好人好日_1 (1961) 日本

[1106]笠智衆演じる変人数学教授を描いたスパイス満点の喜劇

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過日、YouTubeなるものの存在を初めて知り、
といふのは嘘だが、あちこち捲り捲りしている時に
偶然見つけたるがこの活動写真。

昔々一度観たきりでうかつにも吾輩はその存在をすら
忘れておった。
これは誠にあい済まぬ事をしたと床に頭を擦り擦り拝観し、
ここに直ちに紹介をばさせて貰う事にした(^^♪

製作昭和36年、脚本松山善三、監督渋谷実、
主演笠智衆 、淡島千景、共演岩下志麻、川津祐介、
ほか面々たる人物は下記に登場さすことにして、
何と魔阿(ママ=誤記)製作にかの佐々木孟の名が。
これはと吃驚仰天し吾輩はつい
アラエッサッサと踊りそうになったばってん(^^♪

以下、古語は疲れまするので口文一致体にて(笑)。

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奈良、東大寺。

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どうか私の縁談が纏まりますようにと、
大仏様にお願いする不届きな若い女がひとりいた(^^♪

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女の名を尾関登紀子と言い、美女だった。
さてこの美女・登紀子を演じているのは誰でしょう。
誰ですか、大仏さん。大仏さん?(笑)
はい、そうですね、若き日の私の岩下志麻さんです(^^♪
お願いせざるを得なかったのは縁談成就に障害があったからだ。
何の障害か。実は彼女の父が奇人変人だったからである。

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はい、奇人変人のその父・尾関等…、フフフ、笠智衆(^^♪
尾関は世界的な数学の教授だった。
数学は心の表現で文学だと公言して憚らなかった。
の割には鉛筆も削れない男なので、
代わりにいつも登紀子が削ってあげるのだった(^^♪

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雨、台風の日はむろん晴天の日も長靴を履いていた。
一年中、長靴で押し通していた。
しかも左右の区別がつかず時々テレコに履いていた(^^♪

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酒は飲まない代わりに大のコーヒー狂だった。
自宅近くの食堂へ日参し、コーヒーを飲みプロ野球を観る。
それが世界的教授の唯一の楽しみだった(^^♪

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この日は国鉄対巨人戦で、金田と長嶋が対決した。

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教授はコーヒーを啜り、観戦を堪能した。
吾輩は懐かしさの余り号泣しそうになった(^^♪

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この食堂には勉強嫌いの息子がいて拳闘部に所属していた。
一方でお調子者でもある教授は息子に挑戦して
一発でKOされたこともあった(^^♪

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一人で生きるのは不可能な教授を支えてきた糟糠の妻がいた。
これまた超美女の節子…、わが淡島千景だった。
神様はやはりどこか不公平だと吾輩は思った(笑)。
節子は学生時代に尾関と知り合い、そのまま一緒になった。
苦労はすべて酒で忘れる得な性格の妻なのだった(^^♪

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登紀子は実は貰いっ子だった。
結婚して間もないある日、教授がどこからか赤ん坊を貰ってきて、
俺の子だと思い育ててくれと節子に頼んだのだった。
登紀子はその事は聞かされていたが、
実の両親の事については何も聞かされていなかった。
変人でしかも頑固一徹な教授も一言も喋らなかった。

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よくできた妻を貰い、娘を貰い、
すでに何も貰うものがなくなった教授はこの夜、例の食堂へ
コーヒーを飲みに行き、可愛いウサギを貰ってきたのだった(^^♪

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登紀子の縁談の相手は、登紀子が働いている市役所の同僚、
佐竹竜二という川津祐介似の男だった(^^♪
美男には違いないのだが教授同様、多少変人だった(笑)。
実は二人、すでに恋仲なのだが、陰謀を企て、
姉の美津子に頼んで尾関家へ縁談申し込みへ行かせたのだった(^^♪

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はい、左がその美津子…、われらが乙羽信子だよ。
さすが大阪育ち、見事な関西弁を披露してくれまっせ♬
登紀子の母は喜んだが、障害は変人頑固・夫の存在だった(^^♪

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一方、竜二の方にも実は障害があった。
このお徳婆さまじゃわい。
うちは飛鳥堂という墨屋の老舗なのじゃ。格式つうものがある。
竜二はその当主やから金かて懸けにゃあかんと来た。
が、プライドばかりで金はない。
かくて姉・美津子は親戚の間を走り回ることになった。
あ、婆ちゃんと来ればそりゃあなた、われらが北林谷栄だべ(^^♪

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奈良の坂道を走りまわる乙羽信子(^^♪

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また金か、蝋燭屋にも聞け、と
乙羽信子を走らせる親戚の頑固変人、花澤徳衛(^^♪

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のらりくらりと逃げて音羽信子を走らせる親戚・蝋燭屋の…、
あ、名前が出てこん。歳のせいにして逃げる吾輩(^^♪
姉・美津子はうんざりして匙を投げた。
頑固お徳婆さまはどこの娘とも分からない女なんて
貰わんかて宜しと竜二を怒った。

