雲がちぎれる時_1 (1961) 日本

[1180]戦争の傷跡と戦中の「美しかった時間」を抱えた市枝と三崎の行く先は

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YouTube名作の旅(^^♪

何だか凄い映画を観てしまった。
新藤兼人監督、五所平之助監督の
「雲がちぎれる時」(1961年)という映画だ。

原作は田宮虎彦の小説 「赤い椿の花」。
出演は我らが佐田啓二、有馬稲子、倍賞千恵子、
伊藤雄之助、渡辺文雄ほか。

まあ、このメンバーで面白くなかったら殺すぞ
と言う事にはなるんだけどさ(笑)。

いきなりぞっとするような恐怖シーンから始まる。
コレ。

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「断崖注意」という立札がある恐ろしい山道を
こうやって定期便バスが走る。

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「落石注意」とある立札を無視するかのように、
こんなに狭い、恐ろしい断崖絶壁の山道をだよ。

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一歩間違うと恐ろしく深い谷底なのに、

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その谷底に突っ込んで行くかのようにバンバン突っ走る。
ギエ~!うわあ~落ちる~!頼む~降ろしてくれえ~!
俺は歩く~歩くからよ~!て運転手に悲鳴を上げるよな。
自慢じゃないけど私、前代未聞の高所恐怖症なんだしさ(^^♪

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しかもあんた、運転手と車掌、
佐田啓二(三崎)と乙女の倍賞千恵子(加江子)なんだよ。
信じられる、その腕?二人に任せられる、命?(笑)

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しかもしかもこの恐ろしい断崖絶壁の山道が舞台
つうて良いような映画なんだぜ。
そんな恐ろしい映画あった? あって良い訳?(笑)

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え、ここは何処か? 読めないの、大人の癖に。
「伊豆田峠」って出てるだろう。中村市まで22キロって。
え、そんな峠も町も知らない?
んだんだ、そう来るだろうと思ってオラもすぐに調べたべ(^^♪

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高知県。四万十川の南側が中村市。その中村市と、
足摺岬の麓(?)に当たる土佐清水を結ぶ山道のバス路線。
悪路で超有名なんだって。
そんなん知らないよねえ、こっちは。高知県民じゃねえんだしさ(^^♪

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あんまり酷いってんで只今トンネル造成中な訳。
そのトンネルがもうすぐ開通する直前の話。
そんな設定聞くだけで何だかヤバイって感じしない、この映画?
実際、ヤバイんだけどさ(笑)。

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あ、海沿いにはこんな穏やかな南国道もあるのよ。
お遍路さん♬  いいよねえ。私も回ったなあ、こんな恰好して。
あ、ごめん、5、6カ所だけね、NHKの番組で(^^♪
何人かでリレーしながら88ケ所を廻るつう手抜き番組(笑)。

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峠の麓にはこんな村もある。いいよねえ。
昭和の田舎育ちだからこんな村を見ると懐かしくて超嬉しくなる。
オッと、対抗バスが来た。

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はい、バックオーライ。オーライオーライ(^^♪
因みにオラが倍賞千恵子はこの年にデビュー。
松竹歌劇団(SKD)にいたのを松竹映画にスカウトされた訳。
出身は西巣鴨。そ。以前、私らの稽古場があった近く。
だから「下町の太陽」になれた訳だよね(^^♪

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お、向こうのバスの運転手はオラが
伊藤雄之助(窪津)だあ(^^♪

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ある日の午後便、三崎の運転するバスが
中村から土佐清水へ向かう。
花咲く乙女車掌の加江子はルンルン気分(^^♪

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三崎とは誰もが認める恋仲で、結婚も遠くない訳さ。

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そのバスに始発の中村から乗り込んだ
空恐ろしいような美女が一人いる。

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高知には絶対にいそうにない、
このサングラスを掛けた近代的美女。
あ、ごめん、高知の美女さんたち(^^♪ この美女、
何故か時々運転する三崎の背中に目をやっている。

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3時間半後、
「土佐の小京都」と呼ばれる終点・土佐清水に到着した。

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その美女が降りて町中へ向かう。

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その美女の後ろ姿が目に入り、「!」と三崎は驚く。
慌ててバスを降りて美女を追うのだが、
美女は人混みの中へ消えてしまう。

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三崎は呟く、「またその人を見てしまった。
数年前に都会の雑踏に消えたその人を」と。
女の名は市枝…、有馬稲子はん(^^♪

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三崎は9歳の時、海洋事故で父親を亡くし、
祖母と一緒に中浜(なかのはま)で開業医をやっている
谷本家に引き取られる。

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市枝はそこの娘で、二人は仲良く育ったのだが、

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三崎が17歳の年、出兵した市枝の兄が戦死、
両親も他界して彼女は一人残された。
一方、三崎も祖母が他界して天涯孤独の身に。

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市枝は父が遺した借金を返済するため実家を売り、
父の知り合いの医師を頼って大阪へ出る。
三崎は土佐清水の工場で働く事に。

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敗戦後、三崎は車の免許を取り、材木屋で働き、

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トラックで悪路「伊豆田峠」を走る。
金を稼ぎ、大阪へ行き、市枝を探したいと思ったのだ。

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その頃、市枝は
大阪の小さな診療所で看護婦として働いていた。
資格は持っていなかったが。

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そしてそこで偶然知りあった二世の米軍兵士
ジェームス・キムラ(仲代達矢)と結ばれ、
ユリという子を産む。

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が、朝鮮戦争が始まり、キムラはすぐに従軍。

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そして間もなくキムラ戦死の報が届けられ、
子のユリも重い病気を患ってしまう。

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市枝は仕方なく故・キムラの友人で
ハワイに妻子のいる二世・野本の愛人(渡辺文雄)となり、
子・ユリの治療代を出して貰う。

二世役の仲代達矢と渡辺文雄が
カタコト日本語を喋るのが何とも微笑ましいというか、
貧乏たらしいというか(爆)。

でもこの映画、その貧乏たらしさが何とも言えず良い訳よ。
学芸会的で、いかにもまだ貧乏な日本の「戦後」って感じ
が良く出ててさ(^^♪

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その頃すでに三崎は大阪で運転手の仕事をしながら
あてもなく市枝を探していた。

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市枝はユリの将来を考えて野本から離れた。
そしてユリを知人に預けてまた看護婦の仕事を始めるが、
そこの医師は看護婦の資格がない事を良い事に
市枝の体を求めたので堪らず病院から逃げ出した。

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そしてその時偶然、市枝を探していた三崎と再会する。

もの凄く早いテンポで話が進んでいくんだけど、
何だか「お~!」って感じしない?
何がって、ホラ…、

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「断崖注意」という立札がある断崖絶壁の山道で、
二台の人生バスが突然出くわした感じじゃないか!(笑)
実際、二人の人生、何処か「伊豆田峠」のある
曲がりくねったあの悪路そのものって感じだもんな。

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三崎の夢が叶う。
タクシー運転手になり、市枝とアパートで暮らし始める。

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だがある日、市枝は
「事情があって一緒には暮らせない。
私を探さないで下さい」という置手紙を残し、
忽然と三崎の前から姿を消す。
汚れてしまった自分と一緒にいると、三崎まで
少しずつ汚れていくような気がして耐えられなくなったのだ。

「うっ」と泣きたくなっちゃうよなあ。
だって今時こんな女性いないよ(^^♪

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3年後、三崎は探し草臥れ、故郷の土佐清水へ戻る。

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そして兼ねてからの知り合いの窪津に声を掛けられ、
バスの運転手になったのである。

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三崎は市枝の泊まっている旅館を尋ね、市枝に訊いた。
何故消えたのか、と。
市枝は言った。
子供の墓を建てる為に帰って来ただけ、
私はもうあなたの知ってる市枝じゃない、
昔の市枝は大阪の焼け跡の中に消えたわ、
私の事は諦めて、と。


※「雲がちぎれる時_2」へ続く


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■93分 松竹 文芸
監督: 五所平之助
製作: 月森仙之助 五所平之助
原作: 田宮虎彦 「赤い椿の花」
脚本: 新藤兼人
撮影: 竹野治夫
美術: 平川透徹
音楽: 芥川也寸志
出演
佐田啓二
有馬稲子
倍賞千恵子
伊藤雄之助
渡辺文雄
仲代達矢

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