熱血男児 (2006)

[131]傑作にこんなタイトルつけちゃだめじゃない、誤解されるよ……?


画像
     えっ、どこが熱血男児なの?
     って、びっくりしちゃったよ……。



ソル・ギョングのやってる
やくざゼムンのこと指してるんだろうけど、
全然、熱血男児っていう
イメージじゃないんだよねえ……。

たしかに弟分のチグクに
熱っぽくやくざ道を語ってみせたりするけど、
内心はとても臆病者で、
兄弟分のミンジェが殺されるのを目撃すると、
オタオタしてその場を逃げ出しちゃうし、

ミンジェを殺したデシクの命を狙っても、
デシクの母親の前では
思い切り躊躇して引き下がっちゃうし……、

熱血男児どころか、
強がりはするんだけど、口下手で、優柔不断で、
女ひとり正面切っては口説けない、
なんとも頼りない男……。

でも、それがいいんだよねえ。
ソル・ギョング、めちゃくちゃいいの。
どっちでもない人間の「淡い」っていうの?
そういうのをものすごくうまく出してみせてるの。

とくにデシクの母親チョムシムをやっている
ナ・ムニとのコンビはもう最高……。

チョムシム、クッパ店やってんのよね。
で、デシク家偵察しとこうと思って
その店にメシを食いに行くんだけど、
口でジャブの応酬やってるうちに、
お互いなんとなく気が合っちやうんだよね。

で、ある日、隣町まで買い物に付き合わされるの。
南洋に行ってる息子(デシクの弟)に送るための買い物なんだけど、
その息子、ほんとうはもう事故で死んでるんだよね。

チョムシムも、息子デシムにそう聞かされてはいるんだけど、
この目で見るまでは信じないって言って、
年に一度、いろんなものダンボールに詰めて
南洋の息子あてに送ってるわけ……。

ほんとはその荷物、
受取人不明って戻されてきて、
店のうらの倉庫に山積みになってるんだけどさ。

寺山修司さんが書きそうないい話だよねえ……。

そういう付き合いしてるうちに、
ゼムンとチョムシム、なんか親子みたいになっちゃって……。

もろネタバラシなんだけど、

ゼムン、弟分のチグクに刺されたあと、
チョムシムの店に行って、メシを注文して、
そのままテーブルの上で血流して息絶えるんだけど、

あれ、
南洋に行った息子は死んだんだよ、こうやって……、
いいかげん信じなよって……、
チョムシムに言いたかったんだろうなあって思っちゃった。

おふくろのそばで死にたいって気持ちも
あったんだろうけどさ……。

根はやくざじゃないんだろうけど、
でも、やくざとしてしか生きられない
どうしようもない男が味わったほんの束の間の、
ほんとうの親子ではない、
でも、これ以上のほんとうはない親子の情愛物語……。

ちょっと
アメリカン・ニュー・シネマの雰囲気を漂わせた傑作。

いやあ、
ソル・ギョングにもすっかり嵌っちゃったなあ……。

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118分 韓国 アクション/ドラマ

監督: イ・ジョンボム
製作: チャ・スンジェ キム・ミヒ
脚本: イ・ジョンボム
撮影: キム・ドンチョン
音楽: キム・ジュンソク

出演
ソル・ギョング
チョ・ハンソン
ナ・ムニ
ユン・ジェムン
オ・ヨン
リュ・スンリョン

少年院出身のヤクザ、ゼムンとミンジェは組の命令で人を殺すが、間違って違う人を殺してしまい、相手組織の報復によってミンジェはゼムンの目の前で殺される。復讐を決意したゼムンは弟分のチグックを伴い、復讐相手デシクの周辺の下見を始める。デシクの母親が営む食堂に出入りするようになるが、デシクが現われるのを待ち続けるうちに、次第にデシクの母親との間に親子のような情を感じるようになり…。
復讐と情愛で揺れるヤクザの男の心情と、復讐のドラマを鮮烈に描いたアクション映画。『力道山』『シルミド/SILMIDO』など作品ごとに違う顔を見せる名優ソル・ギョングと、『連理の枝』などの人気スター、チョ・ハンソンがヤクザの兄弟分役で共演。ヤクザの母親役で、“オムニ”のバイタリティを全身から滲ませたベテラン女優ナ・ムニは、本作の演技で青龍賞助演女優賞に輝いた。


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