毛の生えた拳銃 (1968) 日本

[1209]60年代を刻み込んだ大和屋竺のフリー・ジャズ映画に痺れる



『毛の生えた拳銃』1968年 70分  若松プロ
監督: 大和屋竺
製作: 若松孝二
企画: 若松孝二
脚本: 大山村人 (大和屋竺)
撮影: 伊東英男
音楽: 相倉久人
出演: 吉沢健   麿赤兒 大久保鷹
松田政男 佐藤重臣 足立正生

若松映画を初めて観たのは学生時代。映研にいた
後輩友人が構内で上映した『胎児が密猟する時』(1966年)である。

以後、上京するたびに新宿アートシアターの裏手にあった
アンダーグラウンド蠍座で観たものだが、
この作品は70年に上京してから観た。
それ以来だから50年ぶりって事になる。凄い(^^♪

サイトで調べたらこの映画、最初は
『犯す』というタイトルで上映されたのだとか。
うかつにも全然知らなかった。
ピンク映画館での上映を狙ってのことだったのかな?
時代を感じるなあ。

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主演はホレ、われらが麿赤児と大久保鷹💛 
監督は大和屋笠さん💛 
大和屋さんは私と同じ世代の劇作家・竹内銃一郎の師(^^♪

余談だが、大和屋さんの奥さんから私は「山崎さんのフアンです」と、
なんとネクタイを貰った事がある。いまも大事に洋服ダンスにあるが、
この時だけは「銃一郎、聞いたか!」と勝った気分だったなあ(笑) 
太和屋さんが亡くなってから十数年後の事である。
ああ、夢のような話(^^♪

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もうひとりの主役はわれらが吉沢健さん💛 
この作品の制作は1968年だけど、
この頃吉沢さんまだ状況劇場にいたのか。
若松さんと映画やりたいと言って状況劇場を止めたんだよね。

カッコ良いだろう。私はこの頃からの吉沢さんフアン💛 
てっきり先輩だと思ってたら、『骨風』のとき、
「山崎さんと俺、同じトシなんですね」と言われて吃驚したものだ。
でもやっぱり先輩。兄貴分だよな。活躍はやくて、もう凄かったもん(^^♪

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吉沢健=たそがれの司郎は女にもてる。
女がいなかったためしがない。もてすぎて彼はたそがれる(笑)

が、その恋人がある夜、男たちに強姦され、殺害される(?) 
シローは男たちのいる事務所(?)に乗り込み、男どもを殺害する。
ボスをも。ボスやってるの、谷川俊之さんかな?

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シローはボスの女を縛る。
素っ裸になるので女を姦るのかと思ったら、姦らない。
美学が許さないのだ。
イカス男に姦られなかったボスの女はシローを恨む(笑)

シローはボスを刺すと、事務所のシャワーを浴びる。
フリチンになったのは、実は返り血を浴びたくなかったからだ(笑)

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シローは事務所にあった拳銃をカッコいいなあと盗む。
女はシローに警告する、「捕まるわよ。まだ毛も生えてないのに」と(笑) 
シローは返す、「生えてるもん」(爆) 

これがタイトルの由来である(^^♪

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ジャン💛 真打ち登場。

一命をとりとめたボスは、いつも使用している殺し屋二人を呼び、
見た事もない若造シローの殺害を依頼する(笑) 
手下が半金を前払いすると、マロは言う、「こんどから月給にしてくれ」と(笑)


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殺し屋マロタカ・コンビは、未知の若造シローを求めて街をうろつく。
イッてしまっているタカにマロは忠告する、
「おまえ、ちゃんとクスリ飲んだか?」と(笑) 
どう、可愛いだろう、おらが鷹さん!

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若造発見! 
銃撃戦を展開したのち、シローは荒野を走り、逃げる。
マロが必死こいて追う!
バーン!バーン! マロが銃弾を放つ。
想像を絶するほど二人は若い(笑) 

シローが拳銃を捨てた。
まだ毛が生えてないことを自覚して(爆)

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突如、逃げるシローの前にタカが現れ、行く手を阻む。
むろんタカは荒野の空を飛び、先回りしたのだ(笑)

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シローはへたばって荒野の大地に倒れ、二人に言う。
「ああ腹減った 殺し屋さんですか?」と。

その言葉を聞いてマロタカは顔を見合わせ、即座に決心した。
声こそ出さなかったが、「こいつは俺たちの荒野のダッチワイフだ💛 
大事にしようぜ」と(爆) 

種明かし。
この二人、「ひと殺し」を自負してるのに、
依頼してくる連中には「犬殺し」と呼ばれている。
が、シローが「ひと殺し」と多大な敬意を払ってくれたので
超感激したのである!(笑)

