雲がちぎれる時_2 (1961) 日本

[1180]戦争の傷跡と戦中の「美しかった時間」を抱えた市枝と三崎の行く先は

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うわっ、来た❢ 止めろ、馬鹿、危ねえじゃないか❢

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うわっ❢ 殺す気か❢ 誰か警官呼べ、警官を❢

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うわっうわっうわっ❢

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そうなのよ。
で、三崎が不貞腐れて、お前崖の下に突っ込みたいのか❢
と思うほど運転が乱暴になる訳よ。

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加江子は何事かと我が目を疑い、

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乗客は蒼ざめて座席の取っ手にしがみつく。

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き、貴様、何者だ❢ 佐田啓二じゃないな。な、名を名乗れ❢
と、これは私(^^♪

静止画像だから良いけど、ホント観てごらん。
プップ、プップ警笛鳴らしながら無茶苦茶ぶっ飛ばすんだから、
世に名高い断崖絶壁の伊豆田峠を。凄いよお。怖いよお。
因みにいつも走ってる地元の運転手さんが
代役で走ったらしいんだけどさ(^^♪

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市枝は石材屋に、結局、
僅か3歳でこの世を去った我が子ユリの墓を建てて貰う。
そして墓が建つまでの間、友人のやっている
料理屋で働く事にした。
石材屋を演じているのは我等が中村是好(^^♪
出番は少ないんだけど方言は板に付いてるし、相変わらず抜群。

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友人先輩・窪津の忠告、加江子の心配も完全に無視し、
性格が一変したかのように夜毎酒を浴びる。
こんな佐田啓二観た事ないからホント
大丈夫かいってオラも心配になるよな(^^♪

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「お座敷サロンやよい」…、市枝が働いている料理屋。
戦後ぽいと言えば良いのか、高知ぽいと言えば良いのか、
どっちにしろ良いなあ(^^♪

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市枝には店に来ないでと言われているのだが、
三崎は居たたまれずに顔を出す。

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ある夜、死んだ子の事を聞く。
市枝が死んだ夫・キムラの事を話すと、
そんな過去は僕たちが別れる理由にはならない
と三崎が言うと、他にも色んな事があるのよと突き放す。

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加江子の耳にも色んな噂が入って来るようになる。
三崎が女に入れ込んでいるらしい事。
荒れているのはその女が原因らしい事。
女は中浜にあった旧家「仁寿院」病院の娘らしい事など。

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料理屋の女主人で市枝の友人でもある
弥生(日高澄子)もまた
毎夜店先に座り込んでいる三崎が迷惑で、
何とかして欲しいと市枝に言う。
あんたはもう店の顔なんだからと。

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ある夜、三崎が「お座敷サロン」で酒を浴びてると、
窪津がちょっと路地に誘い忠告する。
所長が君を停職処分にすると言ってるぞと忠告する。

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三崎が一言「じゃ辞めます」と言う。
窪津がいきなり左手で頬に一発バチーンと喰らわす。
ホントに痛かったらしく佐田啓二が伊藤雄之助を睨む(爆)。

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三崎の様子を見に来ていた加江子が飛び出して
「止めて下さい」と窪津を止める。
窪津は言う、
「こんな奴、殴ってやらないと分からないんだ。
辞めたきゃ辞めろ。しかしな、
仕事をしてる間は人に笑われるような事をすな。
皆言ってんだ、女にうつつを抜かして酒ばかり食らってるって。
バスの運転手てのはな、座席の上に卵乗っけて
走っても割れない位の心遣いが要るんだ。
お客はな、貴様がボロトラックで運んでた丸太じゃないんだ。
病人だって乗ってる。女や子供だって乗ってる」と。

良い事言うなあ。
でも何かさ、伊藤雄之助には言われたくないよな、佐田さん。
佐田さんが伊藤雄之助に言って然るべき科白だもんな、
いつもだとさ(爆)。

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加江子も頼む。
「私の事は構わない、仕事だけは前の三崎さんに戻って下さい」
倍賞千恵子らしくていいよねえ。説得力がある。
他の女優が言っても説得力はない!(笑)

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三人の路地でやり取りをサロンの二階の座敷窓から
実は市枝が盗み聞きしていた。

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しかし女に入れ上げてここまでだらしくなった
我等が戦後の大スター・佐田啓二も捨てがたくて良いなあ。
と、いつしか思わされるのが不思議(^^♪

ともあれ、この下り凄く良いのよ。
実はバックに「よさこい節」が流れているのよ、
それも酷く軽快なリズムの。
ちょっと聴いて。聴いて欲しくて加工したんだべさ(^^♪




この「よさこい節」、何だか寅さん思わせない?
山田洋次だとここで寅さんが現れて、
「よっ、どうした青年」と励ましてくれるんだろうけど、
まだ寅さんいないもんだからこの曲流したのかもな(爆)。

