恋恋風塵(れんれんふうじん)_1 (1987) 台湾

[1116]写真を出来るだけ活動させないようにして撮った稀に見る傑作

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このところ夏バテで何もする気がしない。
そんな時はこの映画が良いのではないか、と思い観た。

私の好きな台湾映画「恋恋風塵」。
監督は候孝賢(ホウ・シャオシェン)。この人。

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良い顔だねえ。暑苦しくなくて、
映画撮ってますという顔してなくて最高。
映画もこんな感じ。とても映画だとは思えない(笑)。
ほんと最高。大好き(^^♪

1960年代の終わり、台湾北部。

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幾つものトンネルを抜けるとそこは雪国だった。
下らなくてごめん(^^♪

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幾つものトンネルを抜けると
そこは緑豊かな台湾の山間、また山間だった。

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電車には、中学に通う少年と少女が乗っていた。
少年の名はワン(ワン・ジンウェン)と言い、3年生。
少女の名はホン(シン・シューフェン)、2年生。

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二人は幼い頃から兄妹のように育ってきた。

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高校生になった頃、私は汽車通学を始めた。
田舎町の駅ホームは丁度こんな感じだった(^^♪

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家まではまだ遠い。
二人は駅を降りて線路伝いに歩いた。

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途中、「あ、映画だ」と映画館を見つけた。

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青空映画館、建設中(^^♪
私の映画体験の始まりもこうした青空映画館。
親父が自宅庭に張ったスクリーンだった。

青空映画館の「虚実の被膜」は極端に薄い。
分厚いコンクリートに囲まれた
現在のスクリーンとは本質を事にしていた。
状況劇場の赤テント芝居を観た時、
とてつもない郷愁を憶えたのも
私の中にこうした青空映画体験があったせいだろう。

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すでに夕暮れ。
二人は山の中腹にある家にやっと辿りついた。

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ワンには下に4人の弟妹がいた。
父親は炭鉱夫だが鉱山の事故で入院中、
経済状態は悪く、弟妹たちは食を爭っていた(^^♪

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「いいか。歯磨き粉を食うたらいかんぞ」と、
食爭いに破れてヒネている孫に食を与える爺ちゃん(^^♪
この爺ちゃん、俳優としても最高。究極。世界一(喜)。
何もしない。ただそこにいる。私の理想。

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翌日(?)、手製の杖を作る爺ちゃん。
どう。いいだろう、この顔。
ここまで来ると人間の体そのものが芸術品って感じ(^^♪

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少年ワンと少女ホンが生まれ、暮らす炭鉱村。
日本の炭鉱村とはずいぶん感じが違うが、
この風景に懐かしさを感じるのは偏に全てが
人間の手造りだからだろう。
自然の風景をも含めて、そこに人間の生きた跡、
いまなお生きている跡が感じられるからだ。

手造りの域を超えた都会の風景には、
私たちはこの風景に感じるような愛着など感じないはず。
戦争でも起きて街が廃墟にならない限り、ダハハハ(^^♪
と私は最近ヤケクソで笑う事が多い。なんでだろう?(爆)

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入院していたワンの父親が退院してきた。
爺ちゃんはこの息子のために杖を作っていたのだった。

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本当に美しい。
人間は自然に対して働きかける事でしか、
自然を加工する事でしか生きていけない。
これは自然と人間が作りだしたその風景(^^♪
この写真は特別に大きくしてあるのでクリックして観よう(笑)。

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ワンは父親に成績を見せた。
成績優秀で担任は進学を薦めたが、
ワンは家庭の経済事情を考え、中学を卒業したら
台北で働き、夜学に通うと父に言った。

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私も中学卒業時に親父に働くと言ったが却下された。
高校卒業時にも進学しないと言ったがそれも却下。
意にそぐわず進学してしまった。
代わりにようやく大学中退を勝ち取った(笑)。

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ちなみに私は未だに学校など行かない方が偉いのだ、
正しいのだと信じている。理由は面倒臭いので言わないが、
たぶん間違ってない(^^♪

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ワンは台北の小さな印刷屋で住み込み働きを始めた。
親方は良い人だったが、おかみさんは美人の癖に煩かった(^^♪

