愛染かつら 総集編 (1938/1939)

[1183]映画の作り方も俳優も綺麗なのでホッとするよ(^^♪

画像


YouTubeおすすめ傑作選(^^♪

川口松太郎の「愛染かつら」が
初めて映画化されたのは1938年のこと。
監督は野村浩将、津村浩三を演じたのは上原謙、 
高石かつ枝を田中絹代。
ちなみにシナリオは野田高梧。うわっ、知らなかった(^^♪

女性フアンを中心に大ヒットし、翌年39年にかけて
「前篇」「後編」「続編」「完結編」の4本が撮られたが、
現存するのはこの「総集編」だけなんだって。残念。

これも大ヒットした主題歌「旅の夜風」をまず聴こう。
歌ってるのは後に夫婦になる霧島昇とミス・コロンビア(松原操)。




♪花も嵐も 踏み越えて 行くが男の 生きる道
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ 月の比叡(ひえい)を 一人行く
♪愛の山河 雲幾重(いくえ) 心ごころは 隔てても
待てば来る来る 愛染かつら やがて芽をふく 春が来る

画像

なんで四谷シモンも歌ってるのかって?
実はシモンちゃんも高石かつ枝を演ったんだよな。
ほら、唐(十郎)さんの「吸血姫」で(^^♪

画像

津村病院の院長の息子・津村浩三(上原謙)が博士号を取得。
その祝賀会席上で同病院で働く看護婦・高石かつ枝(田中絹代)が
お祝いに歌を唄うことになる。
浩三が妹・竹子(森川まさみ)にピアノの伴奏を頼むと、
妹は階層のプライドにかけてこれを断固拒否。
よって浩三がピアノ伴奏、かの彼女の歌声を機に
彼はかつ枝を愛するようになったのであった(^^♪

画像

ある日、浩三はお寺の境内でかつ枝に愛を告白する。
この木は霊木で「愛染かつら」と呼ばれている。
この木の前で愛を誓えば、たとえ現在二人が
どんな苦難にあろうとやがて結ばれる事になる。
僕と一緒にこの木に触れてくれませんか、と。

画像

かつ枝も浩三を愛するのだが、浩三の求婚に戸惑う。
実は死別した夫との間に六つになる敏子がいたからだ。

画像

18歳の時、かつ枝には親同士が決めた結婚相手がいた。
が、かつ枝の父親の会社が倒産して縁談が破産。
と、言い名付けは家を出、かつ枝を連れて上京する。
が、1年後、夫は流行りの悪性の風邪で他界、
すでに妊娠8ケ月だったかつ枝はひとり出産し、
その子・敏子ために身を隠して看護婦として働いてきたんだよね。
敏子を姉に預かって貰いながら。

そう。この病院では子のある女性は看護婦としては
働けなかったのだ。フェ~、どこが近代だあ~だよねえ(^^♪

画像

かつ枝の隠された身の上を知った病院の看護婦たちは、
一致団結して彼女を応援する訳だけど、コレ、
先の宴会席上で彼女たちが演じた「金色夜叉」。
「今夜のお月さま」がスルスルって天井に消えるの。
抜群に面白いよ。学芸会。アングラ。超必見だよ(^^♪

画像

右、津村病院の看護婦長…、岡村文子。
中央、かつ枝を応援する看護婦連団長…、出雲八重子。

この映画が大ヒットした半分はこの看護婦さんたちのお陰(^^♪
婦長は病院側に組し、配下の看護婦たちに目を光らせる。
配下の看護婦たちは団長の下に可愛いそうなかつ枝を庇い、
自分たち女性の明日を目指す、の構図なのだが、
戦前の喜劇映画を支えた岡村文子と出雲八重子が笑えて最高。
体格=特権的な肉体の勝利だよなあ(^^♪