ついでに言っておくと、科白=言葉が生きてるよね。
この俳優さんたちが喋ると、ありふれた言葉が生き返る。
俳優のチカラを見せつけられる(^^♪

もうひとつ注目。この俳優さんたちの声の出所に注意。
皆同じ所から出てる。肚から出てる。
で、最近の俳優を注意してよく見てて。
声の出所がバラパラ。声が肚から出ない。声が肚に落ちない。
会話にならない(^^♪ 物語や状況、出来事をもう他人と共有
できないんだよね。

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翌日、三崎の運転するバスに乗り、
一人のサングラス男が土佐清水にやって来る。
市枝を金でひっ叩いて愛人にした野本だ。
三崎は直感で市枝に会いに来た男だとすぐに分かる。

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野本は市枝を尋ねる。
そして何と、お前がいなくなってからお前を愛してる事に気づいた、
戻ってくれ、ハワイの妻子もお前の為に捨てたと懇願する。

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三崎が殴り込まんばかりの勢いで現れ、
この男は何者だと市枝に尋ねる。
野本は恋敵の突然の出現に興奮し、
市枝と一緒に暮らしていた事をぶちまける。
ボクから逃げた後、こいつは食うにも困ってクロンボとも寝たんだ、
パンスケやってたんだと市枝の余計な過去まで暴露する。
三崎はショックを受けて店を出る。

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市枝は三崎を訪ね、野本の言う事は本当だと
大阪での過去を全て話し、言う。
「隠しておくつもりはなかったんだけど、どうしても言えなかった。
あんたにだけはいつまでも昔の市枝で会いたかったのよ」と。

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「あんたと別れて、ユリも死んでしまって、
生きる当てが失くなったの。酷い生活をしたわ。とっても酷い。
私の心は死んだも同じなの」
市枝はそう言うと堪え切れずに泣いた。

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三崎は、きっと時間が解決してくれると市枝を抱きしめた。
が、市枝は明日ユリの墓ができるの、ここを去るわ、
別れましょうとその手を払い、アパートを去った。

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そしてその足でバス会社の女子寮を訪ね、
加江子に自分の思いを伝えた。

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「私は明日大阪に帰ります。
三崎さんを幸せにできるのはあなただけよ。
三崎さんを幸せにして上げて下さいね」と。

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翌日、市枝が建ったばかりのユリの墓に手を合わせていると
そこへ三崎が現れた。

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市枝は言った。
「ユリのお墓よ。これでもう思い残す事は何もないわ」と。
三崎は市枝の気持ちが変わらない事を知りその場を去る。

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夜、市枝は大阪行の最終便の船に乗った。

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窪津はバスの中に蹲る三崎を見つけると、
市枝さんの見送りに行かないのかと聞いた。
三崎が無言を通すと言った。
「そのモヤモヤしたどうにもならないものを切り捨てろ」と。
三崎は返した。
「分かってるけど、どうにもならん事もあるけんね」

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市枝は一人土佐清水を後にした。
「よさこい節」に送られながら。

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伊豆田峠のトンネル工事が終わり、開通が決まった。
三崎と加江子は旧道を走る最後の便に乗る事になった。
出発直前、三崎は加江子に謝り、結婚を申し込んだ(^^♪

しかし観てると怖いんだよねえ。妙にドキドキするのよ。
だってホラ、何かが解決したとはとても思えないんだもん。

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夜、三崎の運転するバスが悪路伊豆田峠に差し掛かった。
二人は楽しそうに加江子の母親に会う話を進める。
その時、前方にオートバイの明かりが見えた。
三崎は注意して速度を緩め、警笛を鳴らす。

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だが何を考えているのか、オートバイは
速度を緩めずバスに突っ込むかのように走って来る。

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三崎を急ブレーキを掛け、避けようとハンドルを少し右に切る。
車輪が道を踏み外した。

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車体が傾く。
三崎は席を離れ加江子に覆い被さるように抱き締める。

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バスはゴロゴロと回転しながら真っ逆さまに
断崖を谷底へ向かって転げ落ちた。

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事故の知らせはその夜届けられたが、
検分は翌朝になった。

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三崎は出血多量で即死、
加江子の心臓は奇跡的に動いていた。
三崎が抱き締め、加江子の身体を庇ったからだった。

やっぱり!と予感が当たって私はちょっと震えたよね。

この映画を観るのは実は初めて。
しかもYouTubeだから画像が悪いんだけど、バスが
深い谷底へ転落していく様子が丁寧に撮られているから
当時映画館で観たらコレ、事故シーンだけでも
相当怖かったかも(^^♪


※「雲がちぎれる時_3」へ続く


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■93分 松竹 文芸
監督: 五所平之助
製作: 月森仙之助 五所平之助
原作: 田宮虎彦 「赤い椿の花」
脚本: 新藤兼人
撮影: 竹野治夫
美術: 平川透徹
音楽: 芥川也寸志
出演
佐田啓二
有馬稲子
倍賞千恵子
伊藤雄之助
渡辺文雄
仲代達矢

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