受取人不明_2 (2001) 韓国

自分の生まれた場所、生きていた場所を物語ったキム・ギドクの最高傑作

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(2008/04/19にUPした記事に加筆、修正)


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ケヌンに嫌気がさして工場で働き始めると、
ここでもハーフであるがゆえに差別される。

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村の野菜を盗もうとして持ち主と言い爭う母親を連れ帰り、
包丁でその乳房を切り取ろうとする。

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それがバレてまた犬商人ケヌンに殴られる。

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ケヌンがチャングクに暴力を振るうのは、
愛する女を殴られるせいだけではない。彼もまた
この基地のある村に囲われて鬱屈した心を抱えているのだ。
彼がチャングクの母やを愛するのは、
彼女が米軍兵士相手の売春婦としてか生きられない女だったからだ。
ケヌン自身の姿を映し出していたからだ。

だがどこにも脱出口はない。
そのため怒りの感情は内向し、
身内同然のチャングクに向けられていくのである。
そしてついには飼っている犬にまで…。

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ケヌンは飼い犬を放し、銃を放つ。

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それを目撃し、チャングクの怒りが沸点に達する。
彼はケヌンの銃を奪うと彼の脚を撃ち、

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犬小屋に連れ帰り、首に縄をかけ、
その縄を犬たちに引かせてついにケヌンを殺す。
この犬たちはまさに、この基地のある村に飼われ、
撲殺されているチャングクやケヌンら自身なのである。

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そしてわが家に取って返し、母親のからだを洗い、
包丁でその乳房を切り取る。
自分の起源である母親の女性「性」を憎んでるからだ。

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彼の怒りもまた内向するしかなかったのだ、
巨大な国家や米軍基地を前に。

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チャングクは悲鳴を発してバイクで村道を走り、

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事故を起こし、

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頭から田んぼに突っ込んで死ぬ。自爆する。
チャングクのこの異様な死に様はたぶん
彼が半分しか土に還れなかったことを表わしている。
と同時に朝鮮が南北に分断されている事態を。

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母親は消えた息子のチャングクを探し歩く。

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そして数日後、ようやく田んぼの中に発見し、

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変わり果てた姿のチャングクを掻き抱き、泣いた。

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そして焼却するかのように田んぼで焼くと、

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赤いバスへ連れ帰り、亡き骸とともに家に籠る。

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そんなある日、郵便配達夫が手紙を届けに来るのだが、

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不在かと思い、手紙をドアに挟んで帰った。

犬商人ケヌンとチャングクの死を追うかのように、
残されたものたちは破局へ向かう。

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不良二人は例によってジフムからカツアゲしたはいいが、
分け前をめぐって二人は仲間割れし、
一人は留置場へ放り込まれる。

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右目と引き換えにウノクはジェームズに抱かれ続ける。
ウノクの兄は妹を娼婦と侮蔑、
ジェームズのバッグから金を盗もうとし、彼に罵倒される。

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友人チャングクを失ったジフムは、
父親の弓と矢を持ち出し、
ウノクの部屋にいるジェームズに向かい矢を射る。

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ジェームズはウノクとジフムの仲を疑い、
俺を捨てるのかとウノクを罵り、蹲る。
ウノクは嫌気が差す一方で、
泣き崩れる彼を抱きしめずにはいられない。

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軍事訓練の日、ジェームスはついに脱走。

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ウノクを訪ね、
ナイフで彼女の体に自分の名前を刻みつけようとする、
俺を忘れるな、と。

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ウノクはそのナイフを奪い、ジェームスに向ける。
ジェームスが「俺を殺せ」と言うと、
ウノクはそのナイフで自分の右目を刺した。

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ウノクの母親が、娘が殺されると村人に助けを求めると、
ジフムが弓と矢を手に駈けつけ、

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ウノクの家から出てきたジェームスに矢を放つ。
矢はジェームスの腹を射た。

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ジェームスは銃で村人を脅し逃走しようとするが、
駆けつけた米軍兵に脱走罪と麻薬服用罪で逮捕される。

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一方、ジフムはカツアゲ組二人の一人を追い、
彼の背中を弓で射る。