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夜学にも通った。

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1年後、ホンも台北へ働きに出た。

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ワンは駅へ迎えに行き、
映画館で働いている親友のホンチュンたちを紹介した。

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ホンはお針子の仕事に就いた。

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仕事には慣れない。
家へ手紙を書いても返事が来ない。
ワンが忙しくて会いに来ないと、ホンは一晩中泣いた(^^♪

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ワンは印刷屋を辞め、
親友ホンチュンと一緒に映画館の裏部屋に住み、
別の友人の紹介でオートバイ配達の仕事を始めた。

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その友人が兵役に就き、仕事を辞めることになったからだ。
ワンらは彼の送別会を開き、歌った。

♪故郷を離れたこの町に 雨まじりの風邪が吹く
街灯に青く照らされた水滴が 悲しみを誘う

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翌年の夏、二人は里帰りすることにした。
ホンは土産に家族全員に靴を買うことにした(^^♪
買い物をしてる間にワンはオートバイを盗まれてしまった。

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ワンは「やられたらやるしかない」と言い、
他人のオートバイを盗もうとした。
「止めて」とホンはワンを止めた。
ワンはすでに街の空気に染まっていた。

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二人は配達屋の親方に賠償金を払い、故郷へ向かった。

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が、ワンは途中で汽車を降りた。
ホン一人を里帰りさせ、海へ行き、
押し寄せては引く荒波を眺めた。雨に打たれながら。

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この映画の良い所は喋らぬ事、
余計な説明は一切しない事(^^♪
景色、あるいは風景の中に人間を置き、
その景色や風景に語らせるのだ。

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そこが人間と人間の物語を描こうとする欧米映画とは、
人間第一主義の欧米とは違うのだ。
ある意味、徹底してアジア主義。
欧米映画が叙事詩的だとすれば、この映画は叙景詩的なのだ。
叙景詩そのもの。

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ワンは親切な海上警備隊員に保護された。

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そして宿舎のテレビで炭鉱のニュースを見ているうちに
父の落盤事故を思い出し、気を失った。

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ワンは裏部屋で熱にうなされ続けた。
爺ちゃん口癖に従えば先祖の霊に祟られているのだ(^^♪

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台北に帰ってきたホンはワンを看病した。
姉のように。あるいは新婦のように(^^♪

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翌夏、二人は一緒に里帰りした。

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父親たちは鉱山の待遇改善要求でサボタージュ。
でも弁当はしっかり食うと女たちは怒っていた(^^♪

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ワンは爺ちゃん先導の下、先祖様の霊を慰めた。

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そして夜は納涼野外映画祭。
どこかで母親が息子に、台北なぞに行ってないで
父ちゃんの跡を継いで炭鉱で働けと怒鳴っていた(^^♪

いつだったかわが国で
「一番幸福だった頃は?」というアンケートがあって、
「1960年代半ば」という答えがトップだった。
ちょうどこの映画のような時代の雰囲気が残っていて、
私も「ああ」と納得したものだ(^^♪


※恋恋風塵_1
※恋恋風塵_2


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■110分 台湾 ドラマ
監督: ホウ・シャオシェン
脚本: ウー・ニェンツェン チュー・ティエンウェン
撮影: リー・ピンビン
音楽: チェン・ミンジャン
出演
ワン・ジンウェン
シン・シューフェン
リー・ティエンルー

呉念眞、朱天文のコンビの脚本、候孝賢の監督--という台湾の最強トリオによる、瑞々しすぎる青春の断章。鉱山の村で育った幼なじみの阿遠と阿雲は共に貧しい家計を助けるため、中学卒業後、台北に出て働く。慣れぬ都会暮しの中、互いに励まし合う二人に淡い恋情が芽生える。そして互いの職場に仲間も出来、みなで集まれば冷やかされる相思相愛の仲の二人。やがて兵役につくことになった阿遠は、口には出さぬが戻れば彼女との結婚を考えていた。毎日手紙を書くと約束し、彼女にも自分の宛名を書いた千通の封筒を託した…。
物語の語り口のなんと自然なこと!それに、集団就職組の若者たちの息づかいが明瞭に伝わってくるのも嬉しく、二人の故郷は日本の田舎に酷似していて死ぬほどノスタルジックだし、阿雲の辛樹芬はノリピーの百倍可愛いし…。なんか、たまんない映画なんです。

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