恋恋風塵(れんれんふうじん)_2 (1987) 台湾

[1116]写真を出来るだけ活動させないようにして撮った稀に見る傑作

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台北へ帰ると間もなくワンは兵役の通知を貰った。

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ホンはシャツを作りワンに贈った。

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ワンは故郷へ帰る電車を待った。

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電車が来た。
ホンはホームで見送る事が出来ず、改札を走り出た。

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父親はその夜、息子と一緒にタバコを吸い、酒を飲んだ。
父親は昔を振り返り、言った。
俺は小学校を出た途端、終戦だった。
「あ、い、う、え、お」から「ポ、ポ、モ、フォ」と、最初から
やり直しだった、と。

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翌朝、母親はおとうさんが買ってくれたライターだと
ワンに真新しいライターを渡した。

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爺ちゃんは爆竹を鳴らしながら途中までワンを見送った。

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兵役は2年間。

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ワンの元に毎日のようにホンから手紙が届いた。
日々の出来事、友人たちの近況が書き記されていた。

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ある夜、大陸の漁船が難破して流れ着いた。
夫婦と幼い息子、祖父が乗っていた。

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兵士たちは彼らを収容し、饅頭をあげた。
初め彼らは毒が入っていると手にしなかったが、
兵士たちが食べてみせると毒は入っていないと安心し、
饅頭を食べた(^^♪

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兵士たちは彼らの船を修理し、ある夜、故郷へと返した。
その際、兵士たちは彼らに色々な贈り物をした。
ワンも父親の貰ったライターをあげた。
船から兵士のやったカセットテープの歌が流れてきた。
船が見えなくなってもその場を去る兵士はいなかった。

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ワンはその事も手紙に書いてホンに送った。

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だが、ある日を境にホンから手紙が途絶えた。
書いて送っても受取人不明として返って来るようになった。

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そんなワンの元へある日、弟から手紙があった。
そこにはこう書かれていた。

--父さんと母さんには絶対書くなと言われたが、
ホンのお母さんに知らせてくれと言われた。

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ホンは結婚した。相手は郵便配達員だ。
父さんは彼を見て「将来性がある」と言っている。

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ホンの母さんは兄さんにすまないと泣いた(右がホンの母親)。
うちの母さんは買ってあった指輪をホンに贈った。
ホンはうちの母さんの顔を見て泣くばかり。

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爺ちゃんは「すべては縁だ」と言っている…、と。

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その夜、兵舎のベッドでワンは泣いた。

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声を上げて、ベッドを叩いて、泣いた。

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時は流れ、兵役が終わった。

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ワンは帰郷した。

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変わらぬ駅があり、

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変わらぬ村があった。

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母は午睡を楽しんでいた。

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爺ちゃんは裏の畑でサツマイモの手入れをしていた。

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ワンの姿を見ると爺ちゃんは喜んだ。
朝から瞼がぴくついた。おまえが帰って来る予感がしたよ、と(^^♪
ワンは元気だった。

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今年の育ち具合を聞くと爺ちゃんは答えた。
だめだ。植えるの前は雨が降らず、
蔓が伸びたら台風にやられて蔓が切れてる。
サツマイモ作りは薬用人参より難しい、と(^^♪

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爺ちゃんがくれたサツマイモを街の人にあげた事があったが、
街の人は誰もそんな事など想像だにしなかったに違いない(^^♪


この作品を語る時、小津安二郎を語る人が多い。
ホウ・シャオシェン自身も小津安を敬愛していると言うが、
この作品に関する限り小津安とは随分趣を異にしている。

小津安の風景はそう言って良ければ「日本庭園」である。
セットもカメラも恰も日本庭園を造るかのように、
隅々まで意識され、造形されたものだが、
この作品の場合そうではないからである。

風景にしろセットにしろ、
むしろ出来るだけ手を加えずに、
カメラもその構成をあまり観る側に意識させないように
しているような感じがする。

小津安の「ありのまま」が作られた「ありのまま」であるとすれば、
この作品の場合、出来る限り手を加えない「ありのまま」
ではないのか。

そのため小津作品を観る時より遙かに自然の、
あるいは風景の「無意識」が観るこちら側に深く入り込んでくる
のではないかという気がする。

時間のあり方も随分違う。
小津安の場合、極めて日常的な時間が流れていくとすれば、
ホウ・シャオシェンのこの作品の場合、
日常的というよりむしろ「夢」に近い時間だ。

ここでは私が物語の流れを追って整理しているので
時間の流れがわかりやすいように見えるだろうが、
実際には随分と時間が飛躍していたり、
空間が飛躍していたりする。
そのため油断をしていると時空間が「夢」のようで
捉えにくい映画なのである(^^♪

小津安の映画の造りはいずれにしろ極めて近代的なのだが、
この映画はそうではない。時間もどこか悠久的で、
深くアジア的、非近代的な感じがする。
そこに私は痺れるのだが。

ま、とにかく一度観てくださいな。
カメラも人物も何も喋らず、ただひたすらジーッとしてる感じが
もうめちゃくちゃ素敵だから。
俳優もほんといいぞお~(^^♪

夏バテ対策にも絶対お薦めです(笑)。


※恋恋風塵_1
※恋恋風塵_2


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■110分 台湾 ドラマ
監督: ホウ・シャオシェン
脚本: ウー・ニェンツェン チュー・ティエンウェン
撮影: リー・ピンビン
音楽: チェン・ミンジャン
出演
ワン・ジンウェン
シン・シューフェン
リー・ティエンルー

呉念眞、朱天文のコンビの脚本、候孝賢の監督--という台湾の最強トリオによる、瑞々しすぎる青春の断章。鉱山の村で育った幼なじみの阿遠と阿雲は共に貧しい家計を助けるため、中学卒業後、台北に出て働く。慣れぬ都会暮しの中、互いに励まし合う二人に淡い恋情が芽生える。そして互いの職場に仲間も出来、みなで集まれば冷やかされる相思相愛の仲の二人。やがて兵役につくことになった阿遠は、口には出さぬが戻れば彼女との結婚を考えていた。毎日手紙を書くと約束し、彼女にも自分の宛名を書いた千通の封筒を託した…。
物語の語り口のなんと自然なこと!それに、集団就職組の若者たちの息づかいが明瞭に伝わってくるのも嬉しく、二人の故郷は日本の田舎に酷似していて死ぬほどノスタルジックだし、阿雲の辛樹芬はノリピーの百倍可愛いし…。なんか、たまんない映画なんです。

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