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日々のメシ代にも事欠くマロタカは、
「30万円払え。そしたら命は助けてやる。明日持ってこい」と言い、
シローの身長を慎重に測定した。シローの特徴を憶えておくために。
「175.62cm。猫背、色白…」(爆) 

カメラでパチッとシローを撮れば良いのだが、
この頃はカメラまだバカ高いから、当然持ってないのである。
時代が偲ばれる(笑) 

蛇足ながら言っておこう。
時代を刻印しているものこそ優れた表現なのである。
これはマジなので憶えていたほうが良い💛

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うわっ、吉澤健がアカンベーしてる!
可愛い💛 これじゃ女にもてるはずだよね(笑) 
貴重すぎる写真なのであとでプリントして部屋に飾っとこ(笑) 

あ、シロー、隙を見て二人の車に乗り込み、逃走したのである♬
が、ある日、「花と園芸の店・木村ガーデン」の店先で、ばったりシローに遭遇。

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路地裏で銃撃戦が始まった。

この映画、どこかマカロニウェスタンと日活アクションを彷彿させる♬ 
だけでなくアメリカン・ニューシネマやブニュエル、チャップリン等、
様々な映画を。

ま、そう言ってよければ、様々な映画をごった煮にし、
そこから抜け出そうとしている映画と言って良いかもしれない。
人間が「自由」に向かって抜け出そうとしているように💛

ここでは紹介できなくて残念なのだが、
中村誠一(テナー・サックス)と森山威夫(ドラム)らによる
フリー・ジャズがほとんど絶えずバックに流れていることからもそう言える。

観て、聴いて、良いよお~💛 
ちなみにこの時、山下洋介は病気中で参加できず、
ピアノは森山が連れてきた芸大生らしい(^^♪

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またのある日、せがむ女を前にシローはたそがれていた(笑) 
彼がたそがれるのは何故か? 
私が思うに、日本にチャ・ゲバラがいっこうに現れないからである(笑)

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と、隣のアパートからそのシローを銃のスコープで覗くものがいる。
女にモテたためしのないマロタカだ。
「おい、タカ、おれにも覗かせろ」と嬉しそうなマロ(笑)

かくしてまたもシロー対マロタカの白昼銃撃戦が繰り広げられる。

種明かし。
マロタカは、シローの拳銃にはまだ毛が生えてないと、
こうやって実はシローに銃の扱い方を教えようとしてるのである♬

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マロタカはある情報屋からシローが東京へ行ったと聞かされる。
で、その情報屋から金を強奪し、全日空で羽田へと向かう。
マロタカ、人生初の飛行機搭乗体験である(笑) 
それを良い事に制作の若松さん、
これを二人のギャラ替わりにしたのだった(爆)。

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新宿駅の地下道を歩くマロタカ。
その異様な風貌に、通行人たちは思わず二人を振り返る(笑)
女性だけが反射的に振り返ってしまうは、
この二人にだけは絶対姦られたくないと警戒したからだ(爆)

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マロタカはギャラ替わりのメシを喰らう(^^♪

マロが言う、「シローはおかまじゃないかと時々思う」と。
タカが返す、「それはお前が寝てみたいと思うからだよ」
「そういう事を言うのは辞めてくれ!」
「ジョーダンだよ」
「ジョーダンでもよ!」(笑)

タカがマロに「おまえがシローと寝てみたいと思うからだ」と言うのは
、むろんタカ自身がシローと寝てみたいと思っているからである。
人間のことばとはそういうものだ💛(爆)

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脇では二人の会話には耳もくれず、
ボスの組員の一人であるジューシンが、
これもギャラ替わりの肉を必死に食っている。

ジューシンって誰か? 
あんた、映画フアンじゃないな。
われらが佐藤重臣に決まってるじゃないか

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タカマロは、シローが女を縛るベッドシーンを妄想する(笑)

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マロタカは我慢できなくなり、街の女を買う。
マロはついに童貞を失う日がきたのだ。彼は泣き叫ぶ、
「おかあちゃ~ん」と(爆)

タカは逆立ちと腕立てをして、からだを鍛え、そして女に飛び掛かる。
女とベッドをともにする時、世の中の男たちはみんな
そうやっているという妄想から脱却できないのである(笑)

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ボス組から雇った別の殺し屋がシローを仕留めたという連絡が入り、
現場へ駆けつける。買った女たちが逃げないようにと縛りつけて(笑) 
が、殺害された男は巻き尺で測るとシローではなかった(笑)

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二人はその足で招待されたボスの乱交パーティに出席する。
むろん見張り番として招かれたのである(笑) 
タカマロは部屋の扉の前で、ギャラ替わりのニワトリを貪り食らう(^^♪

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突然、写真はカラーになる。懐かしいなあ! 
パートカラーのないピンク映画はピンク映画じゃない!