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ド頭に来た当主・竜二は老舗の看板を自ら外し(笑)、
結局、己が足をせっせと変人教授のもとへ運ぶことにした。

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ちわ~、登紀子さんに呼ばれて遊びにきましたあ。
先生、高い羊羹です。どうぞ~。
あ、君々、あの犬は羊羹を食うんじゃ。食べさせてくれ給え。
と言い、教授は隣の犬にその羊羹を食べさせた(笑)。

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ちわ~、登紀子さんいらっしゃいますかあ。
先生、テレビがお好きだそうで。卓上テレビ買うて来ました。どうぞ~。
き、君は私のコーヒータイムを邪魔する気か。さっさと持って帰り給え!
持って帰りゃいいんでしょ、持って帰りゃ、クソ爺!
教授は驚いた。「え?」(笑)

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と、この時、大学の事務局長が飛び込んできた。
先生、大変です、大変!
あ、奥さん、大変です。先生が文化勲章を受章しました!(^^♪

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「何だね、そんなに慌てて」
「あ、先生。先生に文化勲章が授与されますねん」
「先生、おめでとうございます」
「ん?私はクソ爺じゃなかったのかね」
「文化勲章つてもクソ爺はクソ爺です」(笑)
「あ、いかん。うさぎ君がいなくなった」

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教授は慌てて路地を探し回ったが、
飼っていたうさぎ君の姿はどこにも見当たらなかった。
教授は仕方なく今度は文化勲章を貰うことにした。
年金50万円も貰えるし(^^♪

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教授は妻に酒を振る舞い、頭を下げた。
「お前も歳を取ったな。ありがとう。よくやってくれた。ありがとう」
生涯変わらぬ熊本弁だった(^^♪
妻は夫が常人に戻ったかと錯覚し、思わず涙を拭いた(笑)。

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急転直下、教授は妻と江戸城へ上ることになった。
「お、富士山!節子、富士山だよ」

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と教授が喜ぶので吾輩もつい富士をプレゼントした(^^♪

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「雄大だなあ~」 教授はニッコニコした。
「富士山くらいわかってますよ。お幾つです、あなた」
「歳で感心するんじゃありません」(^^♪

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文化勲章を授与された変人教授と妻は、
学生時代を過ごしたオンボロ下宿に宿泊し、
主人の修平を感激させた。

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二人は料亭をやっているお友達に夕食をご招待された。
お友達は妻に教授の度重なる奇行を聞かされ、
大口を開けてガハハとひたすら爆笑しまくった(^^♪
この友達=女主人はわれらが高峰三枝子だよん。
あ、言い忘れた。先の大学の事務局長は織田政雄だべち。

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酒は飲めないし話は苦手だし、
仕方なく教授はひとりで母校の寮歌を歌い始めた。

♪嗚呼玉杯に花うけて 緑酒に月の影宿し
治安の夢に耽りたる 栄華の巷低く見て

下手だった(^^♪

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文化勲章の方はその晩、宿に忍び込んだ
三木のり平似の泥棒にあっさり盗まれた(^^♪

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のり平似の泥棒は逃げる途中、
二階の屋根から下に落ちて凄く痛い目をみた(笑)。

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奈良へ帰宅すると大勢の報道陣が待ち受け、
教授一家はフラッシュを焚かれまくった。

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はい、先生、ここに寝て。

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はい、先生、コーヒー飲んで。

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はい、先生、長靴持って横にして。

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はい、先生、鼻を詰まんで。
何の事はない。報道陣は文化勲章受章をいいことに
教授の奇行変人ぶりを世界中にバラ撒こうとしたのだった。

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教授は堪らず山へ逃げた。
東大寺の鐘がゴーンと鳴り響いた。
この映画、コミックとして作られているが、
さすが佐々木孟に渋谷実、松山善三、実は全編
スパイスが効いてるのだよ(^^♪


※「好人好日_1」
※「好人好日_2」


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■88分 日本 ドラマ
監督: 渋谷実
製作: 佐々木孟
原作: 中野実
脚本: 松山善三 渋谷実
撮影: 長岡博之
美術: 浜田辰雄
音楽: 黛敏郎
出演
尾関等  笠智衆
尾関節子  淡島千景
尾関登紀子  岩下志麻
佐竹竜二  川津祐介
佐竹美津子  乙羽信子
お徳婆さま  北林谷栄
女将  高峰三枝子
本橋  織田政雄
作平  小川虎之助
泥棒  三木のり平

奈良の大学の教授である尾関(笠智衆)は有名な数学者だが、世間のことには全く疎い奇人で、娘・登紀子(岩下志麻)の交際相手(川津祐介)の家族からも敬遠されるほどである。
しかし、ある日突然、彼に文化勲章授与の話が飛び込んで…。

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