うつせみ (2004)

キム・ギドクになんか心境の変化でもあったのかなあ……?

画像


「うつせみ」って邦題なんだけど、
韓国にも同じようなことばがあるのかなあ?
ちなみに「この世」とか「この世の人」って意味なんだけど……。

たぶんあるんだろうな。
韓国も仏教文化の国だし……。

この作品は「春夏秋冬そして春」の翌年に創られてる。
そしてこの後に「サマリア」を創ってるんだけど、
以前の作品とずいぶん違ってきたなあというのが、第一印象……。

いちばんは、映像かな。

「サマリア」以後の作品観てないから
まだなんとも言えないんだけど、
初期?のゴツゴツした油絵みたいな感じがなくなっちゃった。
なんか、すべすべした映像になっちゃった……。

私の好みはどっちかと言うと、
「悪い女」とか「悪い男」の絵の方なんだけどね……。

そのことと連動してるんだろうけど、
物語もどんどん純化されて、
寓意性や宗教性がとても強くなってきた……。

いいかえると以前は
肉体の痛みみたいなものが強烈に描かれてたんだけど、
その肉体を超えよう
みたいな志向がなんだか前面に出てくるようになった……?

それがたぶん「うつせみ」の中心イメージだよね。
「サマリナ」だと軽やかに空に身を投げる、
というやつなんだけど……。

うーん、でも、どうなんだろう……?
なんて自問自答しちゃうよなあ……。

こういう映画もたしかに好きなんだけど、
こういうんだったら、アントニオーニのほうがいいかなあ、
と思っちゃうのは私だけ……?

神戸の少年・酒鬼薔薇聖斗は
「人間もアリやゴキブリと一緒や」と言ったけど、
それもひとつの視点だよな、と思う。

「悪い女」や「悪い男」にはそういう視点があって、
そうだからこそ「うつせみ」の世界が愛しく思えた……、
というか、そういう隠された宗教性が見えたきたんだよね……。

だから以前のキム・ギドクだったら、
ソナの夫とか、刑事、看守を
こういうふうには絶対描かなかったと思うんだけどね。

あまりにも類型的というか、一面的というか……。

人間はどんな人間だって
なんか人間臭いもの持ってるわけで……、
それ描くのがキム・ギドクのよさだったわけで……。

ヨーロッパ映画にたいするコンプレックスというか憧れというか、
なんかそういうのが前に出てきちゃったのかなあ、
という感じ……。

自分の映画が
自国ではあんまり受け入れられないから……?

といっても、ほんとは
まだなんとも言えないんだけどね。

それに、いろいろ言ってるけど、
すごくいい映画だってのは間違いないよ。
こういう芸術性志向するひと少なくなったから、
キム・ギドクはほんと貴重だとおもうな……。

あ、言い忘れたけど、
キム・ギドク、ブレッソンの影響も強いかも……。

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●チェブさん
キム・ギドクの映画の核は
基本的に変わっていないんじゃないでしょうかね、
表現の仕方がすこし変わっただけで……。
作品によって同じ監督に思えないとすれば、
キム・ギドクは物語性の強い作家だと思えばいいと思います。
画家だけれど、物語作家でもある。
だから毛色の違った物語を書くんだと……。

●アマポーラさん
そうですか。探して観てみますね。
それから、すいません、
1日に3本観て書いてるんじゃなくて、
以前観たのをじつは思い出しながら書いていることもあるんです……。

●スクリーンさん
物語の展開、映像の展開が
ひじょうにうまい監督なんでしょうね。
飽きさせませんからねえ……。

ありがとうございました。

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88分 韓国/日本 ドラマ/ロマンス

監督: キム・ギドク
製作: キム・ギドク
脚本: キム・ギドク
撮影: チャン・ソンベク
音楽: スルヴィアン

出演
イ・スンヨン ソナ
ジェヒ テソク
クォン・ヒョコ ミンギュ
チュ・ジンモ チョ刑事
チェ・ジョンホ 看守

「春夏秋冬そして春」「サマリア」の鬼才キム・ギドク監督が描く静謐な愛の寓話。暴力夫によって自由を奪われていた女性と謎多き青年が2人だけの秘密の旅を通じてほとんど言葉を交わすことなく繰り広げる魂の交感を静かに見つめる。第61回ヴェネチア国際映画祭では監督賞をはじめ全4部門を受賞。
留守宅に侵入してはシャワーを浴びたり食事をしたりという行為を繰り返しながら転々と放浪生活を続けるミステリアスな青年テソク。ある時、いつものように空き家だと思い込み忍び込んだ豪邸で、テソクはその家の住人ソナに遭遇する。彼女は独占欲の強い夫によって自宅で監禁状態にあったのだった。生気がなく抜け殻のようなソナ。やがてテソクは夫に虐げられたソナの悲惨な結婚生活を目の当たりにすると、彼女を屋敷から連れ出してしまう。そして、ソナと2人で留守宅を転々とするようになるのだったが…。


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