約束_1 (1972) 日本

[1169]ここには高度成長期に「裏日本」で起きていた事が描かれている

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1972年に公開された岸恵子と萩原健一の作品。
監督は「津軽じょんがら節」などを撮った斎藤耕一。
我等が味方YouTube提供(^^♪

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北陸本線。

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故郷へ向かう一人の女がいた。
女は戦後を生きた女、我等が岸恵子だった(^^♪

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途中、一人の若い男が乗車し、女の向かいに座った。
男は戦後生まれの我らがショーケンだった(^^♪

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年下男は新聞紙を被りさっさと寝た。
年上女はその新聞が落ちないようにと
ヘアピンで新聞を男の上着に留め、デッキへ立った。

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女は「裏日本」と呼ばれる故郷の景色へ目をやると、
煙草を取り出して吸った。

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目を醒ました男は女のヘアピンが嬉しかったとみえ、
女にペラペラと話しかけ、ウハハと軽薄丸出しにひとり笑った(^^♪

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女は返すことなく無表情と沈黙を押し通した。
隣の中年女はどうやら女の連れのようだった。

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年下男は途中、プラットホームで弁当を買い、女に差し出した。
隣の女にも差し出したので、阿保ながら
それなりに結構気を使っているようだった(^^♪

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男が何処まで行くのかと聞くと、女は「羽越」と一言答えた。

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男は「偶然だな。俺もそうなんだよ。
偶然同じ列車に乗って偶然同じ町に行く。まるでテレビドラマだ。
うははは」と得意の阿保笑いをした(^^♪

観終わった後すぐに地図を開いたが
「羽越」という駅などなかった。
羽越本線の或る駅、或る町という事なんだろう。
「或る」なんて漢字、超久しぶりに使ったので
この男を真似て「うはは」と阿呆笑いをしてみた。
全然様になった気がせず私は惨めな気持ちになった(笑)。

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「奥羽」に着いた。
年下男は改札を出るとすぐに目の前の
電話ボックスに飛び込み、電話を入れた。
誰かと会うようだが、夕方まで待てと言われた。

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男の目に、駅前の旅館へ入る女が見えた。

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男は訳ありげな女が旅館から出てくるのを通りで待った。

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年上女が通りに出てきた。
連れの女の姿はなかった。
男はすぐに女を追いかけて言った。

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「よう。ついてっていいかい。
夜まで暇になっちゃった。
知らない町を一人で歩くの怖いからよ」
女は数少ない科白の一つを口にした。
「怖い? あなたが?」 
「へ。あんたの母性本能をくすぐってみたのさ」(^^♪

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女は途中で花を買い、手桶を借りた。
小雪がパラつき始めた。

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女が向かった先は海沿いの墓地だった。
ある墓の前に座ると女はひとり静かに手を合わせた。

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枯草をかき集めていた女の手が止まり、小さな嗚咽が洩れた。
女を見ていた男の顔が少し歪んだ。

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男は一緒に周りの枯草を書き集めると、
墓名を読み「おふくろさんかい」と聞いた。
女は小さく頷いた。
「親不幸だったんだね、あんたも」と生意気を言い、
男も墓に手を合わせた。

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「どうして付いてきたの」と女は聞いた。
「墓参りなんてした事がなかったんだよ。
一度やってみたくてさ」

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「あなたのお母さんは」
「え。おふくろは死んじゃったし、
おやじは見たこともねえし、名前も知らねえや。
でもよ、お蔭で喧嘩だけは強くなったし」

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「あんたって随分お高いね」
「……」
「それとも人間を信じないのかな」
「色んな事があったのよ、35年も生きてると」
「たった35年しか生きてないくせに偉そうな事を言うなよ」

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「人間が人間を信じられなくなったらもうお終いさ。
あんだって人間なんだろ」
「人間じゃないわ、もう」
「……?」
「死んでるのよ、あたし」

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男は女の言葉を聞くとうはははと例の阿呆笑いをし、言った。
「明日会おう」
「だめよ。三時の汽車で帰るのよ」
「大丈夫だって。昼間会おう」

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男は女に名前を聞いた。
女は答えた。「松宮蛍子。蛍の子と書いてケイコ」と。
蛍なんて見た事がないと男が言うと、女は
「あたし、この世に蛍がいるなんてもう信じない」と言った。

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夜の漁へ向かう漁船が明かりを灯した。
男はその明かりを見て「あ、蛍だ」と声を上げた。
男の声に女は涙が零れた。

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俺は行かなくちゃと言い、男は女に腕時計を渡した。
そして「明日12時だよ、あそこで。俺も必ず行くから」と言い、
そのまま去った。

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女はある男に会いに行き、預かった手紙を渡そうとした。

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男が誰からの手紙だと聞いてきた。
女が預かってきた女の名前を言うと、
そんな女は知らんと言い、
男は手紙を受け取ろうとしなかった。
まあまあ殿山さん、何怒ってんですかと私が止めても
ムダだった(^^♪(笑)

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女が仕方なくその会社を出ると
事務をしていた中年女が追いかけて来て言った。
その手紙は私が渡すので今夜私の家へ持ってきてください、と。
事務員は住所と地図を書いて女に渡した。

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数人の男たちがダダダと夜の港の堤防を駈けた。

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年下男はあっという間にその男たちに囲まれた。
男は不敵な笑みを洩らしたかと思うと、
素早くナイフを抜き男の一人の腹を刺した。

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そうしてあっという間に暗がりの中へ消えていった。

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女は手紙と地図を手に事務女の家を訪ねた。

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女の家には手紙を受け取らない例の男の顔があった。
「私知ってたのよ、この人の奥さんがまだ生きてた事」と
女が手紙を受け取ろうとすると、
魂胆に気づいた男は愛人のその女を激しく殴り始めた。

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蛍子は手紙を玄関に置き、家を辞した。

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女は荒れ狂う「裏日本」の海に目をやった。
目の当たりにした自分の過去を胸に。


※「約束_1」
※「約束_2」
※「約束_3」

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■87分 松竹 ドラマ
監督 斎藤耕一
製作 斎藤節子 樋口清
原案 金志軒 斎藤耕一
脚本 石森史郎
撮影 坂本典隆
音楽 宮川泰
美術 芳野尹孝
出演
松宮螢子 岸惠子
中原朗 萩原健一
島本房江 南美江
村井の女 姫ゆり子
村井晋吉 殿山泰司
護送犯 中山仁
老刑事 土田桂
若い刑事 大久保敏男
山室刑事 三國連太郎

仮出所の女囚と逃亡中の強盗犯の決して成就することのない哀しい愛の結末を描く。監督は「津軽じょんがら節」の斎藤耕一。主演は岸恵子と萩原健一。悲劇を宿命づけられた二人だからこそ、束の間の心の交歓がなんとも愛おしく切ない。日本海を北上する列車の中。若い男は前の座席に座る年上の女性にしつこく迫る。やがて、男の真剣さに心を開いた女は静かに身の上を語り始める。自分が受刑囚で、母の墓参に仮出所させてもらい、明朝8時までに刑務所へ戻らなければならない身であると…。

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