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そして留置場にいるもう一人を殺害しようと自首。
留置場へ入ると、

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飲み込んだ針金を体内からトイレで捻り出し、
その針金でそいつの首を締めるのだが、
係員に発見され殺害は未遂に終わった。

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翌日、ウノクは面会に訪れたジフムに会う。
ウノクは右目を失い、以前のウノクに戻っていた。
そのウノクを見てジフムは泣いた。
そしてウノクも…。

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息子チャングクの亡骸と共に
赤いバスの自宅に閉じこもっていた母親はある日、
そのバスに火を放った。
息子だけが自分の存在証明だった。
その息子を失った今、生きる理由など何処にもなかった。

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赤いバスはついに一度たりとも動くことなく炎上した。

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ジフムは
移送車の中からその炎上する赤いバスを遠くに見、
悲鳴を上げた。

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チャングクの母親もまたこの世から消えた。

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軍事訓練の最中、米軍兵士の一人が
田んぼの中に一通の手紙を見つけた。
郵便配達夫がバスのドアに挟んだ帰った郵便で、
風に飛ばされたのだった。
母親の手紙がようやく帰国してしまった黒人兵へ届いたのだろうか、
手紙は母親の手紙に対する返信だった。

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兵士はその手紙を読んだ。
「こんにちは。私はクリントです。
カリフォルニアで小さな食品店を経営しています。
ずっとあなたの手紙を受け取っていましたが、
あなたのマイケルはもうここに住んでいないので
受取人不明として返していました。
ところでそのマイケルですが…」

チャングクの父親・マイケルからの返信ではなかった。
彼の友人からの手紙で、マイケルは帰国後、
訓練中の飛行機墜落事故で死亡した事が綴られていた。

この作品はキム・ギドクの第6作で、
ギドクの話によると7~8割がた実際にあった出来事なのだそうだ。
だろうなあと思う。想像だけではなかなか
こんな複雑な物語・シーン構想できないよな(^^♪

私は意図的に物語を書くことで
私がその映画をどう観たかを伝えようとしてる訳だけど、
その物語を書くことがこんなに手擦る映画も
ほんとに珍しいもんな。あゝ、疲れた(^^♪

物語もさることながらとにかく写真(映像)が凄い。
ある意味ナチュラルな風景の中にいとも表現主義的な、
あるいはシュールなものが軽々と侵入してくるから
目が皿になったり点になったりで忙しいたらありゃしない(笑)。

一言つけ加えておくと、
タイトルの「受取人不明」てのは、
ここに登場して主人公たち、あるいは村の人間たちの生と死を
受け取ってくれる人は誰もいやしなかったということを
指しているのだろう。

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俳優もこのチャングクの母親を演じている
パン・ウンジンを初め、
遺棄された「ブツ(物)」みたいに自分を晒けだすから、
怖いくらい良いよね(^^♪

私が観た韓国映画ベスト10に入る大傑作。
ぜひ観てぶっ魂消てほしい(^^♪


※「受取人不明_1」
※「受取人不明_2」

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■119分 韓国 ドラマ/ロマンス/青春
監督: キム・ギドク
脚本: キム・ギドク
撮影: ソ・ジョンミン
音楽: パク・ホジュン
出演
ヤン・ドングン  チャングク
パン・ミンジョン  ウノク
キム・ヨンミン  ジフム
チョ・ジェヒョン
パン・ウンジン
ミョン・ゲナム
イ・イノク

米軍基地に隣接した70年代のある村。廃車となったバスで暮らす黒人兵との混血青年チャングク(ヤン・ドングン)は、犬商人(チョ・ジェヒョン)の屠殺助手として働いていた。母(パン・ウンジン)は、二人を残して帰国したチャングクの父親に今日も手紙を送り続ける。朝鮮戦争で敵を3人殺しながら足を失い没落した地主(ミョン・ケナム)。息子のジフム(キム・ヨンミン)は、学校をやめ下級生たちからも虐められる気の弱い青年だ。兄の悪戯で右目を失明した女子高校生ウノク(パン・ミンジョン)は、子犬だけが友だった。朝鮮戦争の傷跡と基地の村の青春を鬼才キム・ギドクが描く。

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