東京のえくぼ_2 (1952) 日本

[1182]喜劇映画の大傑作。こんなに健康だった時代は戻ってくるのかなあ

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そして帰ると二階で金語楼節のお稽古。
「どうだろうね、シャチョさん、あんたも年頃なんだが、
あんたはうちの伸子をどう思うね」
「いやあ、立派な娘さんです」
「うん、そうかい」 父ちゃん、ニコニコニコニコ(^^♪

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階下は階下で清川節のお稽古。
「どうだろうね、伸子、お前も歳頃なんだし、
お前、サチオさんをどう思う?」
「そりゃ立派な人に決まってるわ」
「そうかい」 母ちゃん、ニコニコニコニコ(^^♪

せやねん。サチオ君が気に入った父ちゃんと母ちゃん、
サチオ君と伸子を結婚させようと、
二階と階下に別れて口説こうとしてまんねん(爆)。

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さあ、大変。出勤途中、伸子はサチオ君に懇願する。
「お願いします。今日からでも会社にいらして下さい、ね」
「おい、娘、昨日切り出したばっかりじゃないか。
いくら好きな男だからってお前、朝っぱらからあんまりだぞ」
と親父は娘に説教(^^♪

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サチオ君と親父さん、工場へ行ったものの、さあ大変。
肝心の缶詰の入荷がストップしてしまったのだ、
大社長が書類にハンコを押さないばっかりに。

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サチオ、慌てて工場の責任者に怒鳴り込む。
「君、現場に缶が廻って来ないって一体どういう訳なんだ」
「なんだ、お前は!」
「あ、係長、昨日入社ばかりの男なんですよ。
頭の方を検査するの忘れてました」(笑)

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「何を言うんだ。わしは社長だよ。見ろ!」
「しゃ、社長!失礼しました。黄門様さながらに末端の現場を
視察なさるとはさすが紀之國屋様の大社長様で」(^^♪
「さっきの返事は?」
「は?それがあのその、課長が書類のハンコがどうのこうのと」

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で、課長に聞くと、
「私を信用してくれれば良いのに部長が書類の事で」
部長に聞くと、上司の総務部長が書類の事でと同じ返事。
そこでサチオ君は慌てて本社に舞い戻る事にした(^^♪

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「うわっ、社長、何で今まで雲隠れを!」
「あんな汚い着物きて、ご苦労しはった事やろなあ。
眼鏡は盗られるわ、髭は毟られるわ、あ~あ~。
長十郎、一世一代の不覚や。あ~あ~」(^^♪
「皆さん、すみませんでした。私は皆さんを信頼していなかった。
皆さんに信頼される社長ではなかった。
お互い信頼の下に頑張ってやって行きましょう」

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と、そこへ缶詰工場の労働者諸君が
書類の事で本社へ抗議に乗り込んで来るのだが、
親父さん、社長の顔を見て吃驚仰天、多いに不貞腐れる。
「おい、皆な帰ろう。失礼しやした」
「あ、お父さん」

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「ちょっとお待ちください」
「あっしはね、人間はこんなに下らねえ只の職工だけど、
一寸の虫にも五分の魂って事があらあ。
お前さんが社長ならそれはそれでいいんだ。
最初からちゃんと打ち明けてくれりゃいいじゃねえか。
カカアあたりも皆騙されたって知らねえから。
あっしはいいよ。けどね、娘までお前。
もう今日限り、あっしも娘も辞めさせて貰いますからね」

いやいや、金語楼さん、ほんと凄いよねえ。
下層で生きる人間をホントにリアルに演じてるもんねえ。
その演技の素晴らしさに思わず涙が出ちゃった(^^♪
この演技出来るの殿山泰司さんが最後だったのかなあ。

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「そ、そんな!」とサチオ君は慌てて駆け寄り、
親父さんの耳にゴニョゴニョゴニョ。
金語楼親父はその言葉に魂消て思わず目ん玉を剥いた(^^♪

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それから文太郎社長は伸子秘書と徹夜で必死に「めくら判」作業。
同じ「めくら判」でも皆を信頼して誠実に。
そして朝、作業を終えると机の引き出しの書類に捺印を
と秘書に言い残し、ひとり屋上へ。

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秘書伸子、引き出しの書類を見て吃驚。
「秘書を免じ、社長妻に命ず」だと。
おにょれ、いつ書したんだべ、サチオ君(^^♪

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伸子、その書類に捺印を押して屋上へ。
と、そこへ親友の女性警官・京子が現れた。
「社長さん、先だっては失礼をしました。
私があのスリ事件の真犯人を逮捕しました、オホホホ」(^^♪

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通りを見下ろすと、お~、犯人は隣にいた青年ではないか。
そ。財布を掏った後騒がれたもんだから、隣の木偶の坊君の
ポケットに財布を捩じ込んだべ(^^♪

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サチオ君が手渡された書類を開いてみると、
お~お~、そこにはオシャレに口紅が(^^♪
伸子、「私のめくら判です」だと。コニャコニャロだよね(笑)。

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はい、おしまい…、という映画(^^♪

何十年ぶりかに観たんだけど、ほんとに面白かった。最高!
単純明快なお話だけどよく出来てるし、
例によって俳優が素晴らしく綺麗なんだよね。
だから観てて心が洗われるのよ。ホッとするのよ。

綺麗なのはお芝居を最小限に抑えて、
素に近い状態でいるからだよね、俳優さんたちが。
うまくお芝居しようなんて言う薄汚い根性がない訳さね(^^♪

ああ、今の私ら日本人が
こんなに綺麗な、健康な状態に戻れる日が来るのかなあ
なんて考え込んじゃうよな。

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しかし木偶の坊をやってる上原謙、いいなあ。
この映画が最高傑作なんじゃないかなあ。
それに丹阿弥谷津子さん、主演映画は珍しいと思うんだけど、
これがまあキュートで最高。
これじゃあ金子信雄さんもメロメロになる筈だべ(^^♪

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これは内堀通り。
この頃はこんな風に通りに街路樹があったんだね。
この辺り車で結構走る所なんだけど、いいよねえ、
落ち着きがあって情緒があって(^^♪

89分と講義時間内で観られるんで今度学生に見せようかな。
あ、これだけは言っとかなくちゃ。
戦前、戦後のこうした日本映画を見せると今の学生も驚くのよ。
面白い!俳優さんが凄く上手い!
今の俳優がいかに嘘臭い芝居してるかほんとによく分かるって(^^♪

それが分かってないのは現場の人間だけって事さね。
いや、分かんない客もいるか(笑)。


※「東京のえくぼ」_1
※「東京のえくぼ」_2


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■87分 日本 コメディ
監督: 松林宗恵
製作: 青柳信雄 高木次郎
脚本: 小国英雄
撮影: 小原譲治
美術: 進藤誠吾
音楽: 服部良一
助監督: 瀬川昌治
出演
上原謙  紀の國屋文太郎
丹阿弥谷津子  河上伸子
柳家金語楼  河上大作
清川虹子  河上八重
小林桂樹  巡査
高峰秀子  峯京子(特別出演)
古川ロッパ  専務・林長十郎
小倉繁  木村徳太郎
田中春男  酒屋の主人武さん
江川宇礼雄  用度係長
伴淳三郎
三原純
一の宮あつ子
三原葉子
沢村昌之助

ある日、河上伸子(丹阿弥谷津子)は紀の國屋物産の就職試験に行く途中、バスの中でスリに財布をすられたのでバスの運転手に乗客の持ち物検査をしてもらう。スリは前に突っ立っていた男(上原謙)のポケットの中に入れてまんまと逃げおおせ、その男が代わりに巡査(小林桂樹)に捕まり留置場に入れられる。派出所には伸子の親友、京子(高峰秀子)がいた。伸子は無事に入社試験にパスしたが社長の紀の國屋文太郎が行方不明だという。

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