チャンスとばかりにジューシンは手当たり次第に女たちを抱きまくる(笑) 
松田政男さんもいるんじゃないかと思うが確認できず(^^♪

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部屋を覗いたマロタカは、
「いいなあ、みんな」とその光景に涎を垂らす(爆) 

あ、違った(^^♪

目の前のピンクの光景を目にして、
二人はシローのことを思い出したのだ。

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ぶどう園でのいつかの銃撃戦。

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シローは実った一房のぶどうに手を伸ばした。
タカはそのぶどうの根元の蔓を狙った。

シローは地に落ちたその一房のぶどうを手にすると、
大地に横たわり、ぶどうを両手に包み込み、
このうえない幸福な表情でむしゃむしゃと食ったのだった。

タカは思った、
シローこそ「人間」だ、と(^^♪ こいつらはクズ。イヌ…。

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マロタカは、
シローがあの荒野から毛の生えた拳銃を手に現れ、
こいつらイヌどもを撃ち殺す夢を見た。

乱交パーティから外されたマロタカは朝帰りの帰途、思う。

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シローは来なかった。やっぱりおれたちが殺るしかないか。
と、ギャラ替わりのメシを食いながら。

タカは立ち上がる前に、
病弱な胃のために例によってクスリを飲んだ(笑)

マロタカはボス一味に電話をして小屋に呼んだ。
シローを仕留めた、と。

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小屋には二つの遺体があった。
タカは撃ち合って死んだ、シローはこっちだ、とマロは指さした。
ボスの一員が蓆をめくった途端、
寝ていたタカとマロの拳銃が火を噴き、組員たちをせん滅する。

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そして最後にボスを…。
よく見ろ、これが「毛の生えた拳銃だ」と言わんばかりに

「シローにまた会えるかなあ」と、
マロタカは無免許で車を走らせ、長いトンネルの先へと向かった…。

おしまい(^^♪

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しかし鷹さん、ホントいいなあ。無茶苦茶凄い。
唐さんも認めてたけど、天才💛 

バックのフリー・ジャズ同様、言葉が自在にポンポンと飛び出すんだよね。
私が初めて鷹さんを舞台で観て痺れた時と同じ。
持って生まれた資質としか言いようがないわ。

まあ、この自在さが鷹さんだから、
逆に科白通りに喋るのを少し苦手にするかもね。

でも、それでいいんだよ、科白なんて適当でいいんだよ、
と私は思う! 
だいたい「科白を喋る」ということは、
書き言葉を喋り言葉に変換するって事な訳だから。

その鷹さんに較べると、残念ながら麿さんの場合、
まだ科白を科白として喋ってるかな。
その事は鷹さんと違って、言葉がまだうまく
からだから離れて行かないことからもわかる。

もともと新劇の研究生だった訳だけど、
その後遺症からまだ抜けてないのかな?

もっとも私が初めて麿さんを観たのは、鷹さんと同じ時なんだが、
鷹さん同様、言葉がポンポンと自在にからだから飛び出して来て、
まあ吃驚したものだ。

で、鷹さんに聞いた事がある。
麿さん、いつから変わったのって。

そしたらこの映画のあと、土方巽さんと出会い、
それから変わった、という事だった。
土方さんの影響が当時どんなに凄かったか、
ということがよく分かる話だよね💛

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吉沢健さん。
いま観てもホントにいいよねえ。痺れる💛 

鷹さんに近い演技なんだけど、たぶん決定的な違いがある。
鷹さんの場合は、ある意味資質の赴くままなんだけど、
吉沢さんの場合は明らかに、緻密な計算の下にやっている。
そういう意味では、努力のひと。努力の天才(^^♪

もっともそうだとわかったのは『骨風』を一緒にやってから。
台本の読み込みが並みじゃないんだよね。

稽古に入るずいぶん前から電話がかかってきて、
あそこの科白ここの科白と、いろいろと細かく聞かれたり
提案されたりして吃驚。

で、稽古初日にはもう完璧に科白が入っていて、
相手に合わせて自由自在。

そう言ってよければ、スタニフラフスキーの演技術なんだけど、
こんなに凄い俳優って初めて。
吉沢さん、もう好きにやって下さい、
出入りと間だけ決めさせて貰いますけど、だったよねえ!💛 
いま時の俳優では考えられないこと。

あ、その吉沢さんから年賀状もらったんだけど、
そこにはこう書いてあった。

「クマさんが若ちゃん(若松孝二)が取り付いたと言ってくれましたが、
確かに想いもしなかった程私のなかにいた若松さんが出てきた、
というか、何か演じると云う事とは違う感触があった様な気がします。
稀な経験かもしれません。
又、連中と一緒の舞台に立つとは夢想だにしなかった事でありました。
有難う御座いました。」

お礼を言いたいのは私のほうで、ホント、宝物にしたい賀状だった💛




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