
製作: 田中友幸 菊島隆三
脚本: 黒澤明 菊島隆三
撮影: 宮川一夫
美術: 村木与四郎
振付: 金須宏
音楽: 佐藤勝
監督助手: 森谷司郎 出目昌伸 吉松安弘 和田嘉訓
照明: 石井長四郎
出演
三船敏郎 桑畑三十郎
仲代達矢 新田の卯之助
司葉子 小平の女房ぬい
山田五十鈴 清兵衛の女房おりん
加東大介 新田の亥之吉
河津清三郎 馬目の清兵衛
志村喬 造酒屋徳右衛門
太刀川寛 清兵衛の倅与一郎
夏木陽介 百姓の小倅
東野英治郎 居酒屋の親爺
藤原釜足 名主多左衛門
沢村いき雄 番屋の半助
渡辺篤 棺桶屋
藤田進 用心棒本間先生
山茶花究 新田の丑寅
丑寅の用心棒かんぬき 羅生門綱五郎
西村晃 無宿者の熊
加藤武 無宿者の瘤八
中谷一郎 斬られる凶状持
ジェリー藤尾 丑寅の子分賽の目の六
天本英世 清兵衛の子分弥八
本間文子 百姓の古女房

やくざと元締めが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がやってくる。立ち寄った居酒屋のあるじに、早くこの町を出ていった方がいいと言われるが、その男は自分を用心棒として売り込み始める。やがて男をめぐって、二つの勢力は対立を深めていく……。ハメットの『血の収穫』を大胆に翻案、時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。後にマカロニウェスタン「荒野の用心棒」としてパクられた逸話はあまりにも有名である。桑畑三十郎が名前を変えて活躍する姉妹篇「椿三十郎」も製作されている。

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