雪之丞変化_3 (1934) 日本

[1177]虚実の皮膜で演じられる天才・衣笠貞之助の世界最高峰のチャンバラ前衛劇

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その夜、突如、廣海屋が火の海に包まれた。
長崎屋が火を放ったのだ。

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長崎屋は混乱に乗じ、
廣海屋の赤ん坊を奪って逃亡する。

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駆けつけた雪之丞はその業火を目の当たりにした。
その日は奇しくも父と母の命日であった。




♬嘘か真(まこと)か  偽むらさきか
 男心を だれか知る
 散るも散らすも 人の世の
 命さびしや 薄ボタン

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雪之丞は赤ん坊を抱いた長崎屋を目にすると、
スキに乗じて赤ん坊を奪った。
幼な子に罪があろう筈などなかったからだ。

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子を奪われた時、
長崎屋は雪之丞を見て声にならぬ声を上げる。
女は紛れもなくその昔、自分が陥れた松浦屋の女房だったからだ。
そう。長崎屋も既に怨霊に憑かれてる訳だよね(^^♪

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雪之丞は子を抱いて逃げる。
この子を自分と同じ運命に陥れたくないと思い。

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途中、赤ん坊の体が熱を帯びている事に気づき、
タオルを水に浸し、当ててやろうとする。

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その一瞬の隙をまたも悪党・お初に突かれた。
彼女は赤ん坊を抱いて逃げる。
すぐに気づいて雪之丞が後を追う。

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途中、お初はバッタリと門倉平馬に出会う。
平馬は家出した側女・浪路を発見、かどわかし、
密かに自分の屋敷へ(?)駕籠で運ぶ途中だった。

浪路が家出したのは雪之丞に会う為だったと思われるが、
何処に誰に匿われていたかは、総集編という事もあり
割愛されている。

お初は平馬に助けを求めた。

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雪之丞が追いつき現れる。

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駕籠の中の浪路が雪之丞を認め、
「あ、雪様」と声を上げる。

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平馬の背後からお初が雪之丞を脅す。
雪さん、お前さんの秘密の全てをここで話してしまおうか、と。

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平馬は恋敵を目の当たりにして委細構わず、
こやつを斬れと家臣たちに命じる。
家臣どもが群れて雪之丞に襲い掛り、チャンバラに突入する(^^♪

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と、そこへ我等が闇太郎が現れ、助太刀態勢に入る。
いやあ、このテンポ、リズム、もう最高~!(^^♪
なのだが残念ながら以下も割愛され、
総集編用のナレーションが入る。ムムッ、残念無念(笑)。

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ナレーションに拠るとこの後、
平馬は雪之丞、闇太郎らの手を逃れて浪路を連れ逃げた。
そして欲情を満たすべく浪路に襲い掛かったが、
浪路は平馬を突き刺し、雪之丞への操を守った。
雪之丞を助けた後、闇太郎は浪路の所へ駆けつけたが、
その時浪路は既に平馬に瀕死の痛手を負わされていたという。

つう事は、浪路は家出後、闇太郎に匿われていたって事かもね。
こら、オレに断りもなく勝手にカットすな、衣笠!
と私は監督に縋りついて頬にキスして泣きたいよねえ(^^♪

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話飛んで(笑)、代官・浜川と横川は、殺された
平馬の腹に突き刺さっていた短刀を土部三斎に見せる。
三斎は驚いて言う、これは確か娘・浪路のだと。
浜川と横川は驚く。

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と、闇太郎が見舞いの品を手に三斎を訪ねてくる。

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三斎は闇太郎の差し出した箱を開け驚く。
娘・浪路の遺体だったからだ。
三斎は闇太郎に事の顛末を尋ねる。

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雪之丞は語る。
浪路様は操を守る為に平馬を刺した、
その平馬に深手を負わされ亡くなった、
今わの際に雪之丞とあの世で一緒になる夢をごらんになった、と。

たぶん夢ではなく、
駆けつけた雪之丞が浪路の手を取り、
私が死んだらあの世で一緒になりますと告げたんだと思う(^^♪

闇太郎が引き取ると、三斎は事を公にしたくないと
浜川と横川に闇太郎を消せと命じる。

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浜川と横川が闇太郎を追い、襲う。
闇太郎、強し!
10倍速活劇であっと言う間に二人を叩きのめす。
だが命は奪わず立ち去る。
雪之丞の為に取っといて上げたんだよん(^^♪

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オッと、お初がだらしない浜川と横川を嗤いながら現れ、
二人に遂に雪之丞の「秘密」を打ち明ける。

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「えーっ、あの雪之丞が!?」と二人は芝居染みて驚く。
すかさずオラは声を掛ける、お二人さん、
代官なぞ辞めて今すぐ役者になんなせえ!と(笑)。

お初が雪之丞の秘密をバラしたのは実は、
もう我慢できない、雪之丞の舞台をぶち壊してやる
と決心したからなんだよね。

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そして物語は愈々「解決篇」へと突入する。

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雪之丞は、廣海屋と長崎屋を
小屋の奈落にある一室に招き入れ閉じ込める。
何と言いくるめて招いたのか生憎これも定かならず。

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「おのれ、私の坊やをどこへやった」
「とっくに賽の河原へ送ってやったわ」
激しく言い合い、揉み合い、廣海屋が長崎屋を床に突き倒すと、
「コン」と大きな音がして。

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ゲッ、倒した長崎屋、実は人形でタラリタラリと
その口から真っ赤な血を吹いていた!
ばかりか傍には賽の河原へ送られたはずの我が子人形が(^^♪

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思わず「ヒッー!」と声を上げる廣海屋の背後には、
「ギエ~!見よ、これぞ我等の衣笠が描き出す地獄絵図!」
とオラは早くも興奮の絶頂~(^^♪
を味わう間もなく廣海屋の目の前に突如現れる、

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15年前に地獄に突き落されし松浦屋の怨霊。
「おのれ、三郎兵衛(長崎屋)~、わしの恩を忘れてよくも、
よくも廣海屋らと松浦屋を~」

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ヒェ~と長崎屋は仰天、生き返る(笑)。
「ま、松浦屋の旦那の声だ。お許し、お許しを~」

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「何をっ。今のお前の苦しみなど、
舌を噛んで死んだわしの妻の苦しみに較ぶれば」
「わ、私はこのひ、廣海屋に騙されて」
「な、何をっ。わ、わしに悪企みを薦めたのはお前の癖に!」
と、二人は松浦屋の前で恐怖と苦しみのあまり
互いに罪を擦り合い、首を締め合う。

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「これ、わからぬか、この顔が。この雪之丞の顔が」
と声掛ける雪之丞の前で(^^♪

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そして怨霊の化粧と衣装を身に纏った雪之丞は
そのまま二人をそこに残し、
迫り出しで花道のド真ん中へと浮上した。




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よっ、待ってましたあ、長谷川!雪之丞!
と真夜中の私の書斎で声が上がる。
ん?今のは誰の声よ?(笑)

このシーン、短いからボーツとしてると、
細部に亘る素晴らしい衣笠演出を見逃してしまうよ(^^♪
ま、ボーツとしても仕方がない訳だけどさ、
この映画とにかく全編余りにも素晴らしいから。
え?そう思えないとしたら観るあなたに…、先は言わない(笑)。

※註) 花道の迫り出しの所は俗に「スッポン」と言われ、
正確には花道の「七三」に当たる場所にある。

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さあ、ここから我等が長谷川一夫演じる
雪之丞の華麗なるお芝居がたっぷり見られるよ(^^♪
まずは花道下手へ。

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そして花道上手から、

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本舞台にいる一人の武士の元へ。

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雪之丞が空を跳び撥ね、長い髪が舞った。

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武者が怨霊に気づいて立ちあがり、下手へと追いやる。
そう。この舞台はそのまま
雪之丞の仇討芝居になっている訳だ(^^♪
それも只の仇討劇ではなく怨霊の仇討、つまりは「怨霊劇」。

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その頃、この舞台の奈落では既に
雪之丞が直接手を下さずとも、廣海屋と長崎屋は
怨霊に祟られて狂い死んでいた。
これぞ雪之丞の企図した復讐だった訳である(^^♪

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待ってました、衣笠貞之助!
何とも嬉しい絵図に私の書斎でまた声があがった(^^♪

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ヤヤッ、桟敷には我等が悪漢・お初嬢の姿が!
何を嬉しそうにニコニコと笑っているのかと思いきや、
何とこの舞台をぶち壊すべく一味をあちこちに配し、
その時を楽しみに待ち構えているのだった(^^♪
いいねえ、お初つあん、一人で向こうを張って盛り上げて
くれるじゃねえか(喜)。

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※「雪之丞変化_4」に続く


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■98分 日本 時代劇
製作: 松竹キネマ
監督: 衣笠貞之助
脚本: 伊藤大輔 衣笠貞之助
主題歌: 東海林太郎 「むらさき小唄」
出演
林長二郎  雪之丞・闇太郎・母親
嵐徳三郎  菊之丞
高堂国典  土部三斎
千早晶子  娘 浪路
伏見直江  お初
山路義人  門倉平馬
志賀靖郎  廣海屋
高松錦之助  長崎屋
南光明  浜川
日下部龍馬  横山
原健作  法印
中川芳江  おさん婆
高松栄子  浪路の乳母

長崎の大店の主人の子・雪太郎は、父親はじめ家族一同を、あらぬ抜け荷の濡れ衣を着せられ処刑される。放浪の孤児となった雪太郎は旅芸人の一座に拾われ、やがて女形の看板役者・中村雪之丞となって江戸に現れるが、そのもう一つの顔は親の敵を討つべく剣術を磨きあげた復讐の鬼だった。狙うは今や我が世の春を謳う元長崎奉行・土部三斎とその一味。義賊・闇太郎の助けをうけて、「長崎の敵を江戸で討つ」波乱万丈の物語が繰り広げられる。

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