清作の妻 (1965) 日本

[1176]我等が若尾文子の殆ど狂気に近い美しさと色香に狂喜しよう(^^♪

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増村保造・若尾文子コンビが作り出した傑作(^^♪
脚本はやはり増村保造と良くコンビを組んだ新藤兼人。
吉田絃二郎の原作小説を映画化したもの。

これも観たのは何十年ぶり。どうして
街のレンタル屋さんはこうした名作を置かないんだろね。
インスタント食品同様のDVDばかり並べて、
客のホントの需要が全然わかってないんじゃないの?
としかオラには思えないんだけどなあ(笑)。

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時は明治30年代半ば、日露戦争直前。

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お兼(若尾文子)は病身の父を抱えた一家の生計を支える為、
60を越えた隠居爺(殿山泰司)に囲われていた。
既に3年、孤独と絶望の余り毎日死ぬ事ばかり考えていた。

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私にはその気持ちが良く分かった。
天下の殿山泰司とは言え、うら若き文子にこの爺じゃねえ。
だいたい正妻の傍に絶えず「側女」を置いてた殿なんだぜ。
羨ましい(^^♪

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コレ、父ちゃん・母ちゃん(お牧)ね。
母ちゃんは死んだ子の歳を数えて暮らす毎日。

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そんな或る日予想だにしなかった事が起こる。
隠居爺が風呂場で突然斃れたのだ。
うそだろ、あの精力的な殿さんが…、
殿さん、登場したばかりで退場しないでくれえ!と泣く私(^^♪

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お兼は千円という大金と引き換えに
隠居の遺族から縁を切られる。
同じ頃病床に伏していた父ちゃんも他界。
お兼は母親と一緒に、
13歳の時に出た故郷の村へ帰る事にした。

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だが村へ帰ってもお兼にやる事は何もない。
毎日ただ死んでるだけ(^^♪
若くして隠居の妾として日々を過ごして来た彼女は
そう言ってよければ「性の世界」しか知らないので
やる事がないんだよね。
一生遊んで暮らせる金も既にある訳だし。
都会帰りのそんなお兼と母親を村人たちも村八分同然に扱う。

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そんな或る日、
村一番の模範青年・清作(田村高廣)が除隊してくる。
右は、村人も本人も清作の結婚相手と思ってる
お品(紺野ユカ)(^^♪

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この清作君はちょっと変わっていた。いや、ちょっと所でない。
軍隊で貯えた金で鐘を作ってきて、
村人を堕眠から覚ますため毎朝警鐘を鳴らすのだ。
ふぇ~、反革命的な青年め、と昼間寝て暮らすオラは思う(^^♪

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お兼もその鐘で起きる事はなかった。と、
隣の清作は「鐘が聞こえないのか」とお兼に文句をつけに来る。
傍迷惑な男だ、放っとこう、とオラの文子に私は囁いた(^^♪

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だが模範青年のお節介は止まなかった。
ある日、母親が倒れてお兼が医者の元へ走ろうとすると、
清作は俺が医者を呼んでくると走ったのだ。

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そして母親が死ぬと、村八分をつっ走る村長に正論をかまし、
村中でお兼の母親の野辺送りまでさせてしまったのだ(^^♪

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うわっ、それを機に一気にこんな事に!

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う~ん、許すしかないよなあ。
オラは文子のこんな笑顔が見たかった訳だし(^^♪

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いやいや、参ったなあ。
この映画の見所は何と言ってもこのあたりの若尾文子の
素晴らしき表情だよねえ。
それに比べりゃ物語なんてあんた…、あ、ごめん(^^♪

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清作は母親、妹の反対と、村人の冷たい視線に臆せず
ついにお兼と結婚し、二人で暮らし始めた。
今で言えば同棲、内縁関係(^^♪

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共に愛し、共に生きる相手を得たお兼の生活は一変し、
野良仕事にも精を出すようになった。
が、一方で不安が過り始める。日露戦争が勃発したからだ。

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不安は的中、清作に招集令状が届く。
清作は万一の場合に備え、母親と妹にお兼の事を頼み、
出兵した。

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我等が若尾文子、和服姿が美しいんだよねえ(^^♪
長谷川一夫の門下生だから立ち居振る舞いも本当に素晴らしい。
俳優は経歴を重ねるに従って否応なく駄目になってしまう。
何事かを体が憶えてしまうからなんだけど、
その時実は芸事を習ってきた者にはある強みがある。
芸事は俳優を初心に戻すチカラを秘めているからだ。
そのあたりが今の俳優とこの頃の俳優さんとの決定的な違いだ
と言っていいかもね(^^♪

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お兼は清作が戦死しないかという不安で
眠れない日々を過ごす。そして一方では
村の男たちや女たちから更なる冷笑、好奇の目を浴びる事に。

ちなみに玄関口に座っている男は兵助。
障害者で、母親が死んだ後お兼が可哀想だと
一緒に住まわせ面倒を見ているのである。
演じているのは何と小沢昭一だと!(^^♪
初めて気づいたんだけど、
私が観た小沢正一はこの作品が最高。惚れ惚れしちゃったよ(^^♪

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出兵から半年後、お兼は
清作が名誉の負傷をして送還されたという報を受け取る。

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怪我が回復に向かい、清作がいったん帰郷して来た。

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清作とお兼は一晩一緒に過ごすが、
模範兵・清作は翌日にはもう戦地へ戻らなければならなかった。
お兼は「やりたくない」と呻く。

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翌日、村人たちは村の英雄・清作の壮行会を開いた。

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出発の時間が迫った。
清作は部屋へ入り着替え始める。

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お兼は胸が苦しくなり庭へ飛び出した。
地面に転がっている錆びた五寸釘が目に入る。
お兼は思わずその釘を手にすると、

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夢中になって清作が着替えている部屋へ飛び込み、
清作の両の目を突いた。
清作が悲鳴を上げる。

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お兼が外へ飛び出すと、
事態に気づいた村人たちが追い、暴行を振るい、
彼女を縄にかけた。

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現れた憲兵曹長は、
兵役を逃れるため清作とお兼が共謀した可能性を疑い、
清作を軍法会議に掛けたが、清作の疑いは晴れた。
が、彼は両目を失明した。
憲兵曹長を演じているのは我らが若き日の成田三樹夫だ(^^♪

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お兼は公判に立たされ、2年の刑を命じられた。

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清作はお兼を憎み、恨んだ。
村人たちは清作を売国奴、非国民と蔑み、罵り、
清作の家に容赦なく石を投げた。

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清作は模範青年をやって来た自分を投げ捨てるように、
毎朝打ち続けていた鐘を投げ捨てた。
そうして母親と妹まで被害を受けるとお兼の家に移り住み、
兵助と暮らし始める。

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お兼は鎖を引き摺る生活を2年間獄中で送った。

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そうして出所すると
一目だけでも清作に逢ってからと思い村へ戻る。

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お兼は清作に詫びた、
私はあなたと十分に生きた、どうぞ殺して下さい、と。
清作の両手がお兼の首に伸び、絞めた。

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が、その手は緩み、「よう戻ったな。よう戻ってくれたな」と言うと、
清作はお兼を抱き寄せ強く抱きしめた。
かれは盲目の中で、村人から受ける迫害と孤独の中で
初めてお兼の孤独と自分に対する愛を知ったのだ(^^♪

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そして清作は言った。
「村の者達は、お前をアバズレ、わしを卑怯者と言い、
一生許すことはないじゃろう。
しかし誰も知らん余所の土地に行ったらわしらの負けじゃ。
わしらは一緒ここに居るんじゃ。ここで生きるんじゃ。
お前とならわしはそれに耐えられる」と。

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翌日、山の畑には二人の姿があった。
清作と、黙々と畑を耕すその妻・お兼の姿が…。

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物語は、いわば恋と村・国家とが、
対幻想と共同幻想とが倒立・対立するものである事を
見事に描きだしている。
模範青年である事を第一に生きようとしてきた清作は、
殆ど狂気を孕んだお兼の愛に出会うことで
その事に気づかされた訳だ。

脚本は些か言葉に頼り過ぎてるし、
演出もちょっと直線的過ぎる嫌いはあるが、
我等が若尾文子の殆ど狂気に近い美しさと色香が
それを見事に救ってみせてるよねえ。

俳優って凄いよなあと改めて思うオラだった(^^♪


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■93分 日本 ドラマ
監督 増村保造
脚色 新藤兼人
原作 吉田絃二郎
企画 伊藤武郎
製作 永田雅一
撮影 秋野友宏
美術 下河原友雄
音楽 山内正
出演
お兼 若尾文子
清作 田村高廣
兵助 小沢昭一
お品 紺野ユカ
憲兵曹長 成田三樹夫
隠居 殿山泰司

時は明治時代。貧しさのため呉服屋の隠居(殿山泰司)の妾になっていたおかね(若尾文子)は、隠居が急死したために店から手切れ金を受け取って、母親と故郷の村へ戻る。そんな二人を卑しい者だと爪はじきにする村人たち。そこへ、軍隊へ行っていた村の模範青年・清作(田村高廣)が帰ってくる。清作は村の決まりごとに従おうとしないおかね親子を説得する一方、この親子に偏見を持つ村人たちから二人を弁護するような形になっていたが、やがてその過程で清作とおかねは愛しあうようになっていた。しかし、日露戦争へと傾いていく時代の空気は、二人の運命を大きく変えていく…。

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