画像

浩三には以前から両親が薦める縁談話があった。
相手は名門中田病院の令嬢・未知子だが、
彼は名門は名門をという習わしも気に喰わず、
愛する女性のことを告げる。当然、両親は反対。
その裏には津村病院の経営が思うにまかせず、
中田家に経済的援助をして貰おうという魂胆もあった。

画像

浩三はかつ枝に相談する、
家を出て君と友人のいる京都で暮らしたい、と。
そして夜行で発とうとかつ枝と約束し、駅で待つのだが
彼女が現れずついに一人で京都へ向かう。

画像

当夜、実は娘の敏子が発熱、医者を呼び、
診て貰ったりしていたのでなかなか家を出れなかったのだ。
はしかだと分かり姉(左・吉川満子)に断り、
慌ててタクシーで約束の新橋駅に駆けつけるのだが、

画像

すでに浩三の乗った夜行列車は走り始めていて
結局、幸三に会えずじまい。駅に駆けつけるこのシーン、
主題歌をバックにテンポ良くなかなか魅せるよ(^^♪

画像

兄・浩三の家出の裏に女・かつ枝あり、と睨んだ妹妹・竹子は、
かつ枝を家に呼び出し、浩三の行方を白状しろと迫る。
かつ杖が知らないと恍けると、じゃ探しなさいと脅迫する?(^^♪

画像

かつ杖はひとり京都へ行き、浩三の友人を訪ねる。
彼は、浩三はもう出て行った、行く先も知らないとけんもほろろ。
この女は浩三を裏切ったと信じ込んでるからだが、
珍しく悪役に徹してドラマを盛り上げてるのは
我らが若き日の佐分利信だべ(^^♪

画像

浩三は東京へ戻ったのだが、
新橋駅ですれ違い、京都でまた違うかつ枝と浩三。
で、すれ違いメロドラマと呼ばれた訳だが、
そのお陰でちょっとだけど当時の京都の街の風景が見れる。

画像

いいよねえ(^^♪
どうせ街を作るならこういう風に作れ!と言いたくなるよな。

画像

こっちは心落ちて帰京した浩三。
なんだかやっぱり名門のお坊ちゃまって感じよな♪

画像

浩三の縁談の相手、名門中田病院の令嬢・未知子(桑野通子)が
留学中のアメリ~カ!から豪華客船で一時帰国する。
浩三に縁談を薦める父と妹も迎えに上がる。浩三の姿はない。
未知子の父親は、新婚生活はアメリ~カ!だなと盛り上がる(^^♪

画像

浩三博士の縁談相手が帰国した事を知った看護婦連は、
慌てて令嬢・未知子に会い団交する。違った、お願いに上がる。
あの、あの、いえ、あの、その、はい…、
お嬢さまは内の若先生とご結婚なさるおつもりですか。
あの、その、はい…、先生には実は愛してる方がいらっしゃいます、と。

あのさ、かつ枝の心配をするのも良いけど、
みんな少しは自分の心配もしたら?(笑) と言いたくなるが、
彼女たち、実は「愛染かつら」の熱烈な読者なんだよね。
かつ枝と浩三が結ばれる事で本来の自己を実現したい訳よ(^^♪

画像

しかしどうよ、令嬢・未知子のこの美しさ。
かつ枝に強力なライバル現わるって感じだよね。
で、令嬢・未知子を演じてるこの桑野通子、
実は私の大好きな女優・桑野みゆきのお母さんなんだよ~ん💛

画像

浩三の心にかつ枝なる女性がいる事を知った未知子は
ショックを受け、かつ枝に会いに行く。そして言う。
女が一人の男性を愛し通すのは尊いことです、
そんな方がいらしたらどんな困難にも負けないでください、と。
この女性だったら浩三も安心だと思ったからなんだけど、さすが
伊達に自由の国アメリ~カ!に留学してる訳じゃなかったんだよね(^^♪
日本はこの数年後「鬼畜米英」と戦うことになるんだけどさ(笑)。

画像

かつ枝の方も新しき女性・未知子に会ってショックを受け、
足はいつしか浩三に結婚を申し込まれた境内の
愛染かつらの下へ。

画像

かつ枝は思い悩んだ末に決心する。
浩三さまはあの方と、未知子さんと結婚した方が幸福になれる。
私は身を引こう、消えよう、と。
かつ枝、敏子、姉の三人は東京を引き払い熱海へと引っ越す。

画像

そうとは知らず浩三も、父の願う縁談を受けられず、
やはり熱海で病院をやっている友人宅へ。
そして友人の病院で診察を手伝い始める。

かつ枝の姉は扁桃腺を腫らした敏子を連れ、
たまたまその病院に診察を受けに来る。浩三は
雑談をしているうちにその子がかつ枝の子供だと分かり、
ショックを受ける。

かつ枝は身辺を整理する。津村病院を辞め、
未知子へ手紙を送り、そして熱海へやって来る。

画像

令嬢・未知子は父と一緒に熱海に遊びにやって来る。
そして偶然かつ枝に再会し、彼女を叱る。
私はあなたを一人ぽっちにしてまで浩三さんと結婚するような
女ではない、と。

画像

ある日、かつ枝の元へレコード会社から一通の手紙が届く。
「母の愛」という曲を作り会社の応募へ送ったのだが、
その当選の知らせだった。賞金500円を獲得し、
母ちゃんは娘に何でも買ってあげると言って喜ぶ(^^♪

画像

未知子は津村病院が経済難で危ないと知ると、
残念ながら結婚はしないけど援助してあげてと父親を脅迫し、
勉学のためにまたアメリ~カ!へと向かう(^^♪

画像

出航の日、浩三は未知子に別れを告げ、見送る。
浩三がタラップを降りると、彼女はひとり悲しみに暮れた。

画像

かつ枝はレコード会社へ行き、曲の契約を交わす。
社長サンはかつ枝が歌えることを知ると、
ビッグ計画を打ち出す。

画像

お~!と、これはちょっと斬新だよねえ。
しかも社長、コレ、社会面の記事でねいかい!?(驚)
若先生もかつ枝の歌手デビューを新聞で知るが、
裏切られたと思いますます不機嫌になる(笑)
かつ枝は世話になった元同僚たちに5枚の招待状を送る。
若先生には当然送らない(^^♪

画像

看護婦連団長は同志とともに若先生に談判する。
15日に東劇でかつ枝さんの独唱会が開かれる。
当日我々5人に有給休暇を与えよ、と(^^♪
この時、浩三は団長の話で初めてかつ枝に何故子がいるのか
その過去を知り、誤解していた自分を恥じる。

画像

独唱会の当日、二階正面にズラリと元同僚たちの姿が(^^♪
そ。若先生が手の空いてる者は全員行け~、
ぼくがチケットを手配してやる~と大判振舞いをしてくれたのだ。
おいおい、病院、経営難じゃなかったのかよ(笑)。

画像

浩三も大勢の観客の中に紛れ込む。

画像
画像

元同僚たちが多数聴きに来てくれたことを知り、
かつ枝はお礼を意味を込めて看護婦姿で歌う。「母の愛」を。

画像

歌い終えて楽屋へ戻るとそこに浩三の姿があり、かつ枝は驚く。
敏子は「あ、先生だ」と走り寄り、浩三に懐く(^^♪

画像

浩三は自分の誤解を謝り、もう一度
愛染かつらの下を歩いたあの頃自分たちに戻ってほしい
とかつ枝に求愛する。かつ枝はその愛に応えるかのように
まっすぐに浩三を見つめた。

4本の作品を観てないのでどう纏めたのか詳細は
知るべくもないが、結構面白かったなあ。
ある意味、単純な物語構成なのだが、
二人の愛が成就するまでの「壁」、二人に関わる
多くの人の様子がそれなりにきちんと描かれているからだと思う。

いまや恋愛は自由で壁もほとんどない。
それだけ二人の愛に関わってくる人がいない
という事になるんだろうけど、そうなると反って自分たちの愛を
確認しにくくなってしまうことにもなるよね。
燃えにくくなる、つうても良い訳だけどさ(笑)。

観てて気持ち良いのは何かさ、
映画の作り方が綺麗だからなんだろうね。
俳優たちもそうなんだけど、ほんと真っすぐって感じ。
下手にお芝居したり、撮り方に凝ったりしない。
良い意味で子供の学芸会みたいなんだよね(^^♪

いまは全てがムニュムニュと訳わかんないから、
こういうの観るとほんとホッとするわ。

画像

この上原健、いいねえ。
どっちかって言うといつもムニュムニュしてて
私の得意なタイプとは言えないんだけど、これはいい。
今まで観た中で一番良いかも(^^♪

画像

そして田中絹代。
最近は戦前の映画を良く観るようにしてるんだけど、
いろんな映画にいろんな役でホント良く出てたんだなあって
吃驚してる。
戦前の大スターだったんだなあと納得。

取り立てて特異な資質を感じる訳じゃないんだけど、
それが反って取り立てて何か並み外れたものがある訳ではない
ごく普通のひとを良く表現してることになってるような気がして、
凄いなあって感動するんだよね。

その意味ではもしかしたらこれまでの
日本の女優の中で一番凄い女優なのかも知れない(^^♪

あ、YouTube、来年あたりから有料化するって噂もあるから
これ、今のうちに観てた方がいいかもね。

画像


■89分 日本 初公開1938/09/15 ドラマ/ロマンス
監督: 野村浩将
原作: 川口松太郎
脚色: 野田高梧
撮影: 高橋通夫
作詞: 西條八十
作曲: 万城目正 竹岡信幸
音楽: 万城目正
歌: 霧島昇 ミス・コロンビア
出演
上原謙  津村浩三
田中絹代 高石かつ枝
藤野秀夫 父・保樹
葛城文子 母・清子
森川まさみ 妹・竹子
河村黎吉 伯父・春樹
吉川満子 姉・さだ枝
小島和子 娘・敏子
坂本武 吉川副院長
岡村文子 佐藤看護婦長
出雲八重子  看護婦・峰沢治子
草香田鶴子 看護婦・若井たつ子
東山光子 看護婦・最賀米子
忍節子 看護婦・恩田しげ子
久原良子 看護婦・浜田徳子
大山健二 木村医学士
爆弾小僧 少年の患者
西村青児 寺島医学士
佐分利信 服部医学士
高杉早苗 服部の妹・美也子
高松栄子 婆や

戦後の「君の名は」とともに絶大な人気を誇った“すれ違いメロドラマ”の代表作。
前編・後篇・続編濡・完結編と続き、“花も嵐も踏み越えて……’で有名な主題歌『旅の夜風』は大ヒットした。
これら4編をまとめたのが総集編で、子持ちの未亡人看護婦・高石かつ枝(田中絹代)と青年医師・津村浩三(上原謙)が恋におち、身分の違いや子どもの病気、様々なすれ逢いといった障害を乗り越えて、ついに結ばれるまでをまとめている。             
津村病院院長の息子津村浩三(上原謙)は、博士号授与祝賀会で歌を披露した看護婦、高石かつ枝(田中絹代)に心を奪われる。求婚するが、彼女は若くして死別した夫との間に幼い女の子がいたために躊躇する。医師と看護婦の結婚は許されず、周囲の大反対にあいながらも、浩三の熱い思いに、いつしかかつ枝の心も傾いていく。二人は縁結びの霊木“愛染かつら”に愛を誓う。やがて、かつ枝は歌手の道を目指すことになる。
戦後には、1948年「新・愛染かつら」(大映、久松静児監督、水戸光子・竜崎一郎)、1954年「愛染かつら」(大映、木村恵吾監督、京マチ子・鶴田浩二)、1062年「愛染かつら(正・続)」(松竹、中村登監督、岡田莱苅子・吉田輝雄)がリメイクされた